42 / 46
本編
42.迫る、狂信者の影!
しおりを挟む
弟の世話で日々を過ごしていたら、あっという間に月日は流れた。母さんはいい加減に返してくれないかしら? と言う面持ちで僕を見ている。
弟ということもあってすっかり自分で育てる気でいたが、この子はこの家のものだ。僕個人が好きなように扱って良いわけじゃない。渋々ながら了承すると、何故か母さんは僕の頭を撫でていた。
「ごめんなさいね、お姉ちゃん」
母さんは僕を呼ぶとき名前ではなく姉という立場で呼ぶようになった。優先順位が変わったとかではない。単純に弟が名前で呼び捨てしないように誘導しただけに過ぎない。
「いいえ。今まで触れ合う時間を奪い続けて申し訳ありません」
「いいのよ、産んですぐはわたくしの気分がすぐれなかったというのもあるの。それに予定ではもっと後に生まれる筈だったのに急に産気づいてしまって。お姉ちゃんが居なかったらもっと大変なことになっていたもの」
「母様……」
母さんは助産婦なしで弟を出産した。
手伝いこそしたものの、殆どが母の手解きで僕が対処した。
僕が優秀なマジックキャスターである事はバレてしまったが、息子の命が無事だったのと、僕が居たからこそ難産でも母は消耗が少なくて済んだ。
ポーションとかいっぱい使ってバイタルを安定させたからね。
弟の取り出しは僕自らやった。
だからこそ、生命の誕生に人一倍感動した。
そして僕もいつかこのようにして子を成す事を否が応でもわからせられた。女である限り付き纏う出産。
夜伽を致すのもいまだに抵抗あるのに、僕には難易度がいささか高すぎる。
「わたくしもいつか子を産み落とすのでしょうか?」
「その前にお相手が先ね。でも貴方は社交界に出してないからこれと言ってお相手が見つからないわ。どうしたものかしら」
そこなのだ。妹に偉そうに言ったが、僕は相手を選り好みできる立場にない。功績だけで言えば伯爵家になければならぬ存在。
しかし居続けるのは将来弟に迷惑をかけるしで姉としてはとても迷う。
「本当はずっとこの家にいたいのです。せっかくこうして家族になれたのに、離れ離れはあんまりです」
「そうね、できればそうして貰いたかったわ。アリシアは寂しがり屋だから、ここ数年は本当に助かったの。あの子もあんなに前向きになれて、錬金術師という貴族からしてみれば無能のレッテルを貼られるのも同然な道でも挫けず来れたのもお姉ちゃんのおかげよ」
抱っこした弟を腕の中でゆりかごにでも乗せたように揺らして、母さんは鼻歌を歌っている。
僕の抱っこもおんぶも体格差がそこまで変わらないのもあって、ここまで落ち着いた弟の様子は見たことがない。
やっぱり子供には親が必要なんだ。取り上げちゃダメなんだ。
「やはりアークは母様の腕の中の方が安心ね。表情が違うわ」
弟が笑うと僕も釣られてニコニコしてしまう。
母さんも笑顔だ。
「それでもわたくし一人ではままならないわ。またお手伝いしてもらえるかしら?」
「それは勿論!」
「ありがとう、弟思いのお姉ちゃんでよかったわね、アーク?」
「あーい」
タイミングよく返事が返って来たので、母さんと顔を見合わせて笑った。まだ生まれて一年も経ってないのに、もう言葉を理解してるかのように振る舞う弟に、不思議と心の奥底が暖かくなる心地に包まれる。
「少し外に出て参ります」
「最近外出は控えていたでしょう? きっと驚くわ」
なんのことか分からなかったけど、適当に相槌を打って返事をしておいた。
さぁ、どこに行こうかな。
すでに身バレはしてるし、ヘイワードさんのところで久しぶりに揚げたてのメンチカツでも頂こうかとるんるん気分でいると、何故か周囲から異様に注目されていた。
一体なんだろうか?
全く身に覚えがないので不思議そうに首を傾げていた。
ヘイワードさんのお店に到着し、早速注文をする。
「あ、シーラ。ここで働くことにしたんだ?」
「えっ、トール!? なんでこんな所にいるのよ?」
「なんでって、僕が外に出たら何か問題があるの?」
「そっか、知らないのね。ちょっとこっち来てちょうだい」
シーラは僕の手を引いて従業員の控室に引っ張った。
「店長、女神様が降臨しちゃってるので簡単に変装させちゃいますねー」
「あー? 最近見なくて平和だと思ったのになんでこんな時に出て来たあのお嬢様」
「知りませんよ。そんな事は本人に聞いてください」
カツラやら眼鏡をかけさせられながら僕の変装が進められていく中、怒鳴り合うようにシーラとヘイワードさんの怒号が厨房と控室内に轟く。
「取り敢えずそのドレスは没収ね。はい、制服」
「僕客なんだけど?」
「いいから、あの狂信者どもが嗅ぎつける前に場所を移すわよ! 店長ー、ちょっと買い出し行って来ます!」
「おー、その世間知らずに世の中の変化を見せてこい!」
袋に包んだ数個のメンチカツと携帯用ソースを手渡され、僕の体はシーラの腕の中で宙を舞った。
「ひ、ぁー」
「あ、高い所ダメだった?」
「そんなんじゃないけど急には驚く」
「そうね、悪かったわ」
周囲を見回しながら警戒するシーラに、僕は何事かと尋ねる。
「さっきからなんなの? 僕が女神様だとかなんとか」
「あーそれ? なんでか知らないけど、あんたをこの世に舞い降りた女神様と奉る狂信者集団がいるのよ」
「なにそれ?」
「んなもんこっちが聞きたいっつーの。あんたに心酔する奴はそりゃ幾らか居たわよ。けど周囲の迷惑顧みず、顔見知り相手に根掘り葉掘り聞いてくるもんだからあんたの関係者全員良い迷惑よ。ウチの長も表情筋硬い方だけど、青筋プルプルさせてたもん」
「うわぁ」
僕は鳥肌を立てながら身震いした。
全く見覚えがないうちにそんな新興宗教ができてただけじゃなく、タチの悪いストーカーと化した教徒が街を練り歩いていると言うのだ。
おかげで治安は良くなったが、僕が自由に外に出歩けなくなった。溜まったもんじゃない。
「最初出会った時はすっごい迷惑したわ。セーレ? って国のお偉いさんより気持ち悪いの」
国と直接の関わりがあったのは長くらいで、シーラくらいの下っ端になると顔合わせくらいはあるけど名乗り出ては居ないらしい。その時の顔がそれはもう身の毛がよだつほどの醜悪さで人間とはお近づきになりたくないと誓ったそうだ。
なにしたんだよ、その国。エロジジイか。
メンチカツをもぐもぐしながら淡々と話を聞いている。
「しっかし、あんた本当に美味しそうに食べるよね。そんなに美味しい?」
パシャリ、とシーラがカメラを構えて僕の食事風景を捉えている。なにをしてるのだろうか?
この世界のカメラは僕が作り上げたものだ。世に出した時の名前は『写映機』。いわゆるデジタルカメラである。
取り込んだ画像を、専用のクリスタル映像機によって写真のように取り出しておくことができる。ずっと写しておくには魔石の交換が必要だが、その場で写すだけなら何度でも可能だ。
非常に高価なものなので、趣味人にしかウケないと思ってたが、貧乏人のシーラがなんでこんなもの持ってるんだ?」
「ちょっとー、なにしてんの」
「いや、生女神様のご尊顔をついでに拝んでおこうかとね」
「やめてよ、シーラまで。僕がそういう柄じゃないって知ってるでしょ?」
「知ってるけど、だからこそこういうものが逃げ道になるのよ。そのためにもういくつか撮って良い?」
「まぁ、人知れず迷惑かけてたらしいから良いけど……」
「ありがと」
シーラはすっごい良い笑顔だった。
僕は屋敷までそのまま送られたけど、ドレスを回収してないことに気がつく。盗られてなきゃ良いけど。
狂信者と言えど、流石にそこまでしないよなと僕は高を括って屋敷に帰った。
◇
とある場所の路地裏で、女が取引を行なっている。
「成果は?」
「あるよ、とびっきりのが。幾ら出す?」
「いくらでも積むわ」
「毎度あり」
片方は暗がりの中で光る猫のような目を持ち、もう片方は貴族令嬢のような豪華なドレスを身に包んでいた。
やりとりは映像記録の買い取りである。
猫のような女の取り出した写映機から、画像を取り込んで買い付けるのだ。勿論写映機の提供先も貴族令嬢からである。
貧乏人のシーラはこの手のひらサイズのアーティファクトが一体どれほどの価値を持つのか気にしていない。知ってしまったら胸ポケットに入れるなんて愚行を冒さないはずだ。
「ああ、お姉様。食事風景一つとっても神々しいわ」
「ほんと、病的ね。姉妹なんでしょ、あの子と」
「最近お姉様は生まれたばかりの弟に構ってばかりで全然わたくしに構ってくれないのです。ああ、それと。ドレスはこちらで回収しますわ」
「家族に返すってーのに、絶対碌なことしなさそうで渡したくないんだけど? あの子を泣かせるような真似は辞めてよ? 一応私達の恩人なんだから」
「獣風情が随分な懐きようね。でも流石は姉様ですわ。人に劣る獣にも慈悲深い。ここは教典に記すべきね!」
貴族令嬢、アリシアがメモに走り書きをしている様を見て、どうして姉妹でこんなにねじくれてしまうんだろうね、とシーラは夜空を仰いでいた。
天には星々が自己を主張するように大きく輝いていた。
弟ということもあってすっかり自分で育てる気でいたが、この子はこの家のものだ。僕個人が好きなように扱って良いわけじゃない。渋々ながら了承すると、何故か母さんは僕の頭を撫でていた。
「ごめんなさいね、お姉ちゃん」
母さんは僕を呼ぶとき名前ではなく姉という立場で呼ぶようになった。優先順位が変わったとかではない。単純に弟が名前で呼び捨てしないように誘導しただけに過ぎない。
「いいえ。今まで触れ合う時間を奪い続けて申し訳ありません」
「いいのよ、産んですぐはわたくしの気分がすぐれなかったというのもあるの。それに予定ではもっと後に生まれる筈だったのに急に産気づいてしまって。お姉ちゃんが居なかったらもっと大変なことになっていたもの」
「母様……」
母さんは助産婦なしで弟を出産した。
手伝いこそしたものの、殆どが母の手解きで僕が対処した。
僕が優秀なマジックキャスターである事はバレてしまったが、息子の命が無事だったのと、僕が居たからこそ難産でも母は消耗が少なくて済んだ。
ポーションとかいっぱい使ってバイタルを安定させたからね。
弟の取り出しは僕自らやった。
だからこそ、生命の誕生に人一倍感動した。
そして僕もいつかこのようにして子を成す事を否が応でもわからせられた。女である限り付き纏う出産。
夜伽を致すのもいまだに抵抗あるのに、僕には難易度がいささか高すぎる。
「わたくしもいつか子を産み落とすのでしょうか?」
「その前にお相手が先ね。でも貴方は社交界に出してないからこれと言ってお相手が見つからないわ。どうしたものかしら」
そこなのだ。妹に偉そうに言ったが、僕は相手を選り好みできる立場にない。功績だけで言えば伯爵家になければならぬ存在。
しかし居続けるのは将来弟に迷惑をかけるしで姉としてはとても迷う。
「本当はずっとこの家にいたいのです。せっかくこうして家族になれたのに、離れ離れはあんまりです」
「そうね、できればそうして貰いたかったわ。アリシアは寂しがり屋だから、ここ数年は本当に助かったの。あの子もあんなに前向きになれて、錬金術師という貴族からしてみれば無能のレッテルを貼られるのも同然な道でも挫けず来れたのもお姉ちゃんのおかげよ」
抱っこした弟を腕の中でゆりかごにでも乗せたように揺らして、母さんは鼻歌を歌っている。
僕の抱っこもおんぶも体格差がそこまで変わらないのもあって、ここまで落ち着いた弟の様子は見たことがない。
やっぱり子供には親が必要なんだ。取り上げちゃダメなんだ。
「やはりアークは母様の腕の中の方が安心ね。表情が違うわ」
弟が笑うと僕も釣られてニコニコしてしまう。
母さんも笑顔だ。
「それでもわたくし一人ではままならないわ。またお手伝いしてもらえるかしら?」
「それは勿論!」
「ありがとう、弟思いのお姉ちゃんでよかったわね、アーク?」
「あーい」
タイミングよく返事が返って来たので、母さんと顔を見合わせて笑った。まだ生まれて一年も経ってないのに、もう言葉を理解してるかのように振る舞う弟に、不思議と心の奥底が暖かくなる心地に包まれる。
「少し外に出て参ります」
「最近外出は控えていたでしょう? きっと驚くわ」
なんのことか分からなかったけど、適当に相槌を打って返事をしておいた。
さぁ、どこに行こうかな。
すでに身バレはしてるし、ヘイワードさんのところで久しぶりに揚げたてのメンチカツでも頂こうかとるんるん気分でいると、何故か周囲から異様に注目されていた。
一体なんだろうか?
全く身に覚えがないので不思議そうに首を傾げていた。
ヘイワードさんのお店に到着し、早速注文をする。
「あ、シーラ。ここで働くことにしたんだ?」
「えっ、トール!? なんでこんな所にいるのよ?」
「なんでって、僕が外に出たら何か問題があるの?」
「そっか、知らないのね。ちょっとこっち来てちょうだい」
シーラは僕の手を引いて従業員の控室に引っ張った。
「店長、女神様が降臨しちゃってるので簡単に変装させちゃいますねー」
「あー? 最近見なくて平和だと思ったのになんでこんな時に出て来たあのお嬢様」
「知りませんよ。そんな事は本人に聞いてください」
カツラやら眼鏡をかけさせられながら僕の変装が進められていく中、怒鳴り合うようにシーラとヘイワードさんの怒号が厨房と控室内に轟く。
「取り敢えずそのドレスは没収ね。はい、制服」
「僕客なんだけど?」
「いいから、あの狂信者どもが嗅ぎつける前に場所を移すわよ! 店長ー、ちょっと買い出し行って来ます!」
「おー、その世間知らずに世の中の変化を見せてこい!」
袋に包んだ数個のメンチカツと携帯用ソースを手渡され、僕の体はシーラの腕の中で宙を舞った。
「ひ、ぁー」
「あ、高い所ダメだった?」
「そんなんじゃないけど急には驚く」
「そうね、悪かったわ」
周囲を見回しながら警戒するシーラに、僕は何事かと尋ねる。
「さっきからなんなの? 僕が女神様だとかなんとか」
「あーそれ? なんでか知らないけど、あんたをこの世に舞い降りた女神様と奉る狂信者集団がいるのよ」
「なにそれ?」
「んなもんこっちが聞きたいっつーの。あんたに心酔する奴はそりゃ幾らか居たわよ。けど周囲の迷惑顧みず、顔見知り相手に根掘り葉掘り聞いてくるもんだからあんたの関係者全員良い迷惑よ。ウチの長も表情筋硬い方だけど、青筋プルプルさせてたもん」
「うわぁ」
僕は鳥肌を立てながら身震いした。
全く見覚えがないうちにそんな新興宗教ができてただけじゃなく、タチの悪いストーカーと化した教徒が街を練り歩いていると言うのだ。
おかげで治安は良くなったが、僕が自由に外に出歩けなくなった。溜まったもんじゃない。
「最初出会った時はすっごい迷惑したわ。セーレ? って国のお偉いさんより気持ち悪いの」
国と直接の関わりがあったのは長くらいで、シーラくらいの下っ端になると顔合わせくらいはあるけど名乗り出ては居ないらしい。その時の顔がそれはもう身の毛がよだつほどの醜悪さで人間とはお近づきになりたくないと誓ったそうだ。
なにしたんだよ、その国。エロジジイか。
メンチカツをもぐもぐしながら淡々と話を聞いている。
「しっかし、あんた本当に美味しそうに食べるよね。そんなに美味しい?」
パシャリ、とシーラがカメラを構えて僕の食事風景を捉えている。なにをしてるのだろうか?
この世界のカメラは僕が作り上げたものだ。世に出した時の名前は『写映機』。いわゆるデジタルカメラである。
取り込んだ画像を、専用のクリスタル映像機によって写真のように取り出しておくことができる。ずっと写しておくには魔石の交換が必要だが、その場で写すだけなら何度でも可能だ。
非常に高価なものなので、趣味人にしかウケないと思ってたが、貧乏人のシーラがなんでこんなもの持ってるんだ?」
「ちょっとー、なにしてんの」
「いや、生女神様のご尊顔をついでに拝んでおこうかとね」
「やめてよ、シーラまで。僕がそういう柄じゃないって知ってるでしょ?」
「知ってるけど、だからこそこういうものが逃げ道になるのよ。そのためにもういくつか撮って良い?」
「まぁ、人知れず迷惑かけてたらしいから良いけど……」
「ありがと」
シーラはすっごい良い笑顔だった。
僕は屋敷までそのまま送られたけど、ドレスを回収してないことに気がつく。盗られてなきゃ良いけど。
狂信者と言えど、流石にそこまでしないよなと僕は高を括って屋敷に帰った。
◇
とある場所の路地裏で、女が取引を行なっている。
「成果は?」
「あるよ、とびっきりのが。幾ら出す?」
「いくらでも積むわ」
「毎度あり」
片方は暗がりの中で光る猫のような目を持ち、もう片方は貴族令嬢のような豪華なドレスを身に包んでいた。
やりとりは映像記録の買い取りである。
猫のような女の取り出した写映機から、画像を取り込んで買い付けるのだ。勿論写映機の提供先も貴族令嬢からである。
貧乏人のシーラはこの手のひらサイズのアーティファクトが一体どれほどの価値を持つのか気にしていない。知ってしまったら胸ポケットに入れるなんて愚行を冒さないはずだ。
「ああ、お姉様。食事風景一つとっても神々しいわ」
「ほんと、病的ね。姉妹なんでしょ、あの子と」
「最近お姉様は生まれたばかりの弟に構ってばかりで全然わたくしに構ってくれないのです。ああ、それと。ドレスはこちらで回収しますわ」
「家族に返すってーのに、絶対碌なことしなさそうで渡したくないんだけど? あの子を泣かせるような真似は辞めてよ? 一応私達の恩人なんだから」
「獣風情が随分な懐きようね。でも流石は姉様ですわ。人に劣る獣にも慈悲深い。ここは教典に記すべきね!」
貴族令嬢、アリシアがメモに走り書きをしている様を見て、どうして姉妹でこんなにねじくれてしまうんだろうね、とシーラは夜空を仰いでいた。
天には星々が自己を主張するように大きく輝いていた。
0
お読みいただきありがとうございます。基本的にはほのぼのな作品を描いていきたいです。
お気に入りに追加
1,593
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……
buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。
みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……
傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。
石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。
そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。
新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。
初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は、別サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。

異世界転生ファミリー
くろねこ教授
ファンタジー
辺境のとある家族。その一家には秘密があった?!
辺境の村に住む何の変哲もないマーティン一家。
アリス・マーティンは美人で料理が旨い主婦。
アーサーは元腕利きの冒険者、村の自警団のリーダー格で頼れる男。
長男のナイトはクールで賢い美少年。
ソフィアは産まれて一年の赤ん坊。
何の不思議もない家族と思われたが……
彼等には実は他人に知られる訳にはいかない秘密があったのだ。

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる