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109話 ワイバーンフルコース
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駆け込んできた探索者、一般市民により用意していた串焼きは瞬く間に売れた。
単価を安くし過ぎたのもあるが、やはり串焼きにする際のドアップがよろしくなかったんだと思う。
曰く、映像と音の時点でもう美味そうなのに、香りがついたらもうダメとのことだった。
もうグリーンドラゴン食材はないので、あとはモンスターの持ち込みしてくれた人に簡単な料理を振る舞う場とする。
調理代をいただくのは気が引けるので、光熱費と調味料の代金だけ請求した。
卯保津さんは俺が調理するんだから1万円ぐらいもらっとけと言われたが、流石にそれは高すぎるんじゃないかと考え込む。
しかし、クララちゃんの加工一回につき5000円支払う俺が、それより低い値段で加工していいのか? と言われて納得せざるを得ない。
なので加工一回につき5000円で調理するのを請け負うことにした。
俺の料理が最低5000円で食べられるんなら、と飛びつく人が多かったのは意外だった。
「普段は10万円くらいするからな、ポンちゃんの料理」
「自覚なしで振る舞ってたツケが来たんでしょうか?」
「ダンジョンセンター経由で支払われるから、本人が直接受け取らない弊害がきたんだろう。なんせ今や北海道の英雄の肩書がついて回るからな。その上でSランク様だ。一般人からしたら雲の上の存在だぞ?」
全く実感ないんだよなぁ。
扱う素材の価値が上がり、調味料の価値が上がり、加工の種類が増えた。
俺としてはそれだけのことなんだけど。
多くの人がEランクダンジョンモンスターを持ってくる中で、一人だけ飛び抜けて高級な食材を持ち込む人が現れた。
それが、
「高橋さん!」
「よう、相変わらずで安心したぜ。ずっと頼みたいと思ってたんだが、予定が合わなくてな。これで一品頼む」
「一品だけでいいんですか?」
「そうだなぁ、色々作ってくれ」
「かしこまりました」
持ち込まれたのはAAランク食材のワイバーン。
グリーンドラゴンにも引けを取らない硬い鱗に、巨大な肉塊。
富井さんを呼んでアルコールにできないかと頼んでみる。
「ワイバーンか。一度加工した時は微妙だったな」
神妙な顔つきで黙り込んでしまった。何でもかんでも酒にすればいいってもんじゃないのだろうか?
しかしさすが富井さんだ、俺の知らないモンスターでも余裕で加工済みだとは。
さすが生き字引。
「じゃが、ポンちゃんのスキルで化けるかもしれんぞ?」
「熟成の方ですか?」
「それと少しだけ引き締めるのに事前にゴーストソルトを振ってくれんか?」
「だそうですけど、どうします?」
「それで味が良くなるんならいくらでも加工してくれて構わない」
「ようし、許可が降りた。では早速加工を開始しとくれ。最近わかったことじゃが、ワシの加工は他者の加工が重ねれば重なるほど味に深みが増すことに気がついた。受付の嬢ちゃんの調味料を加えても変化が起きる。ポンちゃんの加工でそれがさらに引き立つというわけじゃな」
なるほど、そんな変化が。
「下処理、終わりました」
「どれ、ふぅむこれじゃこれじゃ。せい! ふほほ、これは極上じゃぞ。生まれ変わる時の煙が黄金に輝いておったわ」
変化する時の煙の反応でそんなとこまでわかるんだ?
「ではこちらを食前酒として提供しても?」
「ワシにも一杯奢ってくれるんなら許可しよう」
「だそうです。高橋さん、よろしいですか?」
「偉大なる英雄殿から提案されたら、無碍にはできんだろう。本来、これを酒にしようなんて考えが俺にはないからな。任せるよ」
許可が降りたので、味見タイム。
俺も一口いただき「あ、これはヤバいやつだ」と直感した。
同時にこれに合うお通しを閃く。
やはり俺にとって酒は切って離せない飲み物の一つだな。
「二人の反応を見る限り、相当良いものなのだろうな。富井殿、もし値段をつけるのならいくらになるか教えてもらってもよろしいか?」
「そうじゃのぅ、今回はとびきり出来がいい。持ち込みであることを加味しても二千万じゃな」
「持ち込みなしなら?」
「1億」
「なるほど、頼む時はぜひ持ち込みするようにします。さぁ、料理が楽しみだ」
「ワシもいい機会を得られて満足じゃ。じゃあの」
富井さんは吹っ掛けるだけ吹っかけて帰って行った。
正直目の前で行われた取引の金額がデカ過ぎて話についていけない俺がいる。
国家予算の話とかじゃないの?
これが個人間で行われる取引か。
とんでもない世界に来ちゃったなと改めて思った。
「食前酒です。それとお通しになります」
「いやぁ、待ってた。もうこれだけ持って帰ってもいいくらいに満足してる。あの富井の翁が呼べばすぐくるなんていまだに信じられん」
「やはり高橋さんの世代では有名な方なんですか?」
「俺じゃなくても知ってるよ。栃木の英雄、赤鬼の富井茂雄。栃木という一部地域だけにとどまらず、世界を渡り歩いて戦争を取り除いた男がかの御大だ」
随分と知らない情報がぶら下がってきたな。
すごいのは知ってたけど、そんなにすごかったとは。
本人があまり昔のことを語らなかったから、てっきり……
食前酒は先ほどのワイバーン熟成酒。
お通しはマテリアル包丁で筋切りしてからの熟成乾燥(弱)を施してからのミンサー。
そのミンチ肉をさらに粘り気を出してユッケにした。
鶏卵の黄身を乗せて出来上がり。
さて、その味わいは?
「やばい」
高橋さんが語彙力を失ってしまった!
その上で目頭を抑え、涙が溢れるのを抑えている。
「簡単に俺の想像を上回ってきたな。まさか食前酒だけでレベル上限が上がるとは。2000万を払うだけある。そしてこのユッケがまたこの酒と会う。強過ぎず、弱過ぎない香りと独特な風味。新鮮な赤身肉とは思えない熟成された味わいがまたなんとも口内に余韻を残す。そしてこの酒がその余韻と混ざり合って最高のひと時を約束してくれる。これでまだフルコースの入り口なんだろう? 次に何が出てくるか全く想像ができない。かつてないほどのワクワクを覚えるようだ」
よかった。
序盤からユッケは冒険が過ぎたかと思ったが、アルコールの風味が強すぎるから口内の生臭みを全て打ち消してくれたみたいだ。
さて、俺はモーゼや越智間さん、モーゼの元オーナーのようには振る舞えない。
次はどんなスープにする?
今まで食べてきた食材を思い出し、手を動かす。
やはりあれだろう、いまだに鮮烈な記憶に残るあの一品。
ユッケを上回る、かつ酒にも合うような。
「スープになります」
「この黄金色の輝きは、コンソメか?」
「まだ仕掛けはございますが、まずは一口飲んでみてください」
「ではいただくとしよう」
一見具材は一切見当たらないスープだが、時折跳ねるスープの水面。
ゼリー状の何かが紛れ込んでいると知るのはすぐだった。
配膳されたカトラリーはスプーンだけにあらず。フォークとナイフが主張された位置取り。
それに気づいた高橋さんが、正体を掴もうとその空間にフォークを突き刺し固定し、ナイフで切り込みを入れた。そこにあったのは……
「これは、空ウツボの身か! それを巻いてミンチ肉を透明に見せていた?」
「他にも違う食材を加工したものを使ってますが、俺も驚きました。空ウツボの腸を使って腸詰すると、透明になるなんて」
「そんなことが起こりうるのか?」
「それがなってしまうので、組み合わせの妙というやつです。腸詰めする前のミンチはムース状まで裏漉ししましたので、スープの味変としてお使いください。全て合わせることでまた違った味わいになることをお約束します」
「食事に謎解き要素を掛け合わせたのか」
「着想を得たのは元モーゼオーナー、葛野極さんの出したお店なんですけどね。あそこは値段含めてびっくり箱でした」
「オーナーは退院なされてたのか、そういう情報は探索者には一切回ってこないんだよな」
「俺も、知り合いの料理人に案内されてようやく知ったぐらいですし」
「体の具合は良さそうだったか?」
「俺の前だから弱みは見せなかったのか、それとも本当に完治したかはわかりませんでしたがお元気そうでしたよ。今は和菓子屋さんの虎八の先代とご一緒に創作料理を作ってるようです。そこでフルコースを食べて、料理ってこんなに自由でいいんだなって教えてもらいました」
食前に大福を出した、とはあえて伏せておく。
あれはあの店に行った人に向けてのサプライズだからだ。
「なるほど、今度予約を入れてみよう。今から楽しみだ。だが、その前に。こちらを食べてからだな」
最初はその仕掛けに驚いたものだが、スープ以外の何かの正体さえ掴んでしまえば飲み進めるペースは上がっていく。
ソーセージに込められた中身のムースは熱を持つので、冷めた頃に開けることで暖かさを調整することができるのだ。
「味はうまいのはさることながら、視覚での驚きを与えてくれる逸品だった。なぜかもう帰って仲間に自慢したい気持ちだよ」
「まだまだ、終わりじゃないですよ」
すっかり加工一回五千円という縛りを忘れて今の俺の技術を総動員した料理を披露した。
俺は楽しく、高橋さんも文句を言わなかったが、後で計算したら簡単に100万になったのは驚いた。
そう考えると、モーゼって適正値段だったんだろうなぁ。
野菜を八尾さんから仕入れていたそうだし、モンスター素材だって仕入れれば高い。
そこに料理でのサプライズを含めて満足して帰したらそりゃそれくらい取られるわな、と。
「やっぱSともなるとすごいよな。100万請求してもポンと払えるんだ。俺も早くSになりてえ」
探索者の客の一人が先ほどのやり取りを見てそう唸る。
いやぁ、Sになったからって大金が転がり込んでくるわけじゃないからね。それはわからないよ?
討伐モンスターの換金額次第じゃないかな?
俺たちはその日暮らしをしてるから貯金とか全然ないし。
お金はあればあるだけ使っちゃうからなぁ。
高橋さんはそんなことないんだろうけど、こればかりは個人差な気がするよね。
単価を安くし過ぎたのもあるが、やはり串焼きにする際のドアップがよろしくなかったんだと思う。
曰く、映像と音の時点でもう美味そうなのに、香りがついたらもうダメとのことだった。
もうグリーンドラゴン食材はないので、あとはモンスターの持ち込みしてくれた人に簡単な料理を振る舞う場とする。
調理代をいただくのは気が引けるので、光熱費と調味料の代金だけ請求した。
卯保津さんは俺が調理するんだから1万円ぐらいもらっとけと言われたが、流石にそれは高すぎるんじゃないかと考え込む。
しかし、クララちゃんの加工一回につき5000円支払う俺が、それより低い値段で加工していいのか? と言われて納得せざるを得ない。
なので加工一回につき5000円で調理するのを請け負うことにした。
俺の料理が最低5000円で食べられるんなら、と飛びつく人が多かったのは意外だった。
「普段は10万円くらいするからな、ポンちゃんの料理」
「自覚なしで振る舞ってたツケが来たんでしょうか?」
「ダンジョンセンター経由で支払われるから、本人が直接受け取らない弊害がきたんだろう。なんせ今や北海道の英雄の肩書がついて回るからな。その上でSランク様だ。一般人からしたら雲の上の存在だぞ?」
全く実感ないんだよなぁ。
扱う素材の価値が上がり、調味料の価値が上がり、加工の種類が増えた。
俺としてはそれだけのことなんだけど。
多くの人がEランクダンジョンモンスターを持ってくる中で、一人だけ飛び抜けて高級な食材を持ち込む人が現れた。
それが、
「高橋さん!」
「よう、相変わらずで安心したぜ。ずっと頼みたいと思ってたんだが、予定が合わなくてな。これで一品頼む」
「一品だけでいいんですか?」
「そうだなぁ、色々作ってくれ」
「かしこまりました」
持ち込まれたのはAAランク食材のワイバーン。
グリーンドラゴンにも引けを取らない硬い鱗に、巨大な肉塊。
富井さんを呼んでアルコールにできないかと頼んでみる。
「ワイバーンか。一度加工した時は微妙だったな」
神妙な顔つきで黙り込んでしまった。何でもかんでも酒にすればいいってもんじゃないのだろうか?
しかしさすが富井さんだ、俺の知らないモンスターでも余裕で加工済みだとは。
さすが生き字引。
「じゃが、ポンちゃんのスキルで化けるかもしれんぞ?」
「熟成の方ですか?」
「それと少しだけ引き締めるのに事前にゴーストソルトを振ってくれんか?」
「だそうですけど、どうします?」
「それで味が良くなるんならいくらでも加工してくれて構わない」
「ようし、許可が降りた。では早速加工を開始しとくれ。最近わかったことじゃが、ワシの加工は他者の加工が重ねれば重なるほど味に深みが増すことに気がついた。受付の嬢ちゃんの調味料を加えても変化が起きる。ポンちゃんの加工でそれがさらに引き立つというわけじゃな」
なるほど、そんな変化が。
「下処理、終わりました」
「どれ、ふぅむこれじゃこれじゃ。せい! ふほほ、これは極上じゃぞ。生まれ変わる時の煙が黄金に輝いておったわ」
変化する時の煙の反応でそんなとこまでわかるんだ?
「ではこちらを食前酒として提供しても?」
「ワシにも一杯奢ってくれるんなら許可しよう」
「だそうです。高橋さん、よろしいですか?」
「偉大なる英雄殿から提案されたら、無碍にはできんだろう。本来、これを酒にしようなんて考えが俺にはないからな。任せるよ」
許可が降りたので、味見タイム。
俺も一口いただき「あ、これはヤバいやつだ」と直感した。
同時にこれに合うお通しを閃く。
やはり俺にとって酒は切って離せない飲み物の一つだな。
「二人の反応を見る限り、相当良いものなのだろうな。富井殿、もし値段をつけるのならいくらになるか教えてもらってもよろしいか?」
「そうじゃのぅ、今回はとびきり出来がいい。持ち込みであることを加味しても二千万じゃな」
「持ち込みなしなら?」
「1億」
「なるほど、頼む時はぜひ持ち込みするようにします。さぁ、料理が楽しみだ」
「ワシもいい機会を得られて満足じゃ。じゃあの」
富井さんは吹っ掛けるだけ吹っかけて帰って行った。
正直目の前で行われた取引の金額がデカ過ぎて話についていけない俺がいる。
国家予算の話とかじゃないの?
これが個人間で行われる取引か。
とんでもない世界に来ちゃったなと改めて思った。
「食前酒です。それとお通しになります」
「いやぁ、待ってた。もうこれだけ持って帰ってもいいくらいに満足してる。あの富井の翁が呼べばすぐくるなんていまだに信じられん」
「やはり高橋さんの世代では有名な方なんですか?」
「俺じゃなくても知ってるよ。栃木の英雄、赤鬼の富井茂雄。栃木という一部地域だけにとどまらず、世界を渡り歩いて戦争を取り除いた男がかの御大だ」
随分と知らない情報がぶら下がってきたな。
すごいのは知ってたけど、そんなにすごかったとは。
本人があまり昔のことを語らなかったから、てっきり……
食前酒は先ほどのワイバーン熟成酒。
お通しはマテリアル包丁で筋切りしてからの熟成乾燥(弱)を施してからのミンサー。
そのミンチ肉をさらに粘り気を出してユッケにした。
鶏卵の黄身を乗せて出来上がり。
さて、その味わいは?
「やばい」
高橋さんが語彙力を失ってしまった!
その上で目頭を抑え、涙が溢れるのを抑えている。
「簡単に俺の想像を上回ってきたな。まさか食前酒だけでレベル上限が上がるとは。2000万を払うだけある。そしてこのユッケがまたこの酒と会う。強過ぎず、弱過ぎない香りと独特な風味。新鮮な赤身肉とは思えない熟成された味わいがまたなんとも口内に余韻を残す。そしてこの酒がその余韻と混ざり合って最高のひと時を約束してくれる。これでまだフルコースの入り口なんだろう? 次に何が出てくるか全く想像ができない。かつてないほどのワクワクを覚えるようだ」
よかった。
序盤からユッケは冒険が過ぎたかと思ったが、アルコールの風味が強すぎるから口内の生臭みを全て打ち消してくれたみたいだ。
さて、俺はモーゼや越智間さん、モーゼの元オーナーのようには振る舞えない。
次はどんなスープにする?
今まで食べてきた食材を思い出し、手を動かす。
やはりあれだろう、いまだに鮮烈な記憶に残るあの一品。
ユッケを上回る、かつ酒にも合うような。
「スープになります」
「この黄金色の輝きは、コンソメか?」
「まだ仕掛けはございますが、まずは一口飲んでみてください」
「ではいただくとしよう」
一見具材は一切見当たらないスープだが、時折跳ねるスープの水面。
ゼリー状の何かが紛れ込んでいると知るのはすぐだった。
配膳されたカトラリーはスプーンだけにあらず。フォークとナイフが主張された位置取り。
それに気づいた高橋さんが、正体を掴もうとその空間にフォークを突き刺し固定し、ナイフで切り込みを入れた。そこにあったのは……
「これは、空ウツボの身か! それを巻いてミンチ肉を透明に見せていた?」
「他にも違う食材を加工したものを使ってますが、俺も驚きました。空ウツボの腸を使って腸詰すると、透明になるなんて」
「そんなことが起こりうるのか?」
「それがなってしまうので、組み合わせの妙というやつです。腸詰めする前のミンチはムース状まで裏漉ししましたので、スープの味変としてお使いください。全て合わせることでまた違った味わいになることをお約束します」
「食事に謎解き要素を掛け合わせたのか」
「着想を得たのは元モーゼオーナー、葛野極さんの出したお店なんですけどね。あそこは値段含めてびっくり箱でした」
「オーナーは退院なされてたのか、そういう情報は探索者には一切回ってこないんだよな」
「俺も、知り合いの料理人に案内されてようやく知ったぐらいですし」
「体の具合は良さそうだったか?」
「俺の前だから弱みは見せなかったのか、それとも本当に完治したかはわかりませんでしたがお元気そうでしたよ。今は和菓子屋さんの虎八の先代とご一緒に創作料理を作ってるようです。そこでフルコースを食べて、料理ってこんなに自由でいいんだなって教えてもらいました」
食前に大福を出した、とはあえて伏せておく。
あれはあの店に行った人に向けてのサプライズだからだ。
「なるほど、今度予約を入れてみよう。今から楽しみだ。だが、その前に。こちらを食べてからだな」
最初はその仕掛けに驚いたものだが、スープ以外の何かの正体さえ掴んでしまえば飲み進めるペースは上がっていく。
ソーセージに込められた中身のムースは熱を持つので、冷めた頃に開けることで暖かさを調整することができるのだ。
「味はうまいのはさることながら、視覚での驚きを与えてくれる逸品だった。なぜかもう帰って仲間に自慢したい気持ちだよ」
「まだまだ、終わりじゃないですよ」
すっかり加工一回五千円という縛りを忘れて今の俺の技術を総動員した料理を披露した。
俺は楽しく、高橋さんも文句を言わなかったが、後で計算したら簡単に100万になったのは驚いた。
そう考えると、モーゼって適正値段だったんだろうなぁ。
野菜を八尾さんから仕入れていたそうだし、モンスター素材だって仕入れれば高い。
そこに料理でのサプライズを含めて満足して帰したらそりゃそれくらい取られるわな、と。
「やっぱSともなるとすごいよな。100万請求してもポンと払えるんだ。俺も早くSになりてえ」
探索者の客の一人が先ほどのやり取りを見てそう唸る。
いやぁ、Sになったからって大金が転がり込んでくるわけじゃないからね。それはわからないよ?
討伐モンスターの換金額次第じゃないかな?
俺たちはその日暮らしをしてるから貯金とか全然ないし。
お金はあればあるだけ使っちゃうからなぁ。
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