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一章 ゴミ拾いと冒険者生活
9 ゴミ設定【スライム片】【老廃物】
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ただ歩くだけで、スコアが面白いほどに上がっていく。
錆や油汚れでもそれなりに上昇したけど、スコア上昇量がその比じゃない。
たった5分歩いただけで、☆80.00となる。
これならば虫食いなんかも取れそうだけど、この先に何があるか分からないからね。
そう思って水路の中をざぶざぶ進む。
「本当にすごいな。まさかこんなに早く中央区画へ進めるとは思わなかった」
「そうなんですか?」
ショウさん曰く、一日では辿り着けず戦闘員の出番はもっと後になるのだそうだ。だから僕のスキルの有用性をこれでもかと思い知ってるらしいよ?
そうこうしてるウチに大広間へと辿り着く。
メタンガスとヘドロを拾い上げてるのに、流れ着くブヨブヨしたやつ。
「これは何なんです?」
「スライム片だ。やはり原因はスライムとは別の存在だろうな。注意して進もう」
「これも邪魔だから取っちゃっていいですか?」
「そうだな、また詰まる原因になりかねない。頼めるか?」
「お安いご用です」
ゴミ拾いを動作させると【スライム片】は☆10.00で獲得できるみたいだ。設定すると、まとめて拾える様になった。
「やっぱりこの能力は凄まじいな」
ショウさんが僕のゴミ拾いを褒めてくれる。
「僕本人は戦えないので、まだまだです」
「ザム爺が賞賛していたぞ? あの人は本当に人を褒めないことで有名でな」
「きっと求めている仕事の水準が高いのだと思います。僕は解体のことは詳しくありませんが、いつも真剣そのもので見ていて勉強になりますから」
「いや、ザム爺から認められたらその筋では一流だ。坊主は認められたってことだよ。胸を張ってやれ。周囲はそれを羨むだろうが、一人前になるということは誰かから羨まれることなんだ」
「よくわかりません」
「まだ分からなくてもいいさ。さて、前に進もう」
「はい」
ショウさんに褒められながら前に進むと、目の前に巨大な物体が蠢いているのが見えた。ぶるぶるとしていて、ただしスライムにしては随分とヘドロに塗れていて、体の中心から獣の足が出ていた。
「食事中だったか。見たところスライムの様だが……」
「スライムではない、と?」
「飼育されたスライムは獣を食わない。血の味を覚えたスライムは野生化し、人を捕食する様になる。あれはまだ覚えたてだ。ネズミを捕食して満足してるが、それが尽きれば……」
「僕たちも危ない?」
「そうだ、ここで始末しておく必要がある」
「僕に手伝えることはありますか?」
「ルークは後ろに下がって……いや、こっちにスライム片を飛ばした時に拾ってくれるか?」
「それだけでいいの?」
「普通はあんなにヘドロに塗れた攻撃、直撃するだけでいろんな感染症を引き起こして不味いんだ」
「じゃあ、僕は必要不可欠と言うことになるんですね?」
「そういうことだ、行くぞ!」
「はい!」
ショウさんが構える。
腰に提げたワンドを抜き放ち、詠唱する。
「エアカッター」
ショウさんは緑色の光を纏い、ワンドの先から不可視の刃が放たれる。目には見えないけど、風の流れが変わったのがわかる。
そして巨大なスライムがのけぞった。
やったか?
そんな僕の言葉は、大きく伸ばされたスライムの触腕によって遮られた。
投擲の様に大きな塊が僕めがけて飛んでくる。
「ルーク!」
「大丈夫!」
咄嗟にクロスした腕。衝撃が来ない。
さっきの質量を受けたら感染症どころじゃないダメージを負うだろうが、僕は無傷だった。
もしかして所詮はスライム片とヘドロの塊だった?
なら僕のゴミ拾いの対象内。
「何ともまた頼もしいな。もう何度か引き受けてもらえるか?」
「任せてください!」
巨大スライムは攻撃をするたびに小さくなった。
本来ならスライム片を飛ばした先で再生して背後を取られちゃうんだけど、僕のゴミ拾いと相性最悪だったみたい。
ショウさんの魔法は風の他に雷と炎もあったんだけど、雷は水の中で感電しちゃうのと、炎はメタンガスに引火しちゃうので使えなかったらしい。水路を掃除しに行って、壊しちゃったら元も子もないもんね。
「これでおおよその原因は解消したかな?」
「スライムは倒しちゃって大丈夫なんでしょうか?」
「再度飼育スライムを放つ手間は増えるが、ルークが綺麗にしてくれたおかげで人を頼む必要は無くなっただろう」
「そうですね」
最初こそは仕事だからとゴミ拾いをしていたけど、終盤はスコアがたくさん集まるからそっちに夢中になってしまった。
ギルドに帰ると、ネーネさんが鼻を摘んでしまったので大人しくシャワーを浴びに帰る僕。
シャワーを浴びても匂いが落ちないので、体についた汗の匂いとか【老廃物】をゴミとして選択、取得すると今日の分のスコアはごっそり消えてしまった。
せっかく☆200.00も貯まったのに、☆5.00しか残らないの。
取得するのに☆195.00も使うとか思わないよね?
でもシャワー浴びるより全然さっぱり感が違うから、今後のシャワー代が浮くと考えたら安いのかな?
踏んだり蹴ったりの一日だったけど、次からはスライムは怖くないので、結果良かったと思うことにした。
錆や油汚れでもそれなりに上昇したけど、スコア上昇量がその比じゃない。
たった5分歩いただけで、☆80.00となる。
これならば虫食いなんかも取れそうだけど、この先に何があるか分からないからね。
そう思って水路の中をざぶざぶ進む。
「本当にすごいな。まさかこんなに早く中央区画へ進めるとは思わなかった」
「そうなんですか?」
ショウさん曰く、一日では辿り着けず戦闘員の出番はもっと後になるのだそうだ。だから僕のスキルの有用性をこれでもかと思い知ってるらしいよ?
そうこうしてるウチに大広間へと辿り着く。
メタンガスとヘドロを拾い上げてるのに、流れ着くブヨブヨしたやつ。
「これは何なんです?」
「スライム片だ。やはり原因はスライムとは別の存在だろうな。注意して進もう」
「これも邪魔だから取っちゃっていいですか?」
「そうだな、また詰まる原因になりかねない。頼めるか?」
「お安いご用です」
ゴミ拾いを動作させると【スライム片】は☆10.00で獲得できるみたいだ。設定すると、まとめて拾える様になった。
「やっぱりこの能力は凄まじいな」
ショウさんが僕のゴミ拾いを褒めてくれる。
「僕本人は戦えないので、まだまだです」
「ザム爺が賞賛していたぞ? あの人は本当に人を褒めないことで有名でな」
「きっと求めている仕事の水準が高いのだと思います。僕は解体のことは詳しくありませんが、いつも真剣そのもので見ていて勉強になりますから」
「いや、ザム爺から認められたらその筋では一流だ。坊主は認められたってことだよ。胸を張ってやれ。周囲はそれを羨むだろうが、一人前になるということは誰かから羨まれることなんだ」
「よくわかりません」
「まだ分からなくてもいいさ。さて、前に進もう」
「はい」
ショウさんに褒められながら前に進むと、目の前に巨大な物体が蠢いているのが見えた。ぶるぶるとしていて、ただしスライムにしては随分とヘドロに塗れていて、体の中心から獣の足が出ていた。
「食事中だったか。見たところスライムの様だが……」
「スライムではない、と?」
「飼育されたスライムは獣を食わない。血の味を覚えたスライムは野生化し、人を捕食する様になる。あれはまだ覚えたてだ。ネズミを捕食して満足してるが、それが尽きれば……」
「僕たちも危ない?」
「そうだ、ここで始末しておく必要がある」
「僕に手伝えることはありますか?」
「ルークは後ろに下がって……いや、こっちにスライム片を飛ばした時に拾ってくれるか?」
「それだけでいいの?」
「普通はあんなにヘドロに塗れた攻撃、直撃するだけでいろんな感染症を引き起こして不味いんだ」
「じゃあ、僕は必要不可欠と言うことになるんですね?」
「そういうことだ、行くぞ!」
「はい!」
ショウさんが構える。
腰に提げたワンドを抜き放ち、詠唱する。
「エアカッター」
ショウさんは緑色の光を纏い、ワンドの先から不可視の刃が放たれる。目には見えないけど、風の流れが変わったのがわかる。
そして巨大なスライムがのけぞった。
やったか?
そんな僕の言葉は、大きく伸ばされたスライムの触腕によって遮られた。
投擲の様に大きな塊が僕めがけて飛んでくる。
「ルーク!」
「大丈夫!」
咄嗟にクロスした腕。衝撃が来ない。
さっきの質量を受けたら感染症どころじゃないダメージを負うだろうが、僕は無傷だった。
もしかして所詮はスライム片とヘドロの塊だった?
なら僕のゴミ拾いの対象内。
「何ともまた頼もしいな。もう何度か引き受けてもらえるか?」
「任せてください!」
巨大スライムは攻撃をするたびに小さくなった。
本来ならスライム片を飛ばした先で再生して背後を取られちゃうんだけど、僕のゴミ拾いと相性最悪だったみたい。
ショウさんの魔法は風の他に雷と炎もあったんだけど、雷は水の中で感電しちゃうのと、炎はメタンガスに引火しちゃうので使えなかったらしい。水路を掃除しに行って、壊しちゃったら元も子もないもんね。
「これでおおよその原因は解消したかな?」
「スライムは倒しちゃって大丈夫なんでしょうか?」
「再度飼育スライムを放つ手間は増えるが、ルークが綺麗にしてくれたおかげで人を頼む必要は無くなっただろう」
「そうですね」
最初こそは仕事だからとゴミ拾いをしていたけど、終盤はスコアがたくさん集まるからそっちに夢中になってしまった。
ギルドに帰ると、ネーネさんが鼻を摘んでしまったので大人しくシャワーを浴びに帰る僕。
シャワーを浴びても匂いが落ちないので、体についた汗の匂いとか【老廃物】をゴミとして選択、取得すると今日の分のスコアはごっそり消えてしまった。
せっかく☆200.00も貯まったのに、☆5.00しか残らないの。
取得するのに☆195.00も使うとか思わないよね?
でもシャワー浴びるより全然さっぱり感が違うから、今後のシャワー代が浮くと考えたら安いのかな?
踏んだり蹴ったりの一日だったけど、次からはスライムは怖くないので、結果良かったと思うことにした。
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