上 下
172 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き

149.お爺ちゃん達と[四の試練]⑤

しおりを挟む

 ジキンさんに言われたからではありませんが、私達は再び四の試練へと赴いた。
 殆どタネが割れてしまってるので流れ作業で。
 問題の氷塊の対処法は滑り台に転がってくるという状態からスタートするのだからと機転を利かせた探偵さんが水操作で途中からジャンプ台を作り、土台に水操作で作った氷をガン積みして強度を保たせて何とか乗り越えた。

 でもやっぱりというか何というか。ここに来る時点である程度試練を乗り越えてる必要はあるね。
 大体はスズキさんがノリでバシャーと水操作を行なっているけど、それが一番の功績だろう。彼女は物怖じせず、言われたら即座に実行出来る準備が出来上がっているのだ。
 むしろ実行しろという前から動き出すので失敗した時が怖いが、まぁまだ失敗してないので平気だ。
 今なんか自分たちの真横を氷でできた丸のこがすごい速度で通過していったのに、イエーイって言いながら探偵さんとハイタッチしてたし。
 そしてついに私達は最後の関門を乗り越えて、鯨くんの顎先が現れる。スクリーンショットを覗くだけでニマニマしてしまう。

 ちょうどログに中継ポイントのマーク。
 けれど私達が欲しい情報はそこにある。
 

「なんて書かれていました?」

「はい。~扉を開き導く。かの古代都市アトラ~までですね」

「ふむ、繋げると[我は鍵にして門。天空のお膝元、かの大地エルメロイの中央に座する、暗黒球。全ての鍵を手にし、封印されし扉を開き導く。かの古代都市アトラ__]ですか。ここら辺でタイトル回収するんだ」

「やっぱりこれってアトランティス大陸のことですよね、ね!?」

「まず間違いないでしょう。しかし試練の数は9つで、アトランティス大陸に行くには全ての試練を乗り越える必要があるわけだ」


 チラリ、とジキンさんを見る。


「なんですか?」

「いや、ジキンさんも一と二の試練受けたほうがいいんじゃないかと思って。今だったらミラージュかけっこで余裕で取れそうだと思いますよ」

「あ、それ僕思いました」


 確かに今一の試練を受けたらすぐに合格できそうな感じはするな。二の試練に関しては泳ぎが得意かどうかで決まるけど。


「やってみたらどうです?」

「僕は泳ぎが苦手で……」


 そう言いながらスズキさんをみやって、すぐに探偵さんに目を向けた。


「ちなみにですが、僕は肺呼吸が苦手です。でも出来ました。犬のじいじも頑張ってみて!」


 えっへんと胸を張るスズキさん。
 こう言われてしまったらジキンさんも逃げ場所を失いますね。


「どうしてみんな、僕なんかに期待するかなぁ」

「どうせだったらみんなで一緒にクリアしたいじゃないですか。私達なりの優しさですよ」

「無理強いすることのどこに優しさがあるんです?」

「無理強いでもしないと一人でいじけてるじゃないですか。知ってますよ。いつも羨ましそうに二人を見ていたのを。自分も活躍したいぞって顔に書いてあります。もっと素直になってみたらどうですか?」

「なんだか乗せられてる気がしないでもないけど。まぁやるだけやってみますよ」


 ジキンさんがやる気になってくれたところで帰路に着く……まって。ここってこれ以上行けないよね?

 ついさっき乗り越えた試練は入ってきた入り口に氷塊を当て込むことで乗り越えた。うん、乗り越えたのはいいけど帰り道はなかった。

 仕方ないのでその場でログアウトし、再度ログイン。
 ジキンさんがしこたま買ってくれたおかげでオクト君がちょうど地上に買い出しに来ていたので飛空挺に乗せてもらい、再び四の試練へ。したルートで再び試練に合格すると、ようやく名前が載るようになった。
 ちなみに上も下も赤の禁忌に帰る道がない。
 なんという嫌がらせか。師父氏の顔がなんとも言えないものになっていた理由がわかったよ。


 私達はそのまま下に降りてトップクランの皆さんと合流、近況を語り合った。
 向こうは向こうで影の巨人をやっつけたようだ。素晴らしいね。しかしそのあと複数体の巨人に襲われたので、巨人がいる方角への探索は打ち切ったらしい。
 倒せたとは言っても、倒しにきてはないので相手取るのは手間だと言うことだ。

 ちょっと会話しただけだけど、半分くらい何を言ってるかわからない。探偵さんは頷いてたけど、年寄りにゲーム特有の略語や専門用語は使わないで欲しい。特に英単語の頭文字だけを取った英語の羅列を並べられてもちんぷんかんぷんだ。
 探偵さんに説明されたけど、私には理解できなかった。同じゲームをやってるはずなのに、おかしいね。
 ジキンさんは何やら偉そうに頷いてましたけど、きっとこの人のことだから分かった振りでしょうね。まさかジキンさんの癖して私より理解があったらショックだもの。

 結局この影のエネミーばかりのフィールドからも出れず、ちょうどお昼になりそうだったので私達は引き上げることにした。
 五の試練はどんなものだろうか? 今からドキドキである。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【第1章完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

14歳までレベル1..なので1ルークなんて言われていました。だけど何でかスキルが自由に得られるので製作系スキルで楽して暮らしたいと思います

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕はルーク 普通の人は15歳までに3~5レベルになるはずなのに僕は14歳で1のまま、なので村の同い年のジグとザグにはいじめられてました。 だけど15歳の恩恵の儀で自分のスキルカードを得て人生が一転していきました。 洗濯しか取り柄のなかった僕が何とか楽して暮らしていきます。 ------ この子のおかげで作家デビューできました ありがとうルーク、いつか日の目を見れればいいのですが

離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。

しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。 私たち夫婦には娘が1人。 愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。 だけど娘が選んだのは夫の方だった。 失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。 事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。 再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

【完結】数十分後に婚約破棄&冤罪を食らうっぽいので、野次馬と手を組んでみた

月白ヤトヒコ
ファンタジー
「レシウス伯爵令嬢ディアンヌ! 今ここで、貴様との婚約を破棄するっ!?」  高らかに宣言する声が、辺りに響き渡った。  この婚約破棄は数十分前に知ったこと。  きっと、『衆人環視の前で婚約破棄する俺、かっこいい!』とでも思っているんでしょうね。キモっ! 「婚約破棄、了承致しました。つきましては、理由をお伺いしても?」  だからわたくしは、すぐそこで知り合った野次馬と手を組むことにした。 「ふっ、知れたこと! 貴様は、わたしの愛するこの可憐な」 「よっ、まさかの自分からの不貞の告白!」 「憎いねこの色男!」  ドヤ顔して、なんぞ花畑なことを言い掛けた言葉が、飛んで来た核心的な野次に遮られる。 「婚約者を蔑ろにして育てた不誠実な真実の愛!」 「女泣かせたぁこのことだね!」 「そして、婚約者がいる男に擦り寄るか弱い女!」 「か弱いだぁ? 図太ぇ神経した厚顔女の間違いじゃぁねぇのかい!」  さあ、存分に野次ってもらうから覚悟して頂きますわ。 設定はふわっと。 『腐ったお姉様。伏してお願い奉りやがるから、是非とも助けろくださいっ!?』と、ちょっと繋りあり。『腐ったお姉様~』を読んでなくても大丈夫です。

処理中です...