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双葉 鳴|◉〻◉)

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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦

368.お爺ちゃんと聖魔大戦13

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 出発前に不穏な出来事があったにも関わらず、あれから何事もなく無事に陸地に辿り着く。
 到着するまで不安で仕方なかったが、着いて仕舞えばこちらのものだ。
 と言うより、別にアクシデントに見舞われても対処できるのだが、急にやられると心臓に悪い。
 ただ、それだけのことなんだけどね。
 海に落ちたって泳げるし。
 ただ、それは私に限った事で船を操作してる乗組員や、( ͡° ͜ʖ ͡°)氏も巻き込むのでそこだけは心配だね。


「|ー〻ー)結局何も来ませんでしたね」


 下船時、ややガッカリとしたスズキさんの声。
 心の何処かでワクワクしていたのだろうか?
 彼女は自爆芸が趣味の人だから、襲われたら美味しいのかもしれない。巻き込まれるこっちは溜まったものじゃないが。


「( ͡° ͜ʖ ͡°)どうした、爺さん。浮かない顔して」

「なんでもありません。ただ、あの写真が何を意味していたかを考えていたんです」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)考えたって仕方ないことだろ。なんも起きなかったんならそれで良いじゃねぇか」


 ( ͡° ͜ʖ ͡°)氏の言うことも尤もだ。
 何事もなければそれでいい。
 地上に降りてホッとしていたところで、背後から爆発が起きた。
 何事かと確認をすれば、先ほどまで乗っていた船から煙が上がっている。
 なにこれ、怖い。
 ミラージュ持ちじゃなかったら即死だよ?
 私は勿論、もりもりハンバーグ君、( ͡° ͜ʖ ͡°)氏、アンブロシウス氏はミラージュ持ちだ。
 くま君は知らない。彼は残機獲得で安全マージンを取るより、死地で輝くタイプだから。


「|◉〻◉)……びっくりしたー」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)やっぱり爺さんの予感は的中したな。あの影が映った船に乗るのは今後やめようぜ?」

「その方がいいでしょう。しかしなんでまた私たちが降りた後に爆発したんでしょう?」


 もしかしなくても、私達絡みでしょうか?
 だとしたら悪いことをしてしまった気がする。


「|◉〻◉)それよりも帰りの船、無くなっちゃいましたね」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)そもそも俺らに帰る余裕なんかねーだろ。こっちを支配して向こう側と統合した方がいい。ウチの神様にもそろそろ重い腰をあげてもらわねーとな」

「ツァトゥグァ様か。彼は君に似ず、変わらずのんびりしてるのかい?」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)あの人はなんて言うか面倒くさがり屋でな。でも俺を通して少しづつ変わってきてるぜ? この前もサイの家を作ろうとして瓦礫集めてたし。結局失敗に終わったが、何かをやろうって気にはなってくれたみたいだ」

「|◉〻◉)わー、おうち作ってくれる旦那さんなんて素敵! ハヤテさんもそう思いません?」

「君もクトゥルフさんに作って貰えばいいじゃないの」

「|◉〻◉)……今、ボクはハヤテさんを通してクトゥルフ様にメッセージを届けてたんですよ」

「うん、それで?」

「|ー〻ー)忙しいから眷属に作ってもらえと」

「ご愁傷様。まぁ彼も忙しない身になったからね。何でもかんでもはできないよ。世界の支配者として君臨するのが落ち着いたら頼んでみたら?」

「|◉〻◉)そうします。クトゥルフ様に起きて欲しいとお願いしたのは他ならぬ僕ですもんね」

「うん、君が素直でいる限り彼だって無碍にはしないさ」


 背後で爆発があった事実は隠せないが、それほど緊急事態でもないように私達は騒ぎを起こす港町の人並みを縫って歩いていく。
 スズキさんは影に潜り、身を潜める。
 あのボディは目立つからね。隠れてもらった。
 目立つといえば( ͡° ͜ʖ ͡°)氏もだけど、特徴的な髪型の人は意外といる世界なので、びっくりはするけど引きまではしないだろうと無視。

 そんな中で偶然の出会いがある。


「おや、アキカゼ氏。偶然であるな」
「アンブロシウスさん! 良いところで出会いました」


 セラエ君を引き連れたアンブロシウスさんがこれから乗る船が爆発を起こしたことで待機所で足止めを食らっていたのを偶然発見する。
 いや、これ本当に偶然かな?
 もしかしたらこのカメラが因果を引き寄せたのでは?
 それくらいに運が良すぎる。
 ただ一つ気になる点があるとすれば、彼の肩に小さな虫が乗っかっていた所か。


「失礼、アンブロシウス氏、そちらのお方は?」


 私の質問に、アンブロシウス氏は嬉しそうに答える。


「ふむ、やはりアキカゼ氏は着眼点が違うな。私は彼らの導きによってここまできたのだ。シャッガイの民だよ。あいにくと個体ネームを持たないが、知識量は豊富でね」

「ほう、やはり奉仕種族なのですね。一体誰を信仰しているのでしょう?」

「ナイアルラトホテプ様だと聞き及んでいるよ」


 あ、嫌な予感。
 その時、アンブロシウス氏の肩に乗った虫が笑った気がした。
 ジジっと嬉しそうな鳴き声を鳴らし、そして私の内側へと侵入してくる。


[ようやく見つけたぞ、怨敵め]


 うーん、そんなに恨まれるようなことしたかなぁ?
 全くもって身に覚えがない。
 取り敢えず積もる話もあるだろうけど、一旦場所変えない?
 ここは人が多すぎる。君達だって騒ぎを起こしたくないでしょう?


[虫けらの命なぞ知らん。我が神を侮辱した罪は重いぞ]

『|◉〻◉)この蟲、面白いこと言いますね。食べて良いですか?』


 ちょうど口が寂しかったとばかりに私の思考にスズキさんが入ってくる。
 だめだよ。お互いに意見のすり合わせをしないと。
 それに私に入り込んだところで何もできないでしょ?
 今の私はクトゥルフさんと一心同体だ。
 逆に取り込まれてしまうよ。


[何っ!? 我が神はそんなこと言ってない]

『|ー〻ー)本当に無鉄砲なやつですね。主人の顔が見てみたいものです』

[貴様!]


 本当に直情タイプの種族だなぁ。
 そして魚と虫では体格的に魚が有利。
 それとスズキさんは蟲とか好きなんだろうかと悩みつつ、私は歩みを進めて街の通りから外れた裏路地へと辿り着く。
 ここなら良いだろうか?


「さて、君たちの目的を聞こうか。場合によっては退場してもらうことになるけど」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)さっきから独り言が多いぞ、爺さん。ムーンビーストの生息地までまだあるんだからこんなところで時間を無駄にしているわけにもいかんのだが?」

[何!? 彼らも居るのか! これは好機]


 何やら偶然が一致したのはこの個体も同じようで、今まで頑なに閉じていた思念が緩やかに語り出す。


[ふはは、誅敵め。余裕でいられるのも今のうちだけぞ!]


 うんうん、そうだねー。そのムーンビーストさんは既に( ͡° ͜ʖ ͡°)氏の支配地に居るんだけどね?


[!?]


 あ、驚いてる。
 暴力によって従わせられた眷属達がどのように扱われてるなんて知りようもないだろう。
 でも今は暴力の再現者たるもりもりハンバーグ君が不在。
 彼らもそれを知ったら謀反の一つでも起こすかもしれないね。


『|◉〻◉)僕がさせませんけどね』


 心強い味方がいるので私は一安心だ。


「もしかしたら私は厄介な手合いを味方につけていたのだろうか?」

「アンブロシウス氏が気にかけることではありませんよ。それと出会えたことに感謝しましょう。そう言えば滞在時間は残り四日程ですが何か新しい情報はつかめましたか?」

「掲示板に載せられる情報かは怪しいが、シャッガイの民の技術はいくつか頂いたよ。彼らは非常に勤勉でね。星と星をつなぐワープシステムを独自に開発しているのだ。それには危険がつきまとうが、正気度を超越した私達なら問題なく使用可能だろう」

「なにそれすごい。なんで掲示板で出してくれないのさ。ワープ技術が今の時代で、この世界にあるなんて初耳だよ?」

「それを貴方がいうか。いやはや、もう少し自分の掘り起こした情報群に興味を持った方が良いのではないかね?」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)この爺さんはずっとこんな感じだぞ? 付き合いの短い俺でも分かる。これによって周囲がどれくらい振り回されてるかってのがな」

「え、私そんなつもりはなかったんですけど」

「責めてはいないさ。ただ、もう少し自分の掘り起こした情報に自信を持って欲しいと、提供された我々は思うのだよ」

「だって、スズキさん」

「|◉〻◉)え? なんです?」


 急に口元をモゴモゴさせたスズキさんへ呼びかけると、その口元からシャッガイの民が飛び出してアンブロシウス氏の肩に乗る。


[食べられる所だった、蛮族め]

『|◉〻◉)ハヤテさんを困らせるようだったら今度は遠慮なく噛み締めますからね?』

[ひぃ!?]


 こうして私達の道中に愉快なメンバーが同行することになった。もしもこっちに被害を出そうとしてもスズキさんがなんとかしてくれるだろう。
 アンブロシウス氏の内側に何体潜んでいるのかも怪しいけどね。何せ彼らは人の体をすり抜ける。
 まるで大地に潜る蟲のように、体内への侵入が可能だ。

 ハスラーの化身であるアンブロシウス氏なら被害には遭わないだろうけど、被害とは別に巣食うことは可能だからね。そこだけは厄介な点だ。


「( ͡° ͜ʖ ͡°)こっちだ、爺さんズ」

「あれ? 今私達を一まとめにしました?」

「どうやらそのようだ。若者にとっては私も貴方も老人として扱われるらしい」

「プロフェッサー、かわいそう」

「ドーターだけだよ、私の身を案じてくれるのは」

「|◉〻◉)僕だってハヤテさんの身を案じてますもんね!」


 対抗意識を出してスズキさんがセラエ君に肉薄する。
 ほらほら、怖がってるじゃないの。やめなさいよ、みっともない。


「はいはい」

「|◉〻◉)流された!?」

「スズキ、相変わらず」

「|ー〻ー)あぁん、セラエちゃんがいじめるー」

「まったく君たちはいつみても面白いな。うちのドーターもそれぐらい感情が豊かになってくれれば良いのだが」


 祖父と孫のような立ち位置で接するアンブロシウス氏。
 背中に隠れるようにしてチクチクスズキさんに言葉責めをする様はその関係性を如実に表している。
 案外この子、ズケズケ物を言うんだな。
 困惑するアンブロシウス氏を見るに、どうやらこう言う態度を取るのはスズキさんに限ってらしい。
 アンブロシウス氏にとっては孫と一緒に遊んでくれる友達といった所だろうか?

 そういう意味では悪いことばかりじゃないかな?
 セラエ君だって別にいじめたくてスズキさんに接しているわけじゃあるまい。
 そこにサイクラノーシュ君が入っていき、場を取り持つ。
 その背後では娘が独り立ちしたのを見守るような( ͡° ͜ʖ ͡°)氏の姿が映った。

 そんな賑やかな道中。
 何かが息を潜めているのも知らず、私達は知らず知らずのうちにそのポイントへと到着する。
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