145 / 147
最弱種族の下剋上
総力戦 3
しおりを挟む
「なぜだか知らないけど、敵の中央が混乱しているようね」
寧々が望遠鏡で敵の位置を捕捉しつつ戦況を分析する。
「締まりませんね。わたくしでしたらこうはいきませんのに」
凛華は自分ならもっとうまくやれると思ってるだろうが、それは全員がいうことを聞いてくれる前提の話だろう。
何かトラブルがあったのかも知れないことは抜きにして話している。
「なんかさー、戦いに慣れてない感じしない? 気のせいかもしれないけどさ」
久遠の指摘にみんなが同じような反応をする。
「そう見えるわね」
当人はそれぐらい見えて当たり前と言った感じでまるで取り合わない。
久遠は褒めて伸びるタイプだが、褒めすぎて調子に乗るやつでもあるから扱いとしてはそれが正解か。
「やはり、今までソウルグレードでゴリ押ししてきたのでしょうか? それともお父様がうまく使命を果たしてくれた?」
だろうなとは思う。戦い方に力自慢具合が見えていたし、小手先を労するタイプではなかったしな。
「まだ詳しい情報はわからないが、追い風だ。うまく使うとしよう」
ここは流れに乗っておこう。
お義父さんの表立った行動が、果たして暗躍と言えるのかどうかはわからないが、あえてツッコミはしまい。
「ええ。ではこちらの行動ですが、どういたしましょうか?」
「守ってばかりじゃこの好機を逃すことになる。しかし、攻め入るには実力不足。ここは誘い出すべきだろう。なるべく生徒に怪我人は出さずに行きたい。そうなると学園側にご招待する他ない」
「危険じゃない?」
「その危険は考慮して動くんだ。もちろんユグドラシルだけで守り切れる相手ではないことは把握済みだ。多少の犠牲はやむなしだ。こちらも総力を尽くす。モンスターを手懐けたって方向で行きたい」
「海斗のテイマーとしての側面を披露するのね」
「ずっと学校にこもってばかりじゃ、守護者って感じもしないし、打って出るさ。むろん、学校から出て行くんじゃなくおびき寄せる感じだが」
「はいはーい! じゃあうち行くよー」
「あなたは引き際を忘れて戦いに夢中になりそうで心配だわ」
「寧々はもうちょっとうちのこと信頼してくれていいんだよー?」
「はいはい。そういうことは私に勝ち越してから言ってちょうだい」
「むー! ムックン、寧々がいじめるよー」
「痴話喧嘩はそこらへんにしておけ。さて、ここからの作戦だが……」
情報を詰めていく。
俺たちだけで動くわけではないので、もちろん生徒や教師も交えての作戦会議だ。
「敵を、学園に誘き寄せるだって? そんなの反対だ!」
声を荒げたのは教師陣である。
ここが唯一の安住の地。そこを戦場にしようという提案に、我慢がならない様子である。
「だとしても先生、敵地に乗り込んで討ち死にするおつもりですか? 学校内の方がまだ生徒たちにも地の利があります」
「むぅそれはそうだが……」
「それに、怪我人を出した時も即座に対応しやすい。これが敵地でどれだけ同じことができるでしょうか? 右も左もわからぬ場所での治療。ミスが命取りになると思いませんか?」
「確かにそうだが……だが、危険ではないのか?」
「危険は当然伴います。だからこそ、皆さんの協力の元こうして会議の場に就いてもらいました。もしこれを俺たちが独断で行えば、それこそ陰口からの離反を招きかねません。それに相手側に捕虜として向かっても、人として扱ってもらえるかどうか。なんなら自ら死にに行くようなものです」
「裏切り者には死を?」
「裏切ったところで双方に利点はありません。相手の狙いがわからない限り、こちらは下手に出るべきではありませんので。双方の狙いをはっきりさせた先に、交渉手段が生まれます。なので、くれぐれも先走った行動は起こしませんように」
ここに教師や生徒の代表を招いたのは、釘を刺すためでもあった。
裏切ったところで命の保証はない。
何せ相手は人類を下等生物だと思っているからな。
人の生き死にすら、遊びの範疇。
そんな奴らの下に好き好んで行く奴の気が知れないが……自分の持つ情報に価値があると思い込んでる奴は多いからな。
例えば学園の地理とか、戦力図とか。
「相手は俺たちをおもちゃ程度にしか思ってませんからね。俺たちの張ってるバリアだって綿菓子を引きちぎるよみたいに破ります。そんな相手がですよ? 俺たちの情報を持ってって喜ぶと思います? 地図や誰がどんな能力を持ってるかなんて、相手にはどうだっていいんです。いつでもピクニック気分で人類を滅ぼせる存在。それが悪魔です」
釘を刺すなら徹底的に。裏切ったところでなんら旨みはないと言い含める。そもそも相手の狙いがわからない。
こっちはダンジョンの外に出たい。
向こうはこっちの要望を叶える術を持ってるかわからないと来た。
俺は上位者でも食らって自分の力にできるが、学園生にはそれが通じない。変な気を起こさないで欲しいものだ。
「わかった。ここでは全員で一致団結して事にあたるしかないのか」
「いつ何時でも、ですよ。結局人類のことを一番よく理解してるのは同じ人類だけです。漫画やアニメでその存在のことを知った気にならず、自分の目で見たものを信じましょうよ」
「その方が良さそうだね。俺たちもそのように行動する。何をすればいい? 指示をくれ」
「詳しい指示は御堂さんから直接下る。今は実力よりも信頼の方が何よりも勝るからな。一度自主退学した俺よりも、常に学園でトップをとり続けてきた御堂凛華。同じ学園生への指示なら彼女が最適だろう。何より花がある」
「そうだな。悔しいがお前に怒りをぶつけるものは少なくない。もしお前が指揮をとっていたら、ここまで足並みを揃えるのは大変だっただろう」
それは俺が凛華の彼氏だからか?
どちらにせよ、いい感情を持たれてないのは知ってるさ。
寧々や久遠も顔はいいからな。
そんなこんなで学園内での活動指針をまとめる。
指示だしは今まで通り凛華。
学園の防衛隊長は寧々。
そして突撃隊長兼囮役は久遠と俺の分体であるジェネティックスライが果たすことにした。
全校生徒の前で種明かしと行こうか。
俺のそっくりさんがいても、それは俺じゃない。
モンスターに擬態させることで、いつでも即時復活可能。
ただし作るのに少し手間がかかるのと、そのモンスターを大量生産できる下地がないのでコピー希望者が出ても少数しかできないと決める。
「ここは一つわたくしが参りましょうか」
「やっぱりそうなるよなぁ。久遠はどうする?」
「いらない」
まぁそうだよな。学園のみんなは知らないが、俺の契約者である久遠は俺と同じ耐性を持っている。俺に通用しない攻撃は久遠にも通用しないのだ。
なので、今回は指揮役に回ってて暴れたりない凛華が抜擢された。
死んでも本体は無事なので、ここで一つパフォーマンスと行こうじゃないか。
「じゃあね、ムックン行ってくる」
「行ってらっしゃい」
笑顔で見送り、俺は炊き出しの準備に取り掛かる。
凛華や寧々は各自配置につき、学園の進退を賭けた防衛戦が始まった。
はてさて、久遠はうまくあの二人を操ってくれるかね?
一応俺の意識を乗っけてるとはいえ、そこはかとなく不安だった。
◇◆◇
『サイファー卿が死んだ? それは一体なんの冗談だ?』
ユーフェミア直属の親衛隊であるレギオンの隊長であるベルガスは、部下の持ってきた報告に眉を顰めた。
『おそらく、王の可能性があります』
『王が相手なら我らはヒュームにも劣るというのか? 話にならん。つまらない冗談はよせ』
『王とて、特質がございます。もしかしたら、ヒュームの王は【暴食】の権能を持っているのでは?』
『【暴食】……聞いたことがある。しかしそれらを受け継ぐにはそれなりの素質、素養が必要だ。それに暴食の権能はアーケードの小娘が所持していたのではないか? アレなら恐るるに足らん性能であったが』
『その特性を最大限利用できる適合者が現れたならば、あるいは』
『我らとて、その捕食対象者になりうるか』
『でなければサイファー卿が名乗る前に負けるなどあり得ません』
『ああ、ワシが一番に信頼をおく我が親衛隊でも一番できる男だったからな。真名を語らずとも、ヒュームに遅れをとることなどない』
『どうされますか?』
『弔い合戦だ。蘇生したところで、奴も気が済むまい。一生就いて回るのだぞ? ヒュームに一度殺されたと。うぬならそれが我慢できるか?』
『なりませぬ』
『全軍を率いよ! ワシが陣頭指揮を取る! 討ち入りじゃあ!!』
そんな風にベルガスが感情を高ぶらせているところで、新たな報告が入る。
『大変です! 賊が陣地に侵入し、ライナード様とオルファン様が討ち死になさっております!』
『なんと!』
『そんな、あのお二人が!? 【暴食】意外にも王が紛れ込んでいたというのか?』
『わかりません。ですが、再復活までの間、多くの兵士の命が散らされております』
『なんたる失態だ! 親衛隊の恥晒しどもめ! ユーフェミア様のお顔に泥を塗りおって』
『何事ですか、ベルガス』
『ユーフェミア様!』
ベルガスは内心焦っていた。
簡単な仕事だった。
しかし蓋を開ければ劣勢なのはこちらの方。
たかがヒュームと侮って、戦力のいくつかを失ってしまっている。
これをそのまま報告していいものか。
迷いに迷っていた。
しかし、この緊急時に嘘を言える性格ではなかったため、ありのままを語った。
『なんてことでしょう。ベルガス、そのお話は本当でしょうか?』
『残念ながら、魔力波動を辿っても途絶えてしまってます。そして同時に残念なお知らせが入っております』
『まだこれ以上にありまして?』
『ジャヴィド様の彫像を破壊されてしまいました』
『何をやっていますの!』
ジャヴィド像。それはユーフェミア側からのフィルターをかけにかけまくっただいぶ美化された兄の姿がミスリル銀で再現されたものだった。
『こんな場所にいられるか、俺は出て行くぞ』と出てから、ユーフェミアは想いを募らせて、ついにはこんな銅像までも作り上げていた。
ジャヴィドは実の妹がここまで病んでいることを知らないだろう。
いや、正直血のつながった兄妹なのに愛が重すぎてサレに辟易して出ていったと言った方が正解なのかもしれない。
ジャヴィドとて妹のことは嫌いではないが、添い遂げるのはまた違うと感じていた故の結末だった。
『アクシアル様、お話が違いましてよ。わたくしが王になり、お兄様のもとへ参れるというお話ではありませんでしたの?』
そんな話は一度も出ていないし、勝手に妄想を募らせたお前の思い込みだろう、と喉元まで出かけたが、アクシアルは必死に飲み込むことに成功した。
『話を飛躍させすぎです。私からの提案は、殺したい奴がいる。それが王の可能性がある。それを倒すためのお力添えをいただきたい。そうおっしゃったのです。そのためなら、夜伽権をお出ししてもいい。そういうお話です』
『あら、そうだったかしら?』
『なんにせよ、このままヒュームどもに好き勝手やらせていたら我らデーモンの名折れですぞ、女王様』
『そうね。ベルガス、何か策はある?』
『は、一匹残らず血祭りに上げ。その血で再復活を彩る宴を施しましょう』
何言ってんだ、こいつという目でアクシアルはデーモンたちを見つめる。死生観のまるで違う種族ゆえに起こる弊害。
どちらにせよ、自身の目的は達成されるのだから話に割って入るほど無粋ではない。
だが、そこに条件を付け加えるのだけは引けなかった。
『潰すのは結構。ただし、特定の対象だけは私に任せていただきたい。それ以外はどうとでもしていただいて結構』
『ふふふふふふふふふふふ……お兄様、あと少しです。あと少しでお兄様のもとへ会いに行きますわよ』
『サイファー卿、ライナード卿、オルファン卿の敵討である。皆、気を引き締めてかかれよ? 相手はヒュームであろうとも手練れ。遅れをとるようなことがあってはならぬ。本気で、全力で入念に潰して回れ!』
『『『『応ッ!!!』』』』
盛り上がる襲撃者たち。
しかしその足並み揃ってない場所へ強襲をかける者の姿があった。
「久遠、やれ」
「ルーン、ブレイカー!!!」
開幕の一撃。
移動を海斗の模したジェネティックスライムが引き受け、今の今まで力をためていた北谷久遠の全力の一撃。
貯めれば貯めるほどに威力を増す代わり、売ったチョ屋後に動けなくなる諸刃の剣。今回はそれを祝砲とした。
祝砲にして開戦。
戦闘一発めの威力に申し分ない一撃である。
『敵襲ーーー! 敵襲……ぐわーー』
「今、増兵されるのは得策ではありません。少しお待ちいただけますか?」
声を荒げる兵士の首を一刀両断。
凛華の剣技は衰えることなく、むしろ鋭さを増している。待て、と言っておきながら声ロスのは少しやりすぎな気もするが、悪魔だし、復活するだろうとの見込みだ。
「あら、消えてしまいました」
「凛華は少し手加減を覚えることだな。久遠は無事か?」
「かろうじて生きてるよ」
「なら、ヨシ」
『海斗さん、そちら側に敵が一極集中しております』
学園に残してきた凛華側からの念話が入る。
いつの間にか敵陣の戦力を把握してた。
何それ、怖い。
「学園側から連絡が入った。敵はうまくこちらに誘導されてくれたらしい。あとは御堂さんと貝塚さんを拾って帰るだけだ。久遠はそれまで待機。凛華は俺の背後を守ってくれ」
「任されました。これが終わったら、また頭をなでなでしてくださいね!」
普段ならこんな願望いやでも口にしないのに。
完全に掌握してないジェネティックスライムは欲望が丸出しになってダメだな。
だが、ある意味ではそれが本音だ。
「帰ったらいくらでもしてやる。だから、死ぬな」
「その気はありません。さて、敵兵が参りました」
「今回は倒すのが目的じゃない。逃走ルートを確保した上での避けきれない戦闘のみ対応する。作戦を間違えるな?」
「把握してます」
「ならヨシ」
海斗達は念話をかけながら貝塚真琴、御堂明の消息を追った。
寧々が望遠鏡で敵の位置を捕捉しつつ戦況を分析する。
「締まりませんね。わたくしでしたらこうはいきませんのに」
凛華は自分ならもっとうまくやれると思ってるだろうが、それは全員がいうことを聞いてくれる前提の話だろう。
何かトラブルがあったのかも知れないことは抜きにして話している。
「なんかさー、戦いに慣れてない感じしない? 気のせいかもしれないけどさ」
久遠の指摘にみんなが同じような反応をする。
「そう見えるわね」
当人はそれぐらい見えて当たり前と言った感じでまるで取り合わない。
久遠は褒めて伸びるタイプだが、褒めすぎて調子に乗るやつでもあるから扱いとしてはそれが正解か。
「やはり、今までソウルグレードでゴリ押ししてきたのでしょうか? それともお父様がうまく使命を果たしてくれた?」
だろうなとは思う。戦い方に力自慢具合が見えていたし、小手先を労するタイプではなかったしな。
「まだ詳しい情報はわからないが、追い風だ。うまく使うとしよう」
ここは流れに乗っておこう。
お義父さんの表立った行動が、果たして暗躍と言えるのかどうかはわからないが、あえてツッコミはしまい。
「ええ。ではこちらの行動ですが、どういたしましょうか?」
「守ってばかりじゃこの好機を逃すことになる。しかし、攻め入るには実力不足。ここは誘い出すべきだろう。なるべく生徒に怪我人は出さずに行きたい。そうなると学園側にご招待する他ない」
「危険じゃない?」
「その危険は考慮して動くんだ。もちろんユグドラシルだけで守り切れる相手ではないことは把握済みだ。多少の犠牲はやむなしだ。こちらも総力を尽くす。モンスターを手懐けたって方向で行きたい」
「海斗のテイマーとしての側面を披露するのね」
「ずっと学校にこもってばかりじゃ、守護者って感じもしないし、打って出るさ。むろん、学校から出て行くんじゃなくおびき寄せる感じだが」
「はいはーい! じゃあうち行くよー」
「あなたは引き際を忘れて戦いに夢中になりそうで心配だわ」
「寧々はもうちょっとうちのこと信頼してくれていいんだよー?」
「はいはい。そういうことは私に勝ち越してから言ってちょうだい」
「むー! ムックン、寧々がいじめるよー」
「痴話喧嘩はそこらへんにしておけ。さて、ここからの作戦だが……」
情報を詰めていく。
俺たちだけで動くわけではないので、もちろん生徒や教師も交えての作戦会議だ。
「敵を、学園に誘き寄せるだって? そんなの反対だ!」
声を荒げたのは教師陣である。
ここが唯一の安住の地。そこを戦場にしようという提案に、我慢がならない様子である。
「だとしても先生、敵地に乗り込んで討ち死にするおつもりですか? 学校内の方がまだ生徒たちにも地の利があります」
「むぅそれはそうだが……」
「それに、怪我人を出した時も即座に対応しやすい。これが敵地でどれだけ同じことができるでしょうか? 右も左もわからぬ場所での治療。ミスが命取りになると思いませんか?」
「確かにそうだが……だが、危険ではないのか?」
「危険は当然伴います。だからこそ、皆さんの協力の元こうして会議の場に就いてもらいました。もしこれを俺たちが独断で行えば、それこそ陰口からの離反を招きかねません。それに相手側に捕虜として向かっても、人として扱ってもらえるかどうか。なんなら自ら死にに行くようなものです」
「裏切り者には死を?」
「裏切ったところで双方に利点はありません。相手の狙いがわからない限り、こちらは下手に出るべきではありませんので。双方の狙いをはっきりさせた先に、交渉手段が生まれます。なので、くれぐれも先走った行動は起こしませんように」
ここに教師や生徒の代表を招いたのは、釘を刺すためでもあった。
裏切ったところで命の保証はない。
何せ相手は人類を下等生物だと思っているからな。
人の生き死にすら、遊びの範疇。
そんな奴らの下に好き好んで行く奴の気が知れないが……自分の持つ情報に価値があると思い込んでる奴は多いからな。
例えば学園の地理とか、戦力図とか。
「相手は俺たちをおもちゃ程度にしか思ってませんからね。俺たちの張ってるバリアだって綿菓子を引きちぎるよみたいに破ります。そんな相手がですよ? 俺たちの情報を持ってって喜ぶと思います? 地図や誰がどんな能力を持ってるかなんて、相手にはどうだっていいんです。いつでもピクニック気分で人類を滅ぼせる存在。それが悪魔です」
釘を刺すなら徹底的に。裏切ったところでなんら旨みはないと言い含める。そもそも相手の狙いがわからない。
こっちはダンジョンの外に出たい。
向こうはこっちの要望を叶える術を持ってるかわからないと来た。
俺は上位者でも食らって自分の力にできるが、学園生にはそれが通じない。変な気を起こさないで欲しいものだ。
「わかった。ここでは全員で一致団結して事にあたるしかないのか」
「いつ何時でも、ですよ。結局人類のことを一番よく理解してるのは同じ人類だけです。漫画やアニメでその存在のことを知った気にならず、自分の目で見たものを信じましょうよ」
「その方が良さそうだね。俺たちもそのように行動する。何をすればいい? 指示をくれ」
「詳しい指示は御堂さんから直接下る。今は実力よりも信頼の方が何よりも勝るからな。一度自主退学した俺よりも、常に学園でトップをとり続けてきた御堂凛華。同じ学園生への指示なら彼女が最適だろう。何より花がある」
「そうだな。悔しいがお前に怒りをぶつけるものは少なくない。もしお前が指揮をとっていたら、ここまで足並みを揃えるのは大変だっただろう」
それは俺が凛華の彼氏だからか?
どちらにせよ、いい感情を持たれてないのは知ってるさ。
寧々や久遠も顔はいいからな。
そんなこんなで学園内での活動指針をまとめる。
指示だしは今まで通り凛華。
学園の防衛隊長は寧々。
そして突撃隊長兼囮役は久遠と俺の分体であるジェネティックスライが果たすことにした。
全校生徒の前で種明かしと行こうか。
俺のそっくりさんがいても、それは俺じゃない。
モンスターに擬態させることで、いつでも即時復活可能。
ただし作るのに少し手間がかかるのと、そのモンスターを大量生産できる下地がないのでコピー希望者が出ても少数しかできないと決める。
「ここは一つわたくしが参りましょうか」
「やっぱりそうなるよなぁ。久遠はどうする?」
「いらない」
まぁそうだよな。学園のみんなは知らないが、俺の契約者である久遠は俺と同じ耐性を持っている。俺に通用しない攻撃は久遠にも通用しないのだ。
なので、今回は指揮役に回ってて暴れたりない凛華が抜擢された。
死んでも本体は無事なので、ここで一つパフォーマンスと行こうじゃないか。
「じゃあね、ムックン行ってくる」
「行ってらっしゃい」
笑顔で見送り、俺は炊き出しの準備に取り掛かる。
凛華や寧々は各自配置につき、学園の進退を賭けた防衛戦が始まった。
はてさて、久遠はうまくあの二人を操ってくれるかね?
一応俺の意識を乗っけてるとはいえ、そこはかとなく不安だった。
◇◆◇
『サイファー卿が死んだ? それは一体なんの冗談だ?』
ユーフェミア直属の親衛隊であるレギオンの隊長であるベルガスは、部下の持ってきた報告に眉を顰めた。
『おそらく、王の可能性があります』
『王が相手なら我らはヒュームにも劣るというのか? 話にならん。つまらない冗談はよせ』
『王とて、特質がございます。もしかしたら、ヒュームの王は【暴食】の権能を持っているのでは?』
『【暴食】……聞いたことがある。しかしそれらを受け継ぐにはそれなりの素質、素養が必要だ。それに暴食の権能はアーケードの小娘が所持していたのではないか? アレなら恐るるに足らん性能であったが』
『その特性を最大限利用できる適合者が現れたならば、あるいは』
『我らとて、その捕食対象者になりうるか』
『でなければサイファー卿が名乗る前に負けるなどあり得ません』
『ああ、ワシが一番に信頼をおく我が親衛隊でも一番できる男だったからな。真名を語らずとも、ヒュームに遅れをとることなどない』
『どうされますか?』
『弔い合戦だ。蘇生したところで、奴も気が済むまい。一生就いて回るのだぞ? ヒュームに一度殺されたと。うぬならそれが我慢できるか?』
『なりませぬ』
『全軍を率いよ! ワシが陣頭指揮を取る! 討ち入りじゃあ!!』
そんな風にベルガスが感情を高ぶらせているところで、新たな報告が入る。
『大変です! 賊が陣地に侵入し、ライナード様とオルファン様が討ち死になさっております!』
『なんと!』
『そんな、あのお二人が!? 【暴食】意外にも王が紛れ込んでいたというのか?』
『わかりません。ですが、再復活までの間、多くの兵士の命が散らされております』
『なんたる失態だ! 親衛隊の恥晒しどもめ! ユーフェミア様のお顔に泥を塗りおって』
『何事ですか、ベルガス』
『ユーフェミア様!』
ベルガスは内心焦っていた。
簡単な仕事だった。
しかし蓋を開ければ劣勢なのはこちらの方。
たかがヒュームと侮って、戦力のいくつかを失ってしまっている。
これをそのまま報告していいものか。
迷いに迷っていた。
しかし、この緊急時に嘘を言える性格ではなかったため、ありのままを語った。
『なんてことでしょう。ベルガス、そのお話は本当でしょうか?』
『残念ながら、魔力波動を辿っても途絶えてしまってます。そして同時に残念なお知らせが入っております』
『まだこれ以上にありまして?』
『ジャヴィド様の彫像を破壊されてしまいました』
『何をやっていますの!』
ジャヴィド像。それはユーフェミア側からのフィルターをかけにかけまくっただいぶ美化された兄の姿がミスリル銀で再現されたものだった。
『こんな場所にいられるか、俺は出て行くぞ』と出てから、ユーフェミアは想いを募らせて、ついにはこんな銅像までも作り上げていた。
ジャヴィドは実の妹がここまで病んでいることを知らないだろう。
いや、正直血のつながった兄妹なのに愛が重すぎてサレに辟易して出ていったと言った方が正解なのかもしれない。
ジャヴィドとて妹のことは嫌いではないが、添い遂げるのはまた違うと感じていた故の結末だった。
『アクシアル様、お話が違いましてよ。わたくしが王になり、お兄様のもとへ参れるというお話ではありませんでしたの?』
そんな話は一度も出ていないし、勝手に妄想を募らせたお前の思い込みだろう、と喉元まで出かけたが、アクシアルは必死に飲み込むことに成功した。
『話を飛躍させすぎです。私からの提案は、殺したい奴がいる。それが王の可能性がある。それを倒すためのお力添えをいただきたい。そうおっしゃったのです。そのためなら、夜伽権をお出ししてもいい。そういうお話です』
『あら、そうだったかしら?』
『なんにせよ、このままヒュームどもに好き勝手やらせていたら我らデーモンの名折れですぞ、女王様』
『そうね。ベルガス、何か策はある?』
『は、一匹残らず血祭りに上げ。その血で再復活を彩る宴を施しましょう』
何言ってんだ、こいつという目でアクシアルはデーモンたちを見つめる。死生観のまるで違う種族ゆえに起こる弊害。
どちらにせよ、自身の目的は達成されるのだから話に割って入るほど無粋ではない。
だが、そこに条件を付け加えるのだけは引けなかった。
『潰すのは結構。ただし、特定の対象だけは私に任せていただきたい。それ以外はどうとでもしていただいて結構』
『ふふふふふふふふふふふ……お兄様、あと少しです。あと少しでお兄様のもとへ会いに行きますわよ』
『サイファー卿、ライナード卿、オルファン卿の敵討である。皆、気を引き締めてかかれよ? 相手はヒュームであろうとも手練れ。遅れをとるようなことがあってはならぬ。本気で、全力で入念に潰して回れ!』
『『『『応ッ!!!』』』』
盛り上がる襲撃者たち。
しかしその足並み揃ってない場所へ強襲をかける者の姿があった。
「久遠、やれ」
「ルーン、ブレイカー!!!」
開幕の一撃。
移動を海斗の模したジェネティックスライムが引き受け、今の今まで力をためていた北谷久遠の全力の一撃。
貯めれば貯めるほどに威力を増す代わり、売ったチョ屋後に動けなくなる諸刃の剣。今回はそれを祝砲とした。
祝砲にして開戦。
戦闘一発めの威力に申し分ない一撃である。
『敵襲ーーー! 敵襲……ぐわーー』
「今、増兵されるのは得策ではありません。少しお待ちいただけますか?」
声を荒げる兵士の首を一刀両断。
凛華の剣技は衰えることなく、むしろ鋭さを増している。待て、と言っておきながら声ロスのは少しやりすぎな気もするが、悪魔だし、復活するだろうとの見込みだ。
「あら、消えてしまいました」
「凛華は少し手加減を覚えることだな。久遠は無事か?」
「かろうじて生きてるよ」
「なら、ヨシ」
『海斗さん、そちら側に敵が一極集中しております』
学園に残してきた凛華側からの念話が入る。
いつの間にか敵陣の戦力を把握してた。
何それ、怖い。
「学園側から連絡が入った。敵はうまくこちらに誘導されてくれたらしい。あとは御堂さんと貝塚さんを拾って帰るだけだ。久遠はそれまで待機。凛華は俺の背後を守ってくれ」
「任されました。これが終わったら、また頭をなでなでしてくださいね!」
普段ならこんな願望いやでも口にしないのに。
完全に掌握してないジェネティックスライムは欲望が丸出しになってダメだな。
だが、ある意味ではそれが本音だ。
「帰ったらいくらでもしてやる。だから、死ぬな」
「その気はありません。さて、敵兵が参りました」
「今回は倒すのが目的じゃない。逃走ルートを確保した上での避けきれない戦闘のみ対応する。作戦を間違えるな?」
「把握してます」
「ならヨシ」
海斗達は念話をかけながら貝塚真琴、御堂明の消息を追った。
41
お気に入りに追加
220
あなたにおすすめの小説

スキル:浮遊都市 がチートすぎて使えない。
赤木 咲夜
ファンタジー
世界に30個のダンジョンができ、世界中の人が一人一つスキルを手に入れた。
そのスキルで使える能力は一つとは限らないし、そもそもそのスキルが固有であるとも限らない。
変身スキル(ドラゴン)、召喚スキル、鍛冶スキルのような異世界のようなスキルもあれば、翻訳スキル、記憶スキルのように努力すれば同じことができそうなスキルまで無数にある。
魔法スキルのように魔力とレベルに影響されるスキルもあれば、絶対切断スキルのようにレベルも魔力も関係ないスキルもある。
すべては気まぐれに決めた神の気分
新たな世界競争に翻弄される国、次々と変わる制度や法律、スキルおかげで転職でき、スキルのせいで地位を追われる。
そんななか16歳の青年は世界に一つだけしかない、超チートスキルを手に入れる。
不定期です。章が終わるまで、設定変更で細かい変更をすることがあります。
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ひょんなことから男子高校生、磯貝章(いそがいあきら)は授業中、クラス毎異世界クラセリアへと飛ばされた。
勇者としての役割、与えられた力。
クラスメイトに協力的なお姫様。
しかし能力を開示する魔道具が発動しなかったことを皮切りに、お姫様も想像だにしない出来事が起こった。
突如鳴り出すメール音。SNSのメロディ。
そして学校前を包囲する警察官からの呼びかけにクラスが騒然とする。
なんと、いつの間にか元の世界に帰ってきてしまっていたのだ!
──王城ごと。
王様達は警察官に武力行為を示すべく魔法の詠唱を行うが、それらが発動することはなく、現行犯逮捕された!
そのあとクラスメイトも事情聴取を受け、翌日から普通の学校生活が再開する。
何故元の世界に帰ってきてしまったのか?
そして何故か使えない魔法。
どうも日本では魔法そのものが扱えない様で、異世界の貴族達は魔法を取り上げられた平民として最低限の暮らしを強いられた。
それを他所に内心あわてている生徒が一人。
それこそが磯貝章だった。
「やっべー、もしかしてこれ、俺のせい?」
目の前に浮かび上がったステータスボードには異世界の場所と、再転移するまでのクールタイムが浮かび上がっていた。
幸い、章はクラスの中ではあまり目立たない男子生徒という立ち位置。
もしあのまま帰って来なかったらどうなっていただろうというクラスメイトの話題には参加させず、この能力をどうするべきか悩んでいた。
そして一部のクラスメイトの独断によって明かされたスキル達。
当然章の能力も開示され、家族ごとマスコミからバッシングを受けていた。
日々注目されることに辟易した章は、能力を使う内にこう思う様になった。
「もしかして、この能力を金に変えて食っていけるかも?」
──これは転移を手に入れてしまった少年と、それに巻き込まれる現地住民の異世界ドタバタコメディである。
序章まで一挙公開。
翌日から7:00、12:00、17:00、22:00更新。
序章 異世界転移【9/2〜】
一章 異世界クラセリア【9/3〜】
二章 ダンジョンアタック!【9/5〜】
三章 発足! 異世界旅行業【9/8〜】
四章 新生活は異世界で【9/10〜】
五章 巻き込まれて異世界【9/12〜】
六章 体験! エルフの暮らし【9/17〜】
七章 探索! 並行世界【9/19〜】
95部で第一部完とさせて貰ってます。
※9/24日まで毎日投稿されます。
※カクヨムさんでも改稿前の作品が読めます。
おおよそ、起こりうるであろう転移系の内容を網羅してます。
勇者召喚、ハーレム勇者、巻き込まれ召喚、俺TUEEEE等々。
ダンジョン活動、ダンジョンマスターまでなんでもあります。
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう
果 一
ファンタジー
目立つことが大嫌いな男子高校生、篠村暁斗の通う学校には、アイドルがいる。
名前は芹なずな。学校一美人で現役アイドル、さらに有名ダンジョン配信者という勝ち組人生を送っている女の子だ。
日夜、ぼんやりと空を眺めるだけの暁斗とは縁のない存在。
ところが、ある日暁斗がダンジョンの下層でひっそりとモンスター狩りをしていると、SSクラスモンスターのワイバーンに襲われている小規模パーティに遭遇する。
この期に及んで「目立ちたくないから」と見捨てるわけにもいかず、暁斗は隠していた実力を解放して、ワイバーンを一撃粉砕してしまう。
しかし、近くに倒れていたアイドル配信者の芹なずなに目撃されていて――
しかも、その一部始終は生放送されていて――!?
《ワイバーン一撃で倒すとか異次元過ぎw》
《さっき見たらツイットーのトレンドに上がってた。これ、明日のネットニュースにも載るっしょ絶対》
SNSでバズりにバズり、さらには芹なずなにも正体がバレて!?
暁斗の陰キャ自由ライフは、瞬く間に崩壊する!
※本作は小説家になろう・カクヨムでも公開しています。両サイトでのタイトルは『目立つのが嫌でダンジョンのソロ攻略をしていた俺、アイドル配信者のいる前で、うっかり最凶モンスターをブッ飛ばしてしまう~バズりまくって陰キャ生活が無事終了したんだが~』となります。
※この作品はフィクションです。実在の人物•団体•事件•法律などとは一切関係ありません。あらかじめご了承ください。

八百長試合を引き受けていたが、もう必要ないと言われたので圧勝させてもらいます
海夏世もみじ
ファンタジー
月一に開催されるリーヴェ王国最強決定大会。そこに毎回登場するアッシュという少年は、金をもらう代わりに対戦相手にわざと負けるという、いわゆる「八百長試合」をしていた。
だが次の大会が目前となったある日、もうお前は必要ないと言われてしまう。八百長が必要ないなら本気を出してもいい。
彼は手加減をやめ、“本当の力”を解放する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる