11 / 36
事実、宝箱は開けるより殴る方がお得!
11話 激戦を終えて
しおりを挟む
矢が尽きてもゴブリンオーガは健在だった。
要石も既に限界を迎えていて、やっぱり俺も前に出なきゃダメだと覚悟が決まる。
「こっちを向けよデカブツ! 俺が相手だ!」
虹の盾のバフ効果もある。
ただ、要石程のタンク適性を持たぬ俺は、それこそ当たれば即死の綱渡を強いられた。
「頼っち!」
「要石は少し休め。最後の食糧だ」
「頼っちのは?」
特に何も言わず、空っぽのマジックバックをトントンと叩く。
「気にせず食え! こっからが正念場だぞ!」
そのセリフは何度目か?
はたまた倒せる見込みもなく、無駄死にするのを煽っているだけではないのか?
もう十分、もう十分頑張った。
そんな弱気な心が胸中に押し寄せる中、俺は距離を詰めてゴブリンオーガの鍛えられた土手っ腹にシルバーボックスを叩き込んだ。
<飯狗頼忠の攻撃!>
ゴブリンオーガに10のダメージ!
<シルバーボックスオープン!>
<トラップ発動!>
麻痺毒がゴブリンオーガを襲う!
ゴブリンオーガは一定時間行動ができない。
よし、当たりを引いた。
ここからラッシュだ。
動けないのをいいことに狭間さんの薬品を口から全部流し込んだ。
<飯狗頼忠はアイテムを使用した>
<バックアタック、クリティカル!>
薬品効果が10倍になる!
ゴブリンオーガは猛毒を受けた
ゴブリンオーガは微熱毒を受けた
ゴブリンオーガは神経毒を受けた
ゴブリンオーガは腹痛を覚えた
ゴブリンオーガは薬物中毒に至っている
ゴブリンオーガに300ダメージ!
ゴブリンオーガは熱病にうなされている
ゴブリンオーガは行動できない
「もう一丁!」
<飯狗頼忠の攻撃>
ミス、ゴブリンオーガはダメージを受けない!
<シルバーボックスオープン!>
<トラップ発動!>
カマイタチがゴブリンオーガを切り刻む!
ゴブリンオーガに1200ダメージ、
<+1発動!>
カマイタチがゴブリンオーガを切り裂く!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
<+3発動!>
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
<+2発動!>
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガは熱病にうなされている
ゴブリンオーガは動くことができない
「要石、全力攻撃だ! 持てる力全てをぶつけていけ!」
「はぁああああああああああ!」
<要石カガリの攻撃!>
ゴブリンオーガに10ダメージ!
<洗浄Ⅲ発動!>
ゴブリンオーガの体内毒が勢いよく回った!
ゴブリンオーガに1000の猛毒ダメージ!
ゴブリンオーガに300の麻痺ダメージ
<神経毒がクリティカル!>
ゴブリンオーガの心臓が停止
ゴブリンオーガを討伐した
<オーバーキル!>
緑色の光を放ちながら、強敵がこの世をさる。
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
その後、俺と要石は耳を塞ぎたくなるほどのレベルアップを果たした。俺は更にレベル+1で面白いことになっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
飯狗頼忠
レベル:40
称号 :死に抗う者、ミラクルボーイ
筋力:40
知識:30
耐久:50
精神:80
器用:90
敏捷:50
幸運:4000
物攻【筋力】+【器用】÷2=(65)
物防【耐久】+【筋力】÷2=(45)
魔攻【知識】+【精神】÷2=(55)
魔防【精神】+【耐久】÷2=(65)
投擲【器用】+【幸運】÷2=(2045)
回避【敏捷】+【幸運】÷2=(2025)
<スキル>
【+1】発動確率50%×【幸運】補正
【+2】発動確率25%×【幸運】補正
【+3】発動確率10%×【幸運】補正
【+5】発動確率0.1%×【幸運】補正
行動回数、ドロップ再抽選に大きく影響する
【レベル+1】発動率1%×【幸運補正】
レベル上昇時、確率でもう一つレベルアップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━
<装備>
ラックアクセルボウ
虹の盾
アイアンボックス×8
シルバーボックス×4
ゴールドボックス×3
マジックポーチ×2
マジックバッグ×7
<アイテム>
狭間ひとりのライフコア
狭間ひとりのスキルコア
鉄の鍵×6
銀の鍵×6
金の鍵×2
━━━━━━━━━━━━━━━━
「終わった? 終わったの?」
まだ敵が出るんじゃないかと身構える要石だが、もう敵はいないと言うことを教えると抱きつかれてしまった。
そりゃいつ死んでもおかしくない激戦だったからな。
とにかく要石はスキルを使うたびに腹が減る。
俺はシルバーボックスを開封しながら投擲で前線に一人立つ要石へと非常食をパスしていた。
満腹ゲージは非常食より高級非常食の方が回復しやすく、元の生活に戻ってもあの味を思い出すかもしれないなと思った。
気持ちが落ち着いたら要石を引き剥がしてドロップ品の回収を行う。
戦闘中倒したモンスターのドロップ品は残ったが、ボス討伐と同時に消滅した奴は何も落とさなかったらしい。
「マジックバックまたダブった。一個要石にやるよ」
「良いの? これって売れば高い奴じゃないの?」
「俺の姿を見てどう思う?」
「圧倒的不審者!」
「だろぉ?」
何がだろぉ? かわからない奴のために教えとく。
今俺の両肩にはマジックバックが合計6個もぶら下がっている。
想像してみてほしい、おしゃれでもなんでもなくバックをこれでもかと身につける男を。もう一つをどうやっても装備できそうもないのであげることにしたのだ。俺も嬉しいし相手も嬉しい。これぞWin-Winってな?
だから要石のコメントを的外れと言える奴は少ないのだ。
そんなわけで入手した素材だ、どーん!
アイアンボックス×70
シルバーボックス×50
鉄の鍵×50
銀の鍵×50
シャドウゴブリンコア×150
シャドウゴブリンアーチャーのスキルコア×150
シャドウゴブリンマジシャンのスキルコア×30
ゴブリンオーガのスキルコア
ゴブリンオーガの武器片×30
ゴブリンオーガの牙×10
はっきり言ってウハウハだ!
俺は手のひらサイズに限り、無限に入るマジックポーチにそれぞれ鍵を突っ込み、もう一つに非常食やポーション、それ以外を素材入れとしている。更にはマジックバッグは抱えられるものに限るが、一種類しか入らないのでアイアンボックスならアイアンボックスを十数個と三種類のボックスを担ぐ為にそれぞれ三種のマジックバッグを担ぐ羽目になり、絶賛不審者の見た目になっている。
「ここで何個か開けちゃえば良いのに……」
「ばーか、危険が去ったのに無駄飯食わせるかよ。アイテムを換金してから好きなもん食えば良いじゃねーか」
「それもそうなんだけどぉ、頼っちのバカ。頼っちと一緒に食べたいんじゃんかよぉ」
要石が何か言ってるが、無視。
荷物整理をしてると、玉座の裏にぼんやりと光る魔法陣みたいなのを発見する。
「なんだろ、これ?」
「確かダンジョン入り口に戻るショートカットの魔法陣じゃないっけ?」
「よく知ってんな」
「そりゃ、探索者のお嫁さんになるつもりで勉強してたし」
他力本願かよ。
そこまで言いかけて、自分もそうだったなと思い出し喉元まで出かけたセリフを飲み込んだ。
「さて、ここで結構時間食っちまったからな。良い加減帰ろうぜ?」
振り向くと、要石は尻餅をついていた。
さっきまで元気だったじゃん。急にどうした?
「頼っち、起こして!」
「は? 自分で起きろよ。ガキじゃねーんだぞ?」
「安心したら腰抜けちゃって……」
「しゃあねーなぁ」
要石に肩を貸しながら、俺たちはダンジョンの入り口へと帰還した。
◇◆◇
「おい、誰か帰ってきたぞ!」
「嘘だろう? Bランク化したダンジョンを攻略した奴がいるのか!?」
「信じられません。本日通した中には、逃げ帰った漆戸慎以外は全員が素人だったはずです。Bランクダンジョンを攻略できる下地などなかったはずなのに……」
何やら入り口に人垣ができていて、俺たちを取り囲む様にカメラのフラッシュが焚かれる。
一体何事かと思い浮かべて、そしてアイテムの中にあった春日井小波、狭間ひとりのライフコアとスキルコアを思い出した。
死人が出たダンジョンは、大きくレベルアップすると聞いたことがある。どうりで難易度が高かったわけだ。
「すいません、フラフラなんでカメラ向けるのやめてください」
「ちょっと休憩させて~」
俺たちの頼みに、記者達も今ここでは聞かず、休憩場所を設けて聞き出すスタイルに変えたようだ。
果たしてそれが良いことなのかは分からない。
要石がメニュー表の端から端を選択し始めたときは、顔面が真っ青になっていた記者に御愁傷様とだけ心の中でお祈りしておいた。
要石の辞書に遠慮という二文字は記載されてないようだ。
記者達が聞きたい情報をかいつまんでまとめると、どうやってダンジョンをクリアできたのか? に集約する。
俺と要石はお互いのポジションとスキルを鑑みて前衛と後衛のスタイルをとったと話した。
スキル【洗浄】と【+1】がだ。
言葉通りに飲み込むバカはいなかった。
中には陰謀論を企んだのではないかと聞いてくる心無い記者もいた。
春日井小波、狭間ひとりが死亡したのは意図的にだったのではないかという質問だ。
それを友達の要石の前で言える胆力は素直に賞賛したいと思う。
ガチギレする要石を押さえつけるのは至難の技だった。
そこで疲れが取れたので再びダンジョンセンターへと戻って換金所へと素材を提出する。
換金とは別に、亡くなった同級生の遺品を宝箱から手に入れたことを告げてそれぞれのライフコアとスキルコアを洗浄状態で渡すと大層驚かれた。
「こんなに保存状態の良いライフコアは見たことありません! お金はかかりますが、これなら蘇生できるかもしれません!」
そう語ったのはダンジョンセンター受付のお姉さん。
死人が生き返るなんてそれこそゲームだ。
だというのに実例があるように語るので、本当なら俺たちは稼ぎの幾らか出そうという話になる。足りない分は親御さんから少し出してもらう形で。
どうイキった所で俺たちは学生。稼ぐ手段もなければ単独で冒険者としてやっていく下地もない。今回は生き残るために無我夢中になっただけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
他にも遺品があると狭間ひとりの生徒手帳を手渡し、1日でも早い復帰を望みます。そのためだったらいくらでもお金を出すと頭を下げてその場を去った。
やたらバッグだらけなのを記者に指摘されたが、俺が荷物持ちを請け負っており、これは彼女達の荷物だと言えば不承不承ながら納得してくれた。
まぁ彼女達の荷物は要石がガードした際にズタボロになって見るに耐えない形ではあるがちゃんと入ってる。それ以外の荷物が多くを占めてるだけで嘘は言ってないからな。
「良かったな、要石。春日井達戻って来れるって」
「うん、うん。よがっだよぉ」
ガチ泣きして友の復帰を喜ぶ要石の姿を見れば、誰もが陰謀論など疑わぬだろう。そして友達が蘇生できるかもしれないと聞いて彼女はソファの上ですやすや眠ってしまった。
「すいません、彼女は疲れて眠ってしまったみたいです」
こんな大勢の中でも眠れる胆力。
やはりこいつは大物かもしれない。
「仕方ないですよ、死の淵を覗かれたのでしょう?」
「どれだけダメージ与えても死なないので、イベント戦闘かと思いましたよ」
軽く冗談を交えながら笑いをとり、本題に入る。
「さて、皆さん。これは死の淵を乗り越えたからこそ、そして俺のスキル【+1】があったからこその奇跡です」
そう言ってテーブルに金の鍵を取り出す。
全員の目が強烈に金の鍵惹きつけられるのを確認してから懐に戻した。
ゴールドボックスはそれなりに流通しているのは先ほど確認した。
しかし鍵の方は売りに出されると同時に買われてしまう。
まさに需要に対して供給が圧倒的に足りないアイテム。
それを見越した上での駆け引き。
「先ほど言われたことが本当であるなら、お金があれば同級生は戻ってくるんですよね? しかし俺たちはまだ子供。親に養われてる身です。なのでもしこれを売ったお金で彼女達が救えるのなら、俺はこれを無償で手放してもいい。もちろん受取人は被害者のご両親へ折半となります。なるべくなら高額で買い取って欲しいですね。俺の中でこれが一番の高額商品です。オークションでもなんでもいいので、お願いします」
「これはニュースだぞ! 世界中の探索者が喉から手が出るほど欲しがるお宝を無償で提供するなんてたいしたものじゃないか! 通常の探索者だったらまず自分のために使うところを、俺たちはこの少年の気概に応えてやらなきゃならんよなぁ?」
「ああ、今なら最高の記事が書けそうだ。失った少女の蘇生費用を自らの出世を犠牲にしてまで無償提供する少年! こりゃバズるぞぉ!」
「おいおい、バズるとかバズらないとか数字で見るような真似はやめろや。こんなに感動させられたのはこの業界に入って初めてだ。少年、記者の全員が全員、こんな奴だと思わないでくれよ? 君の勇気ある行動を無駄にはしない」
勝手に御涙頂戴話に繰り広げようとするマスコミ達。
記事を載せられた側に対する配慮がないのはいつもの事か?
これは残りのアイテムを売りながらぬるい日常生活を送る計画はパーになったな。
一体どのツラ下げて学校に向かえばいいのやら。
あとは折を見て要石を家に送り届ければミッションコンプリート。
そういえば慎の情報が入って来ないな。
あいつの事だから先に到着して捜索隊を呼んでくれたんだろうけど、姿が見えないのだけが心配だ。
要石も既に限界を迎えていて、やっぱり俺も前に出なきゃダメだと覚悟が決まる。
「こっちを向けよデカブツ! 俺が相手だ!」
虹の盾のバフ効果もある。
ただ、要石程のタンク適性を持たぬ俺は、それこそ当たれば即死の綱渡を強いられた。
「頼っち!」
「要石は少し休め。最後の食糧だ」
「頼っちのは?」
特に何も言わず、空っぽのマジックバックをトントンと叩く。
「気にせず食え! こっからが正念場だぞ!」
そのセリフは何度目か?
はたまた倒せる見込みもなく、無駄死にするのを煽っているだけではないのか?
もう十分、もう十分頑張った。
そんな弱気な心が胸中に押し寄せる中、俺は距離を詰めてゴブリンオーガの鍛えられた土手っ腹にシルバーボックスを叩き込んだ。
<飯狗頼忠の攻撃!>
ゴブリンオーガに10のダメージ!
<シルバーボックスオープン!>
<トラップ発動!>
麻痺毒がゴブリンオーガを襲う!
ゴブリンオーガは一定時間行動ができない。
よし、当たりを引いた。
ここからラッシュだ。
動けないのをいいことに狭間さんの薬品を口から全部流し込んだ。
<飯狗頼忠はアイテムを使用した>
<バックアタック、クリティカル!>
薬品効果が10倍になる!
ゴブリンオーガは猛毒を受けた
ゴブリンオーガは微熱毒を受けた
ゴブリンオーガは神経毒を受けた
ゴブリンオーガは腹痛を覚えた
ゴブリンオーガは薬物中毒に至っている
ゴブリンオーガに300ダメージ!
ゴブリンオーガは熱病にうなされている
ゴブリンオーガは行動できない
「もう一丁!」
<飯狗頼忠の攻撃>
ミス、ゴブリンオーガはダメージを受けない!
<シルバーボックスオープン!>
<トラップ発動!>
カマイタチがゴブリンオーガを切り刻む!
ゴブリンオーガに1200ダメージ、
<+1発動!>
カマイタチがゴブリンオーガを切り裂く!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
<+3発動!>
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
<+2発動!>
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガに1200ダメージ!
ゴブリンオーガは熱病にうなされている
ゴブリンオーガは動くことができない
「要石、全力攻撃だ! 持てる力全てをぶつけていけ!」
「はぁああああああああああ!」
<要石カガリの攻撃!>
ゴブリンオーガに10ダメージ!
<洗浄Ⅲ発動!>
ゴブリンオーガの体内毒が勢いよく回った!
ゴブリンオーガに1000の猛毒ダメージ!
ゴブリンオーガに300の麻痺ダメージ
<神経毒がクリティカル!>
ゴブリンオーガの心臓が停止
ゴブリンオーガを討伐した
<オーバーキル!>
緑色の光を放ちながら、強敵がこの世をさる。
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
<レベルが上がった>
その後、俺と要石は耳を塞ぎたくなるほどのレベルアップを果たした。俺は更にレベル+1で面白いことになっている。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
飯狗頼忠
レベル:40
称号 :死に抗う者、ミラクルボーイ
筋力:40
知識:30
耐久:50
精神:80
器用:90
敏捷:50
幸運:4000
物攻【筋力】+【器用】÷2=(65)
物防【耐久】+【筋力】÷2=(45)
魔攻【知識】+【精神】÷2=(55)
魔防【精神】+【耐久】÷2=(65)
投擲【器用】+【幸運】÷2=(2045)
回避【敏捷】+【幸運】÷2=(2025)
<スキル>
【+1】発動確率50%×【幸運】補正
【+2】発動確率25%×【幸運】補正
【+3】発動確率10%×【幸運】補正
【+5】発動確率0.1%×【幸運】補正
行動回数、ドロップ再抽選に大きく影響する
【レベル+1】発動率1%×【幸運補正】
レベル上昇時、確率でもう一つレベルアップ
━━━━━━━━━━━━━━━━━
<装備>
ラックアクセルボウ
虹の盾
アイアンボックス×8
シルバーボックス×4
ゴールドボックス×3
マジックポーチ×2
マジックバッグ×7
<アイテム>
狭間ひとりのライフコア
狭間ひとりのスキルコア
鉄の鍵×6
銀の鍵×6
金の鍵×2
━━━━━━━━━━━━━━━━
「終わった? 終わったの?」
まだ敵が出るんじゃないかと身構える要石だが、もう敵はいないと言うことを教えると抱きつかれてしまった。
そりゃいつ死んでもおかしくない激戦だったからな。
とにかく要石はスキルを使うたびに腹が減る。
俺はシルバーボックスを開封しながら投擲で前線に一人立つ要石へと非常食をパスしていた。
満腹ゲージは非常食より高級非常食の方が回復しやすく、元の生活に戻ってもあの味を思い出すかもしれないなと思った。
気持ちが落ち着いたら要石を引き剥がしてドロップ品の回収を行う。
戦闘中倒したモンスターのドロップ品は残ったが、ボス討伐と同時に消滅した奴は何も落とさなかったらしい。
「マジックバックまたダブった。一個要石にやるよ」
「良いの? これって売れば高い奴じゃないの?」
「俺の姿を見てどう思う?」
「圧倒的不審者!」
「だろぉ?」
何がだろぉ? かわからない奴のために教えとく。
今俺の両肩にはマジックバックが合計6個もぶら下がっている。
想像してみてほしい、おしゃれでもなんでもなくバックをこれでもかと身につける男を。もう一つをどうやっても装備できそうもないのであげることにしたのだ。俺も嬉しいし相手も嬉しい。これぞWin-Winってな?
だから要石のコメントを的外れと言える奴は少ないのだ。
そんなわけで入手した素材だ、どーん!
アイアンボックス×70
シルバーボックス×50
鉄の鍵×50
銀の鍵×50
シャドウゴブリンコア×150
シャドウゴブリンアーチャーのスキルコア×150
シャドウゴブリンマジシャンのスキルコア×30
ゴブリンオーガのスキルコア
ゴブリンオーガの武器片×30
ゴブリンオーガの牙×10
はっきり言ってウハウハだ!
俺は手のひらサイズに限り、無限に入るマジックポーチにそれぞれ鍵を突っ込み、もう一つに非常食やポーション、それ以外を素材入れとしている。更にはマジックバッグは抱えられるものに限るが、一種類しか入らないのでアイアンボックスならアイアンボックスを十数個と三種類のボックスを担ぐ為にそれぞれ三種のマジックバッグを担ぐ羽目になり、絶賛不審者の見た目になっている。
「ここで何個か開けちゃえば良いのに……」
「ばーか、危険が去ったのに無駄飯食わせるかよ。アイテムを換金してから好きなもん食えば良いじゃねーか」
「それもそうなんだけどぉ、頼っちのバカ。頼っちと一緒に食べたいんじゃんかよぉ」
要石が何か言ってるが、無視。
荷物整理をしてると、玉座の裏にぼんやりと光る魔法陣みたいなのを発見する。
「なんだろ、これ?」
「確かダンジョン入り口に戻るショートカットの魔法陣じゃないっけ?」
「よく知ってんな」
「そりゃ、探索者のお嫁さんになるつもりで勉強してたし」
他力本願かよ。
そこまで言いかけて、自分もそうだったなと思い出し喉元まで出かけたセリフを飲み込んだ。
「さて、ここで結構時間食っちまったからな。良い加減帰ろうぜ?」
振り向くと、要石は尻餅をついていた。
さっきまで元気だったじゃん。急にどうした?
「頼っち、起こして!」
「は? 自分で起きろよ。ガキじゃねーんだぞ?」
「安心したら腰抜けちゃって……」
「しゃあねーなぁ」
要石に肩を貸しながら、俺たちはダンジョンの入り口へと帰還した。
◇◆◇
「おい、誰か帰ってきたぞ!」
「嘘だろう? Bランク化したダンジョンを攻略した奴がいるのか!?」
「信じられません。本日通した中には、逃げ帰った漆戸慎以外は全員が素人だったはずです。Bランクダンジョンを攻略できる下地などなかったはずなのに……」
何やら入り口に人垣ができていて、俺たちを取り囲む様にカメラのフラッシュが焚かれる。
一体何事かと思い浮かべて、そしてアイテムの中にあった春日井小波、狭間ひとりのライフコアとスキルコアを思い出した。
死人が出たダンジョンは、大きくレベルアップすると聞いたことがある。どうりで難易度が高かったわけだ。
「すいません、フラフラなんでカメラ向けるのやめてください」
「ちょっと休憩させて~」
俺たちの頼みに、記者達も今ここでは聞かず、休憩場所を設けて聞き出すスタイルに変えたようだ。
果たしてそれが良いことなのかは分からない。
要石がメニュー表の端から端を選択し始めたときは、顔面が真っ青になっていた記者に御愁傷様とだけ心の中でお祈りしておいた。
要石の辞書に遠慮という二文字は記載されてないようだ。
記者達が聞きたい情報をかいつまんでまとめると、どうやってダンジョンをクリアできたのか? に集約する。
俺と要石はお互いのポジションとスキルを鑑みて前衛と後衛のスタイルをとったと話した。
スキル【洗浄】と【+1】がだ。
言葉通りに飲み込むバカはいなかった。
中には陰謀論を企んだのではないかと聞いてくる心無い記者もいた。
春日井小波、狭間ひとりが死亡したのは意図的にだったのではないかという質問だ。
それを友達の要石の前で言える胆力は素直に賞賛したいと思う。
ガチギレする要石を押さえつけるのは至難の技だった。
そこで疲れが取れたので再びダンジョンセンターへと戻って換金所へと素材を提出する。
換金とは別に、亡くなった同級生の遺品を宝箱から手に入れたことを告げてそれぞれのライフコアとスキルコアを洗浄状態で渡すと大層驚かれた。
「こんなに保存状態の良いライフコアは見たことありません! お金はかかりますが、これなら蘇生できるかもしれません!」
そう語ったのはダンジョンセンター受付のお姉さん。
死人が生き返るなんてそれこそゲームだ。
だというのに実例があるように語るので、本当なら俺たちは稼ぎの幾らか出そうという話になる。足りない分は親御さんから少し出してもらう形で。
どうイキった所で俺たちは学生。稼ぐ手段もなければ単独で冒険者としてやっていく下地もない。今回は生き残るために無我夢中になっただけだ。それ以上でもそれ以下でもない。
他にも遺品があると狭間ひとりの生徒手帳を手渡し、1日でも早い復帰を望みます。そのためだったらいくらでもお金を出すと頭を下げてその場を去った。
やたらバッグだらけなのを記者に指摘されたが、俺が荷物持ちを請け負っており、これは彼女達の荷物だと言えば不承不承ながら納得してくれた。
まぁ彼女達の荷物は要石がガードした際にズタボロになって見るに耐えない形ではあるがちゃんと入ってる。それ以外の荷物が多くを占めてるだけで嘘は言ってないからな。
「良かったな、要石。春日井達戻って来れるって」
「うん、うん。よがっだよぉ」
ガチ泣きして友の復帰を喜ぶ要石の姿を見れば、誰もが陰謀論など疑わぬだろう。そして友達が蘇生できるかもしれないと聞いて彼女はソファの上ですやすや眠ってしまった。
「すいません、彼女は疲れて眠ってしまったみたいです」
こんな大勢の中でも眠れる胆力。
やはりこいつは大物かもしれない。
「仕方ないですよ、死の淵を覗かれたのでしょう?」
「どれだけダメージ与えても死なないので、イベント戦闘かと思いましたよ」
軽く冗談を交えながら笑いをとり、本題に入る。
「さて、皆さん。これは死の淵を乗り越えたからこそ、そして俺のスキル【+1】があったからこその奇跡です」
そう言ってテーブルに金の鍵を取り出す。
全員の目が強烈に金の鍵惹きつけられるのを確認してから懐に戻した。
ゴールドボックスはそれなりに流通しているのは先ほど確認した。
しかし鍵の方は売りに出されると同時に買われてしまう。
まさに需要に対して供給が圧倒的に足りないアイテム。
それを見越した上での駆け引き。
「先ほど言われたことが本当であるなら、お金があれば同級生は戻ってくるんですよね? しかし俺たちはまだ子供。親に養われてる身です。なのでもしこれを売ったお金で彼女達が救えるのなら、俺はこれを無償で手放してもいい。もちろん受取人は被害者のご両親へ折半となります。なるべくなら高額で買い取って欲しいですね。俺の中でこれが一番の高額商品です。オークションでもなんでもいいので、お願いします」
「これはニュースだぞ! 世界中の探索者が喉から手が出るほど欲しがるお宝を無償で提供するなんてたいしたものじゃないか! 通常の探索者だったらまず自分のために使うところを、俺たちはこの少年の気概に応えてやらなきゃならんよなぁ?」
「ああ、今なら最高の記事が書けそうだ。失った少女の蘇生費用を自らの出世を犠牲にしてまで無償提供する少年! こりゃバズるぞぉ!」
「おいおい、バズるとかバズらないとか数字で見るような真似はやめろや。こんなに感動させられたのはこの業界に入って初めてだ。少年、記者の全員が全員、こんな奴だと思わないでくれよ? 君の勇気ある行動を無駄にはしない」
勝手に御涙頂戴話に繰り広げようとするマスコミ達。
記事を載せられた側に対する配慮がないのはいつもの事か?
これは残りのアイテムを売りながらぬるい日常生活を送る計画はパーになったな。
一体どのツラ下げて学校に向かえばいいのやら。
あとは折を見て要石を家に送り届ければミッションコンプリート。
そういえば慎の情報が入って来ないな。
あいつの事だから先に到着して捜索隊を呼んでくれたんだろうけど、姿が見えないのだけが心配だ。
0
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
ダンジョン美食倶楽部
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。
身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。
配信で明るみになる、洋一の隠された技能。
素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。
一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。
※カクヨム様で先行公開中!
※2024年3月21で第一部完!
追放されたら無能スキルで無双する
ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。
見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。
僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。
咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。
僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
劣等生のハイランカー
双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す!
無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。
カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。
唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。
学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。
クラスメイトは全員ライバル!
卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである!
そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。
それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。
難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。
かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。
「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」
学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。
「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」
時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。
制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。
そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。
(各20話編成)
1章:ダンジョン学園【完結】
2章:ダンジョンチルドレン【完結】
3章:大罪の権能【完結】
4章:暴食の力【完結】
5章:暗躍する嫉妬【完結】
6章:奇妙な共闘【完結】
7章:最弱種族の下剋上【完結】
借金背負ったので死ぬ気でダンジョン行ったら人生変わった件 やけくそで潜った最凶の迷宮で瀕死の国民的美少女を救ってみた
羽黒 楓
ファンタジー
旧題:借金背負ったので兄妹で死のうと生還不可能の最難関ダンジョンに二人で潜ったら瀕死の人気美少女配信者を助けちゃったので連れて帰るしかない件
借金一億二千万円! もう駄目だ! 二人で心中しようと配信しながらSSS級ダンジョンに潜った俺たち兄妹。そしたらその下層階で国民的人気配信者の女の子が遭難していた! 助けてあげたらどんどんとスパチャが入ってくるじゃん! ってかもはや社会現象じゃん! 俺のスキルは【マネーインジェクション】! 預金残高を消費してパワーにし、それを自分や他人に注射してパワーアップさせる能力。ほらお前ら、この子を助けたければどんどんスパチャしまくれ! その金でパワーを女の子たちに注入注入! これだけ金あれば借金返せそう、もうこうなりゃ絶対に生還するぞ! 最難関ダンジョンだけど、絶対に生きて脱出するぞ! どんな手を使ってでも!
欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します
ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!!
カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる