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5章 お爺ちゃんと聖魔大戦
315.お爺ちゃんのレイドボス日記②
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合体をすると言ったヘビーとピョン吉は文字通りくっ付いた。
どういう原理かはさっぱりわからないが、ピョン吉の頭からヘビーの首が生えている。そして尾てい骨辺りから尻尾も生えていた。
遠目から見ればドラゴンに見えなくもない。
強いのかはともかくとして、攻撃手段は劇的に増えてる気がした。
[キシャァアアアア(行くぜ兄弟)][ゲロゲーロ(おう!)]
口が別々にあるから別々に喋る。
そしてピョン吉の周囲を巻き込む吸い込み攻撃と、ヘビーの目からビームが同時に展開される。
さて、このままでは私も巻き込まれてしまうな。
そろそろ移動を開始しようか。
そこへ苛立ちを纏った殺気を感じ取る。
『おっと、危ない』
即座にしゃがみ込んだ上空を、横凪のレーザーブレードが通り過ぎる。完全に不意を突かれた形だ。冷や汗がドッと出る。
「チッ、今のを避けるのね」
それは気配を消して、背景と同一化していたシェリルだった。
ステルス機能を使っていたのだろう。
ピョン吉の吸い込み攻撃にもなんなく耐えてみせ、更には九尾君の目視にも映らない。厄介な相手だよ。
『ヘビーの相手はしなくて良いの?』
「あれを倒しても無駄でしょ? 私は父さんを倒すだけよ。あっちは仲間に任せてるから」
やっぱりこの子は物事の本質をよく理解している。
ヘビーとピョン吉はただの助っ人枠。
テイマーを倒さない限り何度倒しても復活する。
シェリルはスーツのようなバトルスーツを身につけ、レーザーブレードをクロスして構えた。
まるでその技術の達人のような雰囲気だ。
まともに相手をしたら、こちらは部が悪い。
[隙あり!]
そこへ九尾君が背中の触腕の一つを奮ってシェリルに巻きつけようとした。
ああ、あれはただの誘いなのに。
案の定、人間では回転不能の手首をグルンと回して触腕は焼き切られてしまった。
ジュワッと焦げ付く触腕だったが、みるみる再生していく。
「無駄よ。私に人間と同じ行動範囲を期待しないでちょうだい」
『なに、若気の至りという奴さ。今のは九尾君の独断でね。こうやって修行を積ませてる。君はレムリア陣営で一番の使い手だろう?』
「わからないわ。同じ陣営同士で力比べはしないもの」
『そうかい。でも九尾君のレベルアップの為に役立たせて貰うよ!』
一歩踏み込む。構えた拳を突き出し、それはシェリルによって焼き切られた。
『甘い! 腕を切った程度で私が止まるとでも?』
「クッ!」
ショートワープでシェリルの背後に移動し、肩を力点にして全体重を乗せたぶちかましを行う!
バランスを崩すシェリル。私は彼女の背中を踏みつけ、レムリアの器で手癖の悪い両手を切断しようと望み、
「変身! シヴァ召喚!」
うつ伏せのままライダーに変身したシェリルによってその行動を阻害される。
私は落雷が直撃したシェリルから距離を取り、様子を伺った。
変身中の攻撃はご法度。
と、言うよりは攻撃する隙が一切ない。
周囲には神の降臨を祝福する様にスパークが鳴り響いている。
シヴァ神召喚の余波で落雷が周囲に落ち、神々しい光と共に上空からシェリルへと乗り移る。
舞う様な毛髪、そして荒々しい形相。それはシヴァ神のイメージとそっくりだった。
そしてシェリルと似通う場所もある。
「さて、仕切り直しよ」
『これは形勢逆転というのではないのかね?』
「そこまで自分を高く評価してないわ」
これだ。シェリルは昔から自分がどんなに凄いことをしたとしても、周囲に自慢しない。
当たり前のことと内側で処理し、さらに上を目指す。
それを見た周囲から「あの子調子に乗ってるよね」と咎められたことも何度かあると母さんから聞いた。
頑張り屋さんなのは良いが、あの子にとっては全てが通過点。
ゴールを高く持ちすぎた結果、彼女の努力は周囲を置き去りにする。親としてはもう少し友達を作って欲しい所だったが、彼女がそう決めたのだからあまりとやかく言えなかったんだよね。
それでも結婚して子供も持ち、こうして趣味に没頭して、仲間もできている。私の心配なんてどこ吹く風で彼女は自分のやり方で幸せを掴んだのだ。
雷を纏ったタックル。
光の速さで肉薄し、レーザーブレードは鞭の様にしなった。
まるで舞を見せられてる様な優雅さとは裏腹に苛烈な攻撃。
私は避けるのに全神経を集中させている。
「楽しいわね、父さん」
『私は全然楽しくないよ』
「つれないこと言わないで。こうして父さんと遊ぶことなんて滅多になかったもの」
『それは、済まないと思ってる』
一進一退の攻防の中で、親子の気持ちが見え隠れした。
拳を合わせてわかる。
彼女は私ともっと親子としての会話を楽しみたかったのだろうと。
「ならもっと撃ち込んできてちょうだい。このままじゃ私が攻め切ってしまうわ」
やはり形勢逆転じゃないのかな、これ。
普段のスキルビルドが移動特化。
イベントのおまけアイテムのレムリアの器も同じレムリア人にはそこまで通用しないし、テイマーとしてのモンスターを無視された今、手数の多さが勝負を決する。
そしてライダー同士の戦いは私も初めてだ。
「残念、もう少し楽しめると思ったのに」
遠く、あれほどの猛攻を見せていたヘビーとピョン吉のタッグはシェリルの仲間に攻略され切っていた。
すでに攻略済みの相手。合体したところで攻略されるのは時間の問題だった様だ。
「チェックメイトね、父さん」
[どうするんだよ、兄弟]
いつになく焦る九尾君。確かにこれは部が悪い。
ヘビーとピョン吉の召喚ゲージの色が灰色に染まり、再召喚は目処が立たず。
『まだ手はあるよ。そしてシェリル』
「なに?」
『強くなったね。親として嬉しく思うよ』
「そう」
『だから、もう躊躇はしない』
「そうしてくれる?」
九尾君から触腕の権利を奪い取り、クトゥルフからの侵食をもう一段階侵攻させる。
ざわざわと触手が揺れ、どぷりと粘液が周囲を覆う。
『領域展開、ルルイエ』
ざぁっ!
私を中心に海を再現。
海中での移動を見越していないレムリア陣営は嫌そうな顔で私を見る。
ライダーでの攻撃ではない為、正気度を10%削っての召喚。
侵食度を10上昇させ、クトゥルフの意思が肉体に映り込む。
『九尾君、悪いがここから先は私だけでいかせてもらうよ』
[兄弟の力、ここから観戦させてもらうからな]
『それは心強い』
触腕を新たに二本生やし、八本の腕、タコの様な目をギョロリとさせてシェリルを見る。
もう上半身のほとんどがクトゥルフに支配されつつある。
けれど意識は強固なまでに私のもので、しっかりと肉体の制御はできている。
シェリルの仲間たちは逃げる場所を探す様に移動するけど、シェリル自体は特に何かをするでもなく私をじっと睨んでいる。
「そこに居るのは父さん? それともクトゥルフ?」
『アキカゼ・ハヤテ。その人さ』
「そう、なら決着をつけましょう」
『望むところさ』
シェリルは海中でぴたりと姿勢を固定したまま、雷を纏う鞭を構えた。
海中内、電撃は乱反射する。
私にとっての天敵も良いところだ。
だが、それは腕が2本だった時に限る。
手が増えればやれることもまた増えるのだ。
『行くぞ、シェリル!』
「ええ!」
ぶつかり合う意思。爆ぜるスパーク。
そしてその余波は海の中のほとんどの生物を死滅させた。
生き残っているのは神格をおろしたライダーのみであった。
どういう原理かはさっぱりわからないが、ピョン吉の頭からヘビーの首が生えている。そして尾てい骨辺りから尻尾も生えていた。
遠目から見ればドラゴンに見えなくもない。
強いのかはともかくとして、攻撃手段は劇的に増えてる気がした。
[キシャァアアアア(行くぜ兄弟)][ゲロゲーロ(おう!)]
口が別々にあるから別々に喋る。
そしてピョン吉の周囲を巻き込む吸い込み攻撃と、ヘビーの目からビームが同時に展開される。
さて、このままでは私も巻き込まれてしまうな。
そろそろ移動を開始しようか。
そこへ苛立ちを纏った殺気を感じ取る。
『おっと、危ない』
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「チッ、今のを避けるのね」
それは気配を消して、背景と同一化していたシェリルだった。
ステルス機能を使っていたのだろう。
ピョン吉の吸い込み攻撃にもなんなく耐えてみせ、更には九尾君の目視にも映らない。厄介な相手だよ。
『ヘビーの相手はしなくて良いの?』
「あれを倒しても無駄でしょ? 私は父さんを倒すだけよ。あっちは仲間に任せてるから」
やっぱりこの子は物事の本質をよく理解している。
ヘビーとピョン吉はただの助っ人枠。
テイマーを倒さない限り何度倒しても復活する。
シェリルはスーツのようなバトルスーツを身につけ、レーザーブレードをクロスして構えた。
まるでその技術の達人のような雰囲気だ。
まともに相手をしたら、こちらは部が悪い。
[隙あり!]
そこへ九尾君が背中の触腕の一つを奮ってシェリルに巻きつけようとした。
ああ、あれはただの誘いなのに。
案の定、人間では回転不能の手首をグルンと回して触腕は焼き切られてしまった。
ジュワッと焦げ付く触腕だったが、みるみる再生していく。
「無駄よ。私に人間と同じ行動範囲を期待しないでちょうだい」
『なに、若気の至りという奴さ。今のは九尾君の独断でね。こうやって修行を積ませてる。君はレムリア陣営で一番の使い手だろう?』
「わからないわ。同じ陣営同士で力比べはしないもの」
『そうかい。でも九尾君のレベルアップの為に役立たせて貰うよ!』
一歩踏み込む。構えた拳を突き出し、それはシェリルによって焼き切られた。
『甘い! 腕を切った程度で私が止まるとでも?』
「クッ!」
ショートワープでシェリルの背後に移動し、肩を力点にして全体重を乗せたぶちかましを行う!
バランスを崩すシェリル。私は彼女の背中を踏みつけ、レムリアの器で手癖の悪い両手を切断しようと望み、
「変身! シヴァ召喚!」
うつ伏せのままライダーに変身したシェリルによってその行動を阻害される。
私は落雷が直撃したシェリルから距離を取り、様子を伺った。
変身中の攻撃はご法度。
と、言うよりは攻撃する隙が一切ない。
周囲には神の降臨を祝福する様にスパークが鳴り響いている。
シヴァ神召喚の余波で落雷が周囲に落ち、神々しい光と共に上空からシェリルへと乗り移る。
舞う様な毛髪、そして荒々しい形相。それはシヴァ神のイメージとそっくりだった。
そしてシェリルと似通う場所もある。
「さて、仕切り直しよ」
『これは形勢逆転というのではないのかね?』
「そこまで自分を高く評価してないわ」
これだ。シェリルは昔から自分がどんなに凄いことをしたとしても、周囲に自慢しない。
当たり前のことと内側で処理し、さらに上を目指す。
それを見た周囲から「あの子調子に乗ってるよね」と咎められたことも何度かあると母さんから聞いた。
頑張り屋さんなのは良いが、あの子にとっては全てが通過点。
ゴールを高く持ちすぎた結果、彼女の努力は周囲を置き去りにする。親としてはもう少し友達を作って欲しい所だったが、彼女がそう決めたのだからあまりとやかく言えなかったんだよね。
それでも結婚して子供も持ち、こうして趣味に没頭して、仲間もできている。私の心配なんてどこ吹く風で彼女は自分のやり方で幸せを掴んだのだ。
雷を纏ったタックル。
光の速さで肉薄し、レーザーブレードは鞭の様にしなった。
まるで舞を見せられてる様な優雅さとは裏腹に苛烈な攻撃。
私は避けるのに全神経を集中させている。
「楽しいわね、父さん」
『私は全然楽しくないよ』
「つれないこと言わないで。こうして父さんと遊ぶことなんて滅多になかったもの」
『それは、済まないと思ってる』
一進一退の攻防の中で、親子の気持ちが見え隠れした。
拳を合わせてわかる。
彼女は私ともっと親子としての会話を楽しみたかったのだろうと。
「ならもっと撃ち込んできてちょうだい。このままじゃ私が攻め切ってしまうわ」
やはり形勢逆転じゃないのかな、これ。
普段のスキルビルドが移動特化。
イベントのおまけアイテムのレムリアの器も同じレムリア人にはそこまで通用しないし、テイマーとしてのモンスターを無視された今、手数の多さが勝負を決する。
そしてライダー同士の戦いは私も初めてだ。
「残念、もう少し楽しめると思ったのに」
遠く、あれほどの猛攻を見せていたヘビーとピョン吉のタッグはシェリルの仲間に攻略され切っていた。
すでに攻略済みの相手。合体したところで攻略されるのは時間の問題だった様だ。
「チェックメイトね、父さん」
[どうするんだよ、兄弟]
いつになく焦る九尾君。確かにこれは部が悪い。
ヘビーとピョン吉の召喚ゲージの色が灰色に染まり、再召喚は目処が立たず。
『まだ手はあるよ。そしてシェリル』
「なに?」
『強くなったね。親として嬉しく思うよ』
「そう」
『だから、もう躊躇はしない』
「そうしてくれる?」
九尾君から触腕の権利を奪い取り、クトゥルフからの侵食をもう一段階侵攻させる。
ざわざわと触手が揺れ、どぷりと粘液が周囲を覆う。
『領域展開、ルルイエ』
ざぁっ!
私を中心に海を再現。
海中での移動を見越していないレムリア陣営は嫌そうな顔で私を見る。
ライダーでの攻撃ではない為、正気度を10%削っての召喚。
侵食度を10上昇させ、クトゥルフの意思が肉体に映り込む。
『九尾君、悪いがここから先は私だけでいかせてもらうよ』
[兄弟の力、ここから観戦させてもらうからな]
『それは心強い』
触腕を新たに二本生やし、八本の腕、タコの様な目をギョロリとさせてシェリルを見る。
もう上半身のほとんどがクトゥルフに支配されつつある。
けれど意識は強固なまでに私のもので、しっかりと肉体の制御はできている。
シェリルの仲間たちは逃げる場所を探す様に移動するけど、シェリル自体は特に何かをするでもなく私をじっと睨んでいる。
「そこに居るのは父さん? それともクトゥルフ?」
『アキカゼ・ハヤテ。その人さ』
「そう、なら決着をつけましょう」
『望むところさ』
シェリルは海中でぴたりと姿勢を固定したまま、雷を纏う鞭を構えた。
海中内、電撃は乱反射する。
私にとっての天敵も良いところだ。
だが、それは腕が2本だった時に限る。
手が増えればやれることもまた増えるのだ。
『行くぞ、シェリル!』
「ええ!」
ぶつかり合う意思。爆ぜるスパーク。
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