もふもふと始めるゴミ拾いの旅〜何故か最強もふもふ達がお世話されに来ちゃいます〜

双葉 鳴|◉〻◉)

文字の大きさ
上 下
9 / 88
一章 ゴミ拾いと冒険者生活

9 ゴミ設定【スライム片】【老廃物】

しおりを挟む
ただ歩くだけで、スコアが面白いほどに上がっていく。
錆や油汚れでもそれなりに上昇したけど、スコア上昇量がその比じゃない。

たった5分歩いただけで、☆80.00となる。
これならば虫食いなんかも取れそうだけど、この先に何があるか分からないからね。
そう思って水路の中をざぶざぶ進む。

「本当にすごいな。まさかこんなに早く中央区画へ進めるとは思わなかった」
「そうなんですか?」

ショウさん曰く、一日では辿り着けず戦闘員の出番はもっと後になるのだそうだ。だから僕のスキルの有用性をこれでもかと思い知ってるらしいよ?

そうこうしてるウチに大広間へと辿り着く。
メタンガスとヘドロを拾い上げてるのに、流れ着くブヨブヨしたやつ。

「これは何なんです?」
「スライム片だ。やはり原因はスライムとは別の存在だろうな。注意して進もう」
「これも邪魔だから取っちゃっていいですか?」
「そうだな、また詰まる原因になりかねない。頼めるか?」
「お安いご用です」

ゴミ拾いを動作させると【スライム片】は☆10.00で獲得できるみたいだ。設定すると、まとめて拾える様になった。

「やっぱりこの能力は凄まじいな」

ショウさんが僕のゴミ拾いを褒めてくれる。

「僕本人は戦えないので、まだまだです」
「ザム爺が賞賛していたぞ? あの人は本当に人を褒めないことで有名でな」
「きっと求めている仕事の水準が高いのだと思います。僕は解体のことは詳しくありませんが、いつも真剣そのもので見ていて勉強になりますから」
「いや、ザム爺から認められたらその筋では一流だ。坊主は認められたってことだよ。胸を張ってやれ。周囲はそれを羨むだろうが、一人前になるということは誰かから羨まれることなんだ」
「よくわかりません」
「まだ分からなくてもいいさ。さて、前に進もう」
「はい」

ショウさんに褒められながら前に進むと、目の前に巨大な物体が蠢いているのが見えた。ぶるぶるとしていて、ただしスライムにしては随分とヘドロに塗れていて、体の中心から獣の足が出ていた。

「食事中だったか。見たところスライムの様だが……」
「スライムではない、と?」
「飼育されたスライムは獣を食わない。血の味を覚えたスライムは野生化し、人を捕食する様になる。あれはまだ覚えたてだ。ネズミを捕食して満足してるが、それが尽きれば……」
「僕たちも危ない?」
「そうだ、ここで始末しておく必要がある」
「僕に手伝えることはありますか?」
「ルークは後ろに下がって……いや、こっちにスライム片を飛ばした時に拾ってくれるか?」
「それだけでいいの?」
「普通はあんなにヘドロに塗れた攻撃、直撃するだけでいろんな感染症を引き起こして不味いんだ」
「じゃあ、僕は必要不可欠と言うことになるんですね?」
「そういうことだ、行くぞ!」
「はい!」

ショウさんが構える。
腰に提げたワンドを抜き放ち、詠唱する。

「エアカッター」

ショウさんは緑色の光を纏い、ワンドの先から不可視の刃が放たれる。目には見えないけど、風の流れが変わったのがわかる。
そして巨大なスライムがのけぞった。

やったか?
そんな僕の言葉は、大きく伸ばされたスライムの触腕によって遮られた。
投擲の様に大きな塊が僕めがけて飛んでくる。

「ルーク!」
「大丈夫!」

咄嗟にクロスした腕。衝撃が来ない。
さっきの質量を受けたら感染症どころじゃないダメージを負うだろうが、僕は無傷だった。

もしかして所詮はスライム片とヘドロの塊だった?
なら僕のゴミ拾いの対象内。

「何ともまた頼もしいな。もう何度か引き受けてもらえるか?」
「任せてください!」

巨大スライムは攻撃をするたびに小さくなった。
本来ならスライム片を飛ばした先で再生して背後を取られちゃうんだけど、僕のゴミ拾いと相性最悪だったみたい。

ショウさんの魔法は風の他に雷と炎もあったんだけど、雷は水の中で感電しちゃうのと、炎はメタンガスに引火しちゃうので使えなかったらしい。水路を掃除しに行って、壊しちゃったら元も子もないもんね。

「これでおおよその原因は解消したかな?」
「スライムは倒しちゃって大丈夫なんでしょうか?」
「再度飼育スライムを放つ手間は増えるが、ルークが綺麗にしてくれたおかげで人を頼む必要は無くなっただろう」
「そうですね」

最初こそは仕事だからとゴミ拾いをしていたけど、終盤はスコアがたくさん集まるからそっちに夢中になってしまった。
ギルドに帰ると、ネーネさんが鼻を摘んでしまったので大人しくシャワーを浴びに帰る僕。

シャワーを浴びても匂いが落ちないので、体についた汗の匂いとか【老廃物】をゴミとして選択、取得すると今日の分のスコアはごっそり消えてしまった。
せっかく☆200.00も貯まったのに、☆5.00しか残らないの。
取得するのに☆195.00も使うとか思わないよね?
でもシャワー浴びるより全然さっぱり感が違うから、今後のシャワー代が浮くと考えたら安いのかな?

踏んだり蹴ったりの一日だったけど、次からはスライムは怖くないので、結果良かったと思うことにした。
しおりを挟む
感想 51

あなたにおすすめの小説

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

異世界遺跡巡り ~ロマンを求めて異世界冒険~

小狸日
ファンタジー
交通事故に巻き込まれて、異世界に転移した拓(タク)と浩司(コウジ) そこは、剣と魔法の世界だった。 2千年以上昔の勇者の物語、そこに出てくる勇者の遺産。 新しい世界で遺跡探検と異世界料理を楽しもうと思っていたのだが・・・ 気に入らない異世界の常識に小さな喧嘩を売ることにした。

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!

八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。 『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。 魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。 しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も… そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。 しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。 …はたして主人公の運命やいかに…

異世界召喚されたら無能と言われ追い出されました。~この世界は俺にとってイージーモードでした~

WING/空埼 裕@書籍発売中
ファンタジー
 1~8巻好評発売中です!  ※2022年7月12日に本編は完結しました。  ◇ ◇ ◇  ある日突然、クラスまるごと異世界に勇者召喚された高校生、結城晴人。  ステータスを確認したところ、勇者に与えられる特典のギフトどころか、勇者の称号すらも無いことが判明する。  晴人たちを召喚した王女は「無能がいては足手纏いになる」と、彼のことを追い出してしまった。  しかも街を出て早々、王女が差し向けた騎士によって、晴人は殺されかける。  胸を刺され意識を失った彼は、気がつくと神様の前にいた。  そしてギフトを与え忘れたお詫びとして、望むスキルを作れるスキルをはじめとしたチート能力を手に入れるのであった──  ハードモードな異世界生活も、やりすぎなくらいスキルを作って一発逆転イージーモード!?  前代未聞の難易度激甘ファンタジー、開幕!

野草から始まる異世界スローライフ

深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。 私ーーエルバはスクスク育ち。 ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。 (このスキル使える)   エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。 エブリスタ様にて掲載中です。 表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。 プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。 物語は変わっておりません。 一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。 よろしくお願いします。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

処理中です...