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一章 ゴミ拾いと冒険者生活
4 ゴミ設定【埃】
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「何してるんだ、ルーク。珍しいもんでも見つかったか?」
「ううん、埃がすごいなと思って。早速設定してみたの」
「悪いな、掃除する暇もなくて。でもストックの奴が何かやりたそうにしてたが、その分は取っておかなくて良かったのか?」
「どっち道、最初期に選択できるゴミの種類は少ないの。だから増やすためにはスコアを増やす必要があって」
「お前はそっちを選んだと?」
「ごめん、せっかく僕のスキルを役立てようと思ってくれたのに」
「いや、お前が判断したんならそっちの方が正しいだろ。オレもあれこれ命令したくないし。ここは実家じゃないんだ。もっと肩の力抜いて、大人の顔色無理して窺う必要ないんだぜ?」
「うん、ありがとう兄さん」
「貴族と違って平民のベッドは硬いが慣れてくれ」
「そこは大丈夫。最近生まれた妹の為に、僕のベッドは取り上げられちゃったから」
床に寝るのは慣れてるよ、と言う前に「あのクソ親父!」と兄さんは怒りを露わにした。
僕は気にしないで、って言いたかっただけなのに。
翌朝、起きたらスコアが『★0.00/☆2.00』となっていた。
スコアには★と☆があり、埃を拾って増えたのは☆の方。
どうすれば★が増えるのか見当もつかないが、拾っていくうちに増えたらいいな。
「おはよう、ルーク。よく眠れたか?」
「うん、朝食ももらってきたんだ、一緒に食べよ」
「お前は、すぐに環境に適応できて偉いな」
「僕も役に立ちたいからね」
大きくあくびをする兄さんは、あまりにも硬くて歯が折れそうなパンをよく揉み込んでから口に入れた。そうやって食べるんだ。
てっきりスープかなんかで浸してから食べるもんだと思ってたよ。
硬いながらもなんとかお腹に入れ、食事を済ませる。
埃の温床だった室内は掃除した手の室内のようにリフレッシュ。
埃がなくなるだけでこんなに空気が美味しいんだ、と二人して頷き合った。
「さて、情報を精査するぞ。ルーク、お前のゴミ拾いはゴミを選択できるんだったな?」
「正しくはスコアを消費して、とつくね」
「そのスコアっての次第ではなんでも拾うのか?」
「選択した時のスコアを満たしてれば……多分」
「そのスコアっていうのを集めるのが先か。この部屋を見りゃわかる、お前のスキルは成長させ次第で化けるって、オレでもわかる」
「そうなの?」
「オレの『皮剥き』もその類だ。最初は野菜や果実の皮をむいて過ごしたもんだよ。でも成長させて、今じゃ戦闘でも役立ってる。皮を何に見立てるかで戦況を大きく変えるんだ。親父には高貴な我々には不釣り合い
のスキルだって追放されたけどな」
僕はその話を聞いて目を丸くする。
「兄さん、追放されてたの?」
「なんだ、知らなかったのか?」
「僕はてっきり、父さんと折り合いがつかなくて冒険者になったとばかり。それなのに実家にお金を入れてくれてたんだ?」
「あのクソ親父はどこでオレの噂を聞いたか、金になるとわかった途端態度を変えたんだ。弟、お前やセシルなんかがちゃんと食えるようにって金を入れてたのに、オレの気持ちを踏み躙ったんだ。許せねぇよなぁ!」
「落ち着いて、兄さん。僕は大丈夫だから」
「知らぬ間に妹までこさえて、要求金額倍になったんだぞ? これじゃまるでオレは実家の奴隷だ!」
「でも、僕達が三食口にできたのは兄さんのお陰だから、そこは誇ってくれて良いんだよ?」
なんだかんだで兄弟思いの兄さん。
まさか父さんとそんな因縁があったなんて知らなかった。
「ううん、埃がすごいなと思って。早速設定してみたの」
「悪いな、掃除する暇もなくて。でもストックの奴が何かやりたそうにしてたが、その分は取っておかなくて良かったのか?」
「どっち道、最初期に選択できるゴミの種類は少ないの。だから増やすためにはスコアを増やす必要があって」
「お前はそっちを選んだと?」
「ごめん、せっかく僕のスキルを役立てようと思ってくれたのに」
「いや、お前が判断したんならそっちの方が正しいだろ。オレもあれこれ命令したくないし。ここは実家じゃないんだ。もっと肩の力抜いて、大人の顔色無理して窺う必要ないんだぜ?」
「うん、ありがとう兄さん」
「貴族と違って平民のベッドは硬いが慣れてくれ」
「そこは大丈夫。最近生まれた妹の為に、僕のベッドは取り上げられちゃったから」
床に寝るのは慣れてるよ、と言う前に「あのクソ親父!」と兄さんは怒りを露わにした。
僕は気にしないで、って言いたかっただけなのに。
翌朝、起きたらスコアが『★0.00/☆2.00』となっていた。
スコアには★と☆があり、埃を拾って増えたのは☆の方。
どうすれば★が増えるのか見当もつかないが、拾っていくうちに増えたらいいな。
「おはよう、ルーク。よく眠れたか?」
「うん、朝食ももらってきたんだ、一緒に食べよ」
「お前は、すぐに環境に適応できて偉いな」
「僕も役に立ちたいからね」
大きくあくびをする兄さんは、あまりにも硬くて歯が折れそうなパンをよく揉み込んでから口に入れた。そうやって食べるんだ。
てっきりスープかなんかで浸してから食べるもんだと思ってたよ。
硬いながらもなんとかお腹に入れ、食事を済ませる。
埃の温床だった室内は掃除した手の室内のようにリフレッシュ。
埃がなくなるだけでこんなに空気が美味しいんだ、と二人して頷き合った。
「さて、情報を精査するぞ。ルーク、お前のゴミ拾いはゴミを選択できるんだったな?」
「正しくはスコアを消費して、とつくね」
「そのスコアっての次第ではなんでも拾うのか?」
「選択した時のスコアを満たしてれば……多分」
「そのスコアっていうのを集めるのが先か。この部屋を見りゃわかる、お前のスキルは成長させ次第で化けるって、オレでもわかる」
「そうなの?」
「オレの『皮剥き』もその類だ。最初は野菜や果実の皮をむいて過ごしたもんだよ。でも成長させて、今じゃ戦闘でも役立ってる。皮を何に見立てるかで戦況を大きく変えるんだ。親父には高貴な我々には不釣り合い
のスキルだって追放されたけどな」
僕はその話を聞いて目を丸くする。
「兄さん、追放されてたの?」
「なんだ、知らなかったのか?」
「僕はてっきり、父さんと折り合いがつかなくて冒険者になったとばかり。それなのに実家にお金を入れてくれてたんだ?」
「あのクソ親父はどこでオレの噂を聞いたか、金になるとわかった途端態度を変えたんだ。弟、お前やセシルなんかがちゃんと食えるようにって金を入れてたのに、オレの気持ちを踏み躙ったんだ。許せねぇよなぁ!」
「落ち着いて、兄さん。僕は大丈夫だから」
「知らぬ間に妹までこさえて、要求金額倍になったんだぞ? これじゃまるでオレは実家の奴隷だ!」
「でも、僕達が三食口にできたのは兄さんのお陰だから、そこは誇ってくれて良いんだよ?」
なんだかんだで兄弟思いの兄さん。
まさか父さんとそんな因縁があったなんて知らなかった。
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