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三章 ゴミ拾いともふもふ融合
35 同年代のお友達
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「プロフェンちゃん、下がってて!」
「いや、ゴブリンくらいなら……ソニン!」
『オッケー』
「え?」
普段ブラッシングされてふにゃふにゃなソニンしか知らないのか、俊敏な動き出しにトラネさんは目を丸くし、
「は!? いやいやいや……」
たったの一蹴りでゴブリンの首がボールのように吹っ飛んだ様を見て、キサムさんはソニンの恐るべき強さに理解が追いつかないという顔をした。
「プロフェン、ブレスだ。ゴブリンに向けてね?」
『はーい』
ゴッ!
大きく開いた口から、爆炎が吹き荒れた。
大量に現れたゴブリンは消し炭となり、それどころかブレスは一直線に雑木林を薙ぎ払った。遠くで木々が倒れる音がする。
やっぱり過剰戦力だよねぇ、この子達。
これで手加減してるというのだからポテンシャルの高さは隠しようがない。
「あはは、あたし達……」
「ああ、護衛なんて烏滸がましかったな」
落ち込む二人組。
しかし僕はそうは思わない。
キサムさんがいなければ僕はレインボートリュフについて特に興味を示さず、プロフェンを叱っていただろうし。
「そんな事ないです。僕はまだここら辺の土地勘はありませんし、同年代の子と一緒に行動した事がないんです。だから、護衛とかじゃなくてこれからはお友達としてお付き合いしてほしいといいますか……僕、ずっと年上の人とばかり一緒に行動してたので。ダメですか?」
「えっと、それは……恐れ多いというか」
僕の友達宣言に、キサムさんの視線が泳ぐ。
「いいの? つまりプロフェンちゃんとずっと一緒という事?」
対象にトラネさんは目を輝かせていた。
こうなったらなかなか考えを改めないと、キサムさんは諦めたように頭を掻く。
「仕方ない。戦力的に俺たちの方が足手纏いになるとは思うがよろしく頼む」
「プロフェンちゃん、ずっと一緒だねー?」
『ご主人、いいの?』
「僕もいつまでもずっと引きこもってばかりもダメだと思うから。トラネさん、プロフェンは僕からあまり離れると機嫌が悪くなるから、どうしてもという時以外は離れて行動することになるけど大丈夫ですか?」
「全然平気! 戦闘中は、まぁ……仕方ないというか」
さっきゴブリンを消し炭にしたの見てるもんね。
引き攣った笑みを浮かべている。
単純に僕の伸縮効果範囲外では押し潰されかねないことを考慮しての提案だったけど、別の何かを感じ取ったようだ。
「しっかしあれだな。ソニンがこんなに強かったなんて。もっとおとなしい生き物だとばかり」
「あはは、お世話する前は結構暴れん坊だったんだよ?」
『兄ちゃんに言われたくないけどね』
それは言わない約束だよ。
ロキと僕は別人だって。
「ゴブリンはあらかた片付いたけど……」
「ああ、さっきの戦闘力で集まったモンスターが全部消えたな」
「討伐部位もなし。稼ぎ損ねたね」
キサムさんの言葉に、トラネさんが言葉を続ける。
「メインは僕の護衛でしたよね? 他にも稼がないといけない理由があったんですか?」
「今回の護衛はこいつの趣味だからな。あのクエスト達成報酬じゃ、今日食ってくのがやっとだ。宿代の他に武器の手入れ料金、トラネに至っては矢は消耗品と来た」
「ああ、消耗品の買い付けにお金がかかりすぎるんですか」
「それをクエスト発注者に言うのも違うけどな。それはこっちの事情だ。忘れてくれ」
「いや、僕も特にこれと決めて報酬額を決めてたわけじゃないからね。そうだ、今回みたいにパーティ組む時はサポートは僕に任せてくれない?」
「サポート? ルークはテイマーでしょ?」
「お世話してると色々と細かなことが得意になるんだよ。例えば、細かなお掃除とか」
ゴミ拾いを展開する。
細かな汚れ、武器のサビ抜き油汚れを除去する。
「と、これも」
「お水?」
「ここまで歩き通しだったので。僕は基本的にソニンやプロフェンのお世話と命令しかしてません。実際に動き回ってるお二人を機使うくらいしかできないので。休憩中は武器の手入れとかもしますよ?」
「そこまでしてもらうのは悪い」
「おいっしー!」
キサムさんが遠慮する横で、トラネさんが水を飲んで目を輝かせる。本当に両極端だよね、この二人。
双子と聞いていたけど似てるのは顔つきくらいで性格は真反対だった。
「遠慮なくいただいてください。僕たちも休みますから」
「悪い……本当にうまいな。普通の水なのに甘味がある」
「ね、美味しいよね? 何でだろう!」
「果汁を少し混ぜて飲みやすくしてるんです。火照った体を覚ます効果もあるんですよ。この子達って体が蒸れやすいので、ブラッシング以外でも何かないかなって考えてたら……」
「これに行き着いたと?」
「ええ」
キサムさんが何度も頷いて効果のほどを確かめる。
「不思議と体が軽い。不思議な感覚だ。まるでぐっすり熟睡した目覚めのような爽快感がある」
「それとこちら、多少磨いておきました」
預かった武器を返すと、まるで新品みたいだと目を丸くする。
「驚いた、磨くだけでこれだけの輝きを取り戻すのか?」
「以前お世話になった解体師さんから研ぎ方を教わったのです。どうですか?」
「研ぎに出してもここまでにはならない。これはこちらからお金を払わないといけないやつではないか?」
それじゃあサポートの意味無くなっちゃうよね。
兄さん曰く、お金はもらえる時に貰っとけと言ってた。
ずっとただだと当たり前になるからと。
「では初回サービスとして今回はいただきません。そのお気遣いは次回から頂きましょう」
「そうか、こちらは助かるが本当にいいのか?」
「これから仲良くして欲しいので。それとトラネさんにはこちらを」
「これは?」
「ソニンの抜け毛を矢羽にした簡易的な矢です。鏃の方はプロフェンの生え変わった角を削り出したものになってます」
「プロフェンちゃんの! 一生大事にする!」
「いや、あの。使って欲しいんですけど」
「やーーだーー! 宝物にするのーー!」
矢を抱きかかえて大切そうにするトラネさん。
頬擦りしそうになるけど、やめておいた方がいいよ?
その鏃切れ味抜群だから。
それとプロフェンのツノって結構な頻度で生え変わるんだよね。
だからめちゃくちゃ余ってるんだ。
で、僕のゴミ拾い範囲外に飛んでいくとめちゃくちゃデカくなる。伸縮の効果が切れて本来の大きさになっちゃうんだ。
だから持って帰られると困ると言うのもあった。
さて、大きく寄り道してしまったが、今日の目的は薬草採取だ。
その日はたくさん採取したり、ウォーミングアップして過ごした。
レインボーキノコは臨時報酬どころじゃない稼ぎとなった。
「いや、ゴブリンくらいなら……ソニン!」
『オッケー』
「え?」
普段ブラッシングされてふにゃふにゃなソニンしか知らないのか、俊敏な動き出しにトラネさんは目を丸くし、
「は!? いやいやいや……」
たったの一蹴りでゴブリンの首がボールのように吹っ飛んだ様を見て、キサムさんはソニンの恐るべき強さに理解が追いつかないという顔をした。
「プロフェン、ブレスだ。ゴブリンに向けてね?」
『はーい』
ゴッ!
大きく開いた口から、爆炎が吹き荒れた。
大量に現れたゴブリンは消し炭となり、それどころかブレスは一直線に雑木林を薙ぎ払った。遠くで木々が倒れる音がする。
やっぱり過剰戦力だよねぇ、この子達。
これで手加減してるというのだからポテンシャルの高さは隠しようがない。
「あはは、あたし達……」
「ああ、護衛なんて烏滸がましかったな」
落ち込む二人組。
しかし僕はそうは思わない。
キサムさんがいなければ僕はレインボートリュフについて特に興味を示さず、プロフェンを叱っていただろうし。
「そんな事ないです。僕はまだここら辺の土地勘はありませんし、同年代の子と一緒に行動した事がないんです。だから、護衛とかじゃなくてこれからはお友達としてお付き合いしてほしいといいますか……僕、ずっと年上の人とばかり一緒に行動してたので。ダメですか?」
「えっと、それは……恐れ多いというか」
僕の友達宣言に、キサムさんの視線が泳ぐ。
「いいの? つまりプロフェンちゃんとずっと一緒という事?」
対象にトラネさんは目を輝かせていた。
こうなったらなかなか考えを改めないと、キサムさんは諦めたように頭を掻く。
「仕方ない。戦力的に俺たちの方が足手纏いになるとは思うがよろしく頼む」
「プロフェンちゃん、ずっと一緒だねー?」
『ご主人、いいの?』
「僕もいつまでもずっと引きこもってばかりもダメだと思うから。トラネさん、プロフェンは僕からあまり離れると機嫌が悪くなるから、どうしてもという時以外は離れて行動することになるけど大丈夫ですか?」
「全然平気! 戦闘中は、まぁ……仕方ないというか」
さっきゴブリンを消し炭にしたの見てるもんね。
引き攣った笑みを浮かべている。
単純に僕の伸縮効果範囲外では押し潰されかねないことを考慮しての提案だったけど、別の何かを感じ取ったようだ。
「しっかしあれだな。ソニンがこんなに強かったなんて。もっとおとなしい生き物だとばかり」
「あはは、お世話する前は結構暴れん坊だったんだよ?」
『兄ちゃんに言われたくないけどね』
それは言わない約束だよ。
ロキと僕は別人だって。
「ゴブリンはあらかた片付いたけど……」
「ああ、さっきの戦闘力で集まったモンスターが全部消えたな」
「討伐部位もなし。稼ぎ損ねたね」
キサムさんの言葉に、トラネさんが言葉を続ける。
「メインは僕の護衛でしたよね? 他にも稼がないといけない理由があったんですか?」
「今回の護衛はこいつの趣味だからな。あのクエスト達成報酬じゃ、今日食ってくのがやっとだ。宿代の他に武器の手入れ料金、トラネに至っては矢は消耗品と来た」
「ああ、消耗品の買い付けにお金がかかりすぎるんですか」
「それをクエスト発注者に言うのも違うけどな。それはこっちの事情だ。忘れてくれ」
「いや、僕も特にこれと決めて報酬額を決めてたわけじゃないからね。そうだ、今回みたいにパーティ組む時はサポートは僕に任せてくれない?」
「サポート? ルークはテイマーでしょ?」
「お世話してると色々と細かなことが得意になるんだよ。例えば、細かなお掃除とか」
ゴミ拾いを展開する。
細かな汚れ、武器のサビ抜き油汚れを除去する。
「と、これも」
「お水?」
「ここまで歩き通しだったので。僕は基本的にソニンやプロフェンのお世話と命令しかしてません。実際に動き回ってるお二人を機使うくらいしかできないので。休憩中は武器の手入れとかもしますよ?」
「そこまでしてもらうのは悪い」
「おいっしー!」
キサムさんが遠慮する横で、トラネさんが水を飲んで目を輝かせる。本当に両極端だよね、この二人。
双子と聞いていたけど似てるのは顔つきくらいで性格は真反対だった。
「遠慮なくいただいてください。僕たちも休みますから」
「悪い……本当にうまいな。普通の水なのに甘味がある」
「ね、美味しいよね? 何でだろう!」
「果汁を少し混ぜて飲みやすくしてるんです。火照った体を覚ます効果もあるんですよ。この子達って体が蒸れやすいので、ブラッシング以外でも何かないかなって考えてたら……」
「これに行き着いたと?」
「ええ」
キサムさんが何度も頷いて効果のほどを確かめる。
「不思議と体が軽い。不思議な感覚だ。まるでぐっすり熟睡した目覚めのような爽快感がある」
「それとこちら、多少磨いておきました」
預かった武器を返すと、まるで新品みたいだと目を丸くする。
「驚いた、磨くだけでこれだけの輝きを取り戻すのか?」
「以前お世話になった解体師さんから研ぎ方を教わったのです。どうですか?」
「研ぎに出してもここまでにはならない。これはこちらからお金を払わないといけないやつではないか?」
それじゃあサポートの意味無くなっちゃうよね。
兄さん曰く、お金はもらえる時に貰っとけと言ってた。
ずっとただだと当たり前になるからと。
「では初回サービスとして今回はいただきません。そのお気遣いは次回から頂きましょう」
「そうか、こちらは助かるが本当にいいのか?」
「これから仲良くして欲しいので。それとトラネさんにはこちらを」
「これは?」
「ソニンの抜け毛を矢羽にした簡易的な矢です。鏃の方はプロフェンの生え変わった角を削り出したものになってます」
「プロフェンちゃんの! 一生大事にする!」
「いや、あの。使って欲しいんですけど」
「やーーだーー! 宝物にするのーー!」
矢を抱きかかえて大切そうにするトラネさん。
頬擦りしそうになるけど、やめておいた方がいいよ?
その鏃切れ味抜群だから。
それとプロフェンのツノって結構な頻度で生え変わるんだよね。
だからめちゃくちゃ余ってるんだ。
で、僕のゴミ拾い範囲外に飛んでいくとめちゃくちゃデカくなる。伸縮の効果が切れて本来の大きさになっちゃうんだ。
だから持って帰られると困ると言うのもあった。
さて、大きく寄り道してしまったが、今日の目的は薬草採取だ。
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