31 / 46
本編
31.経済を回そう!
しおりを挟む
最近わがままを許してるのだから、そろそろ本腰を入れても良いのではなくて? そんな風に母さんから申し出が入る。
もしや勝手に男爵家との取引がバレたか?
いや、伯爵家に魔道具として還元されてるし、怒られる事はないと思うが。
そんな風に考える僕に痺れを切らした母さんが腰に手を当てて前のめりになって断言する。
「トールちゃん、いい加減生産工場を作りません事?」
「……なんのお話でしょうか?」
僕はぱちくりと瞬きをした。
母さんはニコニコとしながらも圧を強めに訴えかけてくる。
「お茶会に参加しても御婦人たちからの圧が凄いのよ! 錬金術の総本家なのに弛んでいるんではなくて? と言葉少なめに叱咤されてしまったのよぉ~~」
おいおいと泣き崩れながら僕に縋る母。
うーん、確かにここ数年はポーションを二の次にしてアリシアと魔道具ばかり作っていた気がする。
ちなみに錬金術の総本家だなんて噂、いつ出てきた?
確かにレシピ本は飛ぶ様に売れてるが2年も前のことだぞ? すっかり記憶から抜け落ちてたし、母さん達からも特にお咎めなかったので放置していたわけだが……それが今になって皺寄せが来たか。
目を瞑ってくれてたわがままに身に覚えがありすぎて、確かに精算しておきたいところだった。
仕方ない、丁度いい罪滅ぼしとしてここは頼みを聞いておこう。
「分かりました。わたくしの全力を持って母様の願いを叶えましょう。日にどれ程生産が出来れば良いかの指標をお教えください」
「え、やってくれるの?」
嘘泣きだったのか、母の目元は乾いていた。
目薬使ったってもう少し潤うぞ?
泣き真似が真に迫るほど上手いのも令嬢の教育にあるものなのか、それとも母さんの本質か。
ともあれ引き受けてしまった以上、やり遂げるつもりでいる。
いくつか魔道具を作ってるうちに丁度面白い工程と魔法陣を開発していたのだ。今回はそれを使おう。
母さん曰く、我がレオンハート印のポーション類は帝国貴族の中でも特に奥方様に人気で、予約も数年待ち。
中には金貨を積むから優先的に購入したいという上位貴族の方もいらっしゃるらしい。
最たる需要はダイエットポーション。ついで保水パックの順で予約が殺到していた。
設定金額はダイエットポーションの方がお高いが、金に糸目をつけない貴族には安くつく美容品。
せっかく売れるのだからもっと大量に作ってみてはとせっつかれていたというのが本音で、嫌味を言われたのは妄想で補完したと自白した。
僕のやる気を出させるためのエッセンスだとか。
「だってぇ~トールちゃん、お母さんの言うこと全然聞いてくれないじゃない」
これが推定年齢30歳の女性の取る態度か?
泣き腫らした様な目元にブスッとした態度はマリーを彷彿させる。あの子は出会った時から全然変わらないからな。
今では僕とアリシアの手のかかる妹的ポジションだ。
「母様、そんな畏まらなくとも普通にお申し付けください。レオンハート家の事業としてならこちらも出し惜しみしませんわ」
「そうなのね。でもお母さんはあの日から母としてトールちゃんを守るって決めたから。だから言い出しにくかったのよ。ごめんなさいね?」
なんだかんだ僕のことを思って居てくれたと言われて悪い気はしない。
早速錬金術で魔道具を駆使したオートダイエットポーション製造機を作成する。
ただし設置する場所は領内ではなく敷地内。なんだったら屋敷の中に置いた。
もちろんその部屋には仕掛けがしてある。
貴族が専用の鍵を使わずに扉を開ければ転位のトラップが発動するおまけ付き。
頭を冷やせという意味で敷地内にある庭の池の中に転送する仕掛けがされている。
落とすよりもさっさと沈めた方がいい。
屋敷付きの兵士は庭を重点的に徘徊させているが、一度恐怖体験した父からの強い言葉で今のところバカな真似をする使用人達は居なかった。今はまだ、ね。
事業をひろめて行くとどうしたって馬鹿な奴が現れるから準備はしとかないとさ。某国みたいにコソ泥されても面白くないしね?
そんで例の魔道具には定期的に材料を投下すれば瓶に詰められたポーションがゴロゴロ出来上がり、転がり落ちた先の魔法陣でお屋敷の宝物庫に勝手に転送される仕組み。
あくまでもレオンハート製とする必要がある。
平民に作らせたところで理解できない反応のオンパレードだからな。アリシアにも作らせたが10回やって3回成功する難易度だ。まだまだ表に出すのは早い技術だと思う。
数は10台。
1台で日に10個は作るので、100個出来上がる仕組みだ。
ただしエコ式の魔道具といえど限界があり、魔石を媒介にさせてもらう。
個人使いなら特に問題ないが、貴族の事業とするならそれぐらいの投資は必要だと納得させ、週に一度の魔石の交換と点検を義務づけた。
材料を用意する場所は敷地内に置いた。
転送の魔法陣を活用しているので不備はない。
ここ数年、仕事を奪われ続けたメイドたちはようやくやりがいのある仕事ができて張り切っている。
素材はリビアの街の商人と連絡をつけて色をつけて買い取る事にした。
少しでも安定して入手できればいいし、商人に少しでもいい思いをさせてリビアの街に来る事のお得感を出してもらえればいいと思った。
現状の生産数はダイエットポーションが多めだ。
材料さえ揃えば数を増やすと申し付けてあるので、母さんも最近ご機嫌である。
痩せて綺麗になれば次に気になるのは肌年齢だ。
年々衰えて行く肌に鏡を見てはため息ばかりついている夫人に保水パックの魔力は恐ろしいほど心を掴んだらしい。
もはやその二つを持っていることこそがステータスとされ、今や美の最先端とされるのがレオンハート家の錬金術という位置付けだ。
そして上得意様に限り、詰め替え用のボトルサイズを用意した。
値段は張るが、なんの効果もない健康飲料を買い足すよりいくらかマシだ。特に上位貴族の金の使い道を迷ってる様な夫人は目の色を変えて飛びついた。
この手の人たちは加減が利かない。貧乏性の僕とは違ってドバッと入れたがる。効果を知れば10滴で抑えるが、なんでも豪快に使ってしまうらしい。
じゃあだったらお得パック作っちゃえばいいかと瓶を10倍にしたサイズを作った。流石にこれを普段使いには出来ないので使用人にでも詰め替えさせればいい、そう考えると瓶より落としても割れないプラスチックの方がいいのかも知れないが、未だそれに変わる材料が見つかってないので瓶で販売した。以上。
「凄いわトールちゃん! お母さんの想像以上よ!」
「母様はいつもそればかりですね」
少しだけムスッとしながら返す。
何せあれからというものの、毎日のように社交界で持ち上がる話題は僕に作ったポーションが持て囃されているというものばかりなのだ。
こちとら耳にタコができるほどに聞き飽きている。
「だって、嬉しいんですもの。娘の錬金術が認められて、今や錬金術師への風評被害も緩和されてきているのよ。全部トールちゃんのおかげだわ!」
ムギュッと抱きつかれた。
苦しいのでやめてほしい。
死因が胸による圧死とか勘弁してほしいものだ。
女であると自覚してからはこう、自分より大きい相手を見ると嫉妬しかしないんだ。今はまだ同じくらいのアリシアやマリーがいるので平常心を保って居られるが、母さんのは目に毒なほど豊満だ。
「やめてくださいまし、危うく窒息するところでしたわ」
「あらごめんなさい。悪気はないのよ?」
本当に悪気がないから困る。
でも母さんはこういう人で、僕なんかを娘として引き取って守ってくれるありがたい存在だった。
もしや勝手に男爵家との取引がバレたか?
いや、伯爵家に魔道具として還元されてるし、怒られる事はないと思うが。
そんな風に考える僕に痺れを切らした母さんが腰に手を当てて前のめりになって断言する。
「トールちゃん、いい加減生産工場を作りません事?」
「……なんのお話でしょうか?」
僕はぱちくりと瞬きをした。
母さんはニコニコとしながらも圧を強めに訴えかけてくる。
「お茶会に参加しても御婦人たちからの圧が凄いのよ! 錬金術の総本家なのに弛んでいるんではなくて? と言葉少なめに叱咤されてしまったのよぉ~~」
おいおいと泣き崩れながら僕に縋る母。
うーん、確かにここ数年はポーションを二の次にしてアリシアと魔道具ばかり作っていた気がする。
ちなみに錬金術の総本家だなんて噂、いつ出てきた?
確かにレシピ本は飛ぶ様に売れてるが2年も前のことだぞ? すっかり記憶から抜け落ちてたし、母さん達からも特にお咎めなかったので放置していたわけだが……それが今になって皺寄せが来たか。
目を瞑ってくれてたわがままに身に覚えがありすぎて、確かに精算しておきたいところだった。
仕方ない、丁度いい罪滅ぼしとしてここは頼みを聞いておこう。
「分かりました。わたくしの全力を持って母様の願いを叶えましょう。日にどれ程生産が出来れば良いかの指標をお教えください」
「え、やってくれるの?」
嘘泣きだったのか、母の目元は乾いていた。
目薬使ったってもう少し潤うぞ?
泣き真似が真に迫るほど上手いのも令嬢の教育にあるものなのか、それとも母さんの本質か。
ともあれ引き受けてしまった以上、やり遂げるつもりでいる。
いくつか魔道具を作ってるうちに丁度面白い工程と魔法陣を開発していたのだ。今回はそれを使おう。
母さん曰く、我がレオンハート印のポーション類は帝国貴族の中でも特に奥方様に人気で、予約も数年待ち。
中には金貨を積むから優先的に購入したいという上位貴族の方もいらっしゃるらしい。
最たる需要はダイエットポーション。ついで保水パックの順で予約が殺到していた。
設定金額はダイエットポーションの方がお高いが、金に糸目をつけない貴族には安くつく美容品。
せっかく売れるのだからもっと大量に作ってみてはとせっつかれていたというのが本音で、嫌味を言われたのは妄想で補完したと自白した。
僕のやる気を出させるためのエッセンスだとか。
「だってぇ~トールちゃん、お母さんの言うこと全然聞いてくれないじゃない」
これが推定年齢30歳の女性の取る態度か?
泣き腫らした様な目元にブスッとした態度はマリーを彷彿させる。あの子は出会った時から全然変わらないからな。
今では僕とアリシアの手のかかる妹的ポジションだ。
「母様、そんな畏まらなくとも普通にお申し付けください。レオンハート家の事業としてならこちらも出し惜しみしませんわ」
「そうなのね。でもお母さんはあの日から母としてトールちゃんを守るって決めたから。だから言い出しにくかったのよ。ごめんなさいね?」
なんだかんだ僕のことを思って居てくれたと言われて悪い気はしない。
早速錬金術で魔道具を駆使したオートダイエットポーション製造機を作成する。
ただし設置する場所は領内ではなく敷地内。なんだったら屋敷の中に置いた。
もちろんその部屋には仕掛けがしてある。
貴族が専用の鍵を使わずに扉を開ければ転位のトラップが発動するおまけ付き。
頭を冷やせという意味で敷地内にある庭の池の中に転送する仕掛けがされている。
落とすよりもさっさと沈めた方がいい。
屋敷付きの兵士は庭を重点的に徘徊させているが、一度恐怖体験した父からの強い言葉で今のところバカな真似をする使用人達は居なかった。今はまだ、ね。
事業をひろめて行くとどうしたって馬鹿な奴が現れるから準備はしとかないとさ。某国みたいにコソ泥されても面白くないしね?
そんで例の魔道具には定期的に材料を投下すれば瓶に詰められたポーションがゴロゴロ出来上がり、転がり落ちた先の魔法陣でお屋敷の宝物庫に勝手に転送される仕組み。
あくまでもレオンハート製とする必要がある。
平民に作らせたところで理解できない反応のオンパレードだからな。アリシアにも作らせたが10回やって3回成功する難易度だ。まだまだ表に出すのは早い技術だと思う。
数は10台。
1台で日に10個は作るので、100個出来上がる仕組みだ。
ただしエコ式の魔道具といえど限界があり、魔石を媒介にさせてもらう。
個人使いなら特に問題ないが、貴族の事業とするならそれぐらいの投資は必要だと納得させ、週に一度の魔石の交換と点検を義務づけた。
材料を用意する場所は敷地内に置いた。
転送の魔法陣を活用しているので不備はない。
ここ数年、仕事を奪われ続けたメイドたちはようやくやりがいのある仕事ができて張り切っている。
素材はリビアの街の商人と連絡をつけて色をつけて買い取る事にした。
少しでも安定して入手できればいいし、商人に少しでもいい思いをさせてリビアの街に来る事のお得感を出してもらえればいいと思った。
現状の生産数はダイエットポーションが多めだ。
材料さえ揃えば数を増やすと申し付けてあるので、母さんも最近ご機嫌である。
痩せて綺麗になれば次に気になるのは肌年齢だ。
年々衰えて行く肌に鏡を見てはため息ばかりついている夫人に保水パックの魔力は恐ろしいほど心を掴んだらしい。
もはやその二つを持っていることこそがステータスとされ、今や美の最先端とされるのがレオンハート家の錬金術という位置付けだ。
そして上得意様に限り、詰め替え用のボトルサイズを用意した。
値段は張るが、なんの効果もない健康飲料を買い足すよりいくらかマシだ。特に上位貴族の金の使い道を迷ってる様な夫人は目の色を変えて飛びついた。
この手の人たちは加減が利かない。貧乏性の僕とは違ってドバッと入れたがる。効果を知れば10滴で抑えるが、なんでも豪快に使ってしまうらしい。
じゃあだったらお得パック作っちゃえばいいかと瓶を10倍にしたサイズを作った。流石にこれを普段使いには出来ないので使用人にでも詰め替えさせればいい、そう考えると瓶より落としても割れないプラスチックの方がいいのかも知れないが、未だそれに変わる材料が見つかってないので瓶で販売した。以上。
「凄いわトールちゃん! お母さんの想像以上よ!」
「母様はいつもそればかりですね」
少しだけムスッとしながら返す。
何せあれからというものの、毎日のように社交界で持ち上がる話題は僕に作ったポーションが持て囃されているというものばかりなのだ。
こちとら耳にタコができるほどに聞き飽きている。
「だって、嬉しいんですもの。娘の錬金術が認められて、今や錬金術師への風評被害も緩和されてきているのよ。全部トールちゃんのおかげだわ!」
ムギュッと抱きつかれた。
苦しいのでやめてほしい。
死因が胸による圧死とか勘弁してほしいものだ。
女であると自覚してからはこう、自分より大きい相手を見ると嫉妬しかしないんだ。今はまだ同じくらいのアリシアやマリーがいるので平常心を保って居られるが、母さんのは目に毒なほど豊満だ。
「やめてくださいまし、危うく窒息するところでしたわ」
「あらごめんなさい。悪気はないのよ?」
本当に悪気がないから困る。
でも母さんはこういう人で、僕なんかを娘として引き取って守ってくれるありがたい存在だった。
0
お読みいただきありがとうございます。基本的にはほのぼのな作品を描いていきたいです。
お気に入りに追加
1,593
あなたにおすすめの小説

少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
廃妃の再婚
束原ミヤコ
恋愛
伯爵家の令嬢としてうまれたフィアナは、母を亡くしてからというもの
父にも第二夫人にも、そして腹違いの妹にも邪険に扱われていた。
ある日フィアナは、川で倒れている青年を助ける。
それから四年後、フィアナの元に国王から結婚の申し込みがくる。
身分差を気にしながらも断ることができず、フィアナは王妃となった。
あの時助けた青年は、国王になっていたのである。
「君を永遠に愛する」と約束をした国王カトル・エスタニアは
結婚してすぐに辺境にて部族の反乱が起こり、平定戦に向かう。
帰還したカトルは、族長の娘であり『精霊の愛し子』と呼ばれている美しい女性イルサナを連れていた。
カトルはイルサナを寵愛しはじめる。
王城にて居場所を失ったフィアナは、聖騎士ユリシアスに下賜されることになる。
ユリシアスは先の戦いで怪我を負い、顔の半分を包帯で覆っている寡黙な男だった。
引け目を感じながらフィアナはユリシアスと過ごすことになる。
ユリシアスと過ごすうち、フィアナは彼と惹かれ合っていく。
だがユリシアスは何かを隠しているようだ。
それはカトルの抱える、真実だった──。
【完結】追放された生活錬金術師は好きなようにブランド運営します!
加藤伊織
ファンタジー
(全151話予定)世界からは魔法が消えていっており、錬金術師も賢者の石や金を作ることは不可能になっている。そんな中で、生活に必要な細々とした物を作る生活錬金術は「小さな錬金術」と呼ばれていた。
カモミールは師であるロクサーヌから勧められて「小さな錬金術」の道を歩み、ロクサーヌと共に化粧品のブランドを立ち上げて成功していた。しかし、ロクサーヌの突然の死により、その息子で兄弟子であるガストンから住み込んで働いていた家を追い出される。
落ち込みはしたが幼馴染みのヴァージルや友人のタマラに励まされ、独立して工房を持つことにしたカモミールだったが、師と共に運営してきたブランドは名義がガストンに引き継がれており、全て一から出直しという状況に。
そんな中、格安で見つけた恐ろしく古い工房を買い取ることができ、カモミールはその工房で新たなスタートを切ることにした。
器具付き・格安・ただし狭くてボロい……そんな訳あり物件だったが、更におまけが付いていた。据えられた錬金釜が1000年の時を経て精霊となり、人の姿を取ってカモミールの前に現れたのだ。
失われた栄光の過去を懐かしみ、賢者の石やホムンクルスの作成に挑ませようとする錬金釜の精霊・テオ。それに対して全く興味が無い日常指向のカモミール。
過保護な幼馴染みも隣に引っ越してきて、予想外に騒がしい日常が彼女を待っていた。
これは、ポーションも作れないし冒険もしない、ささやかな錬金術師の物語である。
彼女は化粧品や石けんを作り、「ささやかな小市民」でいたつもりなのだが、品質の良い化粧品を作る彼女を周囲が放っておく訳はなく――。
毎日15:10に1話ずつ更新です。
この作品は小説家になろう様・カクヨム様・ノベルアッププラス様にも掲載しています。
【完結】過保護な竜王による未来の魔王の育て方
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
魔族の幼子ルンは、突然両親と引き離されてしまった。掴まった先で暴行され、殺されかけたところを救われる。圧倒的な強さを持つが、見た目の恐ろしい竜王は保護した子の両親を探す。その先にある不幸な現実を受け入れ、幼子は竜王の養子となった。が、子育て経験のない竜王は混乱しまくり。日常が騒動続きで、配下を含めて大騒ぎが始まる。幼子は魔族としか分からなかったが、実は将来の魔王で?!
異種族同士の親子が紡ぐ絆の物語――ハッピーエンド確定。
#日常系、ほのぼの、ハッピーエンド
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/08/13……完結
2024/07/02……エブリスタ、ファンタジー1位
2024/07/02……アルファポリス、女性向けHOT 63位
2024/07/01……連載開始

悪役令嬢カテリーナでございます。
くみたろう
恋愛
………………まあ、私、悪役令嬢だわ……
気付いたのはワインを頭からかけられた時だった。
どうやら私、ゲームの中の悪役令嬢に生まれ変わったらしい。
40歳未婚の喪女だった私は今や立派な公爵令嬢。ただ、痩せすぎて骨ばっている体がチャームポイントなだけ。
ぶつかるだけでアタックをかます強靭な骨の持ち主、それが私。
40歳喪女を舐めてくれては困りますよ? 私は没落などしませんからね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる