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74話 仮免探索者みうE《反社》
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見事拍手でマスコミたちを撃退した俺たちは、いつも通りに車椅子から降りてモンスターと戦った。
スライムカメラをダンジョン中に設置して、くまなく探し尽くしてもういないと判断してからのことである。
するとそこで秋乃ちゃんからの申し出が。
「わた、し、も、たた、かい、たい」
車椅子の上でふんすと鼻息を鳴らす彼女の姿が。
それはつまり、スライムを貸してくれと言うことに他ならなかった。
「みう、秋乃ちゃんが俺の手を離れてサポートに向かいたいそうだ」
「秋乃ちゃん、一人で大丈夫?」
「やれ、る!」
いつになく真剣な表情。
みうもこう言う時があった。
だからそのやる気を買った。
「お兄たん、秋乃ちゃんにやらせてあげて」
「念の為、テイムしたスライムで手足のサポートぐらいはしてやるか」
:スライムってそんなことできるの?( *˙ω˙*)و グッ!
:うちの親戚にもALSで亡くなった人がいるから、それは革命や( • ̀ω•́ )✧
:動こうと言う意思すら奪ってくからな、あの病気( ・᷄ὢ・᷅ )
:元気な爺さんがその病気になってからかわりはてたもんよ(*´ω`*)
:ある意味でそれがぐらい深刻なんよな、秋乃ちゃん٩(›´ω`‹ )ﻭ
「たす、かり、ます」
秋乃ちゃんは俺からスライムを受け取り、支配下に置いてスライムでスーツを作った。
肌を覆うようにしてまとったスライムに支配の力を使って、体を動かしていく。
ほとんど透明なスライムなので、薄い服を着ているような感覚だろう。
ぱっと見捕食されてる感じに見えなくてよかった。
「んっ、平気」
「まだ慣れないだろうから、リハビリしながら戦闘に参加だ。みうたちもそれでお願いするよ」
「はい!」
「はーい」
「ええ」
うん、いい感じに声も出せるようになってるな。
当初こそ辿々しい声でどうやって連携をとるか心配で仕方なかったが、喉をスライムで覆って、狙った通りに音声を発せるようになったのは大きな進歩だ。
問題は常日頃から使われると俺の魔力が著しく消費されるって点だな。
どこかで魔力量を増加させる手段を見つけないと。
ハスターの衣でなんとか回復はできてるが、このままじゃジリ貧だ。
「秋乃ちゃんは私が守るよー!」
志谷さんが体を大きくしながら前に立つ。
どんぐり乗せ比べで微差しかないが、守ると言ってくれた言葉は秋乃ちゃんにとっては心強く感じたことだろう。
「よろしくお願いします!」
:秋乃ちゃん、あんなにハキハキ喋れるようになって…… (*´ω`*)
:つい先日まであんなにこの世に絶望してたのに_(:3 」∠)_
:やっぱりダンジョン病っておかしいよ٩(›´ω`‹ )ﻭ
:どうしてダンジョンの中でだけ元気なんやろな( *˙ω˙*)و グッ!
:それがわからんから病気認定されてるんやで( • ̀ω•́ )✧
:それもそう_(:3 」∠)_
秋乃ちゃんはものを掴むのにまだ慣れてないので、しゃがんで石を拾ってそれを投げると言う行為をした。
志谷さんのやってるブーメランの投擲を見て、石にスライムを纏わせて、支配。
それを操って投げると言うとんでもない能力を発揮する。
歌を歌いながら、隙を見て【投擲】をした。
なんなら石拾いはスライムに任せている。
スライムをスカート状に伸ばして、地面に触れた石を吸収、背中にバックパックを生成! そこから秋乃ちゃんの手元に石が手渡される感じだ。
手渡すのは触手であるが、側からは俺がそれをサポートしてるように見えるらしい。
:さすがお兄たん、最強のスライム使い!
:秋乃ちゃんの考えなんて丸っとお見通しってことか!
:お歌を歌いながらの投擲術、痺れるね!
:なんなら徒歩すらスライム任せなんてよく考えてる
そう、今の秋乃ちゃんはスライム椅子の応用でスカート状に伸ばしたスライムプールの中をバタ足で泳いでいた。
進行方向にスライムが勝手に進んでくれて、設置面積を広げたことにより石を確保するペースが上がる。
「お姉ちゃん、危ない」
背後から強襲してくるラットにいち早く気がついて【投擲】
みうもそれに助けられながら【スラッシュ】
ここに思ってもないコンビネーションが生まれていた。
「助かるわ、秋乃。遠距離手段が隙の多い魔法の私だけだとね」
「私のブーメラン捌きに勝る活躍だよね!」
「すごいね! 秋乃ちゃん! さっきのナイスアシストだったよ!」
:この仲良しっぷりよ( *˙ω˙*)و グッ!
:見ていて和む_(:3 」∠)_
:てぇてぇ( • ̀ω•́ )✧
:さっきの私欲で動くマスコミと来たら( ・᷄ὢ・᷅ )
:平日の朝っぱらから幼女を見て和む俺らもどうかしてる_(:3 」∠)_
:何言ってんだ、ご褒美だろ!( *˙ω˙*)و グッ!
:ほんそれ٩(›´ω`‹ )ﻭ
ホンマそれ。
マスコミたちの身勝手振りには呆れてものが言えないな。
で、なんとか討伐依頼を終えて車椅子で退場しようとしたところで性懲りも無くマスコミからの乱入が。
「おい! 社会不適合者の集まり! お前らが飯を食えてるのは一体誰のおかげだと思ってやがる!」
違った、人間のクズだ。
初対面の相手に振る舞いではない。
それと社会不適合者はどちらかと言えばそちらでは?
その言葉そっくりそのままお返ししますね。
「えっと、まずあなたは誰ですか? 俺たちは社会貢献の第一歩として病人でありながらダンジョンアタックに臨んでいます。それを横から出てきてなんですか」
:なんやこいつ٩(›´ω`‹ )ﻭ
:通報した( ・᷄ὢ・᷅ )
:俺も通報しよ_(:3 」∠)_
:私はもうした(*´ω`*)
:流石( • ̀ω•́ )✧
:みんな早いな٩(›´ω`‹ )ﻭ
「ハン、社会貢献だなんてどの口が言うんだ。だったらさっきの連中を無償で直してみやがれってんだ。それもできねぇ内から建前だけは一丁前に吠えやがる。
「さっきの方達もそうですが、まるで俺たちのメンバーが治癒のスキルを使える前提でお話ししますよね。全く身に覚えのない話です。それこそいい大人が寄ってたかって子供に文句を言いに来るのはどうかと思います」
「馬鹿野郎が! 大人だから賢くないガキを使ってやろうってんだ! 大人しく俺の下につけ。お前にもいい思いさせてやるぜ?」
男は、まるで自分がこの世の頂点であると勘違いした口調で語りかける。
「あいにくと、可愛い妹を手放してまで自分がいい思いをしようだなんて思ってないんで。よそ当たって下さい」
「そうかい、お前、死んだぜ?」
不意に、放たれる斬撃。
本当にこちらに武器を抜き放つのを知覚させない速度で、男の刀は俺の右肩口から左腰にかけて袈裟斬りにした。
しかし…
むにっ。
「あの、くすぐったいんですけど?」
俺の体にそれらしいダメージなどない。
なんなら刀の方がグンニャリしていた。
「は? そりゃ一体なんの冗談だ!」
《私特製のボディ、そう易々と傷つけられるとお思いですか?》
スーラが俺の代わりに宣言する。
いや俺にしか聞こえないんだけどさ。
ハスター:スーラのボディを操れるあなたも実際大したもの
ハスターにまで褒められた。なんかむず痒いな。
それって俺がますます人間を辞めてるって遠回しに言ってる?
「くそ、バケモノめ!」
「そりゃ褒め言葉として受け取っておきます、よっと!」
男の左手を掴みながら右手で肩を押しながらの足払い。
簡単に転び、地面に頭を強かに打ちつけたあと昏倒する。
一時はどうなることかと思ったが、なんとかなって良かったな!
「気絶しちゃった」
「結局何だったんだろうな、この人」
「みうの力が目当てなのは丸わかりよね。あー、やだやだ。大人って権力を持つと周りが見えなくなるのかしら」
誰、とは言わないが。
それは実の父親に向けて言ってる様にも捉えられた。
「しかもあれだよね、無理やり使わせる気満々の、すごく嫌な感じ」
志谷さんも思うところがあるようだ。
いや、お前には言われたくないって元相棒のハルちゃんさんも言うと思うぞ?
どの口がそんな発言するのかって。
そんなこんなでこの伸びた男をどうしようかと話し合っている時。
「あ、起きたよ」
志谷さんの掛け声で男が目覚めるのを確認。
「テメェら、俺が大人しく下手に出ている間に譲歩すれば良かったと後悔しても遅いぜ! こっちを抜いちまったらよぉ! 死人が出るからな!」
生まれたての子鹿のように足をプルプル震えさせて立ち上がる。
若干、冷や汗が止まらない様だが、大丈夫?
無理してない? 無理しなきゃいけないところ?
まぁそれはそうだ。
もう一本、と言ったように先ほどの切れ味の全くない刀とは別に、その刀には歪なほどにでかい魔石が取り付けられている。
「魔剣覚醒! さぁ、異界の門よ開きやがれ!」
威圧、とは違う。恐ろしいほどまでの悍ましさ。
それは深淵に降り立った時に肌で感じる類の恐怖。
異界の門、つまり男はダンジョンエラーを意図して起こすつもりなのだ。
「みう、下がれ! ダンジョンエラーだ! 深淵種が来るぞ!」
「深淵種ってなぁに?」
「ハスターちゃんみたいなやつかな」
「お友達になれるかなぁ?」
そういえば、このメンツってハスター見て正気保ってたんだよな。
あれ、じゃあ特に身構えなくてもいい感じ?
いや、念には念を押して身構えておこう。
ショゴスってほら、目玉がいっぱいついててキモいし。
スライムの親戚って言っても見た目が生理的に無理って人もいっぱいいるしな。
スライムカメラをダンジョン中に設置して、くまなく探し尽くしてもういないと判断してからのことである。
するとそこで秋乃ちゃんからの申し出が。
「わた、し、も、たた、かい、たい」
車椅子の上でふんすと鼻息を鳴らす彼女の姿が。
それはつまり、スライムを貸してくれと言うことに他ならなかった。
「みう、秋乃ちゃんが俺の手を離れてサポートに向かいたいそうだ」
「秋乃ちゃん、一人で大丈夫?」
「やれ、る!」
いつになく真剣な表情。
みうもこう言う時があった。
だからそのやる気を買った。
「お兄たん、秋乃ちゃんにやらせてあげて」
「念の為、テイムしたスライムで手足のサポートぐらいはしてやるか」
:スライムってそんなことできるの?( *˙ω˙*)و グッ!
:うちの親戚にもALSで亡くなった人がいるから、それは革命や( • ̀ω•́ )✧
:動こうと言う意思すら奪ってくからな、あの病気( ・᷄ὢ・᷅ )
:元気な爺さんがその病気になってからかわりはてたもんよ(*´ω`*)
:ある意味でそれがぐらい深刻なんよな、秋乃ちゃん٩(›´ω`‹ )ﻭ
「たす、かり、ます」
秋乃ちゃんは俺からスライムを受け取り、支配下に置いてスライムでスーツを作った。
肌を覆うようにしてまとったスライムに支配の力を使って、体を動かしていく。
ほとんど透明なスライムなので、薄い服を着ているような感覚だろう。
ぱっと見捕食されてる感じに見えなくてよかった。
「んっ、平気」
「まだ慣れないだろうから、リハビリしながら戦闘に参加だ。みうたちもそれでお願いするよ」
「はい!」
「はーい」
「ええ」
うん、いい感じに声も出せるようになってるな。
当初こそ辿々しい声でどうやって連携をとるか心配で仕方なかったが、喉をスライムで覆って、狙った通りに音声を発せるようになったのは大きな進歩だ。
問題は常日頃から使われると俺の魔力が著しく消費されるって点だな。
どこかで魔力量を増加させる手段を見つけないと。
ハスターの衣でなんとか回復はできてるが、このままじゃジリ貧だ。
「秋乃ちゃんは私が守るよー!」
志谷さんが体を大きくしながら前に立つ。
どんぐり乗せ比べで微差しかないが、守ると言ってくれた言葉は秋乃ちゃんにとっては心強く感じたことだろう。
「よろしくお願いします!」
:秋乃ちゃん、あんなにハキハキ喋れるようになって…… (*´ω`*)
:つい先日まであんなにこの世に絶望してたのに_(:3 」∠)_
:やっぱりダンジョン病っておかしいよ٩(›´ω`‹ )ﻭ
:どうしてダンジョンの中でだけ元気なんやろな( *˙ω˙*)و グッ!
:それがわからんから病気認定されてるんやで( • ̀ω•́ )✧
:それもそう_(:3 」∠)_
秋乃ちゃんはものを掴むのにまだ慣れてないので、しゃがんで石を拾ってそれを投げると言う行為をした。
志谷さんのやってるブーメランの投擲を見て、石にスライムを纏わせて、支配。
それを操って投げると言うとんでもない能力を発揮する。
歌を歌いながら、隙を見て【投擲】をした。
なんなら石拾いはスライムに任せている。
スライムをスカート状に伸ばして、地面に触れた石を吸収、背中にバックパックを生成! そこから秋乃ちゃんの手元に石が手渡される感じだ。
手渡すのは触手であるが、側からは俺がそれをサポートしてるように見えるらしい。
:さすがお兄たん、最強のスライム使い!
:秋乃ちゃんの考えなんて丸っとお見通しってことか!
:お歌を歌いながらの投擲術、痺れるね!
:なんなら徒歩すらスライム任せなんてよく考えてる
そう、今の秋乃ちゃんはスライム椅子の応用でスカート状に伸ばしたスライムプールの中をバタ足で泳いでいた。
進行方向にスライムが勝手に進んでくれて、設置面積を広げたことにより石を確保するペースが上がる。
「お姉ちゃん、危ない」
背後から強襲してくるラットにいち早く気がついて【投擲】
みうもそれに助けられながら【スラッシュ】
ここに思ってもないコンビネーションが生まれていた。
「助かるわ、秋乃。遠距離手段が隙の多い魔法の私だけだとね」
「私のブーメラン捌きに勝る活躍だよね!」
「すごいね! 秋乃ちゃん! さっきのナイスアシストだったよ!」
:この仲良しっぷりよ( *˙ω˙*)و グッ!
:見ていて和む_(:3 」∠)_
:てぇてぇ( • ̀ω•́ )✧
:さっきの私欲で動くマスコミと来たら( ・᷄ὢ・᷅ )
:平日の朝っぱらから幼女を見て和む俺らもどうかしてる_(:3 」∠)_
:何言ってんだ、ご褒美だろ!( *˙ω˙*)و グッ!
:ほんそれ٩(›´ω`‹ )ﻭ
ホンマそれ。
マスコミたちの身勝手振りには呆れてものが言えないな。
で、なんとか討伐依頼を終えて車椅子で退場しようとしたところで性懲りも無くマスコミからの乱入が。
「おい! 社会不適合者の集まり! お前らが飯を食えてるのは一体誰のおかげだと思ってやがる!」
違った、人間のクズだ。
初対面の相手に振る舞いではない。
それと社会不適合者はどちらかと言えばそちらでは?
その言葉そっくりそのままお返ししますね。
「えっと、まずあなたは誰ですか? 俺たちは社会貢献の第一歩として病人でありながらダンジョンアタックに臨んでいます。それを横から出てきてなんですか」
:なんやこいつ٩(›´ω`‹ )ﻭ
:通報した( ・᷄ὢ・᷅ )
:俺も通報しよ_(:3 」∠)_
:私はもうした(*´ω`*)
:流石( • ̀ω•́ )✧
:みんな早いな٩(›´ω`‹ )ﻭ
「ハン、社会貢献だなんてどの口が言うんだ。だったらさっきの連中を無償で直してみやがれってんだ。それもできねぇ内から建前だけは一丁前に吠えやがる。
「さっきの方達もそうですが、まるで俺たちのメンバーが治癒のスキルを使える前提でお話ししますよね。全く身に覚えのない話です。それこそいい大人が寄ってたかって子供に文句を言いに来るのはどうかと思います」
「馬鹿野郎が! 大人だから賢くないガキを使ってやろうってんだ! 大人しく俺の下につけ。お前にもいい思いさせてやるぜ?」
男は、まるで自分がこの世の頂点であると勘違いした口調で語りかける。
「あいにくと、可愛い妹を手放してまで自分がいい思いをしようだなんて思ってないんで。よそ当たって下さい」
「そうかい、お前、死んだぜ?」
不意に、放たれる斬撃。
本当にこちらに武器を抜き放つのを知覚させない速度で、男の刀は俺の右肩口から左腰にかけて袈裟斬りにした。
しかし…
むにっ。
「あの、くすぐったいんですけど?」
俺の体にそれらしいダメージなどない。
なんなら刀の方がグンニャリしていた。
「は? そりゃ一体なんの冗談だ!」
《私特製のボディ、そう易々と傷つけられるとお思いですか?》
スーラが俺の代わりに宣言する。
いや俺にしか聞こえないんだけどさ。
ハスター:スーラのボディを操れるあなたも実際大したもの
ハスターにまで褒められた。なんかむず痒いな。
それって俺がますます人間を辞めてるって遠回しに言ってる?
「くそ、バケモノめ!」
「そりゃ褒め言葉として受け取っておきます、よっと!」
男の左手を掴みながら右手で肩を押しながらの足払い。
簡単に転び、地面に頭を強かに打ちつけたあと昏倒する。
一時はどうなることかと思ったが、なんとかなって良かったな!
「気絶しちゃった」
「結局何だったんだろうな、この人」
「みうの力が目当てなのは丸わかりよね。あー、やだやだ。大人って権力を持つと周りが見えなくなるのかしら」
誰、とは言わないが。
それは実の父親に向けて言ってる様にも捉えられた。
「しかもあれだよね、無理やり使わせる気満々の、すごく嫌な感じ」
志谷さんも思うところがあるようだ。
いや、お前には言われたくないって元相棒のハルちゃんさんも言うと思うぞ?
どの口がそんな発言するのかって。
そんなこんなでこの伸びた男をどうしようかと話し合っている時。
「あ、起きたよ」
志谷さんの掛け声で男が目覚めるのを確認。
「テメェら、俺が大人しく下手に出ている間に譲歩すれば良かったと後悔しても遅いぜ! こっちを抜いちまったらよぉ! 死人が出るからな!」
生まれたての子鹿のように足をプルプル震えさせて立ち上がる。
若干、冷や汗が止まらない様だが、大丈夫?
無理してない? 無理しなきゃいけないところ?
まぁそれはそうだ。
もう一本、と言ったように先ほどの切れ味の全くない刀とは別に、その刀には歪なほどにでかい魔石が取り付けられている。
「魔剣覚醒! さぁ、異界の門よ開きやがれ!」
威圧、とは違う。恐ろしいほどまでの悍ましさ。
それは深淵に降り立った時に肌で感じる類の恐怖。
異界の門、つまり男はダンジョンエラーを意図して起こすつもりなのだ。
「みう、下がれ! ダンジョンエラーだ! 深淵種が来るぞ!」
「深淵種ってなぁに?」
「ハスターちゃんみたいなやつかな」
「お友達になれるかなぁ?」
そういえば、このメンツってハスター見て正気保ってたんだよな。
あれ、じゃあ特に身構えなくてもいい感じ?
いや、念には念を押して身構えておこう。
ショゴスってほら、目玉がいっぱいついててキモいし。
スライムの親戚って言っても見た目が生理的に無理って人もいっぱいいるしな。
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