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一章 ゴミ拾いと冒険者生活

1 路頭に迷う

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「ルーク! 授かったスキルがゴミ拾いだと言うのは本当か!?」
「はい、父様。ですがこのスキル、成長の余地はあります。僕に時間をください」
「今すぐにパンを錬成できるスキルか? 今すぐに魔獣を討伐して金を獲得できるスキルか?」
「流石に今すぐと言うわけには……」
「なら出ていけ! 無駄飯食いはうちの家族にいらん!」

僕を外に放り出し、扉が閉まる。
まだ外は肌寒く、羽織るものひとつ貸し出す余裕すらなく、僕は家族の一員という俗柄から外された。

怒りっぽいけど、才能さえ見せればまだ関係は繋ぎ止めれたけど、遅かれ早かれこういう結末になることは知っていた。

だって、その光景を幼いながらに見てきたのだから。
父がどうしてそう結果を急ぐのかと言えば、産んだ子に使えるスキルが宿らないと、厳しい自然に飲み込まれてしまうから。

その為にモンスター討伐ができる素養を欲していた。
モンスターの肉は食せないので、代わりになる食料の達成手段も同時に求められている。

両親は貧乏になろうとも子供を作り続ける。
その子供を養う為にも食料が必要不可欠。
まるで当たりを引くまでガチャを回すような愚かさだが、そんな手段を取らなきゃいけないくらいに切羽詰まっているのは一緒に生活してれば誰だってわかることだった。

「やっぱり追い出されたか、ルーク」
「その声は、アスター兄さん?」

長兄アスター。五人兄弟の中で稼ぎ頭である長兄が、モンスター討伐の依頼をこなして帰ってくるところだった。

「なんでもゴミ拾いなんてスキルを授かったんだって? そりゃ親父も怒るよ。お前は出来る子だから、絶対にスキルもいいものがもらえるって期待してたんだ」
「そうだったんだ……僕、相当恨まれてる?」
「どうだかなぁ? あの人は鬱憤をオレらで晴らしたいだけだからよく分からん。真面目に働いてれば暮らすのは難しくないんだが、欲に目が眩んで前が見えてないんだ。家のことはオレに任しとけよ。で、そのスキルはどんなことができそうなんだ?」
「僕を無能となじらないの?」
「お前はオレの可愛い弟だぜ? オレは親父と違うんだ。家は追い出されたが、外で暮らしていくんならどうしたって顔を合わせるだろ? それにのたれ死んでたら寝覚め悪いしよ」
「ありがとう、兄さん。でも実は僕の方も迷ってて」
「確かにゴミ拾いだなんて聞いたことねーもんな。よし、ちょっと一緒に行くぞ」
「どこ行くの?」
「お前を冒険者にしてやる。推薦人はオレだ。これからは家の後ろ盾なしでやってくんだ。冒険者ってのは最低賃金で働くろくでなしが多いから後先考えないで犯罪に走る奴が多い。後ろ盾が強力であればあるほど騙そうとしてくる奴らは減る。オレの名前はまだそれほどじゃないが、全くの後ろ盾なしよりかはマシだろ」

 ニッと笑う兄さんに手を引かれ、僕は実家から半日かけた場所にあるポドックの街で冒険者ライセンスを手に入れた
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