もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)

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一章 ゴミ拾いと冒険者生活

16 スキル【養分抽出】

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変身はさておき、新しく手に入ったSスコア★の検証をしていく。
今の所抽出が可能と言う文字が浮かび上がった時のみ使用可能なSスコア★。
通常のスコア☆と違って、ゴミ拾い以外の何かが手に入るのは間違いない。
問題は何が原因で抽出が可能かと言う点だ。

それが判明しない事には無駄にスコア☆を溶かし続ける事になる。
分かっていることは、ゴミ拾い以外のスキルを獲得するには抽出をする他なく、そのスコアを稼ぐにはゴミを拾う必要があると言うことだった。

「おはよう、ルーク」

兄さんが起き抜けに念入りに頭を触ってくる。どうもウサ耳がまだ生えてないかの確認をしているかの様だ。
この姿を見て間違えるのならまだ寝ぼけているんだな。
僕は無言で兄さんのベッドから掛け布団を捲った。

基本硬いベッドの上で掛け布団は薄い布が一枚の宿だけど。
朝方は少し肌寒い。

「バカやってないで、朝ごはん貰いに行こ」
「なんだよ、ちゃんと戻ってるか確認しただけじゃないか」
「ふーんだ」

ひと足先に階下へ降りて、朝食を二人分用意する。
代金は後払いだ。食べた時にお金を払うのがここの宿での基本。
別に食べなくても大丈夫な様に宿とは別料金となっていた。

「お、さんきゅ」
「ついでにね。今日は冷める前に来て偉い」
「朝方は寒くて布団が恋しいんだよ。ふぁ~~」
「お行儀が悪いよ?」
「本当に、どっちが兄ちゃんか分かんないよ、アスター」
「うるへー」

水を汲んできた宿屋の女将さんが僕たちのテーブルにコップを二つ置いた。基本的にセルフサービスだけど、誰かに声をかけるついでに持ってきてくれる時があるのだ。
朝食は硬いパンに野菜クズが浮いた塩味の効いたスープ。そして野菜を炒めたものが出てくる。パンはそのまま噛み付くには硬すぎるから、よく揉んでから千切って食べる。スープに浸して柔らかくする手法もあるけど、僕はちょっと苦手だ。

食事を終えると、それぞれの場所へ。
今日は採取はお休み。兄さんも遠征に出るからと僕の方でも予定を見合わせた。一人で行ってもいいけど、今はボアの気が立ってるので奥地にまで行けないとの事で、狩場が封印されてるんだって。僕の薬草採取のチップだけで食い繋ぐのは兄さんにとってプライドが傷つく事らしく、もっと誇れる兄になって帰ってくる。そう言って旅立って行った。

受付でネーネさんと挨拶を交わし、今日の分のクエストを受け取っておく。申請依頼ではなく、受注依頼の方だ。
クエスト帰りにちょっとしたシャワー感覚で僕のゴミ拾いをアテにしてくる女性客が多いのだ。

時間は夕方に集中してるので、それまではザムさんのところでお手伝いが基本業務となった。

「お、来たな坊主」
「今日もお願いします」
「待ってたぜ。早速だが選別から始めてくれ」
「また雑草混じりですか?」
「お前さんほど目利きが良いわけじゃないんだ」

僕はにっこり笑った。
目利きどころかズルである。
ゴミ拾いはスキルを発動する際に、一度獲得した設定を置き換えることができる。何も考えずに作動すると、全部乗る。
だからお手伝いする時は集中する必要があった。

「雑草は拾っちゃって良いんですか?」
「甘いのは残してくれ。ポーションに使えるレシピが回ってきた」
「新レシピです?」
「そんなもんだ。ノーマルポーションより効果は落ちるが、安価で買えて駆け出し冒険者の強い味方らしい」
「回復量の高さを競い合ってるのかと思ってました」
「売り手も高い商品だけ売ってりゃ良いってもんじゃないからな」
「なるほどー」

雑談混じりにニガミ草を除去。
コストが増えてないことを考えると、この中にニガミ草はなかったみたいだ。
更にポイゾ菜を設定して除去。
ザザム草、キリキ草、イキリ草も含めて除去。
コストが増えないことを確認して眉を顰める。

「どうだ?」
「これまた凄い精度で持ってきましたね。でも根枯らし蟲だけはついてるので拾っちゃいますね」
「助かる」
「いえいえー」

シュッと拾い上げてスコア☆が加算される。
これでこの中のはアマイ草、またはヒリング草となる。
ここから先はプロの仕事だ。僕は見分けることはできず、排除することしかできない。

<条件達成:根枯らし蟲を10000匹獲得!>

<スキル/養分抽出を獲得可能>

ん? なんか急に出た。

<養分抽出>
 必要Sスコア★1
 手を触れた対象から養分を抽出する
 取り込んだ養分はストックされ、別のスキルによって合成、加工が可能。

なんか凄いスキル来た。これを★1で獲得しちゃって良いの?

Sスコア★は丁度2あったから獲得しちゃう。
もしかしたら僕はSスコア★でポーションとか作れる様になるかもしれないと、そんな予感がしていた。
なんの確証もなく、そうだったら良いなと期待を胸に膨らませた。
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