劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)

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暗躍する嫉妬

才能覚醒(六濃明海)

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 その日、あたしは自分の体とは思えない新しい体を手に入れていた。いつもだったら少し歩いただけで息が上がる脆弱な体。
 あと三ヶ月後に控えた入学。
 とてもじゃないけどろくに動くこともできなかった。

 でも、そんな不安はお兄に契約を結んでもらってから全て消え去る。凛華お姉ちゃんがブラコンになったのもわかるくらい、今のあたしにとってお兄は理想を上書きしていった。

 でもお兄には凛華お姉ちゃんが居るし、あたしは実の妹だもん。
 流石にずっと頼ってばかりはダメだよね。

 でも、この思った通りに動く体を目一杯動かしたい衝動に駆られたあたしは。
 久遠ちゃんとじゃれ合いながら奥の部屋へと入っていった。

「明海~どこ~?」

 遠くから久遠ちゃんの呼ぶ声。
 あたしは息を潜めて岩の陰に隠れてた。
 こうやって目一杯体を動かすのなんていつぶりだろう?
 そんなことを思っていると、ふと真横に広がるマグマの池から何かの頭がジッとこちらをのぞいていた。
 それは音を立てず、ゆっくりと首を伸ばす。

「ヒッ」

 見上げるほどの巨体。
 あまりにもびっくりして腰が抜けてしまい、ただ震えることしかできなかった。
 あたし、バカだ。お兄の言いつけを守らずに独断先行して。
 勝手にピンチになってる。

『お兄、助けて!』

 咄嗟に念話で助けを呼ぶも、どの場所にいるかも把握できてない。
 それでも情報を集めてなんとか探してもらおうとした。
 でも、モンスターは待ってくれず……首を大きくしならせると、口を開けてブレスを放った。
 私は何もできずに体を丸めて、ダメージを最小限にしようと歯を食いしばった。

「ホーリーバリア!」

 いつまで経っても熱さは襲ってこない。どうなっちゃったんだろう?
 見上げると見知った人の困った顔。
 確か寧々お姉ちゃん。

「全く、一人で勝手に先に行ったらダメよ?」

 本当なら怒られても仕方のない事をしたのに、寧々お姉ちゃんは優しく笑いかけてくれた。

「無事でよかったわ。立てる? お兄さんが探してたわよ? 早くしないとこのダンジョンのモンスターを駆逐しちゃうわ」

 流石にそこまでは無理じゃない?
 お兄は強いって聞くけど、そこまで強いの?
 よく分からない。お兄はあたしにあまり自分のお話をしてくれないから。
 
 寧々お姉ちゃんは凄い強かった。
 あらゆる攻撃を弾き、相手の隙を窺って地味だけど確実な一撃。
 それでどんなに大きなモンスターだって倒しちゃう。
 
 派手な強さじゃない。
 それはきっと地味な強さ。
 でもあたしは、そんな地味だけど力強い強さに憧れる。
 誰にも負けない強さ。
 そして守りたいものを守れる、そんな力。

「明海! 無事だったか!」

 お兄と合流した時、冗談かと思ってたお兄の力を目の当たりにする。本当に腕力で千切っては投げていたのを見て目を疑った。

「お兄!」

 あたしの知らないお兄になってないか確認するために飛びついたが、きちんと受け止めてくれた。
 モンスター相手だとあんなに怪力を発揮していたのに、あたしの頭を撫でる手はいつもと同じ暖かさがあった。

「全く、世話かかせやがって」

「ごめーん、つい夢中になりすぎちゃってさ」

 本当だったら怒られるどころじゃない。
 でも、お兄はあたしに怒ることはなかった。

「寧々、助かったよ。こいつすぐチョロチョロするからさ」

「別に平気よ。久遠で慣れてたから」

「え、久遠ていつもあんなに向こう見ずなのか?」

「寧々! ひどいよ~」

 久遠ちゃんは寧々お姉ちゃんを軽く握った拳でポカポカ叩くが、流れ弾が岩盤を抉ったのを察するに割と力が込められてるようだった。
 久遠ちゃん破壊力って聞いてたけど予想を簡単に上回ってきておっかなくなってきた。
 あたしはそっと寧々お姉ちゃんの後ろに隠れる。

「っと、明海。どうしたの?」

「明海! 隠れるなー」

「下の子に対してやめなさいよ、もう。甘えたい年頃なのよ。うちの妹も同じだわ」

「むー」

 第一印象はちょっとキツそうだなんて思っていた寧々お姉ちゃん。
 でも全然そんな事なくて、お兄と同じようにあたしを優しく抱き寄せてくれた。
 こういうの、母性っていうんだっけ?
 あたしにもこうやって誰かを迎え入れる時が来るんだろうか?
 分かんない。
 その前にあたしはいろいろ教えてもらわなくちゃいけないから。
 誰かを受け入れるのはそれからだ。
 でも今は……もう少し甘えさせて。

 しばらくして、落ち着きを取り戻す。
 寧々お姉ちゃんから離れて、深呼吸をした。

「もう大丈夫?」

「はい、ありがとうございます」

「いつでも頼って良いのよ? あなたが入学したら、私達は上級生になるんだから」

「うん、その時はよろしくお願いします」

「お願いされたわ」

「よし、じゃあ。それぞれの能力の検証を始めようか」

 お兄が音頭を取り、凛華お姉ちゃんや寧々お姉ちゃん。久遠ちゃん、ともう一人のお姉さん(おじさん?)に声をかけた。
 あたしはまだ手に入れてない才能を制御できるかのテストをするんだって。
 あたしはそれを見学しながら、もし自分に才能が芽生えるなら。
 こんなのが良いなって想像を膨らませる。

 視線の先で、お姉ちゃん達が凄い技を繰り広げる。
 お兄はそれを眺めながら、何かをチェックしていた。
 何してるんだろう?

「気になるか?」

 じっと見てたら声をかけられる。頷くとお姉ちゃん達のスキルの強みと弱み、隠すべき隙の多さを書き込んでいるようだった。

「そこまで突き詰めていくの?」

「突き詰めていくと、ピンチをなくせるな」

「技一つとっても明確に弱点があるんだ?」

「そうだなぁ。意外と使ってる本人は気づかない隙だが、それを指摘してやるだけでその子は成長するきっかけがもらえる。俺はそんな手助けをしてやってるんだ」

「寧々お姉ちゃんは最初からあの強さじゃなかったの?」

「明海はさ、寧々が俺と同じFクラス生だったって聞いたら驚くか?」

 ???

「Fクラス生がなんなのかは分かんないけど、ラノベの冒険者のランク制度みたいな意味合いだったりする?」

「そんな感じだな。俺と寧々は最初Fクラスで出会った。お互いに才能を持ってなくてさ。俺は結局芽生えずに自主退学したよ。彼女は今も頑張って学園に在籍してる」

「あれ、それってお兄は才能が覚醒しなかったって事?」

「ちょっとだけ違うな。俺の才能は学園の基準からしたらとても弱いものだった。なんせ探索者の攻撃力そのものが皆無だから」

「そうなんだ。お兄の才能ってどんなの?」

「テイマーだな。倒したモンスターを使役することができる、ちょっと変わった才能だ」

「えっ、それって才能が一切ない状態で倒す前提?」

「そうだぞ?」

「強いの?」

「すごく苦労したとだけ伝えておく。あまりにも使いにくすぎて、多分俺以外まともに扱えるやつはいないと思うぞ?」

「そっか」

 そんな扱いにくい才能でも、凛華お姉ちゃんや寧々お姉ちゃんに慕われるほどの強さを得ている事実。
 お兄はきっとあたしの想像以上に苦労したんだ。
 才能が覚醒したらすぐに強くなれるわけじゃないって、気付かされた。

「ま、お前がハズレ引いたって兄ちゃんが強くなるように指導してやるから大船に乗った気でいろ。凛華や寧々、久遠も見守ってくれる。お前は好きにやって良いんだ」

「うん! ありがと」

 お兄おの優しさは優しいだけじゃない、厳しさも含まれている。
 それは凛華お姉ちゃんや、寧々お姉ちゃんに接する態度でわかった。
 時には優しく、時には厳しく。
 強くなろうと思う本人のやる気に応じて練習メニューを考える。
 そういうコーチ的な考えが常にあった。

「と、フレアジェルか。どうだ明海、倒してみるか?」

 気づけばお兄の足元にバスケットボールサイズの真っ赤な水玉が寄ってきていた。
 どう見てもマグマの塊で、表面がポコポコしてる。
 お兄は陰の内側から一振りのナイフを取り出して、手渡してきた。

「う、うん」

「ジェル系はスライムと違って弾力がある。突き刺すよりも切り裂くつもりで横払いにしてみろ」

「うん。えいや!」

 お兄に教わった通りにナイフを振るうと、きれいにスパッと切れた。切れ味凄っ! って、まだ倒せてない。

「この中心部に四角く浮き出た部分があるだろう? ここを突き刺す感じで数度試してみろ」

「うん」

 言われた通りにナイフを振り上げてザクザクと。
 痛がってるのか、体液が服や顔にかかった。

「熱……くない?」

「俺の耐性のお陰だな。こいつの攻撃はマグマを吹きかける事や消化液で溶かしてきたりする。マグマの方は耐えられるけど、服は燃えるから気をつけてな?」

 え、じゃあ直接手で受け止めろって事?
 確かにせっかくのお洋服を穴だらけになるよりは良いか。
 腕をまくり、よーし! と気合いを入れてザクザクと作業を繰り返す。そして……私の手に入れたスキルは……

 <才能が覚醒しました>
 ディメンジョントレーダー
 空間を無視して0距離攻撃が可能。
 ゲートを開くことで相手の攻撃を取り込んで、そのまま相手に返すこともできる。
 スキルを使い込むことによって上限回数が増えていく。

 ─────────────────────
 六濃明海
 才能:ディメンジョントレーダー【SSR】
 <スキル>
 ディメンジョンホール・入口【3/3】
 ディメンジョンホール・出口【1/1】
 ディメンジョンホール・拡散【1/1】
 ─────────────────────

 なんていうか、非常に頭を使う系のものだった。
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