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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
346.お爺ちゃんとゲスト参加①
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孫達はこのまま配信をするようだったので私達はスペシャルゲストとしてお呼ばれすることになった。ついでに幻影モードのルリーエの紹介と絶賛死んだふり中のスズキさんも連れていく。
彼女のギャグ要員としての顔と、お澄ましモードの使い分けで上手いこと騙されてくれたらいいなぁなんて考えながらクランハウスを出た。
場所はファイべリオン。
例の古代中が眠ってたダンジョンがあった場所ではなく、猫の額くらいの陸地に続く浅瀬での戦闘だ。場所に着くなり配信を開始する。
私達はそそくさとカメラの外に回った。
紹介があるまで出ない方がいいのはお約束だからね。
けどカメラの縁に流れていこうとするスズキさん。
死んだふり中でもやたらとアグレッシブだ。
重力操作と風操作でギリギリのところで引っ張るが、意外と抵抗された。
死んだふり中ってそんなに抵抗できる物なの? どこまでが演技かわからなくなる。
「こーんにーちわー! マリンだよ!」
「はい、みなさんこんにちは。ユーノです」
【マリンちゃきちゃーー】
【始まった!】
【待ってたよ!】
【ユーノちゃーー】
【あれ?衣装チェンジした?】
【耳飾り付けてる?】
「ふっふっふー。今日はそのことでもお伝えしたいことがあるのですがー、その前に! スペシャルゲストに登場してもらおうと思います。どうぞ!」
マリンの掛け声に、画面外からすぅーっとスズキさんが流れていく。しっかりカメラに収まる高さで、前まで行くなり死んだ目で口をパクパクさせて、そのまま来た時と同じ速度で無言でフェードアウトしていった。
【なんか喋れや!】
【結局誰!?】
【あのカラーリングはスズちゃんだろう】
【ああ、冒涜的アイドルの】
【相変わらず体張ってんなー】
【芸の方向性がお笑い向きなんだが、アイドルがそれでいいのか?】
【素顔は可愛いから】
【顔でアイドルやれてる女】
【アイドルやめても芸で食っていける女】
【つまりおもしれー女って事?】
コメントは加速する。
先行き不安なゲストの登場にユーノ君が早速苦笑いしている。
ルリーエの存在感を際立たせる為とはいえ、アクが強すぎたかな?
そして私がショートワープでカメラの前に現れる。
突然の登場に驚く視聴者達。
しかし私の登場に慣れ切ってる視聴者も居るようで、違う意味でも場が賑わった。
「やぁやぁ、時の人だよ。今日は孫に誘われた祖父としてカメラマンモードだ。個人的な質問には答えかねるので、質問は孫を通してお願いするよ」
【出たー新世界の元凶!】
【アキカゼさーん! 配信してー】
【配信しても砂嵐だらけなんだが?】
【あの砂嵐は魚人種になると解放されるぞ】
【それはそれで躊躇う】
登場と同時にカメラを傾けてシャッターを切る。
スクリーンショットがある手前、完全にフレーバー以外の何者でもないが、こうやって見ただけでカメラマンをするという事を視聴者に伝えるという意味では打って付けのアイテムだ。
「そして本邦初公開、私の幻影のお披露目だ」
私の影が広がり、お澄ましモードのスズキさ、ルリーエが現れる。
さっき出てきた時よりも随分と装飾過多に思えるけど、もしかして衣装チェンジした?
「お初にお目通し致します。わたくしはルリーエ。クトゥルフ様に仕える忠実な配下にして秘書をさせていただいてます」
その丁寧な態度に、魚人種達がギョギョッと騒ぎ出す。
普段掲示板で相手してるルリーエとあまりにも違うかららしいが、私は掲示板あんまり覗かないからね。
必要とあらば覗くけど、普段使いは厳しい物だ。
【ルリーエ様だ! 本物ギャ!?】
【普段が偽物みたいな言い方やめろや】
【お国言葉でてるやついるぞ。マリンちゃの配信中に失礼だろ】
「ふふ。あれはみなさんの口調に合わせてますのよ。本来はこちらの口調です。以後お見知り置きを」
にこり、と微笑むだけで場が暖かくなる。
清楚系()アイドルの真骨頂、とでも言うべきか。
スズキさんのインパクトが強すぎたのがいいアクセントになっているようだ。
【スズちゃんと違いすぎるんですが】
【|_◉〻◉)_にゃにおー。今の僕は死んだふり中だから喋れないだけだもん!】
【もん!】
【あ、スズちゃんやぽー】
【|◉〻◉)ノやぽー】
【なんでこの人カメラに映ってるのにコメント打ち込んでるの?】
【|ー〻ー)死んだふり中は暇なの。察して】
【喋っても喋らなくても芸人なのクソワロ】
【双子説あったけど別人ですわ、クォレハ】
「と、言うわけで今日はこの三人をゲストとしてお迎えして攻略していきまーす!」
【いよ! 流石マリンちゃ】
【俺だったらこの三人の手綱握り切れる気がしないぜ】
【|◉〻◉)」ヒューヒュー】
【一人視聴者が紛れ込んでますけどね】
「あはははははは、では参りましょうか。今日の攻略はフィスジロ海谷に住むディープローダーとか、そっちの攻略を中心に進めていきますね」
【ユーノちゃ、がんばれー】
【( ´∀`)っ|胃薬|】
「胃薬ありがとうございます。いつにも増して私の苦労が積み重なりますので、ある程度はお察しいただければありがたいです」
差し入れが胃薬な辺りが実にユーノ君らしい。
普段からマリンに振り回されてるからこそ、私やルリーエ、スズキさんに今から心配と言いたげだ。
無論、苦労させるつもりは無いけれど。どう受け取るかは本人次第なところがあるからね。
さて、ディープローダーというモンスターは初めて聞く。
一度戦闘開始すると、現れたのは大きめなイソギンチャクだった。
[あれは余の眷属だな。魚人種以外にこれ以上先に進ませないように見張りを言いつけたのだ。まだ命令に従ってくれる辺り忠誠度の高さが窺えるな]
うん、まさかの身内説。
エルフだったから通せんぼされてたマリン達。
彼女の派生スキル数ですら打倒を諦めた相手だったらしいが、今なら特に敵対行動も取らずにあっさり通してもらえた。
キョトンとするマリン達の姿を私は激写していく。
そのあとさっきの写真消してと猛抗議されたが、誰にも配らないからと約束をして許してもらった。
少しでも恥ずかしい写真を残したくないようだ。
「え、えー……なんでか一切攻撃してきませんでしたね。普段はウニョウニョって触手を伸ばしてうざったいくらいだったんですが」
【知ってる。いつも見てるもん】
【どうして今日は態度違うの?】
【マリンちゃたちに見惚れたんだろ】
【思春期かな?】
「あー、少しいいかな?」
私は申し訳程度に挙手し、困り果てるマリン達に窺った。
「お爺ちゃん、何か知ってるの?」
「多分それ、マリン達が種族変更したからだと思うよ」
「え、なんで?」
マリンは何故そんな事を私が知ってるか本気でわからないようだ。それ以前の問題で、プレイヤーに敵対視してくる相手はモブとして認識しているプレイヤーも多い。
「アキカゼさん、知ってることがあるんでしたら包み隠さずお願いします」
ユーノ君は疲れ切った顔で私に促した。
どうやら傷まないはずの胃がキリキリ痛みだしたようだ。
「その前に種族変更の発表も兼ねたらどうかな? マリン達の変化が気になる視聴者さん達も多いだろう」
「あ、そうだった。よっと!」
マリンは先ほどまで人間の足だったのを魚の尾鰭に変化させて、その場で一回転して海に潜った。
足場は浅瀬なんだけど、海霧纏(カムイ)を纏えば地形を無視して潜れるようだ。
選択できる海霧纏は一種類のみで、霊装との違いは時間制限が特にない事だ。
新たな海霧纏の入手法が霊装と同じで試練式。
用途だけが違っている。言わば場所問わず海の地続きとして扱えるようだ。私そんなこと出来ないのに扱えないとか不公平じゃない?
【あいえーー!なんで!?マリンちゃなんで!?】
【海霧纏出せるって事は魚人種!?】
【でも見た目は人間そっくりやん】
【マーメイドですら人の肌に鱗あるのに、こっちはほぼ人間ベースですし】
【!?!?!?!?】
【つまりどういう事だってばよ】
「実はこれ、お爺ちゃんが私のために用意してくれたんだー」
ニコニコ顔のマリンに、私はうんうんと頷いて理由を述べた。
それが人間形態と人魚形態の切り替えのできる種族の創造。
ある意味では種族にすら介入出来るのが神格が頂点を取った恩恵だと語る。
ただ世界の歴史が変わり、神格の領域が変わるだけではない。
それ以外にも遊び方そのものが変わることだってあるのだよと定義つける。
生臭そうだからと毛嫌いしてる層も引き込めないかとお願いして、実装したのがハーフマーメイド、ハーフマリナーという種族だと説明する。
【うおー、神ぃ!】
【この種族にならなっても良いかな?】
【人類救済のなんたるかをわかってるー】
【つまり今ならマリンちゃとお揃いになれる訳だな!?】
【滾る!】
彼女のギャグ要員としての顔と、お澄ましモードの使い分けで上手いこと騙されてくれたらいいなぁなんて考えながらクランハウスを出た。
場所はファイべリオン。
例の古代中が眠ってたダンジョンがあった場所ではなく、猫の額くらいの陸地に続く浅瀬での戦闘だ。場所に着くなり配信を開始する。
私達はそそくさとカメラの外に回った。
紹介があるまで出ない方がいいのはお約束だからね。
けどカメラの縁に流れていこうとするスズキさん。
死んだふり中でもやたらとアグレッシブだ。
重力操作と風操作でギリギリのところで引っ張るが、意外と抵抗された。
死んだふり中ってそんなに抵抗できる物なの? どこまでが演技かわからなくなる。
「こーんにーちわー! マリンだよ!」
「はい、みなさんこんにちは。ユーノです」
【マリンちゃきちゃーー】
【始まった!】
【待ってたよ!】
【ユーノちゃーー】
【あれ?衣装チェンジした?】
【耳飾り付けてる?】
「ふっふっふー。今日はそのことでもお伝えしたいことがあるのですがー、その前に! スペシャルゲストに登場してもらおうと思います。どうぞ!」
マリンの掛け声に、画面外からすぅーっとスズキさんが流れていく。しっかりカメラに収まる高さで、前まで行くなり死んだ目で口をパクパクさせて、そのまま来た時と同じ速度で無言でフェードアウトしていった。
【なんか喋れや!】
【結局誰!?】
【あのカラーリングはスズちゃんだろう】
【ああ、冒涜的アイドルの】
【相変わらず体張ってんなー】
【芸の方向性がお笑い向きなんだが、アイドルがそれでいいのか?】
【素顔は可愛いから】
【顔でアイドルやれてる女】
【アイドルやめても芸で食っていける女】
【つまりおもしれー女って事?】
コメントは加速する。
先行き不安なゲストの登場にユーノ君が早速苦笑いしている。
ルリーエの存在感を際立たせる為とはいえ、アクが強すぎたかな?
そして私がショートワープでカメラの前に現れる。
突然の登場に驚く視聴者達。
しかし私の登場に慣れ切ってる視聴者も居るようで、違う意味でも場が賑わった。
「やぁやぁ、時の人だよ。今日は孫に誘われた祖父としてカメラマンモードだ。個人的な質問には答えかねるので、質問は孫を通してお願いするよ」
【出たー新世界の元凶!】
【アキカゼさーん! 配信してー】
【配信しても砂嵐だらけなんだが?】
【あの砂嵐は魚人種になると解放されるぞ】
【それはそれで躊躇う】
登場と同時にカメラを傾けてシャッターを切る。
スクリーンショットがある手前、完全にフレーバー以外の何者でもないが、こうやって見ただけでカメラマンをするという事を視聴者に伝えるという意味では打って付けのアイテムだ。
「そして本邦初公開、私の幻影のお披露目だ」
私の影が広がり、お澄ましモードのスズキさ、ルリーエが現れる。
さっき出てきた時よりも随分と装飾過多に思えるけど、もしかして衣装チェンジした?
「お初にお目通し致します。わたくしはルリーエ。クトゥルフ様に仕える忠実な配下にして秘書をさせていただいてます」
その丁寧な態度に、魚人種達がギョギョッと騒ぎ出す。
普段掲示板で相手してるルリーエとあまりにも違うかららしいが、私は掲示板あんまり覗かないからね。
必要とあらば覗くけど、普段使いは厳しい物だ。
【ルリーエ様だ! 本物ギャ!?】
【普段が偽物みたいな言い方やめろや】
【お国言葉でてるやついるぞ。マリンちゃの配信中に失礼だろ】
「ふふ。あれはみなさんの口調に合わせてますのよ。本来はこちらの口調です。以後お見知り置きを」
にこり、と微笑むだけで場が暖かくなる。
清楚系()アイドルの真骨頂、とでも言うべきか。
スズキさんのインパクトが強すぎたのがいいアクセントになっているようだ。
【スズちゃんと違いすぎるんですが】
【|_◉〻◉)_にゃにおー。今の僕は死んだふり中だから喋れないだけだもん!】
【もん!】
【あ、スズちゃんやぽー】
【|◉〻◉)ノやぽー】
【なんでこの人カメラに映ってるのにコメント打ち込んでるの?】
【|ー〻ー)死んだふり中は暇なの。察して】
【喋っても喋らなくても芸人なのクソワロ】
【双子説あったけど別人ですわ、クォレハ】
「と、言うわけで今日はこの三人をゲストとしてお迎えして攻略していきまーす!」
【いよ! 流石マリンちゃ】
【俺だったらこの三人の手綱握り切れる気がしないぜ】
【|◉〻◉)」ヒューヒュー】
【一人視聴者が紛れ込んでますけどね】
「あはははははは、では参りましょうか。今日の攻略はフィスジロ海谷に住むディープローダーとか、そっちの攻略を中心に進めていきますね」
【ユーノちゃ、がんばれー】
【( ´∀`)っ|胃薬|】
「胃薬ありがとうございます。いつにも増して私の苦労が積み重なりますので、ある程度はお察しいただければありがたいです」
差し入れが胃薬な辺りが実にユーノ君らしい。
普段からマリンに振り回されてるからこそ、私やルリーエ、スズキさんに今から心配と言いたげだ。
無論、苦労させるつもりは無いけれど。どう受け取るかは本人次第なところがあるからね。
さて、ディープローダーというモンスターは初めて聞く。
一度戦闘開始すると、現れたのは大きめなイソギンチャクだった。
[あれは余の眷属だな。魚人種以外にこれ以上先に進ませないように見張りを言いつけたのだ。まだ命令に従ってくれる辺り忠誠度の高さが窺えるな]
うん、まさかの身内説。
エルフだったから通せんぼされてたマリン達。
彼女の派生スキル数ですら打倒を諦めた相手だったらしいが、今なら特に敵対行動も取らずにあっさり通してもらえた。
キョトンとするマリン達の姿を私は激写していく。
そのあとさっきの写真消してと猛抗議されたが、誰にも配らないからと約束をして許してもらった。
少しでも恥ずかしい写真を残したくないようだ。
「え、えー……なんでか一切攻撃してきませんでしたね。普段はウニョウニョって触手を伸ばしてうざったいくらいだったんですが」
【知ってる。いつも見てるもん】
【どうして今日は態度違うの?】
【マリンちゃたちに見惚れたんだろ】
【思春期かな?】
「あー、少しいいかな?」
私は申し訳程度に挙手し、困り果てるマリン達に窺った。
「お爺ちゃん、何か知ってるの?」
「多分それ、マリン達が種族変更したからだと思うよ」
「え、なんで?」
マリンは何故そんな事を私が知ってるか本気でわからないようだ。それ以前の問題で、プレイヤーに敵対視してくる相手はモブとして認識しているプレイヤーも多い。
「アキカゼさん、知ってることがあるんでしたら包み隠さずお願いします」
ユーノ君は疲れ切った顔で私に促した。
どうやら傷まないはずの胃がキリキリ痛みだしたようだ。
「その前に種族変更の発表も兼ねたらどうかな? マリン達の変化が気になる視聴者さん達も多いだろう」
「あ、そうだった。よっと!」
マリンは先ほどまで人間の足だったのを魚の尾鰭に変化させて、その場で一回転して海に潜った。
足場は浅瀬なんだけど、海霧纏(カムイ)を纏えば地形を無視して潜れるようだ。
選択できる海霧纏は一種類のみで、霊装との違いは時間制限が特にない事だ。
新たな海霧纏の入手法が霊装と同じで試練式。
用途だけが違っている。言わば場所問わず海の地続きとして扱えるようだ。私そんなこと出来ないのに扱えないとか不公平じゃない?
【あいえーー!なんで!?マリンちゃなんで!?】
【海霧纏出せるって事は魚人種!?】
【でも見た目は人間そっくりやん】
【マーメイドですら人の肌に鱗あるのに、こっちはほぼ人間ベースですし】
【!?!?!?!?】
【つまりどういう事だってばよ】
「実はこれ、お爺ちゃんが私のために用意してくれたんだー」
ニコニコ顔のマリンに、私はうんうんと頷いて理由を述べた。
それが人間形態と人魚形態の切り替えのできる種族の創造。
ある意味では種族にすら介入出来るのが神格が頂点を取った恩恵だと語る。
ただ世界の歴史が変わり、神格の領域が変わるだけではない。
それ以外にも遊び方そのものが変わることだってあるのだよと定義つける。
生臭そうだからと毛嫌いしてる層も引き込めないかとお願いして、実装したのがハーフマーメイド、ハーフマリナーという種族だと説明する。
【うおー、神ぃ!】
【この種族にならなっても良いかな?】
【人類救済のなんたるかをわかってるー】
【つまり今ならマリンちゃとお揃いになれる訳だな!?】
【滾る!】
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