39 / 88
三章 ゴミ拾いともふもふ融合
39 シルバーフォックスの姉妹
しおりを挟む
『アイツら行った?』
『うん、今日も生き延びたわね』
『本当にね。絶対にこの餌場は譲らないんだから!』
『そうね、こんな魔力のたくさん詰まった餌場、手放す方がどうかしてるわよね』
『ねー』
ロキやソニン、プロフェンが逃げ帰った姿を見送るのは二匹の子狐。
ルーク達が出会ったシルバーフォックスは、二匹のうちの一匹だっらーたのだ!
一匹が相手を翻弄し、もう一匹が死角から魔法の連撃を加えていたのだ。真正面から戦う術しか持たぬロキ達は、この姉妹の連携によって痛手を負っていた。
もし真正面から戦うタイプであったのなら、力は拮抗していたように思うが、そこは姉妹の方が駆け引きが上手だった。
姉のインフ、妹のルエンザ。
二匹共に災害級に至る三尾である。
『最初出会った時、雑魚だと思ったのに』
『まさか群のヌシが他に居たとはね』
『アレでもあたし達に至るくらい強かったわよ?』
『でも、あたし達の方が一枚上手だった。大丈夫、アイツらまっすぐ突っ込むことしか知らない猪よ。どれだけ凄い力を持ってたってあたしとアンタの敵じゃないわ』
『そうだといいわね。でもアイツ……普通じゃなかった』
先ほど戦ったハンターラビット。
恐ろしいほどまでの気迫。その上で魔法を使った。
今までそんな個体見たことない。
『ユニークかしら?』
『この餌場で育ったからユニークになった?』
『じゃあ、死に物狂いで奪いにくるかもね』
『実際、毎回手を焼いてるわ。アレだけ手傷を負わせたのに、翌日には何事もなかったように襲ってきたのよ? きっとここ以外にも餌場を持ってるわよアイツ』
『欲しいわね、そこの餌場も』
『奪っちゃいましょうよ、そこの餌場も』
『ふふ、悪い子ねルエンザ』
『インフこそ、引き止めないじゃない』
『だってぇ、強くなる為には芳醇な魔力を蓄える必要があるもの』
そう言って、逃げ帰ったハンターラビットのナワバリの上に生えるレインボートリュフに食いついた。
『んふ、やっぱり美味しい』
『傷は癒えないけど、魔力の回復でトントンよね?』
『癒しの魔法は使えないのよね。尻尾が増えたら使えるようになるかしら?』
『保有魔力量次第じゃない? 回復させてくれる隙を与えてくれるとは思わないけど』
『自然治癒しかないかー』
『頻繁にこないことを祈るわ』
『でも縄張り奪われたアイツが他の部下連れてきたら流石に厳しいわよ?』
『罠でも仕掛ける?』
『かかってくれるかしら?』
『かかっても気づかずに突っ込んできそうね』
『あー、そう言うところありそー』
想像の上で罵倒し、勝ち取った餌場を堪能する。
三日かけて勝ち取った餌場は、それから一週間平穏な日々を送った。
『ねぇ、ルエンザ? 本当に来なくなったわね、アイツら』
『本当ねー、おかげで魔力が弱まってあまり成長できなかったわ』
姉妹は四尾へと成長したが、災害級を超えることはない。
最低限で三尾。最高でも八尾を災害級とする。
尾が一本増えるたび、扱う魔法の数も増えるのだが、それに付け加えて、九尾に至れば人に化けるのだ。
人の中に混じり、唆かす。
文字通り興味本位で国を滅ぼす脅威となるのだ。
故に傾国。
それに至らない内はちょっと強いだけの化け物にすぎない。
それでも人類にとっては十分厄介だが。
◇
その頃ロキ達は、修行の末に新しいスキルの扱い方を取得していた。
『へぇ、浮遊と伸縮、引き寄せにこんな使い道があるなんてな』
ロキの言葉に僕は本当だよねぇと同意する。
『問題はあたしが砲弾がわりになるって不満点くらいだよな』
『プロフェン版もあるぞ!』
伸縮のスキルを発動させ、最大限に縮めて全力パンチでカッ飛ばすと言うゴリ押しの遠距離攻撃手段だった。
相手が遠距離でくるならこっちも遠距離だ! みたいな脳筋なノリだ。頭の中まで筋肉である事を自他共に認めているところあるよね。
なお、ロキが全力で殴ってもソニンもプロフェンも無傷が約束されている。僕の編み物を二重三重に纏わせての安全重視である。
おかげで身動きが取れないが頑丈さだけは跳ね上がったのでヨシ! とはロキ談。
この二名が不満の声をあげてる理由は、せっかくのリベンジ戦に共闘できない事にある。やられっぱなしで終われないのはバトルジャンキーのハンターラビットならではだ。
あとプロフェンは単純に食い意地の問題だね。
食い物の恨みは怖いことを教えてやるんだって意気込んでいるところへ砲弾として抜擢されたのだ。憤りは凄まじいものだった。
他にも回りくどいスキル運用方もいくつかあった。
『養分抽出』によるレインボートリュフからの魔力強奪だ。
問題はあの場所でシルバーフォックスに見つからずに実行する事が今の僕には厳しいこと。
浮遊で移動したって、匂いでバレるってソニンに指摘されたよね。
そもそもロキが許可しなかったし。
『そんなズル、ハンターラビットの沽券に関わる。俺の戦いは真剣勝負だからな!』
言ったら聞かないロキがこうなったらもう僕は止められない。
戦場に向かう彼らに対し、僕ができることと言えば。
労って見送る事くらいだ。
頑張ってね、みんな。
『うん、今日も生き延びたわね』
『本当にね。絶対にこの餌場は譲らないんだから!』
『そうね、こんな魔力のたくさん詰まった餌場、手放す方がどうかしてるわよね』
『ねー』
ロキやソニン、プロフェンが逃げ帰った姿を見送るのは二匹の子狐。
ルーク達が出会ったシルバーフォックスは、二匹のうちの一匹だっらーたのだ!
一匹が相手を翻弄し、もう一匹が死角から魔法の連撃を加えていたのだ。真正面から戦う術しか持たぬロキ達は、この姉妹の連携によって痛手を負っていた。
もし真正面から戦うタイプであったのなら、力は拮抗していたように思うが、そこは姉妹の方が駆け引きが上手だった。
姉のインフ、妹のルエンザ。
二匹共に災害級に至る三尾である。
『最初出会った時、雑魚だと思ったのに』
『まさか群のヌシが他に居たとはね』
『アレでもあたし達に至るくらい強かったわよ?』
『でも、あたし達の方が一枚上手だった。大丈夫、アイツらまっすぐ突っ込むことしか知らない猪よ。どれだけ凄い力を持ってたってあたしとアンタの敵じゃないわ』
『そうだといいわね。でもアイツ……普通じゃなかった』
先ほど戦ったハンターラビット。
恐ろしいほどまでの気迫。その上で魔法を使った。
今までそんな個体見たことない。
『ユニークかしら?』
『この餌場で育ったからユニークになった?』
『じゃあ、死に物狂いで奪いにくるかもね』
『実際、毎回手を焼いてるわ。アレだけ手傷を負わせたのに、翌日には何事もなかったように襲ってきたのよ? きっとここ以外にも餌場を持ってるわよアイツ』
『欲しいわね、そこの餌場も』
『奪っちゃいましょうよ、そこの餌場も』
『ふふ、悪い子ねルエンザ』
『インフこそ、引き止めないじゃない』
『だってぇ、強くなる為には芳醇な魔力を蓄える必要があるもの』
そう言って、逃げ帰ったハンターラビットのナワバリの上に生えるレインボートリュフに食いついた。
『んふ、やっぱり美味しい』
『傷は癒えないけど、魔力の回復でトントンよね?』
『癒しの魔法は使えないのよね。尻尾が増えたら使えるようになるかしら?』
『保有魔力量次第じゃない? 回復させてくれる隙を与えてくれるとは思わないけど』
『自然治癒しかないかー』
『頻繁にこないことを祈るわ』
『でも縄張り奪われたアイツが他の部下連れてきたら流石に厳しいわよ?』
『罠でも仕掛ける?』
『かかってくれるかしら?』
『かかっても気づかずに突っ込んできそうね』
『あー、そう言うところありそー』
想像の上で罵倒し、勝ち取った餌場を堪能する。
三日かけて勝ち取った餌場は、それから一週間平穏な日々を送った。
『ねぇ、ルエンザ? 本当に来なくなったわね、アイツら』
『本当ねー、おかげで魔力が弱まってあまり成長できなかったわ』
姉妹は四尾へと成長したが、災害級を超えることはない。
最低限で三尾。最高でも八尾を災害級とする。
尾が一本増えるたび、扱う魔法の数も増えるのだが、それに付け加えて、九尾に至れば人に化けるのだ。
人の中に混じり、唆かす。
文字通り興味本位で国を滅ぼす脅威となるのだ。
故に傾国。
それに至らない内はちょっと強いだけの化け物にすぎない。
それでも人類にとっては十分厄介だが。
◇
その頃ロキ達は、修行の末に新しいスキルの扱い方を取得していた。
『へぇ、浮遊と伸縮、引き寄せにこんな使い道があるなんてな』
ロキの言葉に僕は本当だよねぇと同意する。
『問題はあたしが砲弾がわりになるって不満点くらいだよな』
『プロフェン版もあるぞ!』
伸縮のスキルを発動させ、最大限に縮めて全力パンチでカッ飛ばすと言うゴリ押しの遠距離攻撃手段だった。
相手が遠距離でくるならこっちも遠距離だ! みたいな脳筋なノリだ。頭の中まで筋肉である事を自他共に認めているところあるよね。
なお、ロキが全力で殴ってもソニンもプロフェンも無傷が約束されている。僕の編み物を二重三重に纏わせての安全重視である。
おかげで身動きが取れないが頑丈さだけは跳ね上がったのでヨシ! とはロキ談。
この二名が不満の声をあげてる理由は、せっかくのリベンジ戦に共闘できない事にある。やられっぱなしで終われないのはバトルジャンキーのハンターラビットならではだ。
あとプロフェンは単純に食い意地の問題だね。
食い物の恨みは怖いことを教えてやるんだって意気込んでいるところへ砲弾として抜擢されたのだ。憤りは凄まじいものだった。
他にも回りくどいスキル運用方もいくつかあった。
『養分抽出』によるレインボートリュフからの魔力強奪だ。
問題はあの場所でシルバーフォックスに見つからずに実行する事が今の僕には厳しいこと。
浮遊で移動したって、匂いでバレるってソニンに指摘されたよね。
そもそもロキが許可しなかったし。
『そんなズル、ハンターラビットの沽券に関わる。俺の戦いは真剣勝負だからな!』
言ったら聞かないロキがこうなったらもう僕は止められない。
戦場に向かう彼らに対し、僕ができることと言えば。
労って見送る事くらいだ。
頑張ってね、みんな。
115
お気に入りに追加
2,446
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~
小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ)
そこは、剣と魔法の世界だった。
2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。
新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・
気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~
WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
1~8巻好評発売中です!
※2022年7月12日に本編は完結しました。
◇ ◇ ◇
ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。
ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。
晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。
しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。
胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。
そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──
ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?
前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる