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双葉 鳴

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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦

405.お爺ちゃんのドリームランド探訪17

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 さて、ダンジョンの建築が終わるまで探索の続きとしよう。
 スズキさんのコタツ型ポータル装置でグラーキの祠前までたどり着くと、そこは木っ端微塵に吹っ飛んだはずの祠が再生して置いてあった。


「あれ? 全部吹っ飛んだはずだよね、ここ?」

「確かに確認しました。しかし……」

「もりもりハンバーグ君は何か心当たりがあるの?」

「ええ、先ほど建築したダンジョンでのシステムですが、建築するのとは別に、建築物をランクアップさせるのにも同質素材が要求されるとあったのです。なのでそれらを賄うためにもコレらは一定時間でリポップされるのでは? と思っていました」

「成る程ね。もし今回限りだった場合、後続が困ってしまうから?」

「ええ、なのでお義父さんのカメラと同質のアイテムも複数人が所持してると思っていて良いでしょう」

「そうだね。私がカメラであるように、その人にとっては違う見た目をしてるかもしれない。そう思えば平等だ。で、どうする?」

「どうするとは?」

「今回は私が補填した。けれど素材はそれとは別に別途必要だ。軽く削っていくかい? どうせ時間で復活するんだ。手伝うよ」

「じゃあ同じ個数か倍くらいお願いしても良いですか?」

「お安い御用だ」


 もりもりハンバーグ君はノミとトンカチを持ち、私はツルハシを担いでトンテンカン。
 それを他所にスズキさんとヤディス君がコタツでお茶を飲んでくつろいでいる。
 見た目はそっくりだけど、こちらにポータル機能はないようだ。


「ヤディス、少しお手伝いしてくれたりとかは?」

「はい、タオルをご用意してます」

「|◉〻◉)僕もお茶のご用意をしてます。いつでも休憩しに来ていいですよ?」

「あ、うん。コレはコタツから動く気ないな。彼女達は放っておいて私たちでもう一踏ん張りだ」

「はい!」


 トンテンカンと、小一時間にも及ぶ作業は終わり、休憩とする。
 そのほのぼのとした空気にコメント等もほっこりとしている。
 あとはどれくらいで復活するかなどの検証も兼ねてその場で休息する。


【のんびりしてるなぁ】
【日曜大工かな?】
【やってる事は邪神像の破壊なんだよな】
【冒涜的~】
【今更やろ】
【グラーキなんてまず相手にしようと思わない神格なのに、ここじゃモブ扱いだもんな】
【とんでもない場所やでほんま】
【それにしてもダンジョン、何が出来るんだろ?】
【わかんねーけど、集める素材が神格の魂な時点でヤバげ】

「そういえばさ」

「はい?」


 こたつの上に置かれた籠の上のみかんを一つ取り、皮を剥きながらもりもりハンバーグ君に尋ねる。


「あのダンジョン、君に任せたじゃない?」

「はい」

「あまり責任を負わなくて良いからね? 素材の入手くらいのお手伝いはするし」

「いえ、お頼みされたのとは別に個人的に興味があるんですよ。そして素材提供されてばかりでは僕の成長の機会が失われてしまう。でも、そのお気遣いはありがたく頂いておきます」

「うん、君はオクト君やヒャッコ君と違って慎重派だからね」

「なんのなんの、彼らほど大した活躍はしてませんからね。妻にもしっかりしてくれといつもせっつかれてますよ」

「フィールがねぇ。でもそれを真に受けてはいないんでしょ? あの子普段はツンツンしてるけど、思いやりのある子だから」

「そこは当然、振りだとわかって従ってますよ。彼女の立場を考えたら僕が損益を被る方が上手く回りますから」

「苦労かけるね。でも君がライダーとして選ばれてから、お子さん達からの見られる目も変わったんじゃない?」

「ああ、その節は大変お世話になりました」


 身内ネタに惚気話。ゲームに全く関係ない話でお茶を濁す。
 私からしたら実の娘との夫婦生活、家族との関わり方のお話なので実に興味深いのだけど、わざわざ配信を見にきてる人にとっては配信後にやれと言われても仕方ない。
 とは言えだ。似たような夫婦生活をしているコメントもいくつか見受けられた。


【ハンバーグさんも苦労人なんやな】
【うちのかーちゃんも気が強くてさ】
【オレも女房に尻に敷かれてるよ】
【そうやって女性を悪くいうのは良くないぞ?】
【結婚とか幻想だろ。現実見ろよ】

「ま、その話はさておき。祠が復活したみたいだ」


 リポップを確認するためにも再度爆破した祠は、消滅後1時間で完全復活していた。


「本当に復活するんだね~」


 中の様子を確認しつつ、邪神像を手の甲で叩く。
 しっかり中身が詰まってる音が鳴る。


「削ってみましたけど、また採掘できましたね」

「でもまた別の祠を探す方が先かな?」

「ですね。ヤディス。ここへはいつでも来れるのかな?」

「スズちゃんに頼めば来れると思います」

「どの道お義父さんがログインしている必要があるか」

「私は別に構わないよ。どんどん有効利用してくれたまえ。スズキさんもそのように労ってあげて」

「|◉〻◉)はーい」

【こうやって手を組むプレイは新しいな】

「新しいかな? 私は誰にでもこのスタンスだよ?」

【みんながみんな一枚岩じゃないから】
【探偵の人は?】

「あの人は後続のためにもヒール役を買って出てくれる稀有な人材です。見つけたら排除して良いですよ? ただ強いので反撃された後のことは責任取りませんけど」

【草】
【まぁ事実っしょ】
【街中で民衆巻き込みテロする奴が常識人な訳ない】

「プレイは人それぞれですからね。それとお義父さん、一つ質問があります」

「何かな?」

「霊樹の木片というアイテムに心当たりはあったりします?」

「うん? 霊樹は知ってるけど……というか、いつの間にかストレージに入ってたね。これも素材?」

「ええ、ダンジョンのシステムの一部を解放するための素材にあったので」

「へぇ、必要ならあげるけど」

「いえ、足りなくなった時にまたお声かけます。入手先は心当たりがありますので」

「あー、昨日の配信かな?」

「ですね。なので心配はご無用です。こちらもその時までに情報のお返しをできる情報を仕込んでおきますね。貰ってばかりでは悪いですから」

「えー、気にしなくて良いのに」

「|◉〻◉)ヤディスちゃんのマスターさんは気持ちがさっぱりしていて良いですね。好感が持てます」

「でしょ? うちのマスターはガタトノーア様とも積極的にコミュニケーションを取ってくれるから」

「|◉〻◉)はい。主人との接点は多い方がいいですからね」

「ね」

「はい、ここテストに出ますよ」

【テストという名の実戦やめろ】
【ぐわーーー】

「いや、冗談じゃなくお義父さんの見解が一番幻影や神格との絆を獲得する近道ですよ。僕なりに検証を兼ねて聖典さん側のやり方と見比べてますが、正直向こうさんのやり方は無駄が多い。そして目先の利益に飛びつくと、高確率でしっぺ返しを食らう。でもお義父さんのやり方は微に入り細に入り非常に細やかな気遣いが配慮されている。どちらにせよ、地に足をつけるためにも神格と仲良くやるのが一番なんですよね。知れば知るほど自分の立ち位置が見えてきますし」

【成る程、深いな】
【なんだかんだ最適応解がそれって話だよな】
【初見でそれを選んだって普通に快挙なのでは?】

「生憎と我が強い人たちばかりで私の話を耳に入れてくれたのはもりもりハンバーグ君ぐらいだったけどね」

「みなさんのように僕はそれほど何でもはできませんからね」

【あー、この人戦闘ビルドじゃないからか】
【考古学者も通常プレイとは一線を画すからな】
【ほぼ登山部とどっこいだもんな】
【考古学者プレイなんてどこで役に立つんだよ!】

「役に立つかどうかは僕が決める事だし、家族からは頼りにされてるよ?」

【あ、この人……アキカゼさんと同じタイプだな?】
【それだ!】
【道理で気が合うわけだ】
【類友なんだよなぁ】

「|◉〻◉)そうなの、ヤディスちゃん?」

「スズちゃんとこのマスターさんほどではないかな~」

「|ー〻ー)ですって、ハヤテさん」

「何を張り合ってるんですかね、この子達は。それはさておき移動しようか」

「|◉〻◉)あ、出しますね」


 コタツから立ち上がろうとする私を制し、スズキさんが何かの紐を引っ張った。
 するとブルルン、ブルルンと何かのエンジン音がした後、コタツが海中を進み出す。
 移動中はさっきまでのエンジン音は綺麗になくなり、何故かクルクル回りながらコタツが深海を漂う。
 

「幻想的な景色ですね。目の前のコタツに目を瞑れば」

【本当に、な】
【このコタツなんでもありか?】
【でもダンジョンでは全然動かなかったんだよな?】

「|◉〻◉)あれはギミックを理解してなかったナイアルラトホテプがキレ散らかしただけです。僕の狙いはもっと深いところにありました」

【www】
【それ以前の問題なんだよなぁ】
【こたつを起動させても、道がまっすぐだったやん】
【そもそもワンルームでダンジョンコア丸見えだったッピ】
【破壊してくれって言ってるようなもんだろ!いい加減にしろ】

「あれは惜しかったね」

【アキカゼさんは惜しい判定なんだ】
【この人ダンジョンのことよくわかってないだろwww】

「失礼な。私とて少年時代に小説やコミックを嗜んだ事もあるんだよ。それで、ダンジョンて詳しくは何をするところなの?」

「お義父さんの時代にはダンジョン経営系のコンテンツは有りませんでしたか?」

「ああ、あったような? でもファンタジー系の小説ってだいたいダンジョンは魔王の僕が作り上げてる軍事施設だよね? 違ったっけ?」

【あっ】
【これが世代格差】
【いつの時代のロマン小説だよ】
【いや、あの時代は熱血ものしか流行らなかったから】
【ストイック系はダメかー】
【無いわけではなかったぞ?】
【流行とは縁遠かったわけか】
【その手の流行は第二世代中間からか】
【気質も違うしなー】
【職業ものがブームになったな、そう言えば】

「知らないねぇ。私たちの時代にはなかったもの」

「そこは仕方ありませんよ。なのでダンジョンは僕にお任せください」

「うん、そこは任せるから。私達は次の場所を見つけることから始めようか」

「ええ。ヤディス、気配は感じる?」

「少し待って。うん、こっちに強い力が……」

「ヤディス君はそんな能力が?」

「ええ。彼女はひどく怖がりで、その中でも一際気配には敏感で。当初はその能力を積極的に使おうとはしませんでしたが、今では僕が絶対に守ると誓ってから僕のためにこうして役に立とうとしてくれるようになりましたね」

【ええ子や】
【それに比べてリリーちゃんは】

「|◉〻◉)僕もダウジングは得意ですよ?」

【ダウジングで神格釣れるかー?】

「|◉〻◉)じゃあ勝負しましょうかヤディスちゃん?」

「負けないよ、スズちゃん!」


 こうして私たちの幻影があっちだ、こっちだよとあらぬ方向にコタツの舵を取り始め、本格的に迷った。
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