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4章 お爺ちゃんと生配信
228.おいでよ!アキカゼランド②
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『只今より、アキカゼランドのヒーローショーを開催します』
どこかからアナウンスが流れると、今まで自由に飛んでいた飛行機隊が広場の上空でホバリングしながら折り畳んでいた脚部を前方に出すようにして着陸姿勢を見せた。
飛行機の中からは男三人に女二人のパイロットが降りてきて、報告を済ませていた。
まるで何かの戦隊ヒーローを思わせるカラフルなスーツにヘルメットを片手に持ち、束の間の休憩をしていた。
場面が切り替わり、格納庫。
どうやらアトランティス陣営内でも撮影がされていたらしい。
そこでは無駄にスモークを焚いて怪しいシルエットが浮かび上がる。暗闇の中でバイザー越しのモノアイが怪しく光った。
場面が切り替わり、赤の禁忌内商店街。
見たことのある風景が一転、火の手の上がる演出に包まれる。
どこからともなく黒い覆面を被った連中が現れ、人質を取りながら広場に立て篭もった。
場面が切り替わり、再びヒーロー側の基地内。
突如鳴らされた警報と、避難信号をキャッチしてヒーローが出撃する。
出動バンクもしっかり作ってあるのか、キャスト達はノリノリで戦闘機に乗り込んでいた。
場面が切り替わり、広場。
五機の戦闘機が広場の上空で旋回し、着陸して降りてくる。
まだ変身はしてないのか、戦闘機乗りの服装だ。
「善良なる人たちを離せ!」
「ぬぬっ何奴! 我らを地下大帝ムーリアンと知ってのことか!?」
黒い覆面の取り巻きを従えるのはムー陣営のプレイヤーだった。誰であろう、どざえもんさんである。
ムーリアンて……確かにアトランティスとムーは因縁あるけど、もう少し名前捻ろうよ、探偵さん。
ここでヒーロー達がベルトに挿している操縦桿の様なステッキを取り出し、名乗りを上げながら変身した。
スーツから変わって行き、最終的にマスクがくっつくタイプの変身機構。
「赤き太陽の翼、メタルレッド!」
「煌めく蒼き疾風、メタルブルー!」
「鋭き深緑の暴風、メタルグリーン!」
「灼熱の黄色い翼、メタルイエロー!」
「全てを包む愛の抱擁、メタルピンク!」
「天空騎士、メタルファイブ! 天空の平和は俺たちが守る!」
赤、青、緑、黄、桃色の火薬が背後で爆発し、最後の名乗りで一斉に爆発した。
「何がメタルファイブだ。片腹痛い。お前たち、我らの力を見せてやれ!」
『「ムー!」』
黒い覆面達はムームー言いながらアクロバティックな動きでメタルファイブを翻弄する。
よく見れば全身タイツのお尻のあたりからハーフビースト特有の尻尾が生えており、どこからかムー陣営のプレイヤーを引っ張ってきたのだろう。
確かこの手の怪人はやられた後巨大化するんだよね。
単独で巨大化できるムーはまさに敵役にうってつけというわけだ。
といっても天空も一応はムーの管轄なんだよね。
いつの間にかアトランティスは幅を聞かせているけど。
そういう意味ではムーがこの土地を奪い返しにきたという意味だ。よく考えられてる。
最初こそ翻弄されていたヒーロー達だったが、操縦桿ステッキをビームソードやビームガンにして対応し、最後にはビームガンを五つくっつけて大砲のようにして攻撃、これを撃破した。
「ええーい、役に立たぬ奴らめ! こうなれば我自らが相手をしてやろう!」
どざえもんさんがお決まりの言葉を放ち、巨大化する。
撮影場所がそこかわからないけど、この広場で行われていないのは確かだった。
ヒーロー達は戦闘機に乗り込み、ビームやミサイルで対応する。まるで宇宙怪獣対地球防衛軍さながらの大迫力のムービーが流れる。
画面が切り替わり、ヒーロー達にアップ。
「ダメだ、効いてる様子がない」
「リーダー、合体だ」
「ダメだ。まだ俺たちの未熟な腕じゃ……!」
「でもやらなきゃ街が!」
燃え上がる赤の禁忌。そこで弱音を吐いていたレッドの覚悟が完了した。
「分かった。今日この時、成功させよう」
「リーダー!」
ヒーロー側の動きが変わる。
バラバラに攻撃を仕掛けていたのが一転、フォーメーションを組んで横に並んだ。
それに気がついた敵の幹部が声を上げる。
「うわははは、手にをするつもりか知らんが、させるとでも思ったか!?」
合体中の横槍に、ヒーロー達はバラバラに墜落してしまった。
普通ならここで立ち上がるのがヒーローだが、立ち上がる気配はない。
ここで満を辞してアナウンスが鳴った。
『ああっと、ヒーロー達が悪者にやられてしまったぞ! ここはみんなの声援が必要だ。ヒーロー頑張れ! 悪者を懲らしめて!』
よくあるヒーローショーの定番。
観客を巻き込んでの声援だ。
今まではただの視聴者が、すっかり周囲に感化されてアナウンスに誘われて声をあげていた。
最初は一人。まばらに一人二人と声をあげて、最終的には数十人の声が集まった時、奇跡的にレッドが目を覚ました。
「みんな、無事か?」
「少し気絶してたようだが、まだエネルギー残量はある」
「ならばもう一度、みんなの意思を一つに合わせて」
「「「おう!」」」
「何度やろうと無駄な事よ!」
悪の幹部のビーム攻撃が変身途中のヒーローに直撃するかと思われた時、真なるヒーローの魂が一つになって燃え上がった。
大きな魔法陣が展開される!
それがビームを弾き、合体シークエンスを可能にした。
「ゴー! メタルトライダー!」
赤い戦闘機が複雑に折り畳まれ、顔が現れる。
次に青い飛行機がボディの役目を果たした。
グリーンとイエローの機体が縦に割れ、手足の部分を形作る。
最後にピンクが細かいパーツに分裂した。
まるで大破したかのような風貌だが、変形と言い切るには無理がある。
どう考えても無理のある変形機構だが、割とバランスの良い巨大ロボットになるあたり、ピンクがいい仕事をしてるのかもしれない。
ピンクのコクピット部分だけ回収され、内側に収納された。
何故か画面上では全員同じ場所にいるのが不思議でならない。
突っ込んだら負けだろうか?
「天空神! メタルトライダー!」
何かのマークが浮かび上がり、ロボットがポーズを取る。
正直メカニックじゃなきゃ無理な変形機構だ。
絶対に乗組員のこと考えてないもん、この変形。
「こけおどしを! ムーリアンビームを喰らえ!」
「そんなビームなど、電磁シールドの前では礫と同じだ!」
電磁シールド……どう見てもピンクの機体の後ろ半分が使われてるんだけど、突っ込まないよ?
「天空剣!」
叫びと同時に突然に天気が荒れ、雷雲の中心から帯電した剣が降りてくる。
ロボットはそれを当たり前のように手に取り、片口から腰あたりまで袈裟斬りにした後、切り返すように反対側の方まで跳ね上げてVの字に切り飛ばした。
「ぐぁあああ! ムーリアン帝国に栄光おおお!」
どざえもんさんは爆発に巻き込まれながら姿を消した。
いつの間にか火の手は消え、悪の幹部と一緒にいつの間にか消えていた黒い覆面軍団。
実はチラチラと舞台の裏側で隠れるように走って行ったのを見逃してない。
突っ込むのは野暮だから言わないだけだ。
最後に巨大ロボットがポーズを決めて再び基地内に画面が戻った。あの複雑な変形をしたロボットは綺麗に戦闘機に戻っていた。納得できない。
それでも観客を巻き込んでのヒーローショーは大成功と言えた。最後にスタッフ挨拶をして終了となる。
そのスタッフに金狼君率いる漆黒の帝の面々が並んでいてギョッとした。森のクマ君が出てきた時、恐怖に引きつるプレイヤーも出てきたからね。
普段くまくま言ってる彼も、何も言わないで突っ立ってるとちょっと怖いからね。
最後にスタッフに向けてインタビューをして終わり。
質問コーナーでは、変形機構に無理がある指摘が多く殺到した。
どこかからアナウンスが流れると、今まで自由に飛んでいた飛行機隊が広場の上空でホバリングしながら折り畳んでいた脚部を前方に出すようにして着陸姿勢を見せた。
飛行機の中からは男三人に女二人のパイロットが降りてきて、報告を済ませていた。
まるで何かの戦隊ヒーローを思わせるカラフルなスーツにヘルメットを片手に持ち、束の間の休憩をしていた。
場面が切り替わり、格納庫。
どうやらアトランティス陣営内でも撮影がされていたらしい。
そこでは無駄にスモークを焚いて怪しいシルエットが浮かび上がる。暗闇の中でバイザー越しのモノアイが怪しく光った。
場面が切り替わり、赤の禁忌内商店街。
見たことのある風景が一転、火の手の上がる演出に包まれる。
どこからともなく黒い覆面を被った連中が現れ、人質を取りながら広場に立て篭もった。
場面が切り替わり、再びヒーロー側の基地内。
突如鳴らされた警報と、避難信号をキャッチしてヒーローが出撃する。
出動バンクもしっかり作ってあるのか、キャスト達はノリノリで戦闘機に乗り込んでいた。
場面が切り替わり、広場。
五機の戦闘機が広場の上空で旋回し、着陸して降りてくる。
まだ変身はしてないのか、戦闘機乗りの服装だ。
「善良なる人たちを離せ!」
「ぬぬっ何奴! 我らを地下大帝ムーリアンと知ってのことか!?」
黒い覆面の取り巻きを従えるのはムー陣営のプレイヤーだった。誰であろう、どざえもんさんである。
ムーリアンて……確かにアトランティスとムーは因縁あるけど、もう少し名前捻ろうよ、探偵さん。
ここでヒーロー達がベルトに挿している操縦桿の様なステッキを取り出し、名乗りを上げながら変身した。
スーツから変わって行き、最終的にマスクがくっつくタイプの変身機構。
「赤き太陽の翼、メタルレッド!」
「煌めく蒼き疾風、メタルブルー!」
「鋭き深緑の暴風、メタルグリーン!」
「灼熱の黄色い翼、メタルイエロー!」
「全てを包む愛の抱擁、メタルピンク!」
「天空騎士、メタルファイブ! 天空の平和は俺たちが守る!」
赤、青、緑、黄、桃色の火薬が背後で爆発し、最後の名乗りで一斉に爆発した。
「何がメタルファイブだ。片腹痛い。お前たち、我らの力を見せてやれ!」
『「ムー!」』
黒い覆面達はムームー言いながらアクロバティックな動きでメタルファイブを翻弄する。
よく見れば全身タイツのお尻のあたりからハーフビースト特有の尻尾が生えており、どこからかムー陣営のプレイヤーを引っ張ってきたのだろう。
確かこの手の怪人はやられた後巨大化するんだよね。
単独で巨大化できるムーはまさに敵役にうってつけというわけだ。
といっても天空も一応はムーの管轄なんだよね。
いつの間にかアトランティスは幅を聞かせているけど。
そういう意味ではムーがこの土地を奪い返しにきたという意味だ。よく考えられてる。
最初こそ翻弄されていたヒーロー達だったが、操縦桿ステッキをビームソードやビームガンにして対応し、最後にはビームガンを五つくっつけて大砲のようにして攻撃、これを撃破した。
「ええーい、役に立たぬ奴らめ! こうなれば我自らが相手をしてやろう!」
どざえもんさんがお決まりの言葉を放ち、巨大化する。
撮影場所がそこかわからないけど、この広場で行われていないのは確かだった。
ヒーロー達は戦闘機に乗り込み、ビームやミサイルで対応する。まるで宇宙怪獣対地球防衛軍さながらの大迫力のムービーが流れる。
画面が切り替わり、ヒーロー達にアップ。
「ダメだ、効いてる様子がない」
「リーダー、合体だ」
「ダメだ。まだ俺たちの未熟な腕じゃ……!」
「でもやらなきゃ街が!」
燃え上がる赤の禁忌。そこで弱音を吐いていたレッドの覚悟が完了した。
「分かった。今日この時、成功させよう」
「リーダー!」
ヒーロー側の動きが変わる。
バラバラに攻撃を仕掛けていたのが一転、フォーメーションを組んで横に並んだ。
それに気がついた敵の幹部が声を上げる。
「うわははは、手にをするつもりか知らんが、させるとでも思ったか!?」
合体中の横槍に、ヒーロー達はバラバラに墜落してしまった。
普通ならここで立ち上がるのがヒーローだが、立ち上がる気配はない。
ここで満を辞してアナウンスが鳴った。
『ああっと、ヒーロー達が悪者にやられてしまったぞ! ここはみんなの声援が必要だ。ヒーロー頑張れ! 悪者を懲らしめて!』
よくあるヒーローショーの定番。
観客を巻き込んでの声援だ。
今まではただの視聴者が、すっかり周囲に感化されてアナウンスに誘われて声をあげていた。
最初は一人。まばらに一人二人と声をあげて、最終的には数十人の声が集まった時、奇跡的にレッドが目を覚ました。
「みんな、無事か?」
「少し気絶してたようだが、まだエネルギー残量はある」
「ならばもう一度、みんなの意思を一つに合わせて」
「「「おう!」」」
「何度やろうと無駄な事よ!」
悪の幹部のビーム攻撃が変身途中のヒーローに直撃するかと思われた時、真なるヒーローの魂が一つになって燃え上がった。
大きな魔法陣が展開される!
それがビームを弾き、合体シークエンスを可能にした。
「ゴー! メタルトライダー!」
赤い戦闘機が複雑に折り畳まれ、顔が現れる。
次に青い飛行機がボディの役目を果たした。
グリーンとイエローの機体が縦に割れ、手足の部分を形作る。
最後にピンクが細かいパーツに分裂した。
まるで大破したかのような風貌だが、変形と言い切るには無理がある。
どう考えても無理のある変形機構だが、割とバランスの良い巨大ロボットになるあたり、ピンクがいい仕事をしてるのかもしれない。
ピンクのコクピット部分だけ回収され、内側に収納された。
何故か画面上では全員同じ場所にいるのが不思議でならない。
突っ込んだら負けだろうか?
「天空神! メタルトライダー!」
何かのマークが浮かび上がり、ロボットがポーズを取る。
正直メカニックじゃなきゃ無理な変形機構だ。
絶対に乗組員のこと考えてないもん、この変形。
「こけおどしを! ムーリアンビームを喰らえ!」
「そんなビームなど、電磁シールドの前では礫と同じだ!」
電磁シールド……どう見てもピンクの機体の後ろ半分が使われてるんだけど、突っ込まないよ?
「天空剣!」
叫びと同時に突然に天気が荒れ、雷雲の中心から帯電した剣が降りてくる。
ロボットはそれを当たり前のように手に取り、片口から腰あたりまで袈裟斬りにした後、切り返すように反対側の方まで跳ね上げてVの字に切り飛ばした。
「ぐぁあああ! ムーリアン帝国に栄光おおお!」
どざえもんさんは爆発に巻き込まれながら姿を消した。
いつの間にか火の手は消え、悪の幹部と一緒にいつの間にか消えていた黒い覆面軍団。
実はチラチラと舞台の裏側で隠れるように走って行ったのを見逃してない。
突っ込むのは野暮だから言わないだけだ。
最後に巨大ロボットがポーズを決めて再び基地内に画面が戻った。あの複雑な変形をしたロボットは綺麗に戦闘機に戻っていた。納得できない。
それでも観客を巻き込んでのヒーローショーは大成功と言えた。最後にスタッフ挨拶をして終了となる。
そのスタッフに金狼君率いる漆黒の帝の面々が並んでいてギョッとした。森のクマ君が出てきた時、恐怖に引きつるプレイヤーも出てきたからね。
普段くまくま言ってる彼も、何も言わないで突っ立ってるとちょっと怖いからね。
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