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3章 お爺ちゃんと古代の導き

159.お爺ちゃん達と[六の試練]①

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 その場所は一面、白で埋め尽くされていた。
 不思議と足場があるようで、しかしそれ以外がなんら解析不明。
 照りつける太陽が影すらも塗りつぶし、目的地を不明瞭にしているのだ。おまけにスクリーンショットを構えた途端に眼をやられる仕様らしく、今までに比べて難易度が明らかに高くなっていることを実感した。


「これは早々にお手上げだね。眩しすぎて何も見えない。印をつけるにしても、こんなに明るくちゃ、せっかくの印もぼやけてしまうし」

「諦めるのは早いですよ。まずは今まで手に入れた称号スキルを片っ端から使ってみましょう」


 探偵さんが開始早々諦める声を上げる中、私はそれを否定するように提案した。


「ダメで元々って奴か。嫌いじゃないよ、そういうの」

「風よりも水ですかね?」

「三の試練の応用ですか!」

「じゃあスズキ君、アレやるよ。スプリンクラー。氷出すから水お願い」

「はーい」


 早速光を屈折させる水のシャワーを周囲に拡散させると、周囲の景色が徐々にだが変化していく。
 視界に映ったのは白一色で塗りつぶされた四角い部屋だった。
 天井はなく、部屋の隅々まで光が行き届いて真っ白に見えていたらしい。扉らしいものも見えるが、どうやら鍵がかかってるようだ。鍵穴らしいものは見つかるが、肝心の鍵は見つからなかった。


「お、当たりかな? 少年、スクリーンショットはどうだ?」

「まだ眩しいですね。目の前の扉を映そうにもスクリーンは城で埋め尽くされてる」

「他にも何か必要なのかもしれないです」

「なら重力操作だ!」


 この中で一番体重の重いジキンさんが重力を操る。
 光が遠ざかったことにより、少しだけ上の景色に雲がかかる。
 スクリーンショットはようやく真っ白から目に映った景色と同じものが現れた。

 パシャリと映し込み、それを全員にメール送信。
 ちなみに私はよく見えてない。ずっと太陽を見てたのと同じくらいのダメージが目にきてる為、ぼんやりとしか見えていない。


「少年、大丈夫か?」

「少々立ちくらみする程度ですが」

「無理はダメですよ」

「分かっている」


 少しだけ休憩を申し出て、その場に座り込む。瞳を休ませて、最近仲直りした次女の笑顔を思い出したらあっという間に瞳は回復した。我ながら単純なつくりだと思う。送り出してくれた娘のためにも何がなんでも一回でクリアするぞという気持ちが湧き上がった。


「待たせたね。今確認した。『鍵は足元にある』だったか?」

「足元ってひんやりしてるんですよね? もしかして氷でしょうか?」

「多分それだ。私が水操作を鍵穴に使い、そのまま氷作成で鍵を作ってみる。みんなはなるべくその状態を維持していて欲しい」

「分かりました」「任せたよ」「早くしてくださいね?」


 三者三様の返事を聞き、繊細な操作で鍵穴に水を通して中いっぱいになるまで水を貯め、そこに氷作成で全体を凍らせた。
 うっかり扉全体を凍らせるところだったが、意識を集中させること10分。ようやく扉のロックが解錠された。


「待たせたね。こっちだ」


 扉を開き、探偵さんとスズキさんが作業をやめて歩いてくる。
 ジキンさんは体重を維持したまま扉を潜った。
 次のフロアは天井だけではなく、壁からも光が入ってきた。
 足元は氷付いているが、白く塗りつぶされた部屋は足場と壁の境界線を曖昧にした。
 ここでは探偵さんのアイディアが活躍した。


「ならば僕とスズキ君で水操作を行い、両サイドの足場の境界線を探るよ。地面に当たれば弾かれるけど、通り過ぎたらそこに足場はないってことになる」


 つまりは水が跳ね上がる状態を維持するする必要があり、なんならずっとスキルを使用し続ける状態を任せるという事だ。
 さっきの部屋も同様に、APとSPを過剰に消耗させるやり方。しかしそれ以外の方法もなく、休憩を挟みつつ我々はフロアを渡り歩く。

 そして二つ目のフロアの出口は高い場所にあった。
 とても歩いてはいけず、飛び上がるとフロア全体が太陽に近づいてしまう憎い仕掛けである。
 ジキンさんの重力操作で辛うじて探索できてる私達にとって、それは一番の握手である。
 五の試練の時もそうだったように、ある程度の場所まで落とすと地上に真っ逆さまになる為、上げすぎず、落としすぎずが重要なのだ。


「ならば私が水操作の氷作成で足場を作ります。ジキンさんはそれに合わせて重力操作の調整をお願いします」

「仕方ありませんね。ダークマターをたくさん仕入れてきて正解でした。おかげでバックがパンパンだ」


 常に30袋は持ち歩いてるジキンさんがさらに多く持ってきていると聞いてその本気具合が伺える。ただ同時に不安もよぎってくる。


「ちなみに他の調理アイテムを持ってきたりなんかは?」

「無いですね。今回は皆さんにご馳走になろうかと」

「呆れたものだ」

「僕の手作りでいいならどうぞ!」


 どうやらスズキさんの持ち込んだ調理アイテムは手製のようだ。え、その手で作ったんですか? 
 その体じゃエプロンだってつけれないでしょうに。
 あまり深く考えることをやめようか。
 本人は乗り気で調理したというのだ。普段おちゃらけた彼女なりのイメージアップ作戦かもしれないし。


「ENが回復するんならなんでもいいですよ」

「その言葉、覚えておきますよ?」


 ふっふっふーと何やら意気込むスズキさん。それってどんな意味があるんだろうか?
 氷の階段を作り上げて次へ向かう前に消耗したAPとSPを回復させ、私達は次のフロアへと進んだ。
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