137 / 497
3章 お爺ちゃんと古代の導き
118.お爺ちゃんと赤の禁忌⑤
しおりを挟む
「答え合わせですか?」
私の白々しい言葉に、おババ様は「そうじゃ」と頷く。
ならばと持てる限りの情報でお相手するしかない。
それにどうも質問自体が曖昧だったし、正解しなくてもお咎めなさそうな気がする。ここは気楽に行こうか。
「そうですね。一応こちらの認識としてはあなた方は我々地上人の『導き手』であると同時に『裁断者』の側面を持つ」
「何故そう思う?」
「それは深海で見つかった試練がそういった類のものだったからです。舞台が空に移った先、あなた方が現れた。つまり次に私達地上人に試練を課してくる存在があなた方であると私は考えます」
「すると御主は古代ムーからのメッセージを受け取った代理人であると言うのじゃな?」
「ええ。お陰で封印されていた災獣と戦うハメになりましたが、古代の代理人となる事でそれを無事討伐し切りました。勿論、大勢の味方の力あってですが」
「ふむ、嘘はついとらん様じゃの。して、この部屋に隠されたワードはなんと書いてあった?」
「我は鍵にして門、天空の……までは解読出来ました」
「合格じゃ。ようこそいらっしゃった、古代の意志を継ぎし者よ。我ら天空人は御主を歓迎する」
おババ様はにこりと笑い、今までかけていた威圧を解いてくれた。合格したから良いものの、本当に意地が悪いんだから。
そこで解答者には特別サービスじゃぞ? と言いたげな体で話しかけてきた。
「さて鍵を求めし者よ、何処へ行きたい?」
「そうですねぇ、取り敢えずこの空域から近いところでお願いします」
「あいわかった。では聖獣様の予定地に設定しとるでな。外で待ってるが良い」
え、設定ですか?
そんなオートドライビングモードが設定できる生物兵器だったんですか、聖獣様って。
ああ、いや。違うな。
普段の聖獣様は敵対心剥き出しでランダム設定。
対して出題の正解者には目的地を告げた上での目的地までオートドライブモードの至れり尽くせり状態になるのだ。
聞かされた時はちんぷんかんぷんだったが、理解して仕舞えば早い。単純にこのルートに来れる特殊なプレイヤーが私を除いて居ない時点である程度察するべきだったか。
一気に体力を持っていかれた心地で遺跡の外を出る。
既に動き出していた様で、風景が目まぐるしく変わっていく。
乗り物特有の背景が後ろに流れていく景色を見つめながら、ついでにLPを見ていく。
現状特に減っては居ないね。
杞憂だったか?
二羽は重苦しい遺跡ないから開かれた空間に出るなり、私の肩から飛び去った。
ある程度の高さまでいくと、そのまま後方に流されそうになっていたので突撃する様に滑空してこちら側に滑り込んできた。
何をやってるんだか。
「何してんの、君たち」
『いやー、鯨が真上から動いてる姿を空撮してたら置いてかれそうになって』
「チャレンジ精神があるのは良いけどね、途中リタイヤは困るよ?」
『すんません』
バン・ゴハン氏は心に響いてなさそうな返事をする。
まあ、無理もないか。私と一緒に居るから多少無理をしてでも撮っておきたかったんだろうね。ムッコロ氏は重力無視を手に入れたが、彼はまだだ。
だから雲の上には乗れないし、今がチャンスとばかりに飛び立った。空導力が思いの外強すぎて勢いをつけすぎてしまったと溢していた。多分まだ微調整しきれてないのだろうね。
それでも物にしようとしてる姿は素直に称賛物だよ。
「気持ちはわかるが焦りは禁物だ。先遣隊としての目的は違えない様に」
『あれ、俺らそんな崇高な目的ありましたっけ?』
「そう言えばただの散歩だったね。どうもおババ様からもたらされた情報に混乱していた様だ」
『らしくないですね』
「そうかな?」
『そうだな。アキカゼさんはいついかなる時も堂々としてるイメージ』
二羽に茶化されながら私達は短くもない時間を聖獣様の上で過ごした。そして……
ガチリと何かがハマる感覚。
何かが変わった!?
いや、私は今一度街の周辺景色をスクリーンショットを使って覗き込み、そしてカシャリと映し出す。
[一の試練・風波:そこに陸路はない。吹き荒ぶ風の波に抗え]
試練、試練か。フィールドそのものが試練で、この街の風景はまるで到着した場所の特性によって形を変えるのか。
「着いたよ、ここが一番近い場所さ。降りてくかい?」
「帰ってくるまで待っていてもらっても?」
「勿論、しかとこの目で実力に足るかを目定めさせて貰うよ」
おババ様から認められたと思ったらまだまだだった様だ。
「君たち、置いてくよ」
『見た限り何もない雲だけだけど? 本当にここ?』
「私の翻訳機能ではここが第一の試練だ。場所の特定は出来ないが、私の移動範囲を調べて割り出して欲しい」
『よくわからないけどわかりました』
『頑張ってください!』
「程々に頑張るさ」
二羽に見送られながら、私は突風吹き荒ぶ雲に向かって歩き出した。
私の白々しい言葉に、おババ様は「そうじゃ」と頷く。
ならばと持てる限りの情報でお相手するしかない。
それにどうも質問自体が曖昧だったし、正解しなくてもお咎めなさそうな気がする。ここは気楽に行こうか。
「そうですね。一応こちらの認識としてはあなた方は我々地上人の『導き手』であると同時に『裁断者』の側面を持つ」
「何故そう思う?」
「それは深海で見つかった試練がそういった類のものだったからです。舞台が空に移った先、あなた方が現れた。つまり次に私達地上人に試練を課してくる存在があなた方であると私は考えます」
「すると御主は古代ムーからのメッセージを受け取った代理人であると言うのじゃな?」
「ええ。お陰で封印されていた災獣と戦うハメになりましたが、古代の代理人となる事でそれを無事討伐し切りました。勿論、大勢の味方の力あってですが」
「ふむ、嘘はついとらん様じゃの。して、この部屋に隠されたワードはなんと書いてあった?」
「我は鍵にして門、天空の……までは解読出来ました」
「合格じゃ。ようこそいらっしゃった、古代の意志を継ぎし者よ。我ら天空人は御主を歓迎する」
おババ様はにこりと笑い、今までかけていた威圧を解いてくれた。合格したから良いものの、本当に意地が悪いんだから。
そこで解答者には特別サービスじゃぞ? と言いたげな体で話しかけてきた。
「さて鍵を求めし者よ、何処へ行きたい?」
「そうですねぇ、取り敢えずこの空域から近いところでお願いします」
「あいわかった。では聖獣様の予定地に設定しとるでな。外で待ってるが良い」
え、設定ですか?
そんなオートドライビングモードが設定できる生物兵器だったんですか、聖獣様って。
ああ、いや。違うな。
普段の聖獣様は敵対心剥き出しでランダム設定。
対して出題の正解者には目的地を告げた上での目的地までオートドライブモードの至れり尽くせり状態になるのだ。
聞かされた時はちんぷんかんぷんだったが、理解して仕舞えば早い。単純にこのルートに来れる特殊なプレイヤーが私を除いて居ない時点である程度察するべきだったか。
一気に体力を持っていかれた心地で遺跡の外を出る。
既に動き出していた様で、風景が目まぐるしく変わっていく。
乗り物特有の背景が後ろに流れていく景色を見つめながら、ついでにLPを見ていく。
現状特に減っては居ないね。
杞憂だったか?
二羽は重苦しい遺跡ないから開かれた空間に出るなり、私の肩から飛び去った。
ある程度の高さまでいくと、そのまま後方に流されそうになっていたので突撃する様に滑空してこちら側に滑り込んできた。
何をやってるんだか。
「何してんの、君たち」
『いやー、鯨が真上から動いてる姿を空撮してたら置いてかれそうになって』
「チャレンジ精神があるのは良いけどね、途中リタイヤは困るよ?」
『すんません』
バン・ゴハン氏は心に響いてなさそうな返事をする。
まあ、無理もないか。私と一緒に居るから多少無理をしてでも撮っておきたかったんだろうね。ムッコロ氏は重力無視を手に入れたが、彼はまだだ。
だから雲の上には乗れないし、今がチャンスとばかりに飛び立った。空導力が思いの外強すぎて勢いをつけすぎてしまったと溢していた。多分まだ微調整しきれてないのだろうね。
それでも物にしようとしてる姿は素直に称賛物だよ。
「気持ちはわかるが焦りは禁物だ。先遣隊としての目的は違えない様に」
『あれ、俺らそんな崇高な目的ありましたっけ?』
「そう言えばただの散歩だったね。どうもおババ様からもたらされた情報に混乱していた様だ」
『らしくないですね』
「そうかな?」
『そうだな。アキカゼさんはいついかなる時も堂々としてるイメージ』
二羽に茶化されながら私達は短くもない時間を聖獣様の上で過ごした。そして……
ガチリと何かがハマる感覚。
何かが変わった!?
いや、私は今一度街の周辺景色をスクリーンショットを使って覗き込み、そしてカシャリと映し出す。
[一の試練・風波:そこに陸路はない。吹き荒ぶ風の波に抗え]
試練、試練か。フィールドそのものが試練で、この街の風景はまるで到着した場所の特性によって形を変えるのか。
「着いたよ、ここが一番近い場所さ。降りてくかい?」
「帰ってくるまで待っていてもらっても?」
「勿論、しかとこの目で実力に足るかを目定めさせて貰うよ」
おババ様から認められたと思ったらまだまだだった様だ。
「君たち、置いてくよ」
『見た限り何もない雲だけだけど? 本当にここ?』
「私の翻訳機能ではここが第一の試練だ。場所の特定は出来ないが、私の移動範囲を調べて割り出して欲しい」
『よくわからないけどわかりました』
『頑張ってください!』
「程々に頑張るさ」
二羽に見送られながら、私は突風吹き荒ぶ雲に向かって歩き出した。
11
お気に入りに追加
1,986
あなたにおすすめの小説
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
VRMMOで神様の使徒、始めました。
一 八重
SF
真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。
「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」
これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。
「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」
「彼、クリアしちゃったんですよね……」
あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
Select Life Online~最後にゲームをはじめた出遅れ組
瑞多美音
SF
福引の景品が発売分最後のパッケージであると運営が認め話題になっているVRMMOゲームをたまたま手に入れた少女は……
「はあ、農業って結構重労働なんだ……筋力が足りないからなかなか進まないよー」※ STRにポイントを振れば解決することを思いつきません、根性で頑張ります。
「なんか、はじまりの街なのに外のモンスター強すぎだよね?めっちゃ、死に戻るんだけど……わたし弱すぎ?」※ここははじまりの街ではありません。
「裁縫かぁ。布……あ、畑で綿を育てて布を作ろう!」※布を売っていることを知りません。布から用意するものと思い込んでいます。
リアルラックが高いのに自分はついてないと思っている高山由莉奈(たかやまゆりな)。ついていないなーと言いつつ、ゲームのことを知らないままのんびり楽しくマイペースに過ごしていきます。
そのうち、STRにポイントを振れば解決することや布のこと、自身がどの街にいるか知り大変驚きますが、それでもマイペースは変わらず……どこかで話題になるかも?しれないそんな少女の物語です。
出遅れ組と言っていますが主人公はまったく気にしていません。
○*○*○*○*○*○*○*○*○*○*○
※VRMMO物ですが、作者はゲーム物執筆初心者です。つたない文章ではありますが広いお心で読んで頂けたら幸いです。
※1話約2000〜3000字程度です。時々長かったり短い話もあるかもしれません。
Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~
NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。
「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」
完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。
「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。
Bless for Travel
そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。
モノ作りに没頭していたら、いつの間にかトッププレイヤーになっていた件
こばやん2号
ファンタジー
高校一年生の夏休み、既に宿題を終えた山田彰(やまだあきら)は、美人で巨乳な幼馴染の森杉保奈美(もりすぎほなみ)にとあるゲームを一緒にやらないかと誘われる。
だが、あるトラウマから彼女と一緒にゲームをすることを断った彰だったが、そのゲームが自分の好きなクラフト系のゲームであることに気付いた。
好きなジャンルのゲームという誘惑に勝てず、保奈美には内緒でゲームを始めてみると、あれよあれよという間にトッププレイヤーとして認知されてしまっていた。
これは、ずっと一人でプレイしてきたクラフト系ゲーマーが、多人数参加型のオンラインゲームに参加した結果どうなるのかと描いた無自覚系やらかしVRMMO物語である。
※更新頻度は不定期ですが、よければどうぞ
「クズスキルの偽者は必要無い!」と公爵家を追放されたので、かけがえのない仲間と共に最高の国を作ります
古河夜空
ファンタジー
「お前をルートベルク公爵家から追放する――」それはあまりにも突然の出来事だった。
一五歳の誕生日を明日に控えたレオンは、公爵家を追放されてしまう。魔を制する者“神託の御子”と期待されていた、ルートベルク公爵の息子レオンだったが、『継承』という役立たずのスキルしか得ることができず、神託の御子としての片鱗を示すことが出来なかったため追放されてしまう。
一人、逃げる様に王都を出て行くレオンだが、公爵家の汚点たる彼を亡き者にしようとする、ルートベルク公爵の魔の手が迫っていた。「絶対に生き延びてやる……ッ!」レオンは己の力を全て使い、知恵を絞り、公爵の魔の手から逃れんがために走る。生き延びるため、公爵達を見返すため、自分を信じてくれる者のため。
どれだけ窮地に立たされようとも、秘めた想いを曲げない少年の周りには、人、エルフ、ドワーフ、そして魔族、種族の垣根を越えたかけがえの無い仲間達が集い―― これは、追放された少年が最高の国を作りあげる物語。
※他サイト様でも掲載しております。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる