上 下
139 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き

120.お爺ちゃんと[二の試練]

しおりを挟む

ムッコロ:なんかすいすい戻ってきた様に見えたんですけど、何か新しいスキルでも貰ったんですか?


 目敏いね。私の帰還に「お帰り」よりも先に質問をぶつけてくるなんて。でも、おおよそムッコロ氏の思ってるとおりのものだからね。


アキカゼ・ハヤテ:称号をね、貰ったんだ。これはきっと君たちが一番欲しいやつだよ

バン・ゴハン:さっきまでの話を聞いてスキル上げ頑張らなきゃなーって言ってる側から爆弾落とす! 気になって気になってしょうがないじゃん!

アキカゼ・ハヤテ:はっはっは。ゆっくりと頑張りなさい。クリアすれば誰にでも手に入れられるのが称号だからね

ムッコロ:それだけが唯一の救いですかねー


 どこか乾いた声色でムッコロ氏は項垂れたように頭を竦めた。
 燕もこうしてみると表情豊かで面白いね。
 プレイヤーが操ってるからと言うのもあるのかもしれないが。


「帰ってきた様じゃの」

「おババ様」

「何か進展はあったかの?」


 この人、知ってて聞いてきてるよね。
 さっき仲間内ではしゃいでいた所もこれは見られたな。
 それで何もないとは言い切れないよね。
 暗号解読の件は秘匿して、後で攻略パーティを組んだ時に公開すべきだな。


「ええ、スキルを手に入れまして。お陰様で空中で姿勢制御が撮れる様になりました」

「ほう、空中での。我ら天空人でさえも巫女様以外で空中を泳ぐ様に舞える者は居ない。あっという間に地上人に追い抜かれてしまった様で悔しいぞ」


 そう言いながら、あなたも空飛べますよね?
 魔法陣越しとは言え、背中の翼広げてるの見ましたからね?

 喉まで出かかった言葉を飲み込み、次の場所へと進路を変える。次に向かう場所はここから近い場所。

 しかし滞空時に映し出された古代文字は[六の試練:ここから先は漆黒の闇、足元の見えぬ場所で抗え]と出てくる。
 いきなり地雷ゾーンはやめて下さい!
 現段階で攻略出来る見込みがないのでムッコロ氏達に上空マッピングして貰いつつ、次の場所に移って貰った。

 そこに映し出された古代文字は[九の試練:ここにあるのは極光、白に塗りつぶされた空間から抜け出せ]と出た。
 これ、眩しすぎて遮蔽物が見えなくなってるやつでしょ!
 バン・ゴハン氏がお手上げだと言って上空から戻ってきた。
 眩しすぎて撮影ができないらしい。
 ムッコロ氏が撤退宣言をしなければ網膜に甚大な被害が出る所だったよ。

 そしてようやく辿り着く[二の試練:そこにあるのは水氷、漆黒の雲より出し雷雲に抗え]。

 そう、雲関連なんだね。しかし雨雲を通り越して雷雲が来るか! 一の試練から竜巻が来てたから別におかしくはないんだが、雷は厄介だ。水中で浴びたら感電死間違いない。


ムッコロ:行かれます?

バン・ゴハン:雷雲とか俺らが一番避ける奴じゃん。台風もあれだけど

アキカゼ・ハヤテ:私は挑戦してみる価値はあると思うんだよ

ムッコロ:その心は?

アキカゼ・ハヤテ:私の得意分野に水中関連があるんだが、そっちが使えるかなって

バン・ゴハン:空以前に水中も制覇してた!

アキカゼ・ハヤテ:制覇と言うほどでもないよ。ちょっと魚人のお友達が居てね。その人から泳ぎとかコツを教わったんだ

ムッコロ:へー、でも教わった程度で覚えられるのはアキカゼさんくらいじゃ? 普通そこまで自分の得意エリア以外に進出する事って無いじゃないですか

アキカゼ・ハヤテ:でも出来たら凄いでしょ? そりゃ何度もロストしそうになったけど、その努力は無駄じゃなかった。全部スキルに反映して戻ってきた。今では良い思い出だよ


「降りられますかな?」


 二の試練を前に足踏みをする私におババ様が問いかけてくる。


「ええ。ダメ元で行ってきます。もし戻れない場合、友人のこの子達が騒ぎますのでそれで判断して下さい。最初の停留所までお返し頂ければ幸いです。

「左様か。死してでも得られるものがあると?」

「そこに求めている物があればどこにだって行く。それが探検家というものです」

「ふむ、地上人でその様な者と出会ったのは久しぶりじゃわい。では行ってまいれ」

「行ってきます!」



 ザパーン!
 降り立った側から水中へ。そこで鍛えたスキルが覚つく事なく手足に力を与える。

 うん、視界は良好だ。これは『海の目』のおかげだな。
 その上でスイスイと泳げる。
 障害物の氷の粒など物ともせずに水のエリアを突破後、何もない空間へと飛び出る。
 足元には雲すらなく、APを消費して風の道を作り出す。
 

「このエリア、一の試練をクリアしてる前提か!」


 なんとか姿勢制御しつつ、少し下にある水氷のプールへとダイブする。今度は氷の規模が大きくなっている。
 普通だったら何も出来ずに圧死してしまうだろう。しかし水中時限定で私の腕力は二倍になる。これがどざえもんさんから教えてもらった強化ポイント点で得た能力『海の手』だ。

 押し寄せる氷の中から障害物を退かしながら一気に進む。
 水、氷と来て次はいよいよ雷だ。
 なので出る前に頭だけゴールから出して、次のポイントを目視。そこに氷の塊を持ち上げて投げていく。
 命中率は良い方だと自負してるが、空中に浮くこのエリアでは横風に流される恐れが多いので、一応風の道を作ってその上に氷の塊を乗せて運んだ。

 すると次のエリアからバチバチと電気が迸り、1分、2分したら完全に沈黙してしまった。
 そう言えば聞いたことがある。雷は水蒸気と氷がぶつかり合って作られると。
 念のためで投げた氷の塊だったが、まさかぶつかり合ったまではよかったが、エリアごと水蒸気を押しつぶしてしまったのだろうか? 少し不安になった。
 案の定、次のエリアは真上に分厚い氷の壁ができており、その下で渦を巻く水がゴールまで導いてくれた。
 本来ならきっと相当苦労する道のりだったと思うんだが……


「まぁ、結果オーライだ」


 ポーンと心地良い電子音と共に、新しい称号が手に入る。


<称号:水の支配者を獲得しました>

 水の支配者:特殊スキル『水操作★』
 空導力/APとスキルポイント/SPを徐々に消費して水の道を自由に作り出せる。
 水面に接してる場所から氷塊を精製可能。
 水面に接してる場所から雷を精製可能。


 能力は要相談! ついでに暗号も獲得!


[ロイの中央に座する、暗黒……]


 中途半端だが繋がってきた。


[我は鍵にして門。天空のお膝元、かの大地エルメロイの中央に座する、暗黒__]


 これはきっと場所だな。
 そしておババ様が設定していると言った様に、これらの暗号をあの場所で読み上げる事で最終エリアに着くのだろう。
 私は風操作で皆の元に戻り、そして時間の経過見計ってログアウトする事にした。

 オクト君や金狼氏にはビッグニュースになるな。
 ミチザネ君は嬉々として床を転がってくれるだろうけど、他のメンバーはどう思うかね?

 まぁ、そこは深く考えないで行こうか。なる様になる。


アキカゼ・ハヤテ:二の試練の空撮はうまく撮れたかい?

バン・ゴハン:目視が容易でしたからね。バッチリです

ムッコロ:相手は雷だと聞いたんですが、よく無事でしたね?

アキカゼ・ハヤテ:運が良かっただけさ。またスキルに助けられてしまったよ

ムッコロ:もう突っ込みませんよ?

バン・ゴハン:激しく同意するっす


 みんなして酷いんだ。

 おババ様にマナの大木まで送って貰い、そこで解散した。
 二羽はそのまま飛び立ち、私は水の道を一番下まで流して平泳して降り立った。

 道中木登りしているプレイヤーからギョッとした目で見られたけど、無視してセカンドルナへと帰る。
 これはまた噂されてしまうかな?
 まぁ、後の事はミチザネ氏が上手くやってくれるだろう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


【パッシヴ:42/45】

 ◎持久力UP(10/10)
 ┣◎持久力UP・中
 ┣◎持久力UP・大
 ┣◎持久力維持
 ┣┛
 ◎ST維持
 ┃┣◎EN維持
 ┃┗◎EN維持
 ◎ST消費軽減
 ┣◎EN消費軽減
 ┗◎AP消費軽減

 ◎木登り補正(10/11)
 ┃┣◎クライミング
 ┃┗◎壁上り補正
 ◎垂直移動
 ┣◎重力無視
 ┃┣◎スカイウォーク
 ┃┣◎影踏み
 ┃┣◎移送
 ┃┃┗◎輸送
 ┃┗◎リフトボード
 ┗ショートワープ[500/3000]

 ◎水泳補正(9/9)
 ┣◎潜水
 ┣◎古代泳法
 ┣◎水圧耐性
 ┣◎海底歩法
 ┣┛
 ◎水中内活動
 ┣◎海の目
 ┣◎海の手
 ┗◎海の意思

 ◎低酸素内活動(9/10)
 ┣◎石の呼吸
 ┣◎火の呼吸
 ┣◎炎の呼吸
 ┣◎空の呼吸
 ┣◎雲の呼吸
 ┣◎木の呼吸
 ┣◎水の呼吸
 ┣┛
 ◎無の呼吸
 ┗ST無視移動[500/5000]

 ◎命中率UP(4/5)
 ┣◎クリティカル
 ┃┣◎必中
 ┃◎ハイクリティカル
 ┣┛
 ┗妖精眼[500/1000]

【称号:8】
『妖精の加護』
『木登りマスター』
『古代の代弁者』
『セカンドルナの代理許可人』
『空中戦闘の心得』
『妖精邂逅者』
『風の支配者』
『水の支配者』
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。

友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」 貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。 「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」 耳を疑いそう聞き返すも、 「君も、その方が良いのだろう?」 苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。 全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。 絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。 だったのですが。

VRMMOで神様の使徒、始めました。

一 八重
SF
 真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。 「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」  これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。 「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」 「彼、クリアしちゃったんですよね……」  あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。

「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります

古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。 一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。 一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。 どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。 ※他サイト様でも掲載しております。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組

瑞多美音
SF
 福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……  「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。  「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。  「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。  リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。  そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。  出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。      ○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○  ※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。  ※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。

Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~

NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。 「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」 完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。 「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。 Bless for Travel そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。

モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件

こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。 だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。 好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。 これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。 ※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ

処理中です...