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4章 お爺ちゃんと生配信

257.お爺ちゃんと秘境探検隊②

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 コメント欄で好き勝手言われつつも、私達はズンズンと進んだ。やはり冒険とは一寸先は闇のピリピリとした緊張感が心地よい。

 あとさっき【地雷を踏みぬく男、アキカゼ】とコメントした人。
 何か誤解をしてますが、私は単に怪しい場所を放置するのが嫌いなだけです。
 そんなわけで行動開始。


「リズベット氏、これらの遺物を発見した場所の詳しい場所を教えてください」

「うむ。まずこの森は三つのルートがある」


 そう切り出したリズベット氏は神妙な面持ちで話を続けた。
 スタートは三つ。しかし途中で繋がったり、迂回するような道があるとのこと。まるで道そのものが何かを意図しているようだ。しかし強力なジャミングのおかげでマッピングもうまく機能せず、手書きのメモで道を作ったようだ。
 生憎とそのメモを見せてもらっても本人にしかわからない書き方がされてるようで解読はできないでいた。
 別にミミズが走ってる文字というわけじゃないんだけど、なんというか独特の文体だ。
 古代語は解読できてもこれを解読するのは難しい。
 彼は一体何者なのか?
 いや、そもそも蛇の顔を見分ける術を私は持たない。
 もしかしたら彼女かもしれないし、性別のネタを振るのはやめようか。

 それにもし解読できたとしても、この強力な霧だ。
 ホークアイ氏の空撮もあまり役に立たないらしい。
 まぁ霧なら払ってしまえば良いのですが。


「ピョン吉、吸い込みアタックだ」

[ゲコォオオオオオオ!]


 召喚してみた。
 別に戦闘フィールドじゃなくても召喚可能らしい。
 驚きつつも周囲の霧を吸い込む役目は果たしてくれそうだった。


【オイ!】
【封印中の古代獣を解き放つなwww】
【よもや霧を払うためだけに使われるとは当時のヒュプノも思いもしなかっただろう】
【草】


 それ以前にピョン吉の座ってる場所、別れ道だったんだよね。
 でも今は砕け散ってクレーターが出来てる。
 ただでさえ山二つ分の大きさだ。それが真上から降ってきたらこうなるのも仕方ないといえた。
 古代獣って呼ぶだけでも結構な兵器かもしれない。


「よし、霧は晴れたな。ピョン吉、送還」

【本当にそれだけの為に召喚したのか】
【霧が晴れただけなのに随分と見晴らしが良くなりましたね?】
【さっきピョン吉呼んだ時に周囲の木々薙ぎ倒してたからな】
【そもそもこんな場所で呼ぶな】
【古代獣は便利アイテムじゃないんですよ?】


 あーあー聞こえなーい。
 冗談はさておき、リズベット氏を率いて私達は先に進む。


「ホークアイ氏、空撮をお願いします」

「むぅ、よもやこんな力押しで道を切り開くとは想定外じゃが、しかし活躍の機会が訪れるのは有り難い限りじゃ。その役目、見事果たさせてもらおうぞ!」


 両手の翼を羽ばたかせ、ホークアイ氏は旋回しながら上空を撮影していく。
 それらがすぐさまリズベット氏のメールに配信され、確認しながら首元に提げられた望遠鏡を覗き込んでいた。
 まるで前方を確認するような所作は新しい発見を見つけたようなものである。


「何か見つかりました?」

「うむ。前回の探索では発見できなかったオブジェがある。先程アキカゼさんの召喚した古代獣にそっくりのやつだ」

「ビンゴですね、行ってみましょう」

「さっきの爆発で道が開かれたんすかね?」

「だろうな。もしかしなくてもあのジャミングはこの場所を隠すためのトリックかもしれない。正規の方法もあったかも知れぬが、うむぅ」

「細かい事はいいんですよ。それより何が眠ってるか楽しみですね!」

【既に判明してる件】
【無理矢理期待を煽るな】
【きっとピョン吉にそっくりな子がいますよ】

「そうじゃなくて、ピョン吉の弱点か何か判明すれば良いですね。山田家にだってあったんです。これがヘビーと同じなら弱体化させるギミックだってあるはずだ」

【ギミック無しでテイムした人が何か言ってるぜ?】
【あのクソ蛙は精巧超人でも30分かかるからな】

「そうやって揚げ足取らないの。もう少し柔軟に考えようよ。もしここで特効武器が見つかったらみんな嬉しいでしょ?」

【そりゃそうだ】
【アキカゼさんおなしゃす】
【見事な手のひら返しと褒めてやろう】


 私達は大きな湖の中央に置かれた孤島にヒュプノを鎮める為に供物を捧げられた銅像を発見した。
 供物の場所が欠けており、どうやらそこに何かをはめ込む必要があるようだ。


「さっきの遺物はここにはめるんじゃないの?」

「でも復活したらオレ達の手に負えぬぞ?」

「じゃあうちのピョン吉と相撲をさせよう。それで決着をつけさせよう」

【どっから出てきたその発想www】
【なぜ相撲?】

「日本の国技だよ?」

【古代獣に国籍関係ないだろ!】

「それに鳥獣戯画でもカエルは相撲を取っていたじゃない」

【あー、あったなそんなの】
【それとヒュプノになんの関係が?】

「張り手が見事なものだったから、相撲好きかなって」

【ただの技ですwww】
【相撲の技に巻きつけアタックも吸い込み攻撃もありませんが?】
【それ言いたかっただけだろ】
【|◉〻◉)相変わらずのハヤテさんクオリティ】

「やぁスズキさん。今日も毒舌が絶好調だね」

【今の毒舌だったのか】
【魚の人もすっかりレギュラーだな】
【ログイン不定期とはなんだったのか】
【|◉〻◉)体調いい時が続いてるだけだよ。普段はベッドの上で食っちゃ寝してる】
【最低だな!】

「スズキさん、あまりネタに走りすぎない方がいいですよ。ここの人達鵜呑みにするから」

【|◉〻<)てへぺろ!】
【どこまでが本当なのかわからんな】
【1~10まで適当だろ?】
【|◉〻◉)ひどーい。僕傷つい、傷物にされちゃった】
【おい言い直すな。意味が変わってくる】


 あとは若い人たち同士で任せて、私達は探索に向き合いましょうか。


 ◇


 パーツを嵌めると、やはりイベントトリガーだったようで、湖の水が消え去り、その中央にヒュプノの卵が現れた。


<シークレットクエスト:滅亡を呼び起こす災獣Ⅲが発生しました>

<サードウィル襲撃開始まで残り99:00:00>


「ヘビー、飲み込んで」

[キシャァアアアア!!]


<シークレットクエスト:滅亡を呼び起こす災獣Ⅲがアキカゼ・ハヤテさんの手によって達成されました>


【草】
【草】
【おい!】
【相撲はどうした!】
【これは見事なマッチポンプですね】
【この間わずか1秒である】
【決断が早い!】
【シークレットクエストってこんな爆速で終わるもんだっけ?】
【普通は無理】

「だって孵化するの99時間後でしょ? 待ってられないよ」

【自分の都合でレイドボスを倒すな!】
【実は卵の状態ってものすごく無防備なんじゃね?】
【そんな事ない。古代獣が特殊なだけ】
【逆に古代獣をテイムしたやつには朗報じゃね?】

「でもこの場所は結局イベント発生ポイントだったね、別の場所を探そうか」

【十分でかいイベント引いたはずなんだけどな】
【何事もなかったように終わるな】
【ハズレ引いたみたいな感想やめろ】
【相変わらずの自己中っぷりですね】
【今回は特に見どころないと思ったけど、そんな事なかったw】

「取り敢えず、先程の遺物をもう一度回収しに行くか。こちらだ」

「はい、次こそは当たりを引いてみますよ!」

「いやー、何が何だか……とんでもない御仁を呼んでしまったっすね」

「然り。これはワシ達の出番なく終わりそうであるな」

「滅多な事は言わないでくれ。秘境探検隊はオレ達の場所だ」

「大丈夫ですよ、私は今まで通り翻訳係なので」

【翻訳係がついさっきレイド瞬殺したんだよな】
【翻訳係とは一体……】
【翻訳係(天下無双)】
【|◉〻◉)ハヤテさんは出会った時からこんな人でしたよ】
【それはそれで面倒臭いな】
【そこに戦力が加わって向かう所敵なしって感じか】
【それ以前にテイムしたのも実力あってのものだぞ? 討伐はともかくテイムは難易度跳ね上がるからな】


 スズキさんが入り込むといい具合に話を逸らしてくれるんだけど、最終的に私が悪者になるのがデフォルトなのが玉に瑕。
 まぁ、自業自得と言われたらそれまでか。
 さっきのもさっきので空耳の類だと思われてそうだし、極力自分の力だけでなんとかしようとするのは控えるか。

 なんせ今の私はゲストなんだからね。
 あくまでもお手伝いを優先しなければ。
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