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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
401.お爺ちゃんのドリームランド探訪13
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「はい。こんにちはアキカゼ・ハヤテです」
「|◉〻◉)助手のスズキです」
「スズちゃんの助手のヤディスだよ」
「今日はこちら側でよろしく、もりもりハンバーグだ」
ブログを書いた翌日。
流石に夜は自分の時間に使いたいと配信はせずに調べ物に入れ込んだ。そしていつの間にかもりもりハンバーグ君のところのヤディス君が孫のマリンと親しくなっていたので、じゃあ配信も一緒にするかという誘いに乗ったお陰でこうやって一緒に配信することになった。
でも何故かもりもりハンバーグ君から離れてスズキさんの助手という形で私の側にいる。
もりもりハンバーグ君は保護者枠だ。
【ヤディスちゃんて?】
【前にリリーちゃんのPVに出てた子?】
【あー、いたいた】
【つーか普通に幻影だよな】
「僕のところの幻影だよ。以前までは僕以外に懐いて無かったのに、成長したね。見違えたよ」
【ハンバーグさん、後方腕組み保護者ヅラじゃん】
【実質自分の幻影なら保護者みたいなもんでしょ】
【でもクリア者から幻影は離れるんじゃないっけ?】
「そっちは神格とセットの場合だね。うちのスズキさんと同様、彼女も実際のヤディス君から随分とかけ離れてしまったらしい。別個体としてもりもりハンバーグ君専用になった経緯があるみたいだ」
【ほへー】
【そんな裏設定が】
【じゃあ実際自分の番が回ってきても接する幻影は別物と見ていいんだな?】
【というかリリーちゃんクラスの変人、そうそう見ないぞ?】
「|◉〻◉)褒めても何も出ませんよ?」
【褒めてないんだよなぁ】
【この子すごいポジティブだよな】
【うん、打たれ強い】
「自分から踏まれに来る性癖を飼い主に押し付けてくる人だからね。出入り口に蹲って危うく踏んでしまうところだったよ」
【草】
【おいいいい! 魚の人ぉおお!】
「スズちゃん、ダウトです。減点1」
ヤディス君が×と書かれたプライスカードをあげる。
そしてメモにペンを走らせた。
何やら覗き込めば評価表らしく、私とどのように付き合ってきたかを評価してるらしい。
というか助手の助手というより、スズキさん専属の裁定者って感じに見える。
その一生懸命な感じは見ていて応援していたくなるね。
さて、今回はいつも通りドリームランドに重向うと思う。
ただいつも通り現地に赴いて配信はせず、こちら側から向こうに至るまでの配信を行おうと思った。
見つけた門は5つ。
配信を通して教えたのは2つ。
他の三つは秘匿していた情報だ。
コレを開示しつつ電車に乗ってその場所に赴く。
「海ですね」
「うん。門はこの先だ。先にドリンク飲んでおく?」
懐から取り出したのは一時的に種族を変更するあの青いドリンクだ。が、もりもりハンバーグ君は右手で制し、お構いなくと首を横に振る。
「僕の職業を忘れましたか?」
「地質調査隊でしたっけ?」
「はい。そのうちの一つに海底調査もありますので。それに神格の恩恵もありますから」
もりもりハンバーグ君のコートの内側から触腕が盛り上がる。
彼もまた私と同じ。
神格との意思疎通を通じてその身に神格を潜ませる人物。
「あ、コレ気になりますか?」
「全然。私もこうだし」
クトゥルフの腕が背景からニュッと出してみる。
それをワキワキさせたり、力瘤を作るようなポーズを取ってみたりする。実際の体は動かさずに、触腕でいろんなポーズを取る。
「あはは、流石お義父さんです。じゃあお言葉に甘えて」
そう言いながら一本どころか数本の触手が這い出て、ようやくホッと胸を撫で下ろした。どうやら結構無理していたらしい。
私は自在に操ってる反面、使わないならそれはそれでしまっている。
例えるなら境界線。
私の居る側とクトゥルフさんの居る側に線を引いて、そこから触腕を伸ばす。そうする事で私は私のまま動けるし、クトゥルフさんの腕をコントロールすることも出来る。
もりもりハンバーグ君の様に、肉体の一部に置き換える必要もない。
「マスター、カッコいい!」
「ありがとうヤディス」
触手の一部でヤディス君を撫で上げるもりもりハンバーグ君。
それを嬉しそうに受け止めるヤディス君。
そうか、こうやってコミュニケーションを取っているからこそ私の様にはせずにその身に触手を宿したのか。
彼らなりのコミュニケーション方法がそれしかなく、私たちとは違うのだと思い知らされる。
それを見て羨ましがったのかスズキさんが私の手を取った。
「さ、行きますよハヤテさん」
引率のつもりか、私の手を引いて歩き出す。
といっても、ここは断崖絶壁。
一歩先は足場もなく、数メートル真下には海が広がっていた。
──ドポン!
普通なら海面に叩きつけられて大ダメージを負うところだが、私達は重力の操作が可能。
特に衝撃も受け取らずに海の中に沈んでいく。
スズキさんは水を得た魚のように先をいく。
私達はその後をついていく形だ。
【普通に海の中入ってこれるヒューマンはアキカゼさんぐらいだと思ってたけど】
【いや、水泳鍛えてる奴結構多いぞ?】
【アキカゼさんの活躍のおかげでそのスキルは人気スキルの一つになったしな】
【それも種族変更ドリンクのおかげでお払い箱に】
【悲しくなるから言うな】
「あるあるだよね、私のスキルも半分くらい機能してないよ。STゲージ軽減系ばっかりだったのに、STゲージ消えたからね」
【それは悲しい奴】
【パッシヴ極はほぼそれ系だもんな】
【でもゲージ消える人って他に居なくね?】
「どざえもんさんは消えたらしいよ? 流石だよね」
【あの人も普通にすごいんだよな。アキカゼさんが目立ちすぎてるだけで隠れてるけど】
【お、なんか光ってる玉があるで?】
【あれかな?】
目的の場所に近づくと、そこにはあの時見つけた門を見つけた。しかし海藻が絡み付いていて、守護者らしきものもない。
まるで無人駅の様な廃墟感を思わせた。
偶然見つけたのはいいけど、もしかして機能してないのだろうか?
ダメでもともと。使えなかったらいつものところからでもいいか。そう思いながら銀の鍵を取り出して鍵穴に挿してみた。
ガチャリと音がして、扉の向こう側から光が海底に溢れてくる。
特に向こう側の景色が見えるわけではない。
けれど、錆びついた扉がこうやって開くと言うことはまだ扉としての機能が残されていると言う事だろう。
私達が門の前で何かをしていると、哨戒中だったのだろう、スズキさんのお仲間の深きもの、もといインスマスの民がやってきていた。
乙姫さまの親衛隊長をやっていたジーク・ジョン君の様な格好で銀の槍を手に持っている。
(やや、コレは我が主人。こちらのゲートをお使いで?)
「任務ご苦労、諸君。今回はこちらのゲートを使わせていただいても?」
(光栄の極み。我ら魚人族一同、アキカゼ・ハヤテ様のお帰りをここでお待ちしております)
「ああ、別にそこまでしなくていいから。クトゥルフさんにもよろしく言っといて。じゃあもりもりハンバーグ君、いくよ」
「ええ」
【めっちゃ慕われてるな】
【そりゃ魚人の悲願達成してるし】
【なかなか悲願達成はできないものが多いからな】
「あの人眠るのやめただけなんだけどね?」
【それを決意させた影響力がアキカゼさんにあるって事でしょ】
【他のライダーはそう言うのが見えてこないんだよな】
「別にみんなに私のやり方をなぞれだなんて言えないからね。さて、ここはどこだろうね?」
扉を越えた先、そこはこちらと同じ海の底だった。
海上までの距離は来た時より深くなっている。
【海の底というのはわかるな】
【そういえばアキカゼさん、ホームの探索した事ないんじゃ?】
【それ。いっつも地上の紹介してますよね】
【せっかく泳げるんだからもっといろんな海中エリア紹介して欲しいです】
言うよね、他人事だからって。
そう言うのは自分で調べたほうが絶対楽しいのに。
まぁ確かにスズキさんに連れてこられてきた以外で積極的に海中エリアを探索したことってないんだよね。
これもいい機会か。
もりもりハンバーグ君も泳げるし、ハーフマリナーのリスナーが多い現状。やってみる価値はありそうだ。
というか、泳げない人が多かったから無理強いしても仕方ないもんね。
「海の中というのも乙なものだね。手を広げてこうやって全身を海に浮かべるだけで全能感が得られるよね」
「いえ、特には」
「|◉〻◉)えー、クトゥルフ様への信仰度足りなくないですか?」
「仕方ないよ。僕たちは違う神様を信仰してるからね」
「ねー!」
【かわいい】
【そして太々しい】
【仲良いなこの二人】
【逆にここまで仲良くないとクリア出来ないんやろな】
【そうなのか】
「それはさておき、先に進もう」
「|ー〻ー)はーい」
特に何事もなく、私達は海中を進む。
「海の中の生態系は向こうとさほど変わりませんね」
「え、そう?」
後方で魚の種類をメモしながら語るもりもりハンバーグ君に私は驚きながら振り返る。
釣りはやったことあるけど、普段口にするお魚以外の知識は私持ってないよ。なのでそれ以外の知識を披露する彼に感銘を受けている。やはりプロフェッショナルは違うなぁ。
【知らないのかよ!】
【おい、海の支配者!】
「支配してるのは私じゃないので。スズキさんは知ってる?」
「|◉〻◉)僕が知っているとでも?」
【この主従www】
【どっちもどっちだな】
【良くも悪くもリリーちゃんはアキカゼさんに染まってるって分かるな】
【雑談枠ならではの馴れ合いや】
【こう言うのでいいんだよ、こう言うので】
【前日の配信がおかしすぎたから】
【毎回こうやで、アキカゼさんの配信】
【むしろそっちに期待してるリスナー多そう】
「あれ、あの祠……」
もりもりハンバーグ君が何かに気がついたみたいだ。
指を差した方向、陽光操作で光を圧縮してその場所を照らす。
そこはまるで何かを封印した様な形跡が見られた。
スクリーンショットを覗き込めば、古代語が翻訳された。
【陽光操作便利やな】
【普通に操れるのアキカゼさんぐらいだろ】
【求む、用途】
【シャドウ系に有効だろうが】
【シャドウ相手なら光属性魔法使うわ】
【草】
【比べたらあかん】
【光属性と比べたらゴミカスだしな】
ひどい言われようだ。
でもまぁ、ないない尽くしの私からしてみたらあるだけ便利だし。そして、その内容とは……
「グラーキ、ここに封印されていたのか」
それはかつて聖魔大戦で対決したグラーキの姿を模した像が置かれた祠だった。
【この人、前回海で襲われてるの完璧に忘れてるだろ】
【まるで虫を追い払うように振り切ったからな】
【これは怨まれてますわ】
「|◉〻◉)助手のスズキです」
「スズちゃんの助手のヤディスだよ」
「今日はこちら側でよろしく、もりもりハンバーグだ」
ブログを書いた翌日。
流石に夜は自分の時間に使いたいと配信はせずに調べ物に入れ込んだ。そしていつの間にかもりもりハンバーグ君のところのヤディス君が孫のマリンと親しくなっていたので、じゃあ配信も一緒にするかという誘いに乗ったお陰でこうやって一緒に配信することになった。
でも何故かもりもりハンバーグ君から離れてスズキさんの助手という形で私の側にいる。
もりもりハンバーグ君は保護者枠だ。
【ヤディスちゃんて?】
【前にリリーちゃんのPVに出てた子?】
【あー、いたいた】
【つーか普通に幻影だよな】
「僕のところの幻影だよ。以前までは僕以外に懐いて無かったのに、成長したね。見違えたよ」
【ハンバーグさん、後方腕組み保護者ヅラじゃん】
【実質自分の幻影なら保護者みたいなもんでしょ】
【でもクリア者から幻影は離れるんじゃないっけ?】
「そっちは神格とセットの場合だね。うちのスズキさんと同様、彼女も実際のヤディス君から随分とかけ離れてしまったらしい。別個体としてもりもりハンバーグ君専用になった経緯があるみたいだ」
【ほへー】
【そんな裏設定が】
【じゃあ実際自分の番が回ってきても接する幻影は別物と見ていいんだな?】
【というかリリーちゃんクラスの変人、そうそう見ないぞ?】
「|◉〻◉)褒めても何も出ませんよ?」
【褒めてないんだよなぁ】
【この子すごいポジティブだよな】
【うん、打たれ強い】
「自分から踏まれに来る性癖を飼い主に押し付けてくる人だからね。出入り口に蹲って危うく踏んでしまうところだったよ」
【草】
【おいいいい! 魚の人ぉおお!】
「スズちゃん、ダウトです。減点1」
ヤディス君が×と書かれたプライスカードをあげる。
そしてメモにペンを走らせた。
何やら覗き込めば評価表らしく、私とどのように付き合ってきたかを評価してるらしい。
というか助手の助手というより、スズキさん専属の裁定者って感じに見える。
その一生懸命な感じは見ていて応援していたくなるね。
さて、今回はいつも通りドリームランドに重向うと思う。
ただいつも通り現地に赴いて配信はせず、こちら側から向こうに至るまでの配信を行おうと思った。
見つけた門は5つ。
配信を通して教えたのは2つ。
他の三つは秘匿していた情報だ。
コレを開示しつつ電車に乗ってその場所に赴く。
「海ですね」
「うん。門はこの先だ。先にドリンク飲んでおく?」
懐から取り出したのは一時的に種族を変更するあの青いドリンクだ。が、もりもりハンバーグ君は右手で制し、お構いなくと首を横に振る。
「僕の職業を忘れましたか?」
「地質調査隊でしたっけ?」
「はい。そのうちの一つに海底調査もありますので。それに神格の恩恵もありますから」
もりもりハンバーグ君のコートの内側から触腕が盛り上がる。
彼もまた私と同じ。
神格との意思疎通を通じてその身に神格を潜ませる人物。
「あ、コレ気になりますか?」
「全然。私もこうだし」
クトゥルフの腕が背景からニュッと出してみる。
それをワキワキさせたり、力瘤を作るようなポーズを取ってみたりする。実際の体は動かさずに、触腕でいろんなポーズを取る。
「あはは、流石お義父さんです。じゃあお言葉に甘えて」
そう言いながら一本どころか数本の触手が這い出て、ようやくホッと胸を撫で下ろした。どうやら結構無理していたらしい。
私は自在に操ってる反面、使わないならそれはそれでしまっている。
例えるなら境界線。
私の居る側とクトゥルフさんの居る側に線を引いて、そこから触腕を伸ばす。そうする事で私は私のまま動けるし、クトゥルフさんの腕をコントロールすることも出来る。
もりもりハンバーグ君の様に、肉体の一部に置き換える必要もない。
「マスター、カッコいい!」
「ありがとうヤディス」
触手の一部でヤディス君を撫で上げるもりもりハンバーグ君。
それを嬉しそうに受け止めるヤディス君。
そうか、こうやってコミュニケーションを取っているからこそ私の様にはせずにその身に触手を宿したのか。
彼らなりのコミュニケーション方法がそれしかなく、私たちとは違うのだと思い知らされる。
それを見て羨ましがったのかスズキさんが私の手を取った。
「さ、行きますよハヤテさん」
引率のつもりか、私の手を引いて歩き出す。
といっても、ここは断崖絶壁。
一歩先は足場もなく、数メートル真下には海が広がっていた。
──ドポン!
普通なら海面に叩きつけられて大ダメージを負うところだが、私達は重力の操作が可能。
特に衝撃も受け取らずに海の中に沈んでいく。
スズキさんは水を得た魚のように先をいく。
私達はその後をついていく形だ。
【普通に海の中入ってこれるヒューマンはアキカゼさんぐらいだと思ってたけど】
【いや、水泳鍛えてる奴結構多いぞ?】
【アキカゼさんの活躍のおかげでそのスキルは人気スキルの一つになったしな】
【それも種族変更ドリンクのおかげでお払い箱に】
【悲しくなるから言うな】
「あるあるだよね、私のスキルも半分くらい機能してないよ。STゲージ軽減系ばっかりだったのに、STゲージ消えたからね」
【それは悲しい奴】
【パッシヴ極はほぼそれ系だもんな】
【でもゲージ消える人って他に居なくね?】
「どざえもんさんは消えたらしいよ? 流石だよね」
【あの人も普通にすごいんだよな。アキカゼさんが目立ちすぎてるだけで隠れてるけど】
【お、なんか光ってる玉があるで?】
【あれかな?】
目的の場所に近づくと、そこにはあの時見つけた門を見つけた。しかし海藻が絡み付いていて、守護者らしきものもない。
まるで無人駅の様な廃墟感を思わせた。
偶然見つけたのはいいけど、もしかして機能してないのだろうか?
ダメでもともと。使えなかったらいつものところからでもいいか。そう思いながら銀の鍵を取り出して鍵穴に挿してみた。
ガチャリと音がして、扉の向こう側から光が海底に溢れてくる。
特に向こう側の景色が見えるわけではない。
けれど、錆びついた扉がこうやって開くと言うことはまだ扉としての機能が残されていると言う事だろう。
私達が門の前で何かをしていると、哨戒中だったのだろう、スズキさんのお仲間の深きもの、もといインスマスの民がやってきていた。
乙姫さまの親衛隊長をやっていたジーク・ジョン君の様な格好で銀の槍を手に持っている。
(やや、コレは我が主人。こちらのゲートをお使いで?)
「任務ご苦労、諸君。今回はこちらのゲートを使わせていただいても?」
(光栄の極み。我ら魚人族一同、アキカゼ・ハヤテ様のお帰りをここでお待ちしております)
「ああ、別にそこまでしなくていいから。クトゥルフさんにもよろしく言っといて。じゃあもりもりハンバーグ君、いくよ」
「ええ」
【めっちゃ慕われてるな】
【そりゃ魚人の悲願達成してるし】
【なかなか悲願達成はできないものが多いからな】
「あの人眠るのやめただけなんだけどね?」
【それを決意させた影響力がアキカゼさんにあるって事でしょ】
【他のライダーはそう言うのが見えてこないんだよな】
「別にみんなに私のやり方をなぞれだなんて言えないからね。さて、ここはどこだろうね?」
扉を越えた先、そこはこちらと同じ海の底だった。
海上までの距離は来た時より深くなっている。
【海の底というのはわかるな】
【そういえばアキカゼさん、ホームの探索した事ないんじゃ?】
【それ。いっつも地上の紹介してますよね】
【せっかく泳げるんだからもっといろんな海中エリア紹介して欲しいです】
言うよね、他人事だからって。
そう言うのは自分で調べたほうが絶対楽しいのに。
まぁ確かにスズキさんに連れてこられてきた以外で積極的に海中エリアを探索したことってないんだよね。
これもいい機会か。
もりもりハンバーグ君も泳げるし、ハーフマリナーのリスナーが多い現状。やってみる価値はありそうだ。
というか、泳げない人が多かったから無理強いしても仕方ないもんね。
「海の中というのも乙なものだね。手を広げてこうやって全身を海に浮かべるだけで全能感が得られるよね」
「いえ、特には」
「|◉〻◉)えー、クトゥルフ様への信仰度足りなくないですか?」
「仕方ないよ。僕たちは違う神様を信仰してるからね」
「ねー!」
【かわいい】
【そして太々しい】
【仲良いなこの二人】
【逆にここまで仲良くないとクリア出来ないんやろな】
【そうなのか】
「それはさておき、先に進もう」
「|ー〻ー)はーい」
特に何事もなく、私達は海中を進む。
「海の中の生態系は向こうとさほど変わりませんね」
「え、そう?」
後方で魚の種類をメモしながら語るもりもりハンバーグ君に私は驚きながら振り返る。
釣りはやったことあるけど、普段口にするお魚以外の知識は私持ってないよ。なのでそれ以外の知識を披露する彼に感銘を受けている。やはりプロフェッショナルは違うなぁ。
【知らないのかよ!】
【おい、海の支配者!】
「支配してるのは私じゃないので。スズキさんは知ってる?」
「|◉〻◉)僕が知っているとでも?」
【この主従www】
【どっちもどっちだな】
【良くも悪くもリリーちゃんはアキカゼさんに染まってるって分かるな】
【雑談枠ならではの馴れ合いや】
【こう言うのでいいんだよ、こう言うので】
【前日の配信がおかしすぎたから】
【毎回こうやで、アキカゼさんの配信】
【むしろそっちに期待してるリスナー多そう】
「あれ、あの祠……」
もりもりハンバーグ君が何かに気がついたみたいだ。
指を差した方向、陽光操作で光を圧縮してその場所を照らす。
そこはまるで何かを封印した様な形跡が見られた。
スクリーンショットを覗き込めば、古代語が翻訳された。
【陽光操作便利やな】
【普通に操れるのアキカゼさんぐらいだろ】
【求む、用途】
【シャドウ系に有効だろうが】
【シャドウ相手なら光属性魔法使うわ】
【草】
【比べたらあかん】
【光属性と比べたらゴミカスだしな】
ひどい言われようだ。
でもまぁ、ないない尽くしの私からしてみたらあるだけ便利だし。そして、その内容とは……
「グラーキ、ここに封印されていたのか」
それはかつて聖魔大戦で対決したグラーキの姿を模した像が置かれた祠だった。
【この人、前回海で襲われてるの完璧に忘れてるだろ】
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