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4章 お爺ちゃんと生配信
291.お爺ちゃんと特捜天空調査隊!③
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上手いこと上空まで逃げてきた私達は、早速上空から撮影を始める。
マップには未だにドリームランドへの入り口を示すマークが映り込む。
しかしその風景はありきたりな山林しか映されていない。
やはりあの空間のゆらめきから察するに、上空で見える景色と、本来の地上の風景との隙間に幻影が組み敷かれてるとみた。
「ハヤテさん、地上の捜索はしないんですか?」
「そうですね。それは後にして、先にメインの空撮から始めましょう。会話が通じたとはいえ、あまり向こうさんの敷地内で好き勝手しては気分を悪くされてしまうでしょう? それに神格同士の仲が悪くなっても困るからね」
「今は僕の顔を立ててくれたんですね、ありがとうございます」
スズキさんはニコッと笑って嬉しがるけど、それよりも変なゴタゴタに巻き込まれそうだから退避したにすぎない。
こんな場所に特大の地雷が隠されてるなんて聞いてない。
だからこそ空域にあんな仕掛けがしてあったわけだけど、向こう側はその資格達成者がベルトを腰に回している事実とやらを知らないらしいし、いちいちスズキさんに出向いてもらうのも悪いと思った。
【親の顔より見慣れた景色】
【もっと親の顔見て】
【実家のような安心感って意味だぞ】
【日常に帰ってこれましたね】
上空からの空撮でコメント欄も賑わう。
流石に地球外生命隊との遭遇は肝が冷えたのか、安心感をアピールするコメントが見受けられる。
「アキカゼさんは常日頃からあんな連中とやり合ってるのか?」
ムッコロさんがつぶらな瞳をこちらに寄せて、困惑した様にため息を吐く様にピュイと鳴く。
「こっちから頼んだわけではないんですが、踏んだイベントやらフレーバーがどうもこっちに繋がってたみたいで」
「自業自得と言うやつか」
「それでも目の前に謎があったら突き進みますもんね!」
「それは解明しないことには気になって夜しか眠れないからだよ」
【十分なんだよなぁ】
【もっと朝も昼も寝てどうぞ】
「そう? ならそうさせてもらおうかな。その所為で配信も途中で辞めるし、アキカゼランドもやめちゃうけど構わないよね?」
【真に受けないで】
【やだー、帰ってきてー】
「ふふ、冗談さ。好きでやってることを途中で放り出すなんてこと出来るわけがない。出来てたらとっくにやってるよ」
「ハヤテさんのジョークは真面目に受け取ると損しちゃいますからね」
「私としてはスズキさんくらい肩の力を抜きたいんですけどね」
「ふふふ。魚人になれば肩が物理的に無くなりますよ!」
【草】
【骨格的な問題じゃねーか】
【そう言うところだぞ?】
【隙あらば魚人にしようとしてくるのやめろ】
「てへぺろー」
【こんな子が今をときめくアイドルだなんて誰が思うだろうか】
【スズちゃん、切り抜き衆がまた賑わいますよ】
【この子の本質、魚の人に引っ張られすぎじゃない?】
【あのイメチェンは衝撃的だった】
【未だに同一人物だと信じてないやつ居て草】
こうやって流れの悪くなった話を明後日の方向に蹴飛ばしてくれるから彼女の存在はありがたい。
「さて、空撮はこの辺で大丈夫だろうか?」
空を飛べる私たちにとって、問題の空域はそれほど広いエリアではない。
うまく偽装されてるのか、それとも謎の空間に入り込んでしまったのか、実際に降りた時より狭いとさえ感じた。
「ふむ、これで我らのワールドマップも正しく記録されたな。例を言おう」
「そう言う約束でしたからね」
「そう聞いてくるって事は、アキカゼさんはまだ探索を続ける感じか?」
「どうでしょう? 触らぬ神に祟りなしとも言えますし」
「あまり命を軽く扱って欲しくはないが、言っても聞いてもらえぬのだろうな」
「これはゲームですよ? そう重く受け取らないでください。それにこちらには強力な通訳がいますので」
横で頼られてると知ってスズキさんが胸を張る。
エラが開閉してヒレがパタパタゆらめいた。
ふんすと鼻息を大きくさせている姿はとても滑稽だ。
面白いので本人には言わないでおくが。
「ゲーム故に攻略への糸口を探すのは理解できる。けどあんな見ただけで思考を放棄して命乞いを即座にしてしまう相手とやり取りするなんて精神衛生上よろしくないだろ?」
ムッコロさんは普段より饒舌に私を心配してくれている様だ。
恐怖という名の状態異常はなかなかに強力で強制ログアウトすら引き起こすと聞く。
趣味で空撮しかしていない彼らにとって、どうも私の趣味は危ないことに首を突っ込むことに見えるらしい。
全くもって否定できないのが痛いな。
「仰る通り。けれど心配は不要です。ああいう存在と関わったのもあり、どうにも私は恐怖に耐性が出来ている。称号によるものか、フレーバーによるものかは知らないけどね。ムッコロ氏が心配するほどのものでもないよ」
「そうか」
「然り。ムッコロ殿は心配しすぎる点がある。それだけアキカゼ殿のことを気に入られているのだろうな」
ササライさんはキリッとした瞳をこちらに向けてきた。
気に入られてると言われたら嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになるね。ありがたいことだ。
ムッコロ氏とは雲の上で偶然出会った関係だけど、話題が上がるたびに思い出す。相棒のバン・ゴハン君は今頃どうしてるだろうか? ついつい昔を懐かしんでしまうのは悪い癖か。
出会ってからそれほど経ってないのにね。
「では今日はお付き合いありがとう。またわからない場所があれば頼るかもしれないが」
「暇だったらお付き合いするよ」
「そうだなぁ、その日が来ることを願うよ」
そう言って二匹はバサバサと羽ばたいて飛び去った。
「で、もちろん行くよね?」
私はニコニコしながらスズキさんを促す。
【ゲストが帰ったのにまだ調査するんですか?】
【過去最高に短い回でしたね】
【なのに中身が濃いのが】
「僕は平気ですけど、視聴者さんは阿鼻叫喚するんじゃないですか?」
【それよりそのベルトが気になります】
【掲示板立ててきたけど、まだ検証に至れてないから先駆けとしてお願いします】
「変身、出来るんだろうか? 私はアンブロシウス氏程ページを集めてないんだけど?」
【ダメ元で】
【お願いします】
「じゃあ検証としてやってみますか。みなさんもSAN値チェックの準備をしておいてください」
【りょ】
【了解です】
とは言っても、どうやって変身するんだろうか?
取り敢えず叫べば良いのかな?
「変身!」
特に覚悟もなく、その言葉を認識してベルトが光る。
ベルトが脈打ち、ミミズが体の中を這う様に全身に広がると、一瞬光り、光が収まった後には私の全身は硬質な衣装に包まれていた。
しかしなんの造形も見られない、ツンツルテンの顔にバイザー、白い衣装である。自分の全身像は何故か姿見を持っていたスズキさんの手によって把握することができた。
ほんと、準備がいいね。
「おお、なんかそれっぽいですね。このままヒーローショーも行ける感じじゃないです?」
【その状態は素体っぽいですね】
【その状態から神格召喚をするとかじゃない?】
「ああ、確かに。それで神格召喚てどうやるの?」
【知らないのかよ!】
「知らないよ。なんの魔導書持ってるかも不明なんだよ?」
【そう言えばそうだ】
【十中八九クトゥルー様なんだよなぁ】
【そもそも召喚方法すら知らないとダメだし?】
「そう思うとページを集める必要が出てきますか」
「じゃあ探索はやめてページ集めしますか?」
「いえ、探索はしたいです。気になって夜しか眠れなくなりますから」
【草】
【その格好、怪しまれない?】
【せめて召喚可能になってからいけば通行券得られるんじゃないの?】
確かに一理ある。
『そこんところどうなの?』
『そうですねぇ、主人はどうしたと聞かれたので神格召喚をする必要があるのは確かです』
『成る程。扉を通るにはそれなりにページを集める必要があるというのか』
『そもそもどれくらい深淵を覗けるかがミソなので』
『メタいこと言わないでよ』
『てへぺろー』
『今の君はスズキさんかリリーのどちらだろう?』
『どちらもですよ。どちらも僕だしわたくしですわ』
『自分の気持ちにケリがついたのかな?』
『はい、お陰様ですっかり楽になれました。そして待ち焦がれた夫の姿が目の前まで来ていると知れて今も鼓動が高鳴るのを感じてます』
『クトゥルフさん、ねぇ。今の私に召喚できると思う?』
『召喚だけなら可能ですが、制御までは出来ませんね』
『つまり真のフォームに変身は出来るんだ。方法を聞いても?』
『いあ いあ くとぅるー、と叫べば降りてきてくださいます』
『成る程。君も視聴者もお待ちかねだ。お披露目と行こうか?』
取り敢えずメニューを見てた動きをしながら、居住まいを正す。
「変身方法がわかったので変身してみようと思う」
【おっ】
【どうやって知ったんですか?】
「過去のフレーバーの中にルルイエ異本と言うものががあってね、そこに古代ムー言語で詠唱呪文が書かれていた。多分その詠唱で間違いないはずだ」
【やっぱり詠唱必要なんだ】
【セラエちゃんとこのマスターも詠唱してたろ?】
【セラエちゃんアイドルやらないの?】
【ユニット名は魔導書ってか?】
【なんて冒涜的なアイドルなんだ】
【冒涜的アイドルは今や二番煎じなんだよなぁ】
【恐ろしい時代になったもんだぜ】
「それじゃあ行くよ。いあ いあ くとぅるー! 変身!」
詠唱と同時に、タコの紋様が体の前後に現れて、それが迫ってきて肉体が包まれた。
膨張、圧縮。そして現れるタコの様な触腕。
しかしベルトの力で冒涜的な容姿はメタリックなフォルムに生まれ変わり、それこそ某ライダーの様なシルエットを生み出す。
「お、これはまた随分と格好いいね」
【蹴り技が強そう】
【本家はパンチで怪人が吹っ飛ぶんやで】
【メタリックなボディが某ライダーを思い出す】
【完全に悪役の見た目だけどな】
「聖典と魔導書で分けたあたり、正義のヒーローは聖典側じゃないかな?」
【アキカゼさんは絶対に敵に回したくないからなぁ】
【神格召喚でも当たりを引いたのに、その上テイマー/ライダーで古代獣を三匹使役。本人はショートワープができるとか無敵では?】
【ご本人がそこまでPVPに興味ないのが救いやな】
【それ。聖典持ちだから絶対に当たりたくない】
「私は降りかかる火の粉は払うだけの精神で行きたいね」
【ですよねー】
「それじゃあこの姿で散策できるか交渉してみよう」
「了解です。僕も鼻高々ですよ」
マップには未だにドリームランドへの入り口を示すマークが映り込む。
しかしその風景はありきたりな山林しか映されていない。
やはりあの空間のゆらめきから察するに、上空で見える景色と、本来の地上の風景との隙間に幻影が組み敷かれてるとみた。
「ハヤテさん、地上の捜索はしないんですか?」
「そうですね。それは後にして、先にメインの空撮から始めましょう。会話が通じたとはいえ、あまり向こうさんの敷地内で好き勝手しては気分を悪くされてしまうでしょう? それに神格同士の仲が悪くなっても困るからね」
「今は僕の顔を立ててくれたんですね、ありがとうございます」
スズキさんはニコッと笑って嬉しがるけど、それよりも変なゴタゴタに巻き込まれそうだから退避したにすぎない。
こんな場所に特大の地雷が隠されてるなんて聞いてない。
だからこそ空域にあんな仕掛けがしてあったわけだけど、向こう側はその資格達成者がベルトを腰に回している事実とやらを知らないらしいし、いちいちスズキさんに出向いてもらうのも悪いと思った。
【親の顔より見慣れた景色】
【もっと親の顔見て】
【実家のような安心感って意味だぞ】
【日常に帰ってこれましたね】
上空からの空撮でコメント欄も賑わう。
流石に地球外生命隊との遭遇は肝が冷えたのか、安心感をアピールするコメントが見受けられる。
「アキカゼさんは常日頃からあんな連中とやり合ってるのか?」
ムッコロさんがつぶらな瞳をこちらに寄せて、困惑した様にため息を吐く様にピュイと鳴く。
「こっちから頼んだわけではないんですが、踏んだイベントやらフレーバーがどうもこっちに繋がってたみたいで」
「自業自得と言うやつか」
「それでも目の前に謎があったら突き進みますもんね!」
「それは解明しないことには気になって夜しか眠れないからだよ」
【十分なんだよなぁ】
【もっと朝も昼も寝てどうぞ】
「そう? ならそうさせてもらおうかな。その所為で配信も途中で辞めるし、アキカゼランドもやめちゃうけど構わないよね?」
【真に受けないで】
【やだー、帰ってきてー】
「ふふ、冗談さ。好きでやってることを途中で放り出すなんてこと出来るわけがない。出来てたらとっくにやってるよ」
「ハヤテさんのジョークは真面目に受け取ると損しちゃいますからね」
「私としてはスズキさんくらい肩の力を抜きたいんですけどね」
「ふふふ。魚人になれば肩が物理的に無くなりますよ!」
【草】
【骨格的な問題じゃねーか】
【そう言うところだぞ?】
【隙あらば魚人にしようとしてくるのやめろ】
「てへぺろー」
【こんな子が今をときめくアイドルだなんて誰が思うだろうか】
【スズちゃん、切り抜き衆がまた賑わいますよ】
【この子の本質、魚の人に引っ張られすぎじゃない?】
【あのイメチェンは衝撃的だった】
【未だに同一人物だと信じてないやつ居て草】
こうやって流れの悪くなった話を明後日の方向に蹴飛ばしてくれるから彼女の存在はありがたい。
「さて、空撮はこの辺で大丈夫だろうか?」
空を飛べる私たちにとって、問題の空域はそれほど広いエリアではない。
うまく偽装されてるのか、それとも謎の空間に入り込んでしまったのか、実際に降りた時より狭いとさえ感じた。
「ふむ、これで我らのワールドマップも正しく記録されたな。例を言おう」
「そう言う約束でしたからね」
「そう聞いてくるって事は、アキカゼさんはまだ探索を続ける感じか?」
「どうでしょう? 触らぬ神に祟りなしとも言えますし」
「あまり命を軽く扱って欲しくはないが、言っても聞いてもらえぬのだろうな」
「これはゲームですよ? そう重く受け取らないでください。それにこちらには強力な通訳がいますので」
横で頼られてると知ってスズキさんが胸を張る。
エラが開閉してヒレがパタパタゆらめいた。
ふんすと鼻息を大きくさせている姿はとても滑稽だ。
面白いので本人には言わないでおくが。
「ゲーム故に攻略への糸口を探すのは理解できる。けどあんな見ただけで思考を放棄して命乞いを即座にしてしまう相手とやり取りするなんて精神衛生上よろしくないだろ?」
ムッコロさんは普段より饒舌に私を心配してくれている様だ。
恐怖という名の状態異常はなかなかに強力で強制ログアウトすら引き起こすと聞く。
趣味で空撮しかしていない彼らにとって、どうも私の趣味は危ないことに首を突っ込むことに見えるらしい。
全くもって否定できないのが痛いな。
「仰る通り。けれど心配は不要です。ああいう存在と関わったのもあり、どうにも私は恐怖に耐性が出来ている。称号によるものか、フレーバーによるものかは知らないけどね。ムッコロ氏が心配するほどのものでもないよ」
「そうか」
「然り。ムッコロ殿は心配しすぎる点がある。それだけアキカゼ殿のことを気に入られているのだろうな」
ササライさんはキリッとした瞳をこちらに向けてきた。
気に入られてると言われたら嬉しい様な恥ずかしい様な気持ちになるね。ありがたいことだ。
ムッコロ氏とは雲の上で偶然出会った関係だけど、話題が上がるたびに思い出す。相棒のバン・ゴハン君は今頃どうしてるだろうか? ついつい昔を懐かしんでしまうのは悪い癖か。
出会ってからそれほど経ってないのにね。
「では今日はお付き合いありがとう。またわからない場所があれば頼るかもしれないが」
「暇だったらお付き合いするよ」
「そうだなぁ、その日が来ることを願うよ」
そう言って二匹はバサバサと羽ばたいて飛び去った。
「で、もちろん行くよね?」
私はニコニコしながらスズキさんを促す。
【ゲストが帰ったのにまだ調査するんですか?】
【過去最高に短い回でしたね】
【なのに中身が濃いのが】
「僕は平気ですけど、視聴者さんは阿鼻叫喚するんじゃないですか?」
【それよりそのベルトが気になります】
【掲示板立ててきたけど、まだ検証に至れてないから先駆けとしてお願いします】
「変身、出来るんだろうか? 私はアンブロシウス氏程ページを集めてないんだけど?」
【ダメ元で】
【お願いします】
「じゃあ検証としてやってみますか。みなさんもSAN値チェックの準備をしておいてください」
【りょ】
【了解です】
とは言っても、どうやって変身するんだろうか?
取り敢えず叫べば良いのかな?
「変身!」
特に覚悟もなく、その言葉を認識してベルトが光る。
ベルトが脈打ち、ミミズが体の中を這う様に全身に広がると、一瞬光り、光が収まった後には私の全身は硬質な衣装に包まれていた。
しかしなんの造形も見られない、ツンツルテンの顔にバイザー、白い衣装である。自分の全身像は何故か姿見を持っていたスズキさんの手によって把握することができた。
ほんと、準備がいいね。
「おお、なんかそれっぽいですね。このままヒーローショーも行ける感じじゃないです?」
【その状態は素体っぽいですね】
【その状態から神格召喚をするとかじゃない?】
「ああ、確かに。それで神格召喚てどうやるの?」
【知らないのかよ!】
「知らないよ。なんの魔導書持ってるかも不明なんだよ?」
【そう言えばそうだ】
【十中八九クトゥルー様なんだよなぁ】
【そもそも召喚方法すら知らないとダメだし?】
「そう思うとページを集める必要が出てきますか」
「じゃあ探索はやめてページ集めしますか?」
「いえ、探索はしたいです。気になって夜しか眠れなくなりますから」
【草】
【その格好、怪しまれない?】
【せめて召喚可能になってからいけば通行券得られるんじゃないの?】
確かに一理ある。
『そこんところどうなの?』
『そうですねぇ、主人はどうしたと聞かれたので神格召喚をする必要があるのは確かです』
『成る程。扉を通るにはそれなりにページを集める必要があるというのか』
『そもそもどれくらい深淵を覗けるかがミソなので』
『メタいこと言わないでよ』
『てへぺろー』
『今の君はスズキさんかリリーのどちらだろう?』
『どちらもですよ。どちらも僕だしわたくしですわ』
『自分の気持ちにケリがついたのかな?』
『はい、お陰様ですっかり楽になれました。そして待ち焦がれた夫の姿が目の前まで来ていると知れて今も鼓動が高鳴るのを感じてます』
『クトゥルフさん、ねぇ。今の私に召喚できると思う?』
『召喚だけなら可能ですが、制御までは出来ませんね』
『つまり真のフォームに変身は出来るんだ。方法を聞いても?』
『いあ いあ くとぅるー、と叫べば降りてきてくださいます』
『成る程。君も視聴者もお待ちかねだ。お披露目と行こうか?』
取り敢えずメニューを見てた動きをしながら、居住まいを正す。
「変身方法がわかったので変身してみようと思う」
【おっ】
【どうやって知ったんですか?】
「過去のフレーバーの中にルルイエ異本と言うものががあってね、そこに古代ムー言語で詠唱呪文が書かれていた。多分その詠唱で間違いないはずだ」
【やっぱり詠唱必要なんだ】
【セラエちゃんとこのマスターも詠唱してたろ?】
【セラエちゃんアイドルやらないの?】
【ユニット名は魔導書ってか?】
【なんて冒涜的なアイドルなんだ】
【冒涜的アイドルは今や二番煎じなんだよなぁ】
【恐ろしい時代になったもんだぜ】
「それじゃあ行くよ。いあ いあ くとぅるー! 変身!」
詠唱と同時に、タコの紋様が体の前後に現れて、それが迫ってきて肉体が包まれた。
膨張、圧縮。そして現れるタコの様な触腕。
しかしベルトの力で冒涜的な容姿はメタリックなフォルムに生まれ変わり、それこそ某ライダーの様なシルエットを生み出す。
「お、これはまた随分と格好いいね」
【蹴り技が強そう】
【本家はパンチで怪人が吹っ飛ぶんやで】
【メタリックなボディが某ライダーを思い出す】
【完全に悪役の見た目だけどな】
「聖典と魔導書で分けたあたり、正義のヒーローは聖典側じゃないかな?」
【アキカゼさんは絶対に敵に回したくないからなぁ】
【神格召喚でも当たりを引いたのに、その上テイマー/ライダーで古代獣を三匹使役。本人はショートワープができるとか無敵では?】
【ご本人がそこまでPVPに興味ないのが救いやな】
【それ。聖典持ちだから絶対に当たりたくない】
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