155 / 173
155話 ダンジョン生活生配信 1
しおりを挟む
「なるほど、外の人とそうやって連絡をとっているわけだ。じゃあ、こっちで特に何かしなくてもいいかな?」
周囲から騒ぎ立てられるのが嫌でこもってるまであるからな。
それはそれとして、ダンジョン産の出土品が入手できなくて大変なのはわかっていた。
それでも危険ではない分、後回しにしていた。
そんなものがなくたって生活はできるからだ。
けれど、クララちゃんは歯に何か詰まったような物言いをする。
「概ねは。ただ、ダンジョン内の様子を誰もが知りたがってる状況でして。私たちが伝えても、それだけじゃ情報が足りないと」
「ダンジョンチューバーとしての注目度が上がってきてる?」
「そうですね、だからと言って、帰れなくなると知ってて入ってくる人はいないでしょう」
「だろうね。ダンジョンの中の状況が気になる。けど、自分はそこに関わりたくないって感じかな?」
「そうですね。単純に安否を確認したい家族はいらっしゃいます。私たちもダンチューブと契約をしようと思いましたが……」
「許可は降りなかった?」
「このご時世ですからね。それと、ダンジョン内の情報を表に出したくないのかもしれません。政府関係者という理由で許可が降りませんでした」
「じゃあ、実際に配信が可能なのは……」
「過去にダンジョンチューブの登録をしていて、今現在ダンジョンにいる人くらいですね。その上で、あらゆるランクダンジョンに出入りできる存在となると……」
クララちゃんの瞳がジッと俺へ焦点を当てる。
「俺か」
「もちろん、再び注目を浴びるのが嫌だというのなら無理強いはしません。けど、安否確認をするためだけでもいいのでお願いします。私は支部長の家に世話になってる身分ですので、直接配信を通じて会話をすることができませんから」
普通に電話は通じないのか?
そんな質問を送ると、
「知ってました? Dフォンの申請は探索者であることが絶対条件であることを。一般人での購入はできません。そして、総合ステータスC未満に購入権利はありません。卯保津支部長は総合Sですが、ご家族もそれに匹敵するとは限りませんので」
「残された家族は、Dフォンを購入する権利を持たないと?」
「もし購入できても、維持費が割にあいません」
え、あれってそんなに通話料かかるの?
普段使ってるけど、一切関知してなかった。
それとも、間にダンジョンセンターが入ってたから俺たちが知らないだけ?
だとしても、全く知らないというのもおかしな話だ。
それとも急に値上げした?
その方がしっくりくるな。
こんな情勢だ。それこそ情報に価値が出てくる。
そこに商機を見出すのは、人としてどうなんだと思わなくはないけど。
「地下につながるかどうかの問題ではありませんからね。つながる場所は異空間。一時間も通話するだけで数百万単位の請求がきます。それを数回ともなると、首が回らなくなるでしょう」
「そういう意味じゃ、配信ってコスパがいいのか」
「本当なら、通話以上の回線利用料がかかるもんですが、不思議とそれがない。もしかしたら、ダンジョンの異常性を外に訴えかけるための措置であった可能性があります」
「なんでまた、そんな措置を?」
「わかりませんが、もしかしたら迷宮管理者がそれに関わってる可能性があります」
「迷宮管理者が?」
一番、は自称父親の従順なるしもべ。
二番はジュリだろ?
三番はオリン曰く狂犬。
四番はオリンだし、五番はゴロウ。
六番、七番は知らないけど。
八番はセラヴィ、クララちゃんの契約者だ。
しかしそんな権限を持つとなると相当高い地位にいるはずだ。
まさか一番迷宮管理者が裏で手を回してる?
なんでまた。
いや、実は協力者のフリをして俺たちに協力してくれてるのか?
目的はどうあれ、それを利用しない手はないな。
「しかし、配信するにしてもありのままを映していいもんかね? 助かる見込みは一つもないんだろ?」
「それを見せつけることで、どれだけ機器的状況下を訴える役目を持たせます」
ふむ。世間では今頃ダンジョンをどのように扱ってるかわからないもんな。
「それなんですが……」
いつになくクララちゃんが二の句を告げずにいられる様子だ。
理由を聞けば、それはあまりにもあんまりな状況だった。
「え!? 世間はダンジョンが封鎖されたことを忘れてきてるって?」
理解ができない。
もしや政府はこの一件をもみ消すつもりか?
「きっと、政府が手を回したのでしょう。封鎖されたダンジョンは、徐々に解放状態にある。時期に市場も回復するだろう、と。私たちの活躍のおかげで確かに市場は回復しつつあります。それでも、行方不明者はいまだに返ってこないまま。ネットでは陰謀論も囁かれてるほど」
「つまり、ダンジョンの現状を伝えることで漂流者の状況を訴えることができるわけか」
「政府側がそれをよしとするかはわかりませんが」
「まぁ、なるようにしかならないだろう。しかし、ただ指を咥えて待ってるだけというのもな。どうせいろんなダンジョンに顔を出すし、ついでだ。引き受けてやろうじゃないか。ただし、うちの配信は匂いまで飛び出すぞ。匂いで悪酔いしても一切責任を取レないけど」
「むしろ現状をこれ以上ない形で伝える意味でちょうどいいかも」
「んじゃあ、SNSに書き込むか。配信というよりホームビデオ風でお送りしますって。流石に飲み食いしてる場所じゃなくて、生活風景をお伝えする感じだな」
「引き受けてくれますか?」
「どっちみちなんらかの形でダンジョン情報は伝えるつもりでいたからな」
「それに、この封鎖は日本に限った話じゃないんだろ? 世界の誰かはもう取り掛かってるかもしれないからな。むしろ遅すぎるくらいじゃないか?」
「情報規制されてるのか、日本では聞きませんね」
「じゃあ、ダメ元でやってみますか。Fランクダンジョンからでいいかな?」
「それで、お願いします」
ということになった。
「と、いうわけでですね。今日はFランクダンジョンにやってきてます」
事前にダンジョン漂流者に許可を取り、入り口からゆっくりと歩いて風景を映していく。
<コメント>
:なんんか急に始まったな
:これ、何?
:安心のヨッちゃんである
:まだ封鎖されてるダンジョンてあったんだ?
:うわ、こんなところで暮らしてんの
:私だったらすぐ不満漏らす自信あるわ
コメントの反応は上々。
案の定、クララちゃんのいう通りの内容だった。
いつの間にか封鎖ダンジョンは解放されてて、安心してダンジョンに入れるようになっているとかなんとか。
ただし直接入ってまで調べるような人は皆無で、噂だけにとどまっているらしい。
<コメント>
:政府直属の配達人なんているんだ!
:はえー、知らんかった
:こうやって俺たちの元にダンジョン素材が届いていたのね
:加工スキル持ちだけが出入り出来るってマジ?
:つまりポンちゃんも出入りできる?
「できるよ。しないけど」
「オレが出入りできないからな。つまりはオレのためってことよ」
ここでヨッちゃんが出てきてない胸を張る。
そういうところだぞ?
<コメント>
:お荷物である自覚ある上でこの余裕ヅラよ
:でも、一応は生活できてるんだ
:お風呂とかどうしてんだろ
:私、気になります
:水の確保が最優先だろ
:もしかして、魔法?
「そこはオレがこれこれこうして、こうよ」
ヨッちゃんがダンジョンの一部に魔法を行使してそこに簡易シャワー室を作った。
たまーに来てはこうやってシャワー室を設置してくれるのもあって、ヨッちゃんはダンジョン内では人気者である。
「待て、一番は女性と子供だ」
「うるせえ! オレが最初だ!」
中には、このように奪い合いに来る大人気ない男もいる。
そんな奴にはこうだ。
「やめなさい」
「んむぐ!」
大人気ない男の口へ、新作の串揚げを突っ込む。
最初こそは息継ぎができずに驚いていたが、噛み締めるたびに口の中へ旨みが広がって時期に表情が緩んでくる。
<コメント>
:まーた、無自覚で飯テロしてるよ
:まぁ、数日風呂は入れない生活してりゃこうなる。オレもそうする
:でも子供や女子に先んじて入ろうとするのはダサい
:それなー
「まぁ、同じ女としては女性向けにサービスしてるところもある」
<コメント>
:ヨッちゃんの数少ない女アピールだ
:貴重だぞ
:草
:それって女装じゃなかったんだ
:ダンジョン内でわざわざ女装する意味
:着るものなくてって?
:そんなわきゃーない
「うるへー。性別を明かすのは最後の手段なんだよ! ポンちゃんが良いって言ってくれてるからいーの! どうせ今更嫁ぐとか無理なんだしよ。楽して生きていきたーい」
<コメント>
:本音が出てますよ?
:それはそうよ
:誰だってそうなんだが?
:だからってダンジョン内に入りたいとは思わんけど
:それとこれとは話が別なんだよなー
「実際、彼女がいてくれなかったら生きる希望もなかったのは事実だよ。今でこそ、政府もこうやって手を貸してくれるけど、それ以前の状況だった。何せダンジョンの転送陣は総合ステータスで人を分ける。上位ランクの人と共同生活するには、その人に無理を強いるしかないんだ」
このコミュニティのリーダーは配信に向かってそう呼びかけた。
食糧難での出来事。衣食住。それらすら満足にできなかったこと。
そして、今現在ここのダンジョンに暮らしてる探索者、このコミュニティから出ていった探索者。
その名簿の提供をしてくれた。
「俺たちはたまにこうやって立ち寄って、情報交換をしたり、食事の炊き出しなんかをしてたってわけさ。今回配送業のクララちゃんと出会してなければ、外の世界でダンジョン漂流者が忘れ去られてるなんて知らなかったし、ダンジョン算出品をどのように手にしてたかも知らなかったよ」
<コメント>
:クララちゃんがこの配信の立役者だったか
:彼女は今何をしてんの?
:話聞いてなかったのか? 政府公認の配信業だとよ
:はえー
:それで、ダンジョンセンターは?
「彼女曰く、ダンジョンに取り込まれてそのままだそうだ。彼女も一緒に取り込まれたが、出入りできるからと表に出て情報を探ってくれてる。そんな時、政府から胡散臭い封筒が送られてきたらしい」
「あなたは選ばれた人間です、ってさ。今どきこんな胡散臭い内容文、鵜呑みにするやついる?」
<コメント>
:実際にいたからそういう活動してるんやろ?
:じゃあ、疑ってかかった人もいるのか
:あ、そういえば確かに
:政府は良かれと思って出していた?
:でもどうしてそれを公に発表しないんだ?
:それよかダンジョンはもう入って大丈夫なの?
:それをコンアイ発表してくれるって話じゃ?
:テレビでは大丈夫って言ってるけど
:誰も入ってないんだよなぁ
結局のところ、マスコミから発表された情報は眉唾で、こうやって配信することで外の情報は浮き彫りとなった。
今はまだ、こっちからの情報もすぐに揉み消されるか、自作自演のように受け取られるかもしれない。
けど、回数を増やしながら外に向かって配信していくつもりだ。
たまーにダンジョングルメを流しつつ。
俺たちの配信の道は再スタートした。
周囲から騒ぎ立てられるのが嫌でこもってるまであるからな。
それはそれとして、ダンジョン産の出土品が入手できなくて大変なのはわかっていた。
それでも危険ではない分、後回しにしていた。
そんなものがなくたって生活はできるからだ。
けれど、クララちゃんは歯に何か詰まったような物言いをする。
「概ねは。ただ、ダンジョン内の様子を誰もが知りたがってる状況でして。私たちが伝えても、それだけじゃ情報が足りないと」
「ダンジョンチューバーとしての注目度が上がってきてる?」
「そうですね、だからと言って、帰れなくなると知ってて入ってくる人はいないでしょう」
「だろうね。ダンジョンの中の状況が気になる。けど、自分はそこに関わりたくないって感じかな?」
「そうですね。単純に安否を確認したい家族はいらっしゃいます。私たちもダンチューブと契約をしようと思いましたが……」
「許可は降りなかった?」
「このご時世ですからね。それと、ダンジョン内の情報を表に出したくないのかもしれません。政府関係者という理由で許可が降りませんでした」
「じゃあ、実際に配信が可能なのは……」
「過去にダンジョンチューブの登録をしていて、今現在ダンジョンにいる人くらいですね。その上で、あらゆるランクダンジョンに出入りできる存在となると……」
クララちゃんの瞳がジッと俺へ焦点を当てる。
「俺か」
「もちろん、再び注目を浴びるのが嫌だというのなら無理強いはしません。けど、安否確認をするためだけでもいいのでお願いします。私は支部長の家に世話になってる身分ですので、直接配信を通じて会話をすることができませんから」
普通に電話は通じないのか?
そんな質問を送ると、
「知ってました? Dフォンの申請は探索者であることが絶対条件であることを。一般人での購入はできません。そして、総合ステータスC未満に購入権利はありません。卯保津支部長は総合Sですが、ご家族もそれに匹敵するとは限りませんので」
「残された家族は、Dフォンを購入する権利を持たないと?」
「もし購入できても、維持費が割にあいません」
え、あれってそんなに通話料かかるの?
普段使ってるけど、一切関知してなかった。
それとも、間にダンジョンセンターが入ってたから俺たちが知らないだけ?
だとしても、全く知らないというのもおかしな話だ。
それとも急に値上げした?
その方がしっくりくるな。
こんな情勢だ。それこそ情報に価値が出てくる。
そこに商機を見出すのは、人としてどうなんだと思わなくはないけど。
「地下につながるかどうかの問題ではありませんからね。つながる場所は異空間。一時間も通話するだけで数百万単位の請求がきます。それを数回ともなると、首が回らなくなるでしょう」
「そういう意味じゃ、配信ってコスパがいいのか」
「本当なら、通話以上の回線利用料がかかるもんですが、不思議とそれがない。もしかしたら、ダンジョンの異常性を外に訴えかけるための措置であった可能性があります」
「なんでまた、そんな措置を?」
「わかりませんが、もしかしたら迷宮管理者がそれに関わってる可能性があります」
「迷宮管理者が?」
一番、は自称父親の従順なるしもべ。
二番はジュリだろ?
三番はオリン曰く狂犬。
四番はオリンだし、五番はゴロウ。
六番、七番は知らないけど。
八番はセラヴィ、クララちゃんの契約者だ。
しかしそんな権限を持つとなると相当高い地位にいるはずだ。
まさか一番迷宮管理者が裏で手を回してる?
なんでまた。
いや、実は協力者のフリをして俺たちに協力してくれてるのか?
目的はどうあれ、それを利用しない手はないな。
「しかし、配信するにしてもありのままを映していいもんかね? 助かる見込みは一つもないんだろ?」
「それを見せつけることで、どれだけ機器的状況下を訴える役目を持たせます」
ふむ。世間では今頃ダンジョンをどのように扱ってるかわからないもんな。
「それなんですが……」
いつになくクララちゃんが二の句を告げずにいられる様子だ。
理由を聞けば、それはあまりにもあんまりな状況だった。
「え!? 世間はダンジョンが封鎖されたことを忘れてきてるって?」
理解ができない。
もしや政府はこの一件をもみ消すつもりか?
「きっと、政府が手を回したのでしょう。封鎖されたダンジョンは、徐々に解放状態にある。時期に市場も回復するだろう、と。私たちの活躍のおかげで確かに市場は回復しつつあります。それでも、行方不明者はいまだに返ってこないまま。ネットでは陰謀論も囁かれてるほど」
「つまり、ダンジョンの現状を伝えることで漂流者の状況を訴えることができるわけか」
「政府側がそれをよしとするかはわかりませんが」
「まぁ、なるようにしかならないだろう。しかし、ただ指を咥えて待ってるだけというのもな。どうせいろんなダンジョンに顔を出すし、ついでだ。引き受けてやろうじゃないか。ただし、うちの配信は匂いまで飛び出すぞ。匂いで悪酔いしても一切責任を取レないけど」
「むしろ現状をこれ以上ない形で伝える意味でちょうどいいかも」
「んじゃあ、SNSに書き込むか。配信というよりホームビデオ風でお送りしますって。流石に飲み食いしてる場所じゃなくて、生活風景をお伝えする感じだな」
「引き受けてくれますか?」
「どっちみちなんらかの形でダンジョン情報は伝えるつもりでいたからな」
「それに、この封鎖は日本に限った話じゃないんだろ? 世界の誰かはもう取り掛かってるかもしれないからな。むしろ遅すぎるくらいじゃないか?」
「情報規制されてるのか、日本では聞きませんね」
「じゃあ、ダメ元でやってみますか。Fランクダンジョンからでいいかな?」
「それで、お願いします」
ということになった。
「と、いうわけでですね。今日はFランクダンジョンにやってきてます」
事前にダンジョン漂流者に許可を取り、入り口からゆっくりと歩いて風景を映していく。
<コメント>
:なんんか急に始まったな
:これ、何?
:安心のヨッちゃんである
:まだ封鎖されてるダンジョンてあったんだ?
:うわ、こんなところで暮らしてんの
:私だったらすぐ不満漏らす自信あるわ
コメントの反応は上々。
案の定、クララちゃんのいう通りの内容だった。
いつの間にか封鎖ダンジョンは解放されてて、安心してダンジョンに入れるようになっているとかなんとか。
ただし直接入ってまで調べるような人は皆無で、噂だけにとどまっているらしい。
<コメント>
:政府直属の配達人なんているんだ!
:はえー、知らんかった
:こうやって俺たちの元にダンジョン素材が届いていたのね
:加工スキル持ちだけが出入り出来るってマジ?
:つまりポンちゃんも出入りできる?
「できるよ。しないけど」
「オレが出入りできないからな。つまりはオレのためってことよ」
ここでヨッちゃんが出てきてない胸を張る。
そういうところだぞ?
<コメント>
:お荷物である自覚ある上でこの余裕ヅラよ
:でも、一応は生活できてるんだ
:お風呂とかどうしてんだろ
:私、気になります
:水の確保が最優先だろ
:もしかして、魔法?
「そこはオレがこれこれこうして、こうよ」
ヨッちゃんがダンジョンの一部に魔法を行使してそこに簡易シャワー室を作った。
たまーに来てはこうやってシャワー室を設置してくれるのもあって、ヨッちゃんはダンジョン内では人気者である。
「待て、一番は女性と子供だ」
「うるせえ! オレが最初だ!」
中には、このように奪い合いに来る大人気ない男もいる。
そんな奴にはこうだ。
「やめなさい」
「んむぐ!」
大人気ない男の口へ、新作の串揚げを突っ込む。
最初こそは息継ぎができずに驚いていたが、噛み締めるたびに口の中へ旨みが広がって時期に表情が緩んでくる。
<コメント>
:まーた、無自覚で飯テロしてるよ
:まぁ、数日風呂は入れない生活してりゃこうなる。オレもそうする
:でも子供や女子に先んじて入ろうとするのはダサい
:それなー
「まぁ、同じ女としては女性向けにサービスしてるところもある」
<コメント>
:ヨッちゃんの数少ない女アピールだ
:貴重だぞ
:草
:それって女装じゃなかったんだ
:ダンジョン内でわざわざ女装する意味
:着るものなくてって?
:そんなわきゃーない
「うるへー。性別を明かすのは最後の手段なんだよ! ポンちゃんが良いって言ってくれてるからいーの! どうせ今更嫁ぐとか無理なんだしよ。楽して生きていきたーい」
<コメント>
:本音が出てますよ?
:それはそうよ
:誰だってそうなんだが?
:だからってダンジョン内に入りたいとは思わんけど
:それとこれとは話が別なんだよなー
「実際、彼女がいてくれなかったら生きる希望もなかったのは事実だよ。今でこそ、政府もこうやって手を貸してくれるけど、それ以前の状況だった。何せダンジョンの転送陣は総合ステータスで人を分ける。上位ランクの人と共同生活するには、その人に無理を強いるしかないんだ」
このコミュニティのリーダーは配信に向かってそう呼びかけた。
食糧難での出来事。衣食住。それらすら満足にできなかったこと。
そして、今現在ここのダンジョンに暮らしてる探索者、このコミュニティから出ていった探索者。
その名簿の提供をしてくれた。
「俺たちはたまにこうやって立ち寄って、情報交換をしたり、食事の炊き出しなんかをしてたってわけさ。今回配送業のクララちゃんと出会してなければ、外の世界でダンジョン漂流者が忘れ去られてるなんて知らなかったし、ダンジョン算出品をどのように手にしてたかも知らなかったよ」
<コメント>
:クララちゃんがこの配信の立役者だったか
:彼女は今何をしてんの?
:話聞いてなかったのか? 政府公認の配信業だとよ
:はえー
:それで、ダンジョンセンターは?
「彼女曰く、ダンジョンに取り込まれてそのままだそうだ。彼女も一緒に取り込まれたが、出入りできるからと表に出て情報を探ってくれてる。そんな時、政府から胡散臭い封筒が送られてきたらしい」
「あなたは選ばれた人間です、ってさ。今どきこんな胡散臭い内容文、鵜呑みにするやついる?」
<コメント>
:実際にいたからそういう活動してるんやろ?
:じゃあ、疑ってかかった人もいるのか
:あ、そういえば確かに
:政府は良かれと思って出していた?
:でもどうしてそれを公に発表しないんだ?
:それよかダンジョンはもう入って大丈夫なの?
:それをコンアイ発表してくれるって話じゃ?
:テレビでは大丈夫って言ってるけど
:誰も入ってないんだよなぁ
結局のところ、マスコミから発表された情報は眉唾で、こうやって配信することで外の情報は浮き彫りとなった。
今はまだ、こっちからの情報もすぐに揉み消されるか、自作自演のように受け取られるかもしれない。
けど、回数を増やしながら外に向かって配信していくつもりだ。
たまーにダンジョングルメを流しつつ。
俺たちの配信の道は再スタートした。
1
お気に入りに追加
533
あなたにおすすめの小説
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】

おっさん料理人と押しかけ弟子達のまったり田舎ライフ
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
真面目だけが取り柄の料理人、本宝治洋一。
彼は能力の低さから不当な労働を強いられていた。
そんな彼を救い出してくれたのが友人の藤本要。
洋一は要と一緒に現代ダンジョンで気ままなセカンドライフを始めたのだが……気がつけば森の中。
さっきまで一緒に居た要の行方も知れず、洋一は途方に暮れた……のも束の間。腹が減っては戦はできぬ。
持ち前のサバイバル能力で見敵必殺!
赤い毛皮の大きなクマを非常食に、洋一はいつもの要領で食事の準備を始めたのだった。
そこで見慣れぬ騎士姿の少女を助けたことから洋一は面倒ごとに巻き込まれていく事になる。
人々との出会い。
そして貴族や平民との格差社会。
ファンタジーな世界観に飛び交う魔法。
牙を剥く魔獣を美味しく料理して食べる男とその弟子達の田舎での生活。
うるさい権力者達とは争わず、田舎でのんびりとした時間を過ごしたい!
そんな人のための物語。
5/6_18:00完結!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
仕方なく冒険者登録することにしたが、この世界では希少なヒーラー適正を持っていた。一年掛けて治癒魔法を習得し、治癒剣士となると、引く手あまたに。しかも、彼は『強欲』という大罪スキルを持っていて、倒した敵のスキルを自分のものにできるのだ。
それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
異世界に来て八年後、その暗殺依頼で、召喚勇者の暗殺を受けたのだが、それは祐介を捕まえるための罠だった。祐介が暗殺者になっていると知った勇者が、改心させよう企てたもので、その後は勇者一行に加わり、魔王討伐の旅に同行することに。
最初は脅され渋々同行していた祐介も、勇者や仲間の思いをしり、どんどん勇者が好きになり、勇者から告白までされる。
だが、魔王を討伐を成し遂げるも、魔王戦で勇者は祐介を庇い、障害者になる。
祐介は、勇者の嘘で、病院を作り、医師の道を歩みだすのだった。

素材ガチャで【合成マスター】スキルを獲得したので、世界最強の探索者を目指します。
名無し
ファンタジー
学園『ホライズン』でいじめられっ子の生徒、G級探索者の白石優也。いつものように不良たちに虐げられていたが、勇気を出してやり返すことに成功する。その勢いで、近隣に出没したモンスター討伐に立候補した優也。その選択が彼の運命を大きく変えていくことになるのであった。

日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる