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13話 料理バフ
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アレからも何度かハンバーグを作って食べる機会があった。
卯保津さんがお酒を持って強襲してきた時に振る舞ったのだ。
その時は忙しくて、自分の分を確保するのも手一杯だったが、もう上限だったのかレベル上限の上昇はなかった。
レベル100。
それが俺の上限なのか。
まだ1のままだけど、また伸びてないかステータスを覗くのがここ最近楽しみのうちの一つになっていた。
ハンバーグの他に、ツミレ汁にしたり、戦闘中でも食べられる様にカツにしたり、肉まんなどにして持ち運ぶ。
作りたての時ほどの美味さはないが、ヨッちゃんは魔法の使用回数が増えるからありがたいと言っていた。
ゴブリンを10匹くらい一緒に倒してると俺のレベルが2に上がる。
ステータスの上昇は特になかったが、ずっと不動だったレベルが1から2に変わっただけでも嬉しかった。
「そういえば最近さ、飯食った後の戦闘ですこぶる調子いい気がするんだよ」
「ヨッちゃんのステータスが上がってるとかじゃなくて?」
「だったら嬉しいんだけどさー。でも俺のステータスにはなんの変化もないの……いや、何か記号の矢印が上向いてるやつがついてるな」
「何か心当たりは?」
「ポンちゃんお手製の飯を食った後なんだよ」
「マジで?」
「こんなことに嘘つくわけないんだよなぁ」
ちなみに俺の方で特に変化は……あった。
よくよく見れば新しいスキルが生えていた。
料理バフ?
どう考えてもこいつが怪しいな。
「ごめん、ヨッちゃん。それって多分俺のスキルが原因かもしれない」
「やっぱりか! レベル上限が上がってうっかり見落としてたんだろう?」
「そう責めないでくれよ。ヨッちゃんだってレベル上限が上がった日は浮かれたもんだろ?」
「それよりどんなスキル覚えたんだよ!」
早速自分のことは棚上げし、俺の情報を引き出そうとする。
「料理バフ? っていうスキルだ」
「ん~? あまり聞いたことのない系統だな。魔法系統か?」
「いや、多分料理系統。俺が料理を作った時に評価が出て、その評価が高いほどステータスが上昇するとかそういう奴っぽい」
「おいそれ……」
「うん、配信には流さないほうがいいよな?」
今はまだ素材調達中。
料理をするまでカメラは回さない方針がここにきて役に立った。
「当たり前だろ。それ目当ての呼んでない奴らが押しかけてくるぞ!」
「やっぱりか」
ヨッちゃんは卯保津さんにも言わないほうがいいって言っていた。
今のところ二人だけの秘密とした。
体の調子がいいのは、美味い飯食って気分が上がってる。
そう口裏を合わせる。
適合食材と適合料理以外の要因は争いの種にしかならない。
その争いに巻き込まれるのは俺もごめんだった。
「いっそ今日は配信お休みしてポンちゃんのレベリングしようぜ」
歩きながら食える肉まんや謎肉カツサンドを荷物にコレでもかと詰め込んだヨッちゃんは疲れを知らない超人だった。
俺はおこぼれに預かってレベルを5まで上げた。
5も上げて、器用さがようやくDになる。
もっと他の要素も上がってくれと願うが、コレばかりは運が絡むので仕方ない。
まだまだレベルを上げる余地はあるのだ。
レベル上限が30しかないヨッちゃんと比べたら、随分と贅沢な悩みだと思う。
──────────────────────
名称:本宝治洋一
年齢:30
職業:ダンジョンシェフ、配信者
──────────────────────
レベル5/100
筋力:F★【⬆︎】
耐久:F★
魔力:E★
精神:F★
器用:E→D★【⬆︎】
敏捷:F★
幸運:F★【⬆︎】
総合ステータス:E
──────────────────────
<固有スキル:特殊調理>
包丁捌き、目利き、料理バフ
──────────────────────
偶然とはいえ、矢印のついてるステータスが上がっていた。もしかして、他の料理で別のステータスをあげることができれば……俺の絶望的なステータスももう少しまともになったりするのか?
「ポンちゃん! 魔力上がった! ポンちゃんのお陰だな!」
「なぁ、ヨッちゃんは今魔力の横に矢印ついてるか?」
ちょっとした疑問。
しかし彼の返答に確信を持つ。
「当たり前だろ? もしかしてポンちゃんは違う項目に矢印がついてるのか?」
「俺は筋力、器用、幸運だ。ヨッちゃんは?」
「……三つも!?」
その言葉から察するに、ヨッちゃんの矢印はひとつ、あるいは二つしかないのかもしれない。
コレはいよいよ持って、表に出せなくなってきたな。
「とりあえずポンちゃん」
「なんだ?」
「この話はお互い墓まで持ってこうぜ?」
「だな」
もし明るみになったらまずいことになる。
何せ食事バフ中は、レベルアップに関わらずにステータスが上昇するフィーバータイムに突入することになるのだ。
最初こそ俺のステータスが上昇したのはレベルが上がるタイミングと一緒だったためにレベルアップの効果だと思っていた。
しかしヨッちゃんは今、レベルが上がっていないという。
戦ってたら魔力のステータスが上昇していたのだそうだ。
レベル上限が上がらずに腐ってる人の希望となるとも取れるが、逆にレベル上限を上げるまでに特定のステータスまで上げ切った人には死体蹴りになりかねない。
素質はAまで。
Sになるには★が英数字の横についてる必要があるのだ。
俺には全てのステータスの横に★こそあるが、レベル上限の問題で宝の持ち腐れとなっていた。
けど今は違う。レベルが100まで上がり切っても、飯を作って食べるだけでオールSまで上がる。
そういう仕組みができていた。
もちろん一足跳びにその領域に辿り着けるわけでもないだろうが、他の探索者に比べれば十分に可能性はあった。
ただの料理人が。
他の探索者に負けないほどの力を手に入れるのだ。
それってロマンじゃん?
卯保津さんがお酒を持って強襲してきた時に振る舞ったのだ。
その時は忙しくて、自分の分を確保するのも手一杯だったが、もう上限だったのかレベル上限の上昇はなかった。
レベル100。
それが俺の上限なのか。
まだ1のままだけど、また伸びてないかステータスを覗くのがここ最近楽しみのうちの一つになっていた。
ハンバーグの他に、ツミレ汁にしたり、戦闘中でも食べられる様にカツにしたり、肉まんなどにして持ち運ぶ。
作りたての時ほどの美味さはないが、ヨッちゃんは魔法の使用回数が増えるからありがたいと言っていた。
ゴブリンを10匹くらい一緒に倒してると俺のレベルが2に上がる。
ステータスの上昇は特になかったが、ずっと不動だったレベルが1から2に変わっただけでも嬉しかった。
「そういえば最近さ、飯食った後の戦闘ですこぶる調子いい気がするんだよ」
「ヨッちゃんのステータスが上がってるとかじゃなくて?」
「だったら嬉しいんだけどさー。でも俺のステータスにはなんの変化もないの……いや、何か記号の矢印が上向いてるやつがついてるな」
「何か心当たりは?」
「ポンちゃんお手製の飯を食った後なんだよ」
「マジで?」
「こんなことに嘘つくわけないんだよなぁ」
ちなみに俺の方で特に変化は……あった。
よくよく見れば新しいスキルが生えていた。
料理バフ?
どう考えてもこいつが怪しいな。
「ごめん、ヨッちゃん。それって多分俺のスキルが原因かもしれない」
「やっぱりか! レベル上限が上がってうっかり見落としてたんだろう?」
「そう責めないでくれよ。ヨッちゃんだってレベル上限が上がった日は浮かれたもんだろ?」
「それよりどんなスキル覚えたんだよ!」
早速自分のことは棚上げし、俺の情報を引き出そうとする。
「料理バフ? っていうスキルだ」
「ん~? あまり聞いたことのない系統だな。魔法系統か?」
「いや、多分料理系統。俺が料理を作った時に評価が出て、その評価が高いほどステータスが上昇するとかそういう奴っぽい」
「おいそれ……」
「うん、配信には流さないほうがいいよな?」
今はまだ素材調達中。
料理をするまでカメラは回さない方針がここにきて役に立った。
「当たり前だろ。それ目当ての呼んでない奴らが押しかけてくるぞ!」
「やっぱりか」
ヨッちゃんは卯保津さんにも言わないほうがいいって言っていた。
今のところ二人だけの秘密とした。
体の調子がいいのは、美味い飯食って気分が上がってる。
そう口裏を合わせる。
適合食材と適合料理以外の要因は争いの種にしかならない。
その争いに巻き込まれるのは俺もごめんだった。
「いっそ今日は配信お休みしてポンちゃんのレベリングしようぜ」
歩きながら食える肉まんや謎肉カツサンドを荷物にコレでもかと詰め込んだヨッちゃんは疲れを知らない超人だった。
俺はおこぼれに預かってレベルを5まで上げた。
5も上げて、器用さがようやくDになる。
もっと他の要素も上がってくれと願うが、コレばかりは運が絡むので仕方ない。
まだまだレベルを上げる余地はあるのだ。
レベル上限が30しかないヨッちゃんと比べたら、随分と贅沢な悩みだと思う。
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名称:本宝治洋一
年齢:30
職業:ダンジョンシェフ、配信者
──────────────────────
レベル5/100
筋力:F★【⬆︎】
耐久:F★
魔力:E★
精神:F★
器用:E→D★【⬆︎】
敏捷:F★
幸運:F★【⬆︎】
総合ステータス:E
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<固有スキル:特殊調理>
包丁捌き、目利き、料理バフ
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偶然とはいえ、矢印のついてるステータスが上がっていた。もしかして、他の料理で別のステータスをあげることができれば……俺の絶望的なステータスももう少しまともになったりするのか?
「ポンちゃん! 魔力上がった! ポンちゃんのお陰だな!」
「なぁ、ヨッちゃんは今魔力の横に矢印ついてるか?」
ちょっとした疑問。
しかし彼の返答に確信を持つ。
「当たり前だろ? もしかしてポンちゃんは違う項目に矢印がついてるのか?」
「俺は筋力、器用、幸運だ。ヨッちゃんは?」
「……三つも!?」
その言葉から察するに、ヨッちゃんの矢印はひとつ、あるいは二つしかないのかもしれない。
コレはいよいよ持って、表に出せなくなってきたな。
「とりあえずポンちゃん」
「なんだ?」
「この話はお互い墓まで持ってこうぜ?」
「だな」
もし明るみになったらまずいことになる。
何せ食事バフ中は、レベルアップに関わらずにステータスが上昇するフィーバータイムに突入することになるのだ。
最初こそ俺のステータスが上昇したのはレベルが上がるタイミングと一緒だったためにレベルアップの効果だと思っていた。
しかしヨッちゃんは今、レベルが上がっていないという。
戦ってたら魔力のステータスが上昇していたのだそうだ。
レベル上限が上がらずに腐ってる人の希望となるとも取れるが、逆にレベル上限を上げるまでに特定のステータスまで上げ切った人には死体蹴りになりかねない。
素質はAまで。
Sになるには★が英数字の横についてる必要があるのだ。
俺には全てのステータスの横に★こそあるが、レベル上限の問題で宝の持ち腐れとなっていた。
けど今は違う。レベルが100まで上がり切っても、飯を作って食べるだけでオールSまで上がる。
そういう仕組みができていた。
もちろん一足跳びにその領域に辿り着けるわけでもないだろうが、他の探索者に比べれば十分に可能性はあった。
ただの料理人が。
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