劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)

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暴食の力

それぞれの成長

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「シャスラ、お前なのか?」

「ばぶう」


 見つめ合う血の繋がりのある兄妹。
 そして何を思ったのか、はたまた念話で何かを受け取ったのか、シャスラのお兄さんは自らの体をシャスラと同じくらいに縮めた。


「妹から聞いたぞ。これがこの世界の最上級のもてなしだと。背負う事で上位者だと認め、首を差し出す事で服従を誓う。なかなかどうして考えているではないか。なぜ先に言わぬ?」


 何をどう勘違いすればこう至るのか。


「俺たちのもてなし法に何か失礼があるかもしれないと黙っておりました。それとシャスラ様にも不自由させてしまっておりますゆえ」

「ばぶう」

「不自由はないと申しているぞ? むしろ自らが動かずとも人間達が手足のように動いてくれる。これ以上のもてなしはないとの事だ」


 今の短い言葉にそれほどの意味が?
 どうすんだよこれ!
 上位者を赤ん坊扱いして本当にいいのか?
 下手すりゃ戦争だぞ?
 シャスラはまだ俺がテイムしてるからいいとして、お兄さんの方は上位序列者。
 名前はまだ聞かないが、凛華の親父さん以上の強さを誇るのだ。


「どうやらお兄様もあやして欲しいそうよ? あきらめましょう、海斗」


 やはりそうなるか。
 俺は替えのベビー服を取りに社宅に戻る。
 そこでスープ番をしていた久遠がスープの出来を報告してきた。


「ムックン、スープ出来たよ? 飲む?」

「ありがとう久遠。でもその前に追加のベビー服を頼む 」

「シャスラちゃんお漏らししちゃった?」

「シャスラのお兄さんが来て、同じ待遇を求めてきたんだ」

「意味がわからないよ」


 久遠の返事に同意する。
 俺も何が何だかわからなかった。
 手伝いついでに久遠にスープを持って来させ、寧々や凛華を交えてモンスター料理の提供に勤しむ。
 バフ料理については疾風団のギルドでも検証したが、未確認モンスターの料理はまだレシピが出回ってない。
 その味見と改善点を見越しての意見交換会を行なった。
 シャスラとそのお兄さんにはそれぞれ抱っこ役を添えてダンジョン探索を進める。
 万が一流れ弾に当たっても死にはしないだろうが、不敬だと言われたらそれこそ物理的に首が飛びかねないので安全圏を作ってもてなすことにした。
 本当に侵略者の一族は我儘でいけないな。


 ◇


「なんだか大変なことになっちまったな」

「お噂は妹さんから予々。私は佐咲寧々と申します。以後お見知り置きを」


 凛華がシャスラの抱っこ権を獲得し、手持ち無沙汰になった寧々が勝也さんや恭弥さんに自己紹介をした。


「ああ、聞いている。蓮司さんが自慢してたぜ?」

「父程ではありませんが、いくつか事業を任されてます」

「謙遜するな。俺もあの人に世話になってる。特に海斗がな?」

「いつも世話になってるよ」


 頭を下げれば、他人行儀が過ぎると言われた。
 なお、お兄さんベビーは絶賛吸血中である。
 そんなに俺の血が好きか?


「でもさー、蓮司さんとこにこんな大きな子がいるなんて知らなかったな。下の子はよく知ってるんだけど」


 恭弥さんが寧々に尋ねる。
 そう言えばそんなこと言ってたな。
 でもあの時は寧々に似ている脱走者は居なかったで決着がついたんじゃなかったか?
 寧々は少し影を差した後、すぐに明るい表情に戻る。


「それはきっと私がアルバイトに出ていた時ですね。ウチって父が何でもかんでも頑張ってるじゃないですか? 母も一人で結構頑張る方なので、一番上の私も手伝ってるんです。アルバイトと言っても、家のですけど」

「じゃあすれ違ってたか?」

「そうだと思います」


 話はそれで終わりのようだ。
 これ以上話すことはないし、寧々もあまり思いだしたくないようだ。そして一緒にきたのならとどれくらいまでレベルが上がったのか検証も兼ねて一緒にCランクダンジョンに潜ることに。


 ◇


 周囲の索敵から、討伐までまた一段と洗練されてるな?
 俺がワーカーの仕事をしながら流し見してると、恭弥さんが不審げに俺を見てくる。


「おいおい、今の学園生ってこんなにレベルが高いのか? 当時の俺らより強いぞ?」

「寧々は俺と一緒にダンジョンを潜った中ですからね。今だったら久遠も結構やりますよ? 凛華だって勝也さんの知ってる頃より洗練されてるでしょう」

「へぇ、そうなのか?」

「海斗さん、あまり兄様をその気にさせないでください。今は子供をあやしている時ですよ?」


 勝也さんの眼力が強まる。
 どうやらご機嫌がすぐれないらしい。
 そんなに俺と凛華が仲睦まじいのが嫌なのか、少し大人になって欲しいものだ。

 恭弥さんが久遠と寧々の動きに舌を撒きつつ絶賛した。
 俺の動きもそれなりに褒めてくれたが、実際に当時のAクラス生を知ってるこの人だからこその評価もある。

 俺の場合はFクラス生にしてはやる、ぐらいの評価だが。
 Aクラス生で武技、魔法なしでの動きは評価の質が変わってくるのだ。


「久遠、お前才能に頼らずにモンスターを倒せるようになったんだな。驚いた」

「全部ムックンのおかげよ。力の使い方、力の抜き方。授業で習わないこと全部、その教えを受け継いだ寧々と凛華に教わったよ!」

「久遠はもう少し私達を讃えていいのよ? まあ私達も海斗に頼りきりな部分も多いから、最終的に海斗に全ての評価が持っていかれるのはわからなくもないけどね?」


 光を纏った剣を横凪に払い、硬直時間を利用して小休止する寧々。
 硬直するのは右手と体。左手はフリーなので小物入れのポーチは左手が届く位置に付けられていた。
 口に含んだのは硬直解除が早まるドリンク。
 実家から持ってきたのだろう、そして久遠に集中するヘイト取りも忘れない。
 硬直中は思考にも余裕ができるのだ。


「おいおい、技の硬直中に準備しすぎだろ?」

「普段から複数のモンスターに対応できる訓練をしてる賜物ですね。久遠もスキルを使えばすぐに早く倒せますが、彼女には敵を引き受け過ぎる悪癖がありますから。だから寧々と組ませて討伐可能な量の調整をしてるんです」

「それでもCランクダンジョンのモンスターに引けを取らない動きだぞ?」


 勝也さんが驚きの声をあげる。
 恭弥さんもこれには素直に頷いた。


「一年生でこれなのか。今年の学園生は粒揃いとは聞いてたが……」

「彼女たちが卒業するまでには、もっと強くなってますよ。打倒グリードポッド。でしたよね?」

「恭弥、どうやら俺たちの後輩は俺たちの予測を大きく上回る成長をしそうだぞ?」

「こりゃゲームで遊んでる場合じゃねーぞ?」

「それは麒麟児さんにも言ってやれ。でも、たかがゲームじゃないんだろう? DEは」

「ああ、奥が深いぜ、ありゃ。お前もやってみりゃわかるよ」


 久遠や寧々が戦ってる横で俺たちは仕入れたモンスター肉を調理して試食会。
 お兄さんベビーがガンガン血を吸うのでこっちも食って蓄えなきゃいけないのだ。
 でもだからって皮ごと食うのはワーカーの教義に反する。
 なのでこうやって調理して美味しくいただくのだ。


「ああ、調味料切れた。悪いけど誰か買いに行ってきてくれませんか? カードお貸ししますんで」


 手渡したのは勝也さんのブラックカード。


「いや、これ以上世話になれねーって。必要なものだけ教えてくれ」

「じゃ、これだけお願いします」


 俺は調味料一覧の書かれたメモ帳を手渡した。


「これ、全部か?」

「あればあるだけ嬉しいですね。ないものは仕方ありませんがあきらめましょう」


 ちなみに今は年明けの三が日。
 当然スーパーなどは夕方で閉店する店も少なくない。
 だからこそこうやってダンジョンに羽を伸ばしにきれるのだが、恭弥さんはコネを全部使ってでも集めてきてやんよ! と影に潜って転移ゲートから社宅、街に買い出しに行った。


「ふぅ、お疲れ様。小休止させてもらうわね」

「ムックン、お腹ぺこぺこー」

「ちょうど料理ができてるぞ。今調味料切らしちまったのであまり手は加えられないが、まぁまずいってことがないだろう」


 モンスターの部位を余すことなく使ったスープと、ミンチした肉を合わせたハンバーグ。それらを塩胡椒で味付けして、デミグラスソースで煮込んだものを皿によそって配膳した。


「これが出てきて手が込んで無いって言われたら女子はどう返せばいいのよってコメントしか出来ないわ」

「寧々、ムックンには言うだけ無駄よ?」

「そうなんでしょうけど。凛華、シャスラは預かってくるから貴方も少し運動してきたら?」

「でも、せっかく獲得したチャンスを手放すのは……」


 兄の手前、自分の力を見せる機会はそうそうない。
 久遠や寧々とはまた違う成長をした凛華。
 それを見せ付けたくて仕方ないと寧々達を見てソワソワしていたのを見抜かれていたのだろう。
 凛華としては俺との夫婦ごっこを優先するかずっと悶々してたらしい。


「行ってきたら? シャスラはいつでも抱っこできるだろ? 勝也さんに今の凛華を見てもらうのはいつでもは出来ないだろ?」

「そう、ですね。では寧々さん、シャスラさんをお任せします」

「ええ」

「うちもだっこするよー?」

「あんたは力加減間違えそうで怖いからだーめ」

「けちー」


 そんな和気藹々とした空間を抜け、凛華は戦場に立つ。
 それを見守る勝也さん。
 相対するモンスターはスキルを使えば余裕な相手。
 しかし……


「──フッ」


 凛華の体がブレた。
 同時にモンスターの巨体がバラバラに切断される。
 いつのまにかモンスターの向こう側に立っていた。
 肉体強化を極限に極めた連続斬り。
 スキルを使わないただの斬撃が……スキルの威力と遜色ないダメージを叩き出した。
 追撃するモンスターにも臆することなく、凛華は己の肉体を武器として舞う。まるで剣舞。華麗な踊りのような動作から繰り出される剣撃に勝也さんは飲み込まれていた。
 俺も、寧々や久遠も同様に。
 見るものを引き込む演舞に、言葉をなくす。


「どうでしたか? 私の成長は?」


 あれだけの動きをしてなお、一切汗もかかない凛華に、勝也さんは拍手喝采を送った。
 同時に一歩先をいく凛華に遅れまいと寧々や久遠に闘志が宿る。
 ライバル達は鎬を削り合い、切磋琢磨しているようだ。

 俺はその日常を守るためにもこのアーケイドのお兄さんに気に入られないとな。
 結局その日はずっと俺の首に噛みついていたお兄さん。
 そのまま一生そのままでいてくれてもいいぞ?
 
 そう思うが、序列の席が空いても困るのでうまく仲間になってくれる感じに誘導したいもんだ。
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