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4章 お爺ちゃんと生配信
269.お爺ちゃんと釣り人の集い①
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「こんにちは、アキカゼです」
【お、来た来た】
【配信お疲れ様です】
【タイトルで釣りと見えたので寄りました】
【釣りwww】
【何を釣り上げるんでしょうね?】
【今からワクワクが止まらないぜ】
場所はファイべリオンの灯台近く。
ここで今回お尋ねするプレイヤーと落ち合う約束をしていました。前方には数人で海に向かって竿を振る人達。
共通して人間のプレイヤーさんです。
装備からグッズまで相当拘りが見えますね。
リアルの釣り人と遜色ない装いです。
近づき、声をかける。ここまでが事前打ち合わせしていた前振りだったりする。
「こんにちわ、釣れますか?」
「そうだねぇ」
カメラをバケツに向けると、中には小魚が数匹映っている。
お世辞にも大漁とは言い難い。
のんびりとした空気が、青い空、白い雲と釣りを嗜むプレイヤーさんをたっぷりと映し込んでから茶番を終了させる。
「はい、と言うわけで今回一緒に遊んでくれるのはこちらの釣り人の集いの皆さんです。皆さんと言ってもまだ二人しかいないんですけど、私が入れば三人目ですね」
【草】
【アキカゼさん釣りもするのか】
「した事はないですけど面白そうですよね」
【ないのかよ!】
【何故選んだしwww】
「一応発起人のルアーだ。基本的には沖釣りをメインにしてるが川も船もやってる」
「実はルアーさんとは以前からお付き合いしてまして」
「その言い方は語弊があるぜアキカゼさん。単にアキカゼさんが俺のブログのファンだってだけだよな?」
「そうなんですよ。私がブログを書く前から一定数のプレイヤーから評価を得ていたブログが彼のだったんです。当時はROM専で読むだけだったんですが、まるで一緒に釣りしてる気分になりまして、いつの間にかコメントを送ってた次第です」
「俺としても驚いてるのよ。昔からのファンがあの有名人だと知った時は目ん玉が飛び出るかと思ったぜ。んまぁ、人柄は知ってたし、今回の配信企画もおもしれぇと洒落で応募したがまさかの当選だ。なぁ、サブ?」
「ルアーさん、俺はサブじゃないって何度言えばわかってくれるんです?」
「良いじゃねぇかよ。俺とお前しかいねぇんだ。呼ばれてるのが誰だかわかれば問題ねぇよ」
【草】
【また濃い人が出てきたなー】
【その道じゃ有名人だよ、ルアーさん】
【そうなの?】
【魚系の素材はほとんどこの人が釣りあげて提供してる】
【その情報で儲けたりは?】
【特にしてないよ】
「アホか、俺は稼ぎたくて釣りをしてるんじゃねぇ! そこにどんなものが潜んでるのか知りたくて竿を垂らすのよ。そん為の努力は惜しまねー人間だぜ? 俺はよ」
「そのくせ俺に仕事押し付けるじゃないですか」
「ばっか、オメー。俺とお前しか居ねーんだから仕事は協力してやるもんだろ? 分担作業ってやつだよ!」
「ものは言い様ですね」
「まぁまぁ、カイゼルさんもその辺で」
「うぅ、ようやくまともに名前を呼んでくれる人が来てくれたぁ!」
【? ……カイゼル!? なんでこの人釣りしてるんだ!?】
「趣味だぞ?」
【誰? 有名な人?】
【クラン迫真武侠のクラマス】
【おい、シェリルとタメ張る上位クランじゃねーか!】
【そういやサブマスばっかり目立っててマスター見ないなと思ってた。ほんと何してんだこの人www】
「元々俺はソロだったんだけどさ、フレンドが集まるためにクランつくろうって話になって、その時一番派生数が多くてランクの高い俺が抜擢されたわけだ。ぶっちゃけサブマスがマスターみたいなもんだぞ、と」
カイゼルさんは引いていた糸を少しずつリールで巻いて、魚との駆け引きを楽しんでいる。
釣りの楽しさはどの程度攻め込むか、魚を疲れさせるかにある。弱ったところを一気に攻めるのが常套手段ではあるが、あえて魚を自由にさせるのも駆け引きの一つだったりする。
数分の間の攻防を制したのはカイゼルさんだった。
ルアーさんより一回り大きな魚を釣り上げて定規を添える。
どうやら大きさを測ってるらしい。
「21センチか。記録更新とは行かずだな」
「離してしまうんですか?」
「ああ、別に食うわけじゃないし。ルアーさんも釣りそのものを楽しんでるからボウズでも問題ないんだ。その点は気が楽だよ」
「あったりめぇよ。釣りってのは魚と人間の魂のぶつかり合いなんでぇ。真剣勝負の後は次はもっと腕を磨いてこいよと離してやる。俺ぁ別にそいつらを絶滅させたいわけじゃあねぇからよ」
【時間の無駄遣い過ぎない?】
【得られるものが何もないのは流石に】
【せめて釣ったものは食べようぜ】
「食う分は残しとくぞ。サブが釣ったのは身が細くて食い出がねぇやつだな。それと骨が硬くて喉に刺さる。どの道食うのに向いてねぇのよ」
「だからサブじゃないですって」
「それでルアーさん。私用の竿を用意してくれるとのことでしたが」
「ああ、ちょいと待ってな。いくつか出す。竿そのものは自作でな。そもそも投網漁が盛んな場所で釣りそのものが流行ってなくてよ。俺の背丈に合わせたものしか置いてねぇ。軽く降って自分に合うのを見つけてくれ」
「分かりました。釣った魚はどうしましょう?」
「釣りはそう甘くねぇぜ? もし釣れたんなら俺のバケツを貸してやらぁ」
「では早速餌を」
「餌なんかねぇぞ?」
「あれ? じゃあ何に食いつくんですか?」
「こいつよ」
そう言って手渡されたのがルアーだった。
初心者が初っ端からルアーとはこれまた敷居が高い。
それともオキアミの様な虫が存在してないから餌を作り様がなかったりするんだろうか?
全てが謎である。
「まぁ頑張んな。そいつを生きてる様に動かしてようやく一丁前だからな」
「はい」
【ふぁーwww】
【初心者になんつう無理強いをwww】
【そもそも好き好んで釣りしにくる時点で同類だろ?】
【それはそう】
【それでもアキカゼさんなら釣ってくれると信じてる】
それから10分が経過した。
相変わらず糸が引く反応が見られない。
その横でひょいひょい魚を釣り上げていく二人組。
さすがこの道のベテランなだけある。
沈黙が非常に気まずい。
「どうも場所が悪い様だ」
「そう言う時もあらぁ。気が済むまで場所を変えて竿を垂らす。誰もが通る道だな」
「精進します」
それから十数分。
誰も何も喋らない時間が続く。
そこでふと見たことのある顔と目があった。
あれ?
なんでこの人ここにいるんだろう?
「スズキさんですよね? なんでそこに居るんです? 気が散るので浮いたり沈んだりするのやめてください」
しかも微妙に糸の届かない距離に居る。
【草】
【ほんとだ、魚の人居た】
【見るに見かねて釣られにきたのかな?】
【釣り上げられるか? 2mはあるぞ?】
【真っ赤だからすっげー目立つwww】
「なんだ、アキカゼさんの知り合いか。見ない種類だから久々に血が騒いだが」
「クラメンさんなんですよ。不定期ログイン中でして。まだ安定期だと聞かないのに何しにきたんだろう」
「見学しに。特等席ですよ」
「いや、真正面から恥ずかしい場面見られるのは耐えられないのでやめてくださいよ」
「そうですか? じゃあ」
どっこいしょ、と言いながら防波堤に登ってくる。
「お邪魔します。横で見るなら良いですよね?」
【何事もなく肺呼吸するな】
【ほんと謎の生態系してるよな】
【知らなかった、サハギンて正座できるのな】
「できるでしょ、スズキさんは背泳ぎも得意だよ。ね?」
「はい。久しぶりに見せましょうか?」
「お、視聴者のみなさん、スクリーンショットのチャンスですよ? あいにくと私はルアーを動かすのに忙しいので後は貴方たちに任せます」
スズキさんが水泳選手の様にざぶんと海の中に飛び込み、カメラの左側に浮き出ると、器用に背泳ぎし出してコメントを稼いでいた。やはり彼女の存在は貴重だな。
こうやって体を張った芸風で私を影から助けてくれる。
本当、無理しないでよ?
もう君だけの体じゃないんだから。
それでもその気持ちが嬉しかった。
私はクラメンさんに恵まれたな。彼女のためにもヒットさせて見せなければ、ね。
【お、来た来た】
【配信お疲れ様です】
【タイトルで釣りと見えたので寄りました】
【釣りwww】
【何を釣り上げるんでしょうね?】
【今からワクワクが止まらないぜ】
場所はファイべリオンの灯台近く。
ここで今回お尋ねするプレイヤーと落ち合う約束をしていました。前方には数人で海に向かって竿を振る人達。
共通して人間のプレイヤーさんです。
装備からグッズまで相当拘りが見えますね。
リアルの釣り人と遜色ない装いです。
近づき、声をかける。ここまでが事前打ち合わせしていた前振りだったりする。
「こんにちわ、釣れますか?」
「そうだねぇ」
カメラをバケツに向けると、中には小魚が数匹映っている。
お世辞にも大漁とは言い難い。
のんびりとした空気が、青い空、白い雲と釣りを嗜むプレイヤーさんをたっぷりと映し込んでから茶番を終了させる。
「はい、と言うわけで今回一緒に遊んでくれるのはこちらの釣り人の集いの皆さんです。皆さんと言ってもまだ二人しかいないんですけど、私が入れば三人目ですね」
【草】
【アキカゼさん釣りもするのか】
「した事はないですけど面白そうですよね」
【ないのかよ!】
【何故選んだしwww】
「一応発起人のルアーだ。基本的には沖釣りをメインにしてるが川も船もやってる」
「実はルアーさんとは以前からお付き合いしてまして」
「その言い方は語弊があるぜアキカゼさん。単にアキカゼさんが俺のブログのファンだってだけだよな?」
「そうなんですよ。私がブログを書く前から一定数のプレイヤーから評価を得ていたブログが彼のだったんです。当時はROM専で読むだけだったんですが、まるで一緒に釣りしてる気分になりまして、いつの間にかコメントを送ってた次第です」
「俺としても驚いてるのよ。昔からのファンがあの有名人だと知った時は目ん玉が飛び出るかと思ったぜ。んまぁ、人柄は知ってたし、今回の配信企画もおもしれぇと洒落で応募したがまさかの当選だ。なぁ、サブ?」
「ルアーさん、俺はサブじゃないって何度言えばわかってくれるんです?」
「良いじゃねぇかよ。俺とお前しかいねぇんだ。呼ばれてるのが誰だかわかれば問題ねぇよ」
【草】
【また濃い人が出てきたなー】
【その道じゃ有名人だよ、ルアーさん】
【そうなの?】
【魚系の素材はほとんどこの人が釣りあげて提供してる】
【その情報で儲けたりは?】
【特にしてないよ】
「アホか、俺は稼ぎたくて釣りをしてるんじゃねぇ! そこにどんなものが潜んでるのか知りたくて竿を垂らすのよ。そん為の努力は惜しまねー人間だぜ? 俺はよ」
「そのくせ俺に仕事押し付けるじゃないですか」
「ばっか、オメー。俺とお前しか居ねーんだから仕事は協力してやるもんだろ? 分担作業ってやつだよ!」
「ものは言い様ですね」
「まぁまぁ、カイゼルさんもその辺で」
「うぅ、ようやくまともに名前を呼んでくれる人が来てくれたぁ!」
【? ……カイゼル!? なんでこの人釣りしてるんだ!?】
「趣味だぞ?」
【誰? 有名な人?】
【クラン迫真武侠のクラマス】
【おい、シェリルとタメ張る上位クランじゃねーか!】
【そういやサブマスばっかり目立っててマスター見ないなと思ってた。ほんと何してんだこの人www】
「元々俺はソロだったんだけどさ、フレンドが集まるためにクランつくろうって話になって、その時一番派生数が多くてランクの高い俺が抜擢されたわけだ。ぶっちゃけサブマスがマスターみたいなもんだぞ、と」
カイゼルさんは引いていた糸を少しずつリールで巻いて、魚との駆け引きを楽しんでいる。
釣りの楽しさはどの程度攻め込むか、魚を疲れさせるかにある。弱ったところを一気に攻めるのが常套手段ではあるが、あえて魚を自由にさせるのも駆け引きの一つだったりする。
数分の間の攻防を制したのはカイゼルさんだった。
ルアーさんより一回り大きな魚を釣り上げて定規を添える。
どうやら大きさを測ってるらしい。
「21センチか。記録更新とは行かずだな」
「離してしまうんですか?」
「ああ、別に食うわけじゃないし。ルアーさんも釣りそのものを楽しんでるからボウズでも問題ないんだ。その点は気が楽だよ」
「あったりめぇよ。釣りってのは魚と人間の魂のぶつかり合いなんでぇ。真剣勝負の後は次はもっと腕を磨いてこいよと離してやる。俺ぁ別にそいつらを絶滅させたいわけじゃあねぇからよ」
【時間の無駄遣い過ぎない?】
【得られるものが何もないのは流石に】
【せめて釣ったものは食べようぜ】
「食う分は残しとくぞ。サブが釣ったのは身が細くて食い出がねぇやつだな。それと骨が硬くて喉に刺さる。どの道食うのに向いてねぇのよ」
「だからサブじゃないですって」
「それでルアーさん。私用の竿を用意してくれるとのことでしたが」
「ああ、ちょいと待ってな。いくつか出す。竿そのものは自作でな。そもそも投網漁が盛んな場所で釣りそのものが流行ってなくてよ。俺の背丈に合わせたものしか置いてねぇ。軽く降って自分に合うのを見つけてくれ」
「分かりました。釣った魚はどうしましょう?」
「釣りはそう甘くねぇぜ? もし釣れたんなら俺のバケツを貸してやらぁ」
「では早速餌を」
「餌なんかねぇぞ?」
「あれ? じゃあ何に食いつくんですか?」
「こいつよ」
そう言って手渡されたのがルアーだった。
初心者が初っ端からルアーとはこれまた敷居が高い。
それともオキアミの様な虫が存在してないから餌を作り様がなかったりするんだろうか?
全てが謎である。
「まぁ頑張んな。そいつを生きてる様に動かしてようやく一丁前だからな」
「はい」
【ふぁーwww】
【初心者になんつう無理強いをwww】
【そもそも好き好んで釣りしにくる時点で同類だろ?】
【それはそう】
【それでもアキカゼさんなら釣ってくれると信じてる】
それから10分が経過した。
相変わらず糸が引く反応が見られない。
その横でひょいひょい魚を釣り上げていく二人組。
さすがこの道のベテランなだけある。
沈黙が非常に気まずい。
「どうも場所が悪い様だ」
「そう言う時もあらぁ。気が済むまで場所を変えて竿を垂らす。誰もが通る道だな」
「精進します」
それから十数分。
誰も何も喋らない時間が続く。
そこでふと見たことのある顔と目があった。
あれ?
なんでこの人ここにいるんだろう?
「スズキさんですよね? なんでそこに居るんです? 気が散るので浮いたり沈んだりするのやめてください」
しかも微妙に糸の届かない距離に居る。
【草】
【ほんとだ、魚の人居た】
【見るに見かねて釣られにきたのかな?】
【釣り上げられるか? 2mはあるぞ?】
【真っ赤だからすっげー目立つwww】
「なんだ、アキカゼさんの知り合いか。見ない種類だから久々に血が騒いだが」
「クラメンさんなんですよ。不定期ログイン中でして。まだ安定期だと聞かないのに何しにきたんだろう」
「見学しに。特等席ですよ」
「いや、真正面から恥ずかしい場面見られるのは耐えられないのでやめてくださいよ」
「そうですか? じゃあ」
どっこいしょ、と言いながら防波堤に登ってくる。
「お邪魔します。横で見るなら良いですよね?」
【何事もなく肺呼吸するな】
【ほんと謎の生態系してるよな】
【知らなかった、サハギンて正座できるのな】
「できるでしょ、スズキさんは背泳ぎも得意だよ。ね?」
「はい。久しぶりに見せましょうか?」
「お、視聴者のみなさん、スクリーンショットのチャンスですよ? あいにくと私はルアーを動かすのに忙しいので後は貴方たちに任せます」
スズキさんが水泳選手の様にざぶんと海の中に飛び込み、カメラの左側に浮き出ると、器用に背泳ぎし出してコメントを稼いでいた。やはり彼女の存在は貴重だな。
こうやって体を張った芸風で私を影から助けてくれる。
本当、無理しないでよ?
もう君だけの体じゃないんだから。
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