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ダンジョンチルドレン
付けられた因縁
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さて、ダンジョンに行くと言ってもいきなり高ランクは怪しまれるだろうとFランクダンジョンに向かう。
入り口に入る際に指輪を装着っと、これでヨシ。
ゲートを抜けたら指輪を外す。
これをやっておくとやらないとでは後々面倒がなくていいのだ。
特に今回のように喧嘩をふっかけられた場合の対処にはとっておきの対抗策。
必要ないと思ったアイテムも取っておくものだなぁとしみじみするね。
ギルドの紋章はロンギヌスの槍をモチーフとした槍がクロスした意匠。
それを目立つように胸に輝かせる。
この槍は別に二刀流とかそういう意味ではなく、創設者のお二人が連携を組むことでどんな敵でもやっつけるという意味が強い。
そういう意味でメンバーも連携が取れてば一応合格としているらしい。
そういうところちゃんと見てくれるのが評価高いよ。
俺としても溶け込みやすいし。
と、ダンジョンの細長い通路を越えた先で蛇が左右で食い合う∞の意匠を掲げるウロボロスとかち合った。
なにやら非常に楽しいことがある様子。
とてもいい笑みで微笑んでいる。
数で押せばビビると思っているのだろうか?
相手のスカウトマンは相当に見る目がないらしい。
「よう、無能?」
「おい、無視すんなよロンギヌスの新入り。お前だよお前」
「お前Fクラス生だったんだろ? Aクラス生だった先輩の言うこと聞けよ」
「ギャハハハハ、そうだな、その通りだクズ」
「ちょっと俺たちにお金儲けのレクチャーしてくれよ。先輩からのお願いだ!」
何か幻覚が見えるらしい。
無視してスタスタ前を行くと、強引に肩を掴まれた。
はぁ、これだから数で押せばなんとかなると思ってる連中は困る。
適当にスライムをテイムしてズボンの尻にくっつけた。
ここら辺から既にモンスターの生息域。なのに余裕な態度なのは難なく倒せる雑魚だからだろう。
しかしスライムだって活用次第で嫌がらせにも使えるんだぞ?
確かに本人にダメージは与えられないが、ランクに依存しない服の方は貫通する。
それなりに魔法抵抗のある高価な鎧を身につけてればともかく、安物の古着を身につけてるような意識の低い探索者の対応などこれで十分だ。
くっつけたらテイムを解除。
あとは勝手に食いついてくれるので自由行動で。
ランクを掲げる者ほど下位の存在を無視するからな。
今俺がしてるのと同様に。
「はぁ、学園の外でまでクラスを掲げて絡んでくるとは。金を積んでランクを買った人たちは意識まで低くて嫌になりますね。その点ウチの先輩の方が後輩に対する接し方は及第点でしたよ?」
初見威圧してきたので減点だ。
誤解が解けた後の対応で一応は合格としたが、目の前の奴らと比べたら及第点かな? 世間では無能ほど絶好のカモはいないらしい。
「なんだと! 俺たちがDランクに劣るって言いてえのかよ?」
いや、ギルドランクDでしょうがあんたら。
Dで我慢しなさいって。
それでも圧を強めてくる自称パイセン。
自分のランクがDよりは高いのか、それとも学園ではAだったからそれをいまだに傘に着てるのか。どちらにしろ威張れる事ではないよね?
「劣りますね。正直スカウトマンの見る目がないと。あ、いや。お金を積んで入ったギルドでしたか? 成金主義の人たちは平和ボケしてて実に面白いですよね。お尻にスライムくっついてますよ?」
「あん?」
気づいた頃にはもう遅い。
囲んでいた悪漢の全員の装いが今すぐに用が足せるスタイルに変貌した。
腰にぶら下げたものを見せつけながら、怒りから顔を赤らめる。
「テメッ! なんで知っていながら教えねえんだ!」
「え? 今教えましたよね?」
「こうなる前に教えろってんだ!」
フルチンで威圧されてもそんなに怖くないな。
スマホで痴態を撮影し、SNSに投稿しようと思ったがダンジョン内は電波の類が届かない。
一階層ですらそうなのだから元の場所と切り離された空間なのだろうね。
知ってる知ってる。今の世界の常識だもんね?
「きゃー、犯されるー!」
俺は煽りながら逃げた。
「ふざけんな! 男の趣味なんてねぇよ!」
脱兎の如く逃げ出す俺に、憤る成金。
そこへお代わりのスライムをくっつけて、モザイク代わりとした。
その画像をさらにパシャリ。
とても愉快な絵面だ。
SNSに流せば万バズも夢じゃない。
最初の画像は流石にセンシティブすぎるからな。
これくらいの加工は必要だろう。
しかし俺の進行方向に立ち塞がる悪漢達その2。
初めから挟み撃ちする算段だったのだろう。
一つ覚えの間抜けかと思いきや知恵は回るようだ。
それでも装備が一緒の時点で猿知恵ではあるが。
俺の姿を見て笑みを強めるが、追いかけてくる同僚の破廉恥な姿を目撃してギョッとした。
ギョッとするだけで自分の尻にくっついたスライムを見逃してる時点でバカ決定。
「田所……お前。流石にそれは擁護できんぞ?」
「先輩、そいつ俺達の写真握ってるんス。出回れば身の破滅だ!」
「チッ、ウロボロスの面汚しが! てめえら、ウチと戦争する気か!? ロンギヌスッッ!!」
なにを言ってるんだろうね、この人達?
最初に喧嘩ふっかけてきたの自分らじゃん。
それとも、喧嘩をふっかけるのは良くて、喧嘩をふっかけられるのはダメみたいな独自ルールとかあるんだろうか?
社会不適合者の集まりかよ。
親が聞いたら泣くぞ? 数だけ多い無能は後先考えずに行動して大変ですね。心中お察しいたしますってな!
「え? 身内の恥を隠す隠語を戦争って言うんですか、この業界は。そんな無能さっさと追い出せばいいじゃないですか。数だけは居るんでしょ? いくらでも補填は利きますって」
「先輩、こいつ締めちゃいましょうよ!」
「田所は優しすぎるから何か勘違いしてるんだ」
「そうだそうだ。上位ギルドだからって個々の戦闘力が優れてるってわけじゃねぇ事を教えてやりましょうぜ!?」
「……そうだな。下が舐められると俺たちまで舐められる。悪いが坊主、お前には痛い目を見てもらう」
絶賛股間をスライムに食われている輩に言われても凄みも何もないな。
「いや、俺にスライムで悦に浸る趣味はないんで遠慮しておきます」
「は? テメ、チョーシに乗ってんだろ?」
「先輩! 下、下!」
「あん? って、なんじゃこりゃぁあああああっ!?」
「いや、事実でしょ。前出し先輩?」
丁度スライムに最後の関門を食いちぎり、自身の相棒が大きく天を突く映像を目撃した前出し先輩。
これで後輩とお揃いですね?
ぷぷぷ。
本当にそっちの趣味があるんじゃないですかねぇ?
パシャパシャとフラッシュを焚いて画像を量産。
世に出回れば珍事である。
悪質すぎてブラックバンされかねない。
鍵垢で投稿するか?
「おあぁああああああ!?!」
「そーれ逃げろー!」
「ちくしょう、逃すな! 絶対に捕まえてこの世に生まれてきたことを後悔させてやれ!」
いやー、先に後悔するのお前らの方だよ?
こんな画像が世に出回ったら絶対親御さんや親戚一同から干されるもん。
それに下位ランクダンジョンは俺の庭だしな。
モンスターのなすりつけでなんとかなると思ってるならそれは相当見通しが甘いぞ?
ダンジョンテイマーの真骨頂は対多数戦でこそ生きてくるって事を教えてやろう、フハハハハハ!
入り口に入る際に指輪を装着っと、これでヨシ。
ゲートを抜けたら指輪を外す。
これをやっておくとやらないとでは後々面倒がなくていいのだ。
特に今回のように喧嘩をふっかけられた場合の対処にはとっておきの対抗策。
必要ないと思ったアイテムも取っておくものだなぁとしみじみするね。
ギルドの紋章はロンギヌスの槍をモチーフとした槍がクロスした意匠。
それを目立つように胸に輝かせる。
この槍は別に二刀流とかそういう意味ではなく、創設者のお二人が連携を組むことでどんな敵でもやっつけるという意味が強い。
そういう意味でメンバーも連携が取れてば一応合格としているらしい。
そういうところちゃんと見てくれるのが評価高いよ。
俺としても溶け込みやすいし。
と、ダンジョンの細長い通路を越えた先で蛇が左右で食い合う∞の意匠を掲げるウロボロスとかち合った。
なにやら非常に楽しいことがある様子。
とてもいい笑みで微笑んでいる。
数で押せばビビると思っているのだろうか?
相手のスカウトマンは相当に見る目がないらしい。
「よう、無能?」
「おい、無視すんなよロンギヌスの新入り。お前だよお前」
「お前Fクラス生だったんだろ? Aクラス生だった先輩の言うこと聞けよ」
「ギャハハハハ、そうだな、その通りだクズ」
「ちょっと俺たちにお金儲けのレクチャーしてくれよ。先輩からのお願いだ!」
何か幻覚が見えるらしい。
無視してスタスタ前を行くと、強引に肩を掴まれた。
はぁ、これだから数で押せばなんとかなると思ってる連中は困る。
適当にスライムをテイムしてズボンの尻にくっつけた。
ここら辺から既にモンスターの生息域。なのに余裕な態度なのは難なく倒せる雑魚だからだろう。
しかしスライムだって活用次第で嫌がらせにも使えるんだぞ?
確かに本人にダメージは与えられないが、ランクに依存しない服の方は貫通する。
それなりに魔法抵抗のある高価な鎧を身につけてればともかく、安物の古着を身につけてるような意識の低い探索者の対応などこれで十分だ。
くっつけたらテイムを解除。
あとは勝手に食いついてくれるので自由行動で。
ランクを掲げる者ほど下位の存在を無視するからな。
今俺がしてるのと同様に。
「はぁ、学園の外でまでクラスを掲げて絡んでくるとは。金を積んでランクを買った人たちは意識まで低くて嫌になりますね。その点ウチの先輩の方が後輩に対する接し方は及第点でしたよ?」
初見威圧してきたので減点だ。
誤解が解けた後の対応で一応は合格としたが、目の前の奴らと比べたら及第点かな? 世間では無能ほど絶好のカモはいないらしい。
「なんだと! 俺たちがDランクに劣るって言いてえのかよ?」
いや、ギルドランクDでしょうがあんたら。
Dで我慢しなさいって。
それでも圧を強めてくる自称パイセン。
自分のランクがDよりは高いのか、それとも学園ではAだったからそれをいまだに傘に着てるのか。どちらにしろ威張れる事ではないよね?
「劣りますね。正直スカウトマンの見る目がないと。あ、いや。お金を積んで入ったギルドでしたか? 成金主義の人たちは平和ボケしてて実に面白いですよね。お尻にスライムくっついてますよ?」
「あん?」
気づいた頃にはもう遅い。
囲んでいた悪漢の全員の装いが今すぐに用が足せるスタイルに変貌した。
腰にぶら下げたものを見せつけながら、怒りから顔を赤らめる。
「テメッ! なんで知っていながら教えねえんだ!」
「え? 今教えましたよね?」
「こうなる前に教えろってんだ!」
フルチンで威圧されてもそんなに怖くないな。
スマホで痴態を撮影し、SNSに投稿しようと思ったがダンジョン内は電波の類が届かない。
一階層ですらそうなのだから元の場所と切り離された空間なのだろうね。
知ってる知ってる。今の世界の常識だもんね?
「きゃー、犯されるー!」
俺は煽りながら逃げた。
「ふざけんな! 男の趣味なんてねぇよ!」
脱兎の如く逃げ出す俺に、憤る成金。
そこへお代わりのスライムをくっつけて、モザイク代わりとした。
その画像をさらにパシャリ。
とても愉快な絵面だ。
SNSに流せば万バズも夢じゃない。
最初の画像は流石にセンシティブすぎるからな。
これくらいの加工は必要だろう。
しかし俺の進行方向に立ち塞がる悪漢達その2。
初めから挟み撃ちする算段だったのだろう。
一つ覚えの間抜けかと思いきや知恵は回るようだ。
それでも装備が一緒の時点で猿知恵ではあるが。
俺の姿を見て笑みを強めるが、追いかけてくる同僚の破廉恥な姿を目撃してギョッとした。
ギョッとするだけで自分の尻にくっついたスライムを見逃してる時点でバカ決定。
「田所……お前。流石にそれは擁護できんぞ?」
「先輩、そいつ俺達の写真握ってるんス。出回れば身の破滅だ!」
「チッ、ウロボロスの面汚しが! てめえら、ウチと戦争する気か!? ロンギヌスッッ!!」
なにを言ってるんだろうね、この人達?
最初に喧嘩ふっかけてきたの自分らじゃん。
それとも、喧嘩をふっかけるのは良くて、喧嘩をふっかけられるのはダメみたいな独自ルールとかあるんだろうか?
社会不適合者の集まりかよ。
親が聞いたら泣くぞ? 数だけ多い無能は後先考えずに行動して大変ですね。心中お察しいたしますってな!
「え? 身内の恥を隠す隠語を戦争って言うんですか、この業界は。そんな無能さっさと追い出せばいいじゃないですか。数だけは居るんでしょ? いくらでも補填は利きますって」
「先輩、こいつ締めちゃいましょうよ!」
「田所は優しすぎるから何か勘違いしてるんだ」
「そうだそうだ。上位ギルドだからって個々の戦闘力が優れてるってわけじゃねぇ事を教えてやりましょうぜ!?」
「……そうだな。下が舐められると俺たちまで舐められる。悪いが坊主、お前には痛い目を見てもらう」
絶賛股間をスライムに食われている輩に言われても凄みも何もないな。
「いや、俺にスライムで悦に浸る趣味はないんで遠慮しておきます」
「は? テメ、チョーシに乗ってんだろ?」
「先輩! 下、下!」
「あん? って、なんじゃこりゃぁあああああっ!?」
「いや、事実でしょ。前出し先輩?」
丁度スライムに最後の関門を食いちぎり、自身の相棒が大きく天を突く映像を目撃した前出し先輩。
これで後輩とお揃いですね?
ぷぷぷ。
本当にそっちの趣味があるんじゃないですかねぇ?
パシャパシャとフラッシュを焚いて画像を量産。
世に出回れば珍事である。
悪質すぎてブラックバンされかねない。
鍵垢で投稿するか?
「おあぁああああああ!?!」
「そーれ逃げろー!」
「ちくしょう、逃すな! 絶対に捕まえてこの世に生まれてきたことを後悔させてやれ!」
いやー、先に後悔するのお前らの方だよ?
こんな画像が世に出回ったら絶対親御さんや親戚一同から干されるもん。
それに下位ランクダンジョンは俺の庭だしな。
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