もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)

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二章 ゴミ拾いともふもふ生活

22 資金調達

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ソニンとの付き合い方もなんとかなった現状。
今の僕はとある事で悩んでいた。
それはスコア★で獲得出来るスキルについてだ。
今のスキルはおおよそこんな感じ。
サポート職としてはバランスは取れてるものの、問題はまた別にある。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
 ルーク

 <スキル>
 ◆ゴミ拾い
 Sスコア★3
 スコア☆100
 <獲得ゴミ>
 埃/錆/油汚れ/カビ/根枯らし蟲/キノコ胞子/メタンガス/ヘドロ/スライム片/老廃物/ニガミ草/カンミ草/イキリ菜/ポイゾ菜/キリキ草/ギギム草/ヒリング草/ゴブリン/ボア
 
 <Sスキル>
 ◇獣神化・ラビット/変身(ロキ)
 ◇養分抽出(根枯らし草)
 ◇疲労回復(老廃物)
 ◇勇猛の歌(イキリ菜)
 ◇鎮静の歌(ギギム草)
 ◇精神集中(キリキ草)
 ◇伸縮(スライム片)
 ◇癒しの光(ヒリング草)
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛


「え、スキルの使用頻度を落としたい? どうして」
「ゴミ拾いと違って、変身や疲労回復スキルってすごく疲れるんだよ。肉体疲労は抜けてくのに、まるで何日も寝てないみたいに頭が重くなるんだ」
「だからあの子を救出後一緒に寝ちゃったのか」
「そんなところ」

兄さんは腕を組んで首を唸った。
そうなんだよね、あの時は特に大量にスキルを使ったからドッと疲れて、二匹で抱き合って倒れたよ。ロキのままね。
ロキのままでも寝れば少しは回復する。

けど熟睡するなら当然人間形態の方が良い。
そう言う意味ではソニンに早いうちに人間である事がバレて良かったと思う。

「そっか、分かった。知らずのうちにお前には負担をかけてたんだな。兄貴失格だ」
「ううん、僕も役に立ちたくて無理しちゃってた。だからお互い様!」

そう言って兄さんを宥めるけど、兄さんは僕の睡眠不足を真剣に考えてくれていた。

「と、言う事で。弟のスキルを使って資金を荒稼ぎするプランは暗礁に乗り上げた訳だが。他に何か案がある者は居るか?」

パーティ会議。兄さんはメンバーが集まるなり開口一番そう告げた。ミキリーさんとストックさんが困ったように眉を寄せた。

「理由を聞かせてもらって良いかい?」
「どうも使いすぎると睡眠不足になるようだ。ゴミ拾いの方は問題なく使えるが、疲労回復系はめちゃくちゃ眠い、二日寝ないで頭フラフラな状態になるらしい。そんな状態の弟をモンスターの跋扈する外に連れて行くなんて論外だ」
「そりゃ、ダメだね。分かった、その件は棄却しよう」
「あの、それで良かったんですか?」

僕はせっかく決めた案が棄却された事にほんのりと不安を感じた。

「ルーク君」
「はい」
「私達は別に君を奴隷のように酷使するつもりはないんです。スキルと言うのは何かしらデメリットがつくものですが、それはそれとして睡眠不足が代価と言うのは私達が考える中で1番重い物だと考えた上での棄却です。これが普段よりお腹が空くタイプであるならばゴリ押ししました」

ストックさんが力強く断言した。
空腹ならば味を気にしなければどうとでもなる。

「……睡眠不足で良かったような気がしないでもないです」
「そうでしょう? ちなみに戦闘系の皆さんの代償は空腹です。私は甘味が取れたら文句ありません」
「皆さんがいつも僕にチップをねだるのってそう言う理由だったんですか?」

僕の質問に断言はしないものの、兄さんやミキリーさんはどこかよそよそしげに視線を逸らしたりする。
ストックさんはニコニコだ。
どちらにせよ利害の一致で纏まった僕たちはなんとかしてお金を稼がなきゃいけなかった。

「ここはやっぱり水路掃除でしょうか。ゴミを拾うだけなら疲れないので」
「やっぱりそっち系か」
「金にならない割に重労働な不人気のクエストだね」
「その分信頼は稼げます。でしょう?「
「ええ。匂いの方は僕に任せてください」

街の構造上、水路は絶対にあるだろう。
前の街はスライムで便の処理をしていた。
なので構造は違えど、絶対にその手のクエストはあると思った。

案の定あった。
随分と塩漬けになっていたようで、ギルド側も引き受けると聞いて「正気か?」と言う顔をされた。
そこまでなのか、と気を引き締めつつ現場に向かうと。

そこにはすっかりモンスターが住み着いていた。
ヘドロラット、ヘドロスライム。そしてヘドロゴブリン。
匂いの元であるヘドロとガスを消し、あとは兄さん達が始末した。

新しくボロボロの矢とボロボロの投げナイフをゴミに選択。
山間部に出てくるゴブリンと違って投擲武器を扱うのが特徴だった。ヘドロ云々は僕には通用しないけど、勢いの乗った武器は貧弱な僕には脅威だ。

全ての原因を排除し、クエスト発注者から完了サインをもらってギルドに変えると「本当に終わらせたんですか?」と訝しんだ視線を送られた。

「実は僕のスキルに洗浄系統がありまして。匂いの方はそれで。だって匂いをつけたままギルドに帰るのは失礼に当たるでしょう?」
「それは……確かにそうですね。今確認してきます」

受付のお姉さんは奥に引っ込み、クエストボードの前で屯してた人達が僕達を囲むように声を上げた。

「あんた、あの劣悪クエストをクリアするなんてやるなぁ! あれは駆け出しでも手を出さない、ランク不明の塩漬けクエストだぜ? よくクリア出来たな。いっぱい奢らせてくれ」

最初は身構えていた僕たちだったが、新しい冒険者の歓迎のコールだった。
この町で生まれて冒険者になった地元民も手に負えないクエストとして持て余し気味だったクエストをクリアしたのが余所者だと知って冒険者を代表して奢ってくれたそうだ。

オレノー・オゴリダさんは新参である僕たちに対しても気さくに接してくれた。オレノーさんを起点にいろんな冒険者から声をかけられるようになって、最初の一歩としては最良のスタートとなった。



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