256 / 497
4章 お爺ちゃんと生配信
224.お爺ちゃんと配信⑥
しおりを挟む
B6は広大なマップだった。
しかし以前降りたB6はここまで広大ではなかったような?
「シグレ君。以前降りたB6に比べてここのマップってどう?」
「とても広いと思います。過去のデータと見合わせてみても差は歴然。全体マップの3/4ぐらいってところじゃないですか?」
つまり以前降りた時は全体の1/4しかなかったわけか。
それは広く感じるわけだ。
しかしこのエリアは非常に暑い。
前と同じダンジョンとは思えないくらいの変化だ。
しかし火山地帯のマグマに比べればまだ優しい。
纏わりつくような熱気もなく、マグマも吹き出してないからね。
しかし苦手とする種族も少なくない。
「ケンタ君、炎に耐性は?」
「多少持ってるが長期間は厳しいな。じぃじだって大変だろ?」
「ジキンさんは火の契りを6まで持ってるからマグマの海で泳げるよ」
「やべー!」
ケンタ君は目を輝かせながら自分の祖父に尊敬の念を送っている。可能と言うだけでやる意味はないのだが、そこはあえて言わない。ケンタ君と組む関係上、ジキンさんに悪口ばかりも言ってられないからね。
「ルリ。君の探索スキルで鉱脈を見つけたなら自由に動いてくれて良い。ただでさえ手探りの探索だ。何かおかしい点があればどんどん意見を出してくれ」
「良いの? 邪魔にならない?」
「ルリは優秀だとフィールも褒めてたよ。それにマリンやユーノ君ともうまく連携が取れている。邪魔になんてならないさ。でもここは未知の探索地域だ。くれぐれも無理はしすぎないように」
コクと頭を下げるルリ。
騒がしいマリンと違って大人しい分、こうと決めたら頑固のようだ。
「ルリちゃん、一緒に頑張ろうね」
「うん。マリンちゃんにも教えてあげる」
「私も」
「もちろんユーノも一緒だよ!」
マリンは誰の中にも入っていける。ユーノ君は優秀だけれど引っ込み思案なところがあるからね。だからマリンのことが心配な反面羨ましいのだろう。
さて、探索の方向性は決まった。
あとはどざえもんさんと探偵さんと打ち合わせをする。
シグレ君は私の付き人のように継いて回ってくれるのでパフォーマンスがしやすくて助かるよ。
「どざえもんさん、進捗は如何ですか?」
「精霊は降ろせたが、俺のランクは未だにⅢ止まりでな。一~三の焔では探知系のスキルがなくて困り果てていた」
「へぇ。それってランク毎に全属性解放されるんだ。効果はどうやって調べるの?」
「ぶっつけ本番だが? あとは言葉の意味も調べて取り敢えず使って覚える感じだ。ここは精霊使いのスキルを育てるのに最適だな。エリアによって降ろせる精霊は変わるが、普段はこんなにぽんぽん呼び出せんからな。今日は誘ってくれて助かった」
「ほうほう。それは視聴者さんにも朗報ですね」
【それ以前にこの人以外に精霊使いが居ない件】
【そんなこと言ったらテイマーの人数も少ないけどな】
【テイマーになってもアキカゼさんになれるわけじゃねーし】
【それは言えてる】
「別に私になる必要はないんじゃないの? 自分で言うのもなんだけど、私は戦うことを放棄してる人間だからね」
【知ってた】
【えっ】
【さっきまでの戦闘で活躍してた人がそれを言う?】
【戦闘が苦手な人の戦い方じゃないのよなぁ】
【むしろ今回の配信を見て設置型のエグさを知ったのですが?】
捉え方は人それぞれだしね。
私の感覚をその他大勢に理解してもらう必要はないか。
「じゃあこのエリアは探偵さんがしらみ潰しに……」
「またそうやって無茶振りする!」
「お爺ちゃんはいつもする側の人間だもんね」
「シグレ……」
「ほらほら。私達で怪しいところ見つけてあげますから。その場所にちょちょいと妖精誘引を、ね?」
「君の頼みは受けるけどね? あっちもこっちもと言うのは辞めてくれよ? ただでさえEPの回復は遅いんだ。さっきの風精霊のところでも8割減ったんだからね? ちょっと、背中を押さないでよ」
「はいはい、分かってますって」
【この人絶対わかってないぞ!】
【いや、分かってて強制連行してるんだ】
【口調は柔らかいのに無理矢理押し通す姿勢は見習いたくないな】
【クランマスターって割とこういう人多いぞ? もう既に決まってることだからグダグダ言わずにやれって事だよ】
【身も蓋もねーな】
【この人でさえアキカゼさんにとってこういうポジションなのが】
【いや、この人シェリルにもこの姿勢だぞ? 自分でできることはなんでもするけど、その人にしかできないことがあったら仕事でしょって言ってやらせてる】
【上司に欲しくないな】
「酷いな。私は探偵さんならやってくれると思ってるから仕事を任せてるんだよ? 出来もしない人にやらせないよ、こんな事」
【物は言いようだな】
【実際に孫達には何も任せてないもんな】
【信用されてないってこと?】
「違うよ。マリン達は経験が足りないんだ。探偵さんは経験が豊富でね。それを活かしてもらいたいと思ってる。もちろん私だって探索するし、どざえもんさんだって居る。探偵さんにだけやれなんて言ってないよ?」
【ああ、そう言う】
【そもそも初見のエリアで方向性決めるのは大事だよ。自分が何するか分からずに行動する方が危険だし】
「爺ちゃん、俺は?」
「ケンタ君はマリン達が困っているときに手を貸してあげてほしい。重いものを持つとか、彼女達では出来ないことをしてあげてほしい」
「それぐらいなら、任してくれ!」
「若い子って真っ直ぐで良いですよね。皆さんも見習ってください」
【これはナイス誘導】
【名采配ですわ】
【下手するとスキルの有無で無能扱いされるもんな】
【アキカゼさんはそういう事あまりしないから安心して見れる】
【最後の一言は余計だけどな】
さっきと今で言ってることが違う。
君達手のひらドリルでできてるんじゃない?
その内掌を地面に置いただけで土を掘れるかもね。
なんて事はさておき、どざえもんさんの検証結果が出る。
B6はところどころ暑いものの、B3と同様にエネミーが徘徊していない。
そんな事もあって安全に検証ができたようだ。
一の焔〝炎煙誘導〟スモークソナー
何かがある方向へ煙が誘ってくれる。
ちなみに周囲から似たような煙が出るエリアだと、混ざって見えなくなるので効果が発揮してないように思うらしい。
今までなんの意味があると思っていたが、探知系だと知れてようやく理解したらしい。
ちなみに右の横文字はどざえもんさんが勝手に言ってるだけだ。本来の呼び名は漢字のみであり、詳細説明すらない。
自分で試せと言わんばかりの仕様でこれには相当苦労しているらしい。なのでそれっぽい効果を名前を聞いてみんなにわかるようにして情報を乗せてるようだ。
二の焔〝衝撃炎弾〟スプレッドインパクト
これは純粋に面制圧してくる弾丸だ。
周囲10メートルに炎属性の岩盤を打ち出すというもの。
因みに目を鍛えてないと目視できないので発動したらまず必中らしい事。
三の焔〝回転炎舞〟サークルフレア
これはどちらかと言えば防御系らしい。
自身の周囲に設置された炎が、誘引し、引火する仕組みで、自分からぶつかりに行っても引火するあたり使い勝手がいいようだ。効果は自身の周りに限るが、一歩も動かなければ火種が消えるまで有効らしい。
しかし炎の精霊を降ろせる場所のエネミーは炎属性に高い耐性があるのが多く、有効打を与えられることが少ないとか。
完全に死にスキルでは?
そう思ったが、攻撃手段の少ないどざえもんさんにとっては火傷のようなスリップダメージも必要とのことだ。
「一の焔、探知系でしたか」
「どう考えてもそれっぽいのだが一つ問題があってな」
「どんな問題です?」
「周囲の熱気が強すぎてせっかくのソナーが背景に混ざる点だ」
「周囲を氷結させれば良いんじゃないですか? そういうのは探偵さんが得意だよ」
「少年……少しは自分でやりなよ」
【言われてるぞアキカゼさん!】
【ぶっちゃけ働かせすぎなんだよなぁ】
【見てて可哀想に思うもん】
「はいはい。後で自分でやればよかったと文句言わないでくださいね? では水操作★ からの~氷作成★……どんな感じです?」
【なんで足場凍った、今?】
【あれは二の試練の称号スキルだぞ。クリアすれば誰でも使える】
【へー、天空の試練か】
【つーて氷のブロック作るのと薄く氷張るのでは熟練度がものを言うけどな】
【誰でも使えるは語弊があるわ】
「探偵さんだと水を薄く展開してこれぐらいの大きさの箱を作ったりしてくれて、水操作と言えば探偵さんに任せておけば間違い無いんだよ。私はその手の操作が大雑把でね。それでも上手くいって良かったよ」
【多分初見でやれって言っても無理だと思いますよ】
「そういえばシグレも持ってたよね、水操作★」
「お爺ちゃん、ここであたしに振るのやめてよね。プレッシャーが凄いんだけど?」
そのあとシグレ君の拙い水操作と氷作成★を堪能し、私の要求がいかに高いことを知れた視聴者達は落ち込むシグレ君に励ましのコメントを送っていた。
一の焔で煙に誘われてマップを進むと、そこでは偶然戦闘中のマリン達と遭遇する。
少し大きめなエネミーがおり、スピードタイプ二人じゃ攻め兼ねていた。
その上でエネミーはスモーク型という見たことのないタイプ。
あれ、スモーク?
私と探偵さんは同時にどざえもんさんを見つめていた。
「なんだ? 二人して俺を見て」
「いや、この術でスモークを炊いた先で孫達がスモーク型のエネミーと戦ってましたので、あれが現れた原因はそれかなって」
「別にどざえもんさんのせいではないよ。ただ少年は些か言葉が足りな過ぎる。ここは言い方を変えよう。このエリアでは特定の場所で何か行動を起こすとエネミーとして襲ってくる。そんな仕掛けを思いついたのさ」
「ふむ。その特定の行動が煙を焚くことに繋がったか」
【この人鋭いな】
【探偵のロールプレイヤーやってるだけあるわ】
【アキカゼさんの采配は間違ってなかったか】
【優秀すぎて仕事まかせすぎだけどな】
「だから言ってるじゃない。この人は放っておいても勝手に考察するよ。彼の息子がうちのクランにいるカネミツ君だからね」
【えっ】
【えっ】
【えっ】
【カエルの子はカエルってヤツか】
【まさかワンマン検証班のカネミツのお父さんだったとは!】
【通りで色々気づくわけだ】
【本当に謎の人脈だな】
【じゃあシグレちゃんはあいつの娘ってことか】
「まあ、あたしは記者だしね。前いたクランはお父さん以外は目立たない仕組みだから。そういう意味ではここでもお父さんが目立たないけどね」
「その節はうちの息子が世話になったね。僕は彼と違って自分の好きなことしかしないから、その点はよろしく頼むよ」
「この人はただの中学の同級生なんだけどね」
【ダグラス師ですら幼馴染で片付けるからな】
【そんなこと言ったらシェリルだって娘だぞ?】
【銀姫ちゃんも孫だしな】
「そんなにおかしいかね? 私はただありのままを語っているのだけど」
【気にしないで。ただの妬みだから】
【草】
【それを本人の前で言う勇気】
【蛮勇なのか愚行なのか】
「それより手助けするんでしょ?」
探偵さんは眼前で戦闘中の孫達を指さして促す。
「一応聞くだけ聞いてみるよ。あの子達も私たちに頼ってばかりじゃいけないとは思ってるだろうし」
「それが良い。俺としては実戦で精霊使いがどれだけ戦えるか検証したいが、別に今じゃなくて良いしな」
「ではいつでも参加できるように準備をしておこうか。手始めに食事でも、どうかな?」
アイテムバッグから木製のテーブルとチェアを取り出した探偵さんは、視聴者が見守る中、自由に食事をはじめていた。
そのあまりの自由さに視聴者から総ツッコミが入ったのは言うまでもないだろう。
しかし以前降りたB6はここまで広大ではなかったような?
「シグレ君。以前降りたB6に比べてここのマップってどう?」
「とても広いと思います。過去のデータと見合わせてみても差は歴然。全体マップの3/4ぐらいってところじゃないですか?」
つまり以前降りた時は全体の1/4しかなかったわけか。
それは広く感じるわけだ。
しかしこのエリアは非常に暑い。
前と同じダンジョンとは思えないくらいの変化だ。
しかし火山地帯のマグマに比べればまだ優しい。
纏わりつくような熱気もなく、マグマも吹き出してないからね。
しかし苦手とする種族も少なくない。
「ケンタ君、炎に耐性は?」
「多少持ってるが長期間は厳しいな。じぃじだって大変だろ?」
「ジキンさんは火の契りを6まで持ってるからマグマの海で泳げるよ」
「やべー!」
ケンタ君は目を輝かせながら自分の祖父に尊敬の念を送っている。可能と言うだけでやる意味はないのだが、そこはあえて言わない。ケンタ君と組む関係上、ジキンさんに悪口ばかりも言ってられないからね。
「ルリ。君の探索スキルで鉱脈を見つけたなら自由に動いてくれて良い。ただでさえ手探りの探索だ。何かおかしい点があればどんどん意見を出してくれ」
「良いの? 邪魔にならない?」
「ルリは優秀だとフィールも褒めてたよ。それにマリンやユーノ君ともうまく連携が取れている。邪魔になんてならないさ。でもここは未知の探索地域だ。くれぐれも無理はしすぎないように」
コクと頭を下げるルリ。
騒がしいマリンと違って大人しい分、こうと決めたら頑固のようだ。
「ルリちゃん、一緒に頑張ろうね」
「うん。マリンちゃんにも教えてあげる」
「私も」
「もちろんユーノも一緒だよ!」
マリンは誰の中にも入っていける。ユーノ君は優秀だけれど引っ込み思案なところがあるからね。だからマリンのことが心配な反面羨ましいのだろう。
さて、探索の方向性は決まった。
あとはどざえもんさんと探偵さんと打ち合わせをする。
シグレ君は私の付き人のように継いて回ってくれるのでパフォーマンスがしやすくて助かるよ。
「どざえもんさん、進捗は如何ですか?」
「精霊は降ろせたが、俺のランクは未だにⅢ止まりでな。一~三の焔では探知系のスキルがなくて困り果てていた」
「へぇ。それってランク毎に全属性解放されるんだ。効果はどうやって調べるの?」
「ぶっつけ本番だが? あとは言葉の意味も調べて取り敢えず使って覚える感じだ。ここは精霊使いのスキルを育てるのに最適だな。エリアによって降ろせる精霊は変わるが、普段はこんなにぽんぽん呼び出せんからな。今日は誘ってくれて助かった」
「ほうほう。それは視聴者さんにも朗報ですね」
【それ以前にこの人以外に精霊使いが居ない件】
【そんなこと言ったらテイマーの人数も少ないけどな】
【テイマーになってもアキカゼさんになれるわけじゃねーし】
【それは言えてる】
「別に私になる必要はないんじゃないの? 自分で言うのもなんだけど、私は戦うことを放棄してる人間だからね」
【知ってた】
【えっ】
【さっきまでの戦闘で活躍してた人がそれを言う?】
【戦闘が苦手な人の戦い方じゃないのよなぁ】
【むしろ今回の配信を見て設置型のエグさを知ったのですが?】
捉え方は人それぞれだしね。
私の感覚をその他大勢に理解してもらう必要はないか。
「じゃあこのエリアは探偵さんがしらみ潰しに……」
「またそうやって無茶振りする!」
「お爺ちゃんはいつもする側の人間だもんね」
「シグレ……」
「ほらほら。私達で怪しいところ見つけてあげますから。その場所にちょちょいと妖精誘引を、ね?」
「君の頼みは受けるけどね? あっちもこっちもと言うのは辞めてくれよ? ただでさえEPの回復は遅いんだ。さっきの風精霊のところでも8割減ったんだからね? ちょっと、背中を押さないでよ」
「はいはい、分かってますって」
【この人絶対わかってないぞ!】
【いや、分かってて強制連行してるんだ】
【口調は柔らかいのに無理矢理押し通す姿勢は見習いたくないな】
【クランマスターって割とこういう人多いぞ? もう既に決まってることだからグダグダ言わずにやれって事だよ】
【身も蓋もねーな】
【この人でさえアキカゼさんにとってこういうポジションなのが】
【いや、この人シェリルにもこの姿勢だぞ? 自分でできることはなんでもするけど、その人にしかできないことがあったら仕事でしょって言ってやらせてる】
【上司に欲しくないな】
「酷いな。私は探偵さんならやってくれると思ってるから仕事を任せてるんだよ? 出来もしない人にやらせないよ、こんな事」
【物は言いようだな】
【実際に孫達には何も任せてないもんな】
【信用されてないってこと?】
「違うよ。マリン達は経験が足りないんだ。探偵さんは経験が豊富でね。それを活かしてもらいたいと思ってる。もちろん私だって探索するし、どざえもんさんだって居る。探偵さんにだけやれなんて言ってないよ?」
【ああ、そう言う】
【そもそも初見のエリアで方向性決めるのは大事だよ。自分が何するか分からずに行動する方が危険だし】
「爺ちゃん、俺は?」
「ケンタ君はマリン達が困っているときに手を貸してあげてほしい。重いものを持つとか、彼女達では出来ないことをしてあげてほしい」
「それぐらいなら、任してくれ!」
「若い子って真っ直ぐで良いですよね。皆さんも見習ってください」
【これはナイス誘導】
【名采配ですわ】
【下手するとスキルの有無で無能扱いされるもんな】
【アキカゼさんはそういう事あまりしないから安心して見れる】
【最後の一言は余計だけどな】
さっきと今で言ってることが違う。
君達手のひらドリルでできてるんじゃない?
その内掌を地面に置いただけで土を掘れるかもね。
なんて事はさておき、どざえもんさんの検証結果が出る。
B6はところどころ暑いものの、B3と同様にエネミーが徘徊していない。
そんな事もあって安全に検証ができたようだ。
一の焔〝炎煙誘導〟スモークソナー
何かがある方向へ煙が誘ってくれる。
ちなみに周囲から似たような煙が出るエリアだと、混ざって見えなくなるので効果が発揮してないように思うらしい。
今までなんの意味があると思っていたが、探知系だと知れてようやく理解したらしい。
ちなみに右の横文字はどざえもんさんが勝手に言ってるだけだ。本来の呼び名は漢字のみであり、詳細説明すらない。
自分で試せと言わんばかりの仕様でこれには相当苦労しているらしい。なのでそれっぽい効果を名前を聞いてみんなにわかるようにして情報を乗せてるようだ。
二の焔〝衝撃炎弾〟スプレッドインパクト
これは純粋に面制圧してくる弾丸だ。
周囲10メートルに炎属性の岩盤を打ち出すというもの。
因みに目を鍛えてないと目視できないので発動したらまず必中らしい事。
三の焔〝回転炎舞〟サークルフレア
これはどちらかと言えば防御系らしい。
自身の周囲に設置された炎が、誘引し、引火する仕組みで、自分からぶつかりに行っても引火するあたり使い勝手がいいようだ。効果は自身の周りに限るが、一歩も動かなければ火種が消えるまで有効らしい。
しかし炎の精霊を降ろせる場所のエネミーは炎属性に高い耐性があるのが多く、有効打を与えられることが少ないとか。
完全に死にスキルでは?
そう思ったが、攻撃手段の少ないどざえもんさんにとっては火傷のようなスリップダメージも必要とのことだ。
「一の焔、探知系でしたか」
「どう考えてもそれっぽいのだが一つ問題があってな」
「どんな問題です?」
「周囲の熱気が強すぎてせっかくのソナーが背景に混ざる点だ」
「周囲を氷結させれば良いんじゃないですか? そういうのは探偵さんが得意だよ」
「少年……少しは自分でやりなよ」
【言われてるぞアキカゼさん!】
【ぶっちゃけ働かせすぎなんだよなぁ】
【見てて可哀想に思うもん】
「はいはい。後で自分でやればよかったと文句言わないでくださいね? では水操作★ からの~氷作成★……どんな感じです?」
【なんで足場凍った、今?】
【あれは二の試練の称号スキルだぞ。クリアすれば誰でも使える】
【へー、天空の試練か】
【つーて氷のブロック作るのと薄く氷張るのでは熟練度がものを言うけどな】
【誰でも使えるは語弊があるわ】
「探偵さんだと水を薄く展開してこれぐらいの大きさの箱を作ったりしてくれて、水操作と言えば探偵さんに任せておけば間違い無いんだよ。私はその手の操作が大雑把でね。それでも上手くいって良かったよ」
【多分初見でやれって言っても無理だと思いますよ】
「そういえばシグレも持ってたよね、水操作★」
「お爺ちゃん、ここであたしに振るのやめてよね。プレッシャーが凄いんだけど?」
そのあとシグレ君の拙い水操作と氷作成★を堪能し、私の要求がいかに高いことを知れた視聴者達は落ち込むシグレ君に励ましのコメントを送っていた。
一の焔で煙に誘われてマップを進むと、そこでは偶然戦闘中のマリン達と遭遇する。
少し大きめなエネミーがおり、スピードタイプ二人じゃ攻め兼ねていた。
その上でエネミーはスモーク型という見たことのないタイプ。
あれ、スモーク?
私と探偵さんは同時にどざえもんさんを見つめていた。
「なんだ? 二人して俺を見て」
「いや、この術でスモークを炊いた先で孫達がスモーク型のエネミーと戦ってましたので、あれが現れた原因はそれかなって」
「別にどざえもんさんのせいではないよ。ただ少年は些か言葉が足りな過ぎる。ここは言い方を変えよう。このエリアでは特定の場所で何か行動を起こすとエネミーとして襲ってくる。そんな仕掛けを思いついたのさ」
「ふむ。その特定の行動が煙を焚くことに繋がったか」
【この人鋭いな】
【探偵のロールプレイヤーやってるだけあるわ】
【アキカゼさんの采配は間違ってなかったか】
【優秀すぎて仕事まかせすぎだけどな】
「だから言ってるじゃない。この人は放っておいても勝手に考察するよ。彼の息子がうちのクランにいるカネミツ君だからね」
【えっ】
【えっ】
【えっ】
【カエルの子はカエルってヤツか】
【まさかワンマン検証班のカネミツのお父さんだったとは!】
【通りで色々気づくわけだ】
【本当に謎の人脈だな】
【じゃあシグレちゃんはあいつの娘ってことか】
「まあ、あたしは記者だしね。前いたクランはお父さん以外は目立たない仕組みだから。そういう意味ではここでもお父さんが目立たないけどね」
「その節はうちの息子が世話になったね。僕は彼と違って自分の好きなことしかしないから、その点はよろしく頼むよ」
「この人はただの中学の同級生なんだけどね」
【ダグラス師ですら幼馴染で片付けるからな】
【そんなこと言ったらシェリルだって娘だぞ?】
【銀姫ちゃんも孫だしな】
「そんなにおかしいかね? 私はただありのままを語っているのだけど」
【気にしないで。ただの妬みだから】
【草】
【それを本人の前で言う勇気】
【蛮勇なのか愚行なのか】
「それより手助けするんでしょ?」
探偵さんは眼前で戦闘中の孫達を指さして促す。
「一応聞くだけ聞いてみるよ。あの子達も私たちに頼ってばかりじゃいけないとは思ってるだろうし」
「それが良い。俺としては実戦で精霊使いがどれだけ戦えるか検証したいが、別に今じゃなくて良いしな」
「ではいつでも参加できるように準備をしておこうか。手始めに食事でも、どうかな?」
アイテムバッグから木製のテーブルとチェアを取り出した探偵さんは、視聴者が見守る中、自由に食事をはじめていた。
そのあまりの自由さに視聴者から総ツッコミが入ったのは言うまでもないだろう。
0
お気に入りに追加
1,986
あなたにおすすめの小説
【完結】6歳の王子は無自覚に兄を断罪する
土広真丘
ファンタジー
ノーザッツ王国の末の王子アーサーにはある悩みがあった。
異母兄のゴードン王子が婚約者にひどい対応をしているのだ。
その婚約者は、アーサーにも優しいマリーお姉様だった。
心を痛めながら、アーサーは「作文」を書く。
※全2話。R15は念のため。ふんわりした世界観です。
前半はひらがなばかりで、読みにくいかもしれません。
主人公の年齢的に恋愛ではないかなと思ってファンタジーにしました。
小説家になろうに投稿したものを加筆修正しました。
【完結】父が再婚。義母には連れ子がいて一つ下の妹になるそうですが……ちょうだい癖のある義妹に寮生活は無理なのでは?
つくも茄子
ファンタジー
父が再婚をしました。お相手は男爵夫人。
平民の我が家でいいのですか?
疑問に思うものの、よくよく聞けば、相手も再婚で、娘が一人いるとのこと。
義妹はそれは美しい少女でした。義母に似たのでしょう。父も実娘をそっちのけで義妹にメロメロです。ですが、この新しい義妹には悪癖があるようで、人の物を欲しがるのです。「お義姉様、ちょうだい!」が口癖。あまりに煩いので快く渡しています。何故かって?もうすぐ、学園での寮生活に入るからです。少しの間だけ我慢すれば済むこと。
学園では煩い家族がいない分、のびのびと過ごせていたのですが、義妹が入学してきました。
必ずしも入学しなければならない、というわけではありません。
勉強嫌いの義妹。
この学園は成績順だということを知らないのでは?思った通り、最下位クラスにいってしまった義妹。
両親に駄々をこねているようです。
私のところにも手紙を送ってくるのですから、相当です。
しかも、寮やクラスで揉め事を起こしては顰蹙を買っています。入学早々に学園中の女子を敵にまわしたのです!やりたい放題の義妹に、とうとう、ある処置を施され・・・。
なろう、カクヨム、にも公開中。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。
英雄一家は国を去る【一話完結】
青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
運極ちゃんの珍道中!〜APの意味がわからなかったのでとりあえず運に極振りしました〜
斑鳩 鳰
ファンタジー
今話題のVRMMOゲーム"Another World Online"通称AWO。リアルをとことん追求した設計に、壮大なグラフィック。多種多様なスキルで戦闘方法は無限大。
ひょんなことからAWOの第二陣としてプレイすることになった女子高生天草大空は、チュートリアルの段階で、AP振り分けの意味が分からず困ってしまう。
「この中じゃあ、運が一番大切だよね。」
とりあえず運に極振りした大空は、既に有名人になってしまった双子の弟や幼馴染の誘いを断り、ソロプレーヤーとしてほのぼのAWOの世界を回ることにした。
それからレベルが上がってもAPを運に振り続ける大空のもとに個性の強い仲間ができて...
どこか抜けている少女が道端で出会った仲間たちと旅をするほのぼの逆ハーコメディー
一次小説処女作です。ツッコミどころ満載のあまあま設定です。
作者はぐつぐつに煮たお豆腐よりもやわやわなメンタルなのでお手柔らかにお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる