上 下
289 / 497
4章 お爺ちゃんと生配信

253.お爺ちゃん達とvsヤマタノオロチ10

しおりを挟む
「と、言うわけで作戦はいつも通り。今回は天羽々斬があるから少しは楽になるかもくらいで見積もっててね」

【かっる、え、命令これだけ?】
【むしろ通常運行でしょ? 討伐メンバーなんだし】
【行動前にあれこれ口出される方がウザいしこれくれいでいいよ】
【わかる】
【普通は失敗しない前提でPT組むからな。口うるさくなるのは仕方ない】
【リーダーがこれくらい軽いとメンバーは気が楽で良いよな】
【気が楽というか、アキカゼさんとこは好き勝手やった結果がアレだからな】
【なんか知らんけど良い方に結果が転ぶんだよな、毎回】
【引率能力が高いだけじゃなく、失敗してもそこまで怒らないし、むしろアフターケアが完璧なんだよこの人。冗談まじりにピリピリした空気なごましてくれるし】
【あー、そう言うのがあるのか】

「騙されてはいけませんよ。その結果通常メンバーに昇格すると無茶振りに付き合わされます」

【草】
【アキカゼさんの中で株が上がると無茶振りが来るのか】
【それは怖い】

「声をかけなきゃかけないで拗ねる人が何言ってるんですか」

「楽しそうに事後報告されてみなさい、悔しくて仕方ないでしょう?」

「父ちゃん、力込めすぎくまー」


 最序盤。例の如くキャッチボールしながらヘイトを左右で交互に受け渡ししてる親子が、コメントに過剰反応して大暴投。
 ボールを大きくそらしたくま君がなんとかキャッチして返球する。


「こうやって毎回会話に割って入ってきてはぐちぐち言うんですよ? 仕方なく誘うしかないじゃないですか」

「そこ! 昔の話をいつまでも掘り返さないでください」

【こうやって茶々入れるから真面目に取り組んでるのも馬鹿みたいになるんだよな】
【これ二人ともそこまで気にしてないだろ】
【わかっててやってる辺り、仲良いよな】

「演技にしては父ちゃんの暴投は迫真だったくま!」

【うっかり力込めすぎた説】
【これ実は本気で罵り合ってたりして】
【まさかー、200万人以上が見てる前でそんなことするわけ……え、嘘ですよね?】
【今ではすっかりくまの凶暴さがなりを顰めてるな】
【その他が酷いからマシに見えるだけだぞ】
【わざと濃いメンツ集めてるのかと思ったけど、そう言うわけでもないんだろ?】
【|◉〻◉)相変わらずのハヤテさんクオリティですね】


 おや、こんなところにも身内が。
 最近彼女の顔文字を見ると元気をもらえる私がいるよ。
 そこに居なくても話題を出すだけで盛り上がれる不思議な魅力を秘めてるからね。


【父さんはこれが通常運転よ。気を使うだけ無駄なのだから諦めるのは賢明ね】


 この辛辣な言葉はシェリルだな?


「そうは言うけどね、シェリル。父さんだって結構苦労してるんだよ?」

【普通は苦労どころじゃないのよ? ただでさえパッシヴ極でヤマタノオロチをテイムでしょ? それでも討伐まで果たしてる。だから私は父さんに対してなにも言えないのだけど】
【そりゃそうだ。倒すのだってやっとなんだぞ? 見てる分には簡単そうに見えるけど】
【本当にな、前回の討伐見て俺でもできそうな気がしたけど気のせいだったし】
【いや、個々の能力が突出しすぎてるからね、このメンツ? ジョブ真似たくらいじゃ討伐は無理www】
【ブラスター揃えてもここまでポンポン首狩れないもんな】

「えっ、そうなの? 首周りは特に弱いから簡単に飛ばせると思ってた」

【無理www】
【それ以前に移動手段がなくてですね】
【父さん、普通の人はショートワープなんて持ち合わせていないのよ? 首に到達する前にブレスや特殊な攻撃で阻害されて仕切り直しよ?】
【|◉〻◉)だ、そうですが何か弁明は?】

「私だって知らないよ。未だにランクをCからランクを上げられない新規プレイヤーだよ? こっちが聞きたいくらいだよ」

【|◉〻◉)なるほど。現場からは以上です。このままスタジオにお返しします】
【それが言いたかっただけだろ、魚の人www】
【スタジオって何処だよ!】
【この人も全力で弄りに来てるよな】
【アキカゼさんのクラメンは濃い人しか居ないのか?】

「僕は薄い方ですよね、ね?」

「醤油顔という意味でですか?」

「ねぇぇぇ、なんで僕の場合は表現が辛辣になるんです!?」

「許してくれるかなって」

「酷いでしょ? この人いつもこんな感じなんですよ?」

【俺たちは一体なにを見せられているんだ?】
【茶化しながらも仕事はしっかりしてる連携プレイ?】
【ダメだ、俺このパーティでやっていける自信ない。腹筋が死んでミス連発するわwww】
【流石にこのパーティは人を選びすぎる】
【それでも全然余裕で対処してるし】
【まだアキカゼさん天羽々斬抜いてないんだよな】

「くまだったらもう使ってたくま!」

【普通はもっと早い段階で使うぞ?】
【まずは首までたどり着けないから、くまの判断は正しいよ】
【アキカゼさんがおかしいだけだから】
【まさかくまを擁護する日が来るとは思わなかった】
【唯一のまともなプレイヤーになってて草】
【他に非常識の権化がいるからな】
【常識人がPKするわけないんだよなぁ】

「くま君は顔が怖いだけで良い子だよ? 悪いのは教育を失敗した父親のジキンさんだ。彼は被害者だよ」

【父さんも少しは家庭を顧みてくれる父親だったら良かったのだけど】

「ちょっと、シェリル。今配信中だからそういうこと言うのは……ね?」

【知らないわ、自業自得でしょ。ごめんなさいね、ジキンさん。うちの父がいつもご迷惑をかけてばかりで】

「言われてますよ、ハヤテさん。出来た娘さんじゃないですか」

「本当にね。私にはもったいない娘だよ。自慢の娘だ」

【隙あらば娘自慢】
【子煩悩父親あるある】
【わかる】
【わかる】

「くまー。父ちゃんもうちの娘の顔を見せろって最近うるさいくま。まだ生後三ヶ月で外に出すのは危ないくまよ」

「くま、ここでそう言うことを暴露するのは不謹慎だぞ? 僕はちょっとフレンドの娘自慢が煩くて、どんなものか気になってるだけで……そこまで娘に執着してるわけでは」

【今回も爆弾だらけの配信ですね】
【爆弾は爆弾でも身内からの暴露じゃねーか!】
【アキカゼさんとこの家庭は雰囲気良さそうかと思ってたけどそんなことなかった】
【|◉〻◉)最低! アキカゼさんのファンやめます!】
【こんな会話聞き流しながらしっかり桃首落としてる師父さんかっけー】
【そうだぞ、真面目にやってる人に失礼だ】
【師父さんが唯一の良心になってて草生える】
【今までステルスでずっと隠れてたけどな】
【そのためのブラスター】
【ブラスターはTPの燃費悪いからしゃーない】
【痴話喧嘩しつつもしっかり首落としてるアキカゼさん達も大概だけどな】
【キャッチボールしながら重い話してる親子もいたのに】
【その横でドリルぶん回してるメタルトライダーの勇姿が全く注目されてないのは可哀想】
【ムササビの煽り運転によるヘイト誘導もなかなかだぞ? 全く話題にも上がらないけど】
【字面が最悪だから見ようによってはムササビが加害者に見えるぞ、それ】
【実際被害に遭ってるのはオロチ君ですし、あながち間違ってないのでは?】
【おい、この空気のまま最終局面に突っ込むのかよwww】
【今までで一番空気悪くて草】
【それでも期待してる俺が居る】
【今回の茶番は随分と長いなーくらいに思ってる。え、これ茶番だよな?】

「茶番だよ。わざわざ付き合ってくれてすまないね。何せある程度削るまで場が動かないだろう? 私もそれを毎度工夫して場を繋いでいるんだ。それもそろそろ終わるから切り上げるよ」

【なんだ】
【びっくりした】
【騙された】
【結局親子仲は良いの?】
【普通よ。さっきのは半分嫉妬からくるものだったから。なかなか父さんの出したタイムに届かないのよね】
【えっ、精巧超人でも4時間切れないの!?】
【そうね、事実よ。首は落とせるのだけどビームにメタ張られると殲滅力が落ちるのが困り物なの。私も件のダンジョンに向かうべきかしら?】

「ああ、深海ダンジョン? 純正のレムリア陣営がなにもらえるか気になるから後で教えて」

【じゃあ行かない】
【天邪鬼かな?】
【|◉〻◉)ハヤテさんも教育間違えてる説】
【言ってやるな】
【正しく教育できてる親なんていねーよ】
【うちの親はどうだろう? 父親は仕事で夜遅くに帰ってくるのが普通だったな】
【正しいかどうかの判断基準は子どもに委ねられるからな】
【今仲良いならそれで良いじゃん】
【最近娘が言うこと聞いてくれないんです、どうすれば良いですか?】
【急に人生相談みたいなコメント来たな】
【なんだこれ】
【だから茶番長いって!】


 ちょっと空気が悪くなっているかな?
 少し早いけどここで切り札を登場させちゃおうか。
 テイマー/ライダーの真骨頂、ライディングの出番を少し早めてこの空気を払拭させないと、挽回のチャンスはなかなか巡ってこないかもしれないからね。

 私は虹色に伸びる首を見据え、本邦初公開のスキルをお披露目するのだった。
しおりを挟む
感想 1,316

あなたにおすすめの小説

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

処理中です...