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一章 ゴミ拾いと冒険者生活
8 ゴミ設定【メタンガス】【ヘドロ】
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ネーネさんに歓迎された僕は、早速クエストの案内を受けた。
まだGランクの僕は試用期間内。外に出るクエストは受け取れないのらしい。
昨日はどれほどの実力か調べるためにギルド内のお掃除を任せてくれたけど、合格が出たので本格的にお掃除系クエストを消化して欲しそうだった。
「それで、水路掃除ですか?」
「うん、出来る?」
「どこからどこまでとかの範囲はあるんですか?」
「出来るだけでいいとの事よ。ここ最近トイレが詰まって逆流してくることがあるんですって」
「下水にはスライムを放っているんじゃ?」
この地域での便の処理は地下に水路を敷き、スライムのいる場所まで水魔法で流すというのが主流。
水路と言っているが、現状処理施設はスライムしかいないのだ。
だから原因があるとすれば、水路に別モンスターが混ざったか、スライムが野生化したかの二択なのである。
「そのスライムが悪さしてるんじゃないかって話なのよ」
「飼育したスライムが野生化した?」
「その原因を探るべく、調査に出てほしいみたいなの。もちろん戦闘はうちのギルド職員が受け持つわ。どう?」
「皆さんが困ってるのなら、引き受けましょう」
「ありがとう、ルーク君!」
「でも、兄さんから一日のクエストは三つまでにしておけって言われてまして……」
「あら、残念」
ネーネさんはあからさまに表情を曇らせた。
水路掃除の他にもまだまだたくさんの仕事があるのだと予感した僕は、兄さんの言伝がなかったら、ヘトヘトになるまで酷使される未来が見えて感謝した。
「彼が一緒に行ってくれる職員よ」
「ショウ・メツだ。あのザム爺が絶賛してたからどんな凄腕かと思ったら、本当に子供じゃないか」
「ルーク君はアスターさんの弟さんなのよ」
「まだまだ子供のルークです。この街のこともこれから知って行こうと思います。ショウさん、今日はよろしくお願いします」
「アスターさんの……そうか、どこか顔立ちが似てると思った。失礼な物言いをしたな」
「いえ、子供なのは事実ですし」
ショウさんはパチクリと瞬きし、ネーネさんと顔を見合わせる。
「この子は本当にアスターさんの弟なのか?」
「見えないでしょ?」
「どこかの貴族のボンボンかと思うほど礼儀正しいな」
「自慢の弟らしいから、あんまりいじめないであげて?」
「了解した」
何故だか納得されぬまま水路へ。
クエストの発注主との挨拶を済ませ、原因となる下水への入り口へと案内されるも、そこは匂いが激しく、入るのにもとても勇気のいる場所だった。
「随分とガスが溜まってやがる。堰き止められて随分と経つな、これは」
「不味いんですか?」
「火気厳禁てところだ。火属性魔法でも打とうもんなら、ここら一体大爆発だ」
「それはおっかないですね、じゃあ消します」
スキャンの結果、空中に漂うのはメタンガスというものらしい。
目に見えなくても消せるのは根枯らし蟲で実証済み。
今のスコアなら十分取得に間に合う。
「おい、待て」
「消しました」
「なに!? 本当に匂わなくなっただと?」
ショウさんは表情を顰め、酷い匂いをする場所を嗅ぎに行く自殺行為をした。
「あ、消えたのは僕の周りだけです。僕の腕を伸ばした位置までの範囲に適用されるみたいです。一度消したら暫くは匂わないはずです」
「凄いな。ゴミ拾いと聞いて、もっと物理的なものを思ってた」
「僕もそう思ってたんですけど、スキルを展開する時に、回収できる一覧が現れるんです。ゴミを拾う度にスコアという数値が現れ、新しゴミを回収できるかはそのスコアの数値が合えば新しく回収できるゴミが増えていくと言った形で」
「つまりスキル経験値を貯めてレベルが上がれば新しい系統スキルを覚えられる様なものか?」
「獲得できるのはゴミに限ります」
「それでも、この場において俺より役に立っている。この匂いじゃ奥に進めなかったしな。その点、お前のスキルで俺は前に進める。そこは誇っていいところだぞ?」
「ありがとうございます」
スキルの書説明を終えて、新しく足元のぬかるみ、転ぶ原因のヘドロの回収をする。ショウさんは随分歩きやすくなったと喜んでくれたようで僕も嬉しかった。
まだGランクの僕は試用期間内。外に出るクエストは受け取れないのらしい。
昨日はどれほどの実力か調べるためにギルド内のお掃除を任せてくれたけど、合格が出たので本格的にお掃除系クエストを消化して欲しそうだった。
「それで、水路掃除ですか?」
「うん、出来る?」
「どこからどこまでとかの範囲はあるんですか?」
「出来るだけでいいとの事よ。ここ最近トイレが詰まって逆流してくることがあるんですって」
「下水にはスライムを放っているんじゃ?」
この地域での便の処理は地下に水路を敷き、スライムのいる場所まで水魔法で流すというのが主流。
水路と言っているが、現状処理施設はスライムしかいないのだ。
だから原因があるとすれば、水路に別モンスターが混ざったか、スライムが野生化したかの二択なのである。
「そのスライムが悪さしてるんじゃないかって話なのよ」
「飼育したスライムが野生化した?」
「その原因を探るべく、調査に出てほしいみたいなの。もちろん戦闘はうちのギルド職員が受け持つわ。どう?」
「皆さんが困ってるのなら、引き受けましょう」
「ありがとう、ルーク君!」
「でも、兄さんから一日のクエストは三つまでにしておけって言われてまして……」
「あら、残念」
ネーネさんはあからさまに表情を曇らせた。
水路掃除の他にもまだまだたくさんの仕事があるのだと予感した僕は、兄さんの言伝がなかったら、ヘトヘトになるまで酷使される未来が見えて感謝した。
「彼が一緒に行ってくれる職員よ」
「ショウ・メツだ。あのザム爺が絶賛してたからどんな凄腕かと思ったら、本当に子供じゃないか」
「ルーク君はアスターさんの弟さんなのよ」
「まだまだ子供のルークです。この街のこともこれから知って行こうと思います。ショウさん、今日はよろしくお願いします」
「アスターさんの……そうか、どこか顔立ちが似てると思った。失礼な物言いをしたな」
「いえ、子供なのは事実ですし」
ショウさんはパチクリと瞬きし、ネーネさんと顔を見合わせる。
「この子は本当にアスターさんの弟なのか?」
「見えないでしょ?」
「どこかの貴族のボンボンかと思うほど礼儀正しいな」
「自慢の弟らしいから、あんまりいじめないであげて?」
「了解した」
何故だか納得されぬまま水路へ。
クエストの発注主との挨拶を済ませ、原因となる下水への入り口へと案内されるも、そこは匂いが激しく、入るのにもとても勇気のいる場所だった。
「随分とガスが溜まってやがる。堰き止められて随分と経つな、これは」
「不味いんですか?」
「火気厳禁てところだ。火属性魔法でも打とうもんなら、ここら一体大爆発だ」
「それはおっかないですね、じゃあ消します」
スキャンの結果、空中に漂うのはメタンガスというものらしい。
目に見えなくても消せるのは根枯らし蟲で実証済み。
今のスコアなら十分取得に間に合う。
「おい、待て」
「消しました」
「なに!? 本当に匂わなくなっただと?」
ショウさんは表情を顰め、酷い匂いをする場所を嗅ぎに行く自殺行為をした。
「あ、消えたのは僕の周りだけです。僕の腕を伸ばした位置までの範囲に適用されるみたいです。一度消したら暫くは匂わないはずです」
「凄いな。ゴミ拾いと聞いて、もっと物理的なものを思ってた」
「僕もそう思ってたんですけど、スキルを展開する時に、回収できる一覧が現れるんです。ゴミを拾う度にスコアという数値が現れ、新しゴミを回収できるかはそのスコアの数値が合えば新しく回収できるゴミが増えていくと言った形で」
「つまりスキル経験値を貯めてレベルが上がれば新しい系統スキルを覚えられる様なものか?」
「獲得できるのはゴミに限ります」
「それでも、この場において俺より役に立っている。この匂いじゃ奥に進めなかったしな。その点、お前のスキルで俺は前に進める。そこは誇っていいところだぞ?」
「ありがとうございます」
スキルの書説明を終えて、新しく足元のぬかるみ、転ぶ原因のヘドロの回収をする。ショウさんは随分歩きやすくなったと喜んでくれたようで僕も嬉しかった。
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