もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)

文字の大きさ
上 下
10 / 88
一章 ゴミ拾いと冒険者生活

10 ランクアップ

しおりを挟む
水路掃除を終え、匂いを見事に取り去った僕に色んなオファーが舞い込んだ。

基本的には女性冒険者からの探索中の匂い消しだ。
場所によっては、敢えてモンスターの匂いをつけて仲間だと誤認させる時もあるらしいけど、クエストを終えたらその臭いを落とすのに数日を費やすから落として欲しいのだそうだ。

僕はスコアが稼げるから良いけど、色々勘違いしてないかな?
水路掃除の匂いとモンスターの匂いって根本的に違うよね?

老廃物って観点で一緒なのかな?
取り敢えずスコア次第で可能であれば許可する形にした。

自分でも分かってることだけど、ゴミ拾いは万能ではないのだ。

「実際、汗の匂いとか気にする人は多いのよ? 特に女性はそれを隠すために香水を買い込むもの」
「じゃあ僕のスキルで最終的にお金が浮くと?」
「そこに回す分のお金がルーク君に舞い込む可能性を考えたら、どう?」

悪くはないけど、いっぺんにまとめて欲しいかな?

「オールタイムは受け付けられないので、夕方~夜になる間なら引き受けましょう。その代わり、それを仕事の一つに加えますので、日に受ける仕事は二つに絞られますけど良いですか?」
「もう一声!」
「僕の体は一つしかないんですよ? ザムさんからもお呼ばれしてるし、本当はそこも仕事に含めて一つに絞りたいところなんですが、仕事に含めないでおいてるんです」
「それなら仕方ないかー。ザムさんの仕事如何でギルドの運営が左右されるとこあるから。ルーク君が来てから廃棄物0で余計なお金かからなくなったし、それ以上を求めちゃダメね」
「そうしてくれると助かります。そもそも僕はまだGランクですし」
「そうよねー、有能だから勘違いしてたわ。ルーク君、まだ10歳だものね、大人の冒険者相手に商売できるほど大人じゃなかったわ。反省」

ネーネさんは壁に手をつけ下を向き、反省のポーズを取る。
その状態のまま、グリンと首だけをこちらに寄せ、何かを思い出したかの様に道具を持ってきた。

「ルーク君、ライセンス出して」
「えっと、はい」
「ヨイショお!」

するとネーネさんは僕の手から奪い取ったライセンスに何かスタンプの様なものを押すではないか。
すると光が漏れ、それが消え去る頃には全く違う色、文字が描かれていた。これが噂に聞くランクアップ?

僕のライセンスはGからFになっていた。

「あの、こういうのって勝手にやっちゃって良かったんですか? 僕まだライセンス受け取って三日目ですけど」
「私の権限ならG~Dはつけられるわ! 流石にC~はギルドマスターの許可が必要になるけどね!」
「はぇ~、そうなんですね~。でもどうして急に?」
「これもこっちの都合なんだけど、外向けの仕事を任せるに値したと判断したからかな? 本当はもっと引き受けてほしいクエストはあるんだけど、それは最悪駆け出し冒険者でも出来る!」
「僕も駆け出し冒険者ですけど?」

ネーネさんはチッチッチと言いながら人差し指を左右に振った。

「ルーク君は駆け出し冒険者から逸脱してるわ。まずはザムさんからお墨付きをもらった。そして礼儀正しく、ショウさんからも優秀なサポーターとして認められている。そんな子をいつまでもGランクに置いていたら、私の目は節穴かと逆にお小言を貰うほどよ?」
「ネーネさんが怒られちゃうから僕のランクを上げたと?」
「それ以外にもあるんだけどね、Gランクって他者との信用関係を築けるかの部分を見定める試用期間だから、クエスト発注者から認められたら即座に昇格出来るのよ」

そうだったんだ。

「今回は水路の管理人から褒められたからOKって事ですか?」
「そうね。クエスト外でザムさんに褒められてたから、本当はクエスト前に上げちゃおうと思ったんだけど、例外を作るとそれを乗り越えてきた冒険者達が煩くて」
「だから水路クエストだったんですね」
「あれをクリアしたとしないでは箔のつき方が違うわ。そしてあなたのスキルなら?」
「キツイ匂いも拭き取れる?」
「体臭で悩んでる女性の強い味方になってくれると思ったの」

水路掃除を誰もやりたがらない理由はそこにある様だ。
匂いが取れず、数日他のクエストが受けられない。
でもそこから帰還した僕は極めて清潔、臭くない。
だから受け入れられるそうだよ?

「それで、Fランクになるとどんな仕事が受けられるんですか?」
「外での仕事が一部受け取れるわ」
「やっと外に!」
「外と言っても街からは目と鼻の先。森の浅いところでのヒール草採取。でも当然、怖いモンスターも出てくる。一人で行くのはおすすめしないわね。パーティを組んで行きなさい」
「僕、この街初めてなんですけど?」
「何言ってるの、ルーク君には強力な助っ人が居るじゃない?」

あ、アスター兄さん。

「兄さんなら引き受けてくれますかね?」
「むしろ率先して手を上げるわよ。どう、応募する?」
「お願いします」

こうして僕は街の外のクエストにも行けることになった。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...