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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦

338.お爺ちゃんと古代獣慣らし⑥

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 多くの意味でSAN値直送となった今回の配信。
 私達ベルト所持者以外の旨味は全くないが、それでもベルト持ちの神格ライダーがどの様な存在かは掴めたと思う。

 もう既に自分たちの手に負えない存在だと理解してもらえてるだろうか?
 そしてそのベルトを得られるチャンスは誰にでもある事。
 そういう意味でも知って置けるチャンスがあれば知っておきたいと思うのはプレイヤーあるあると言ったところか。

 私は何も知らない状態で手探りで遊ぶ方が好きだなぁ。
 いや、古代獣の事は成り行きだけどね?

 いまだ砂嵐が出て映像が乱れているのはスズキさんの采配だ。
 もりもりハンバーグ君は気がついただろうか?
 私の幻影が彼女である事に。
 だがそれをあえて指摘しないのは彼なりの優しか。
 
 訳の分からないくま君と、理由を知ってる( ͡° ͜ʖ ͡°)氏は、上手いことペット化出来たティアマットを前に意見を述べていた。
 それに対して私なりの見解を述べていく。


「くまー、物足りなかったくま。古代獣ってこんなもんだったくま?」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)んなわけねーだろ。そこの考古学者の能力が頭一つ飛び出てやばいだけだ。ガタトノーアっつったっけ? あんたの神様」

「ええ、外なる神の一柱です。見た感じはクトゥルフ様に似てますが、特性は似て非なる物ですよ」


 もりもりハンバーグ君はニコニコと語りながら照れた様に笑う。頭が触手になっても不思議と声色だけで判る物だ。

 スズキさん達は何故か私たちから少し離れて座って何やら話し込んでいた。
 サイクラノーシュ君とヤディス君はその話を聞いて何やら声を弾ませていた。
 どんなお話をしているのかちょっと気になるけど声をかけるのも憚られる。見た目はあれだが、一応女子トークだ。


「何はともあれ次行きましょうか。ペット化させたので次九尾君の様子を見にナインテイルに行ってから考えましょ」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)了解。いくぞ、サイ」

「わかった」

「ヤディス、おいで」

「うん!」


 二人の魔導所のオーナーが呼びかけて駆けつける幻影達。
 そんな姿を見ながらスズキさんが期待した瞳を私に投げかけた。しょうがない。

 私は懐からリードを取り出すと、犬の様に喜び勇んで四足歩行で走ってくるスズキさんを受け止めてその首にリードを繋いだ。


「( ͡° ͜ʖ ͡°)なんかアキカゼさんだけ扱い違うな」

「え、そうですか?」


 ヘッヘッヘとお座りをしてるスズキさんにお手をしている私は訝しげに見てくる( ͡° ͜ʖ ͡°)氏を振り返る。
 くま君やもりもりハンバーグ君は苦笑していた。


「私はすっかり慣れてしまいましたからね。いずれあなた達もこの様な関係性になりますよ」

「無理。それはスズキだけ」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)って言ってるが?」

「マスターもわたしにそれを求める?」

「もちろんしないよ」

「良かった」


 何やら飼い主とペットの様なプレイはレベルが高すぎた様だ。
 ( ͡° ͜ʖ ͡°)氏やもりもりハンバーグ君から飽きられた様な瞳を向けられている。
 そして幻影達もあまり羨ましがってないみたいだ。


「どうやらお気に召さなかった様だね」

「彼女達はまだまだお子様ですからね。高度な駆け引きはできないんですよ」

[いや、今のは流石に余でも目に余るぞ?]

「あぁん」


 心の内からクトゥルフさんにも呆れられて、スズキさんはぐったりした様にショックを受けていた。
 いや、自業自得だからね?



 ◇



 ところ変わってナインテイル。
 砂嵐もすっかり止んで、私の配信は何事もなかった様に再開する。


「はい、途中放送事故はありましたが無事ナインテイルまでやってこれました」

【放送事故なんだよなぁ】
【エイトパスが丸ごと無かった事になってるの草】
【ペット化は出来たんですか?】

「そこは大丈夫。ただ絵面が正気を保てない顔ぶれだったから砂嵐多めでお届けしたよ」

【ガタトノーア様がヤバすぎるもんな】
【某宇宙怪獣が生易しく見えるビジュアルだし】
【あれでまだ成長途中なのがすごい】
【ヤディスちゃんは可愛いのになぁ】
【サイクラノーシュちゃんだって可愛いやろ?】

「|◉〻◉)僕は?」

【何故幻影に張り合うのか、これがわからない】
【ペット枠の危機を感じ取ったんじゃないか?】
【魚の人はまず着ぐるみ脱ぐ練習からしような?】

「|◉〻◉)……無理」

【なら論外だ】

「そうやっていじめないの。スズキさんの良さは私がわかってるよ。それじゃあだめかな? 私以外の人にも認めて欲しいの?」

「|◉〻◉)フフフ、どうです? このデレっぷり。世界が敵でも僕だけを選んでくれるんです! 羨ましいでしょ」

「すごい」

「つよい」

【何故か張り合う幻影達】
【やっぱりこの子幻影なんじゃ?】
【そう思う方が辻褄が合う】

「( ͡° ͜ʖ ͡°)サイも俺にそれを望んでるのか?」

「まさかヤディスもそう言うのに憧れがあるとは思いませんでした」

「うちも娘がいるくまけど、いずれこうなってしまうくまか?」

「御三方がどの様にこの子達と接するかは分かりません。けど私達はこの様な歩み方を得ました。これが正解とは受け取らず、例の一つ程度に思っていたら良いんじゃないですか?」

【あれ? この言い分だとアキカゼさんの幻影が魚の人だって事になるが?】

「どうでしょう? 彼女の真実の姿がどうであれ、私と彼女の付き合い方は変わりませんよ。出会った時も真実を知った時も。ずっと変わりません」

【ま、どっちにせよ魚の人は恵まれてるってことは確かだ】
【魚人が蔑ろにされてる時からの付き合いだし、ちょっとやそっとじゃ仲違いしなさそう】
【逆に言えば今の現状でトカゲ人間に手を差し伸べるのと同じなんだよな】
【エイトパスの頭でっかちか。俺なら無理だわ】

「出会いは最悪ですからね。ですが彼女は普通に地上まで歩いてきました。自分から接触はしてきませんでしたけど、寂しそうな背中を見て、放って置けませんでしたからね」

【そこで声を掛けられるのがつよい】
【今考えれば魚人って地上で活動すんのまず無理だもんな】
【それ】

「( ͡° ͜ʖ ͡°)要は新人時代に種族で差別してる奴らには一生回ってこない縁だぞ?」

【うっ……それを言われると辛い】


 雑談が横道に逸れ始めたので九尾君の待つダンジョンに入る。
 が、


「あれ? 九尾君とのパスが切れてる」

「どういう事です?」

「ティアマットをペット化する前までは領域内に入ればすぐに九尾君の元に送られていたんだ。でも今はそれがない」

「つまりどういう事くま?」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)要は世界を牛耳ってもペット化できる古代獣は一匹までって事か。まぁそれくらいで良いんじゃねぇか? 一匹だけでも支配下に置けるのなら信仰力は大きく上がるし、無理して過去改変にこだわる必要もなくなる。俺にとってはありがたい情報だわ」

「そう考えれば無理に浸食度を上げる必要もなくなりますか?」

「それはどうだろう? 言っちゃあなんだが、私の変身は浸食率と大きな関わりを持つ。つまりは浸食率こそが神格の能力を引き出すための力だと思っている」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)でもよ、理論上浸食率は100%までしか上がんねぇだろ?」


 彼の言いたいことも尤もだ。
 運良く正気度を保てても最大で100%まで。
 これは九尾君との絆値で私が証明した事でもある。


「その為に必要なのがこの神話武器なのだろう。これは私が浸食度が100%になってから現れた物だが、これを手に入れて私は浸食度の限界突破を果たした」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)それが神話武器か。言っちゃあなんだが普通だな。ブーメランは確かに珍しいが、なくはないだろ」

「いや、見た目で判断しちゃダメなやつですよ、これは」


 考古学者のもりもりハンバーグ君の目が何かを読み取ったのか怪しく光る。もう変身は解いたので触手人間ではなくなってるからね。


「くまー? 鰹節みたいで美味しそうくま」


 くま君はのほほんと言った。お腹空いてるのかな?
 スズキさん見ても言う人だし、どこまで本気か分からないな。


「だめだよ、くま君食べ物じゃないんだから。ちなみになんて名前なんです? 神話とつくのだからさぞ名のある武器なのでしょうね」


 色々と物知りな彼は私の口から飛び出る武器をどれだろうと予測している。
 だがそれを知っている視聴者達は我慢できずにコメントに書き込んでいく。


【いやいや、あれはわからんでしょ】
【神話は神話でもクトゥルフ神話だしな】

「クトゥルフ神話で武器ですか? いや、あれは埒外すぎるし」

【何に思い当たったんやろか?】
【SAN値チェック待ったなしのやつやろ】
【どちらにせよ一緒で草】

「( ͡° ͜ʖ ͡°)輝くトラペゾヘドロンとか?」

【やめろ!】
【想像しうる中で一番ヤバいの持ってくるな!】

「くまは神話に詳しくないくまね」


 しょぼんとした口調でその場にしゃがみ込むくま君。
 落ち込んでる様なのに威圧がすごい。
 ニャルラトホテプに選ばれるだけあるというか、闘争本能に極振りした結果が彼なのだろうか。


【そんな奴がネクロノミコン持ってて平気?】
【逆に詳しい奴の方が発狂する代物やぞ】
【ある意味無難?】

「降参です。僕には難しすぎました」

「深く考える必要はないよ。この武器にはある神様が封じられてるんだ。ロイガーという名に心当たりは?」

「確か双子の神様ですよね? もう一方はツァールだったかと」

「うん。もう一つはアンブロシウス氏が持ってるよ」

「把握しました。つまり他の神格に近しい、または奉仕種族が武器になり得ると?」

「うん。他にもこのリングとかもそうだよ」


 私は右手の人差し指にはめたリングをみんなに見せた。
 まだ本格参戦したことは無いが、今回のお披露目は( ͡° ͜ʖ ͡°)氏へのお土産的な意味も含まれる。


「そのリング、なんか懐かしい雰囲気」


 サイクラノーシュ君の方がいち早く気がついたか。


「( ͡° ͜ʖ ͡°)そうなのか、サイ?」

「うん、これ欲しい」

「そうだね、まだ居ると思うから後で案内しよう」

「( ͡° ͜ʖ ͡°)居る? そのリングの出どころも怪しいが、何がその先に居るんだ?」

「ショゴスですね。場所は配信内では教えられませんが、後でスズキさんを通じて案内入れますね」

「|◉〻◉)僕が案内してあげますねー」

「ショゴス! 懐かしい!」

【すっごい喜んでるところ恐縮ですけど】
【うん、そんな存在が身近に居ることに驚きを隠せないんだが】
【しっかしショゴス、ショゴスかぁ】
【見た目はスライムだけど結構知能高いよな、あいつら】

「その手の存在は浸食度が高く無いとまず遭遇できませんからね。100%まで上がってからなら案外向こうのほうから近づいてきてくれますよ? 受け取るかどうかはその人次第ですが」

「僕にもいずれ見つかるでしょうか?」

「うん、私にだって見つけられたんだ。しかも散歩中にね? だから浸食度をあげるためにも古代獣のペット化はしておいた方がいいよ」

「くまはまだ別に良いくまね。今はどんな相手が残ってるかもわからないくま。正気度は減らさない様にしとくくま」

「そうだね、無理強いはしないよ。では先に( ͡° ͜ʖ ͡°)氏の要望を叶えておこうか」


 ナインテイルに来たばかりだけど、すぐに次の街テンスリバーへと赴く。
 そこで私達を待ち受けるのは今まで以上の強敵だった。

 その相手とは、いまだ攻略の進捗が進まないことで有名な龍種。ファフニールだった。
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