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五章
やれることが増えていくのは嬉しいですよね
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はい。
という事で私達はあの後ココットと別れ、二人だけで草原フィールドに来ております。
えっとですね。バトルコックのメリットとデメリットがはっきりと判明しましたのでそれの報告も兼ねてです。
まずメリットの方。
攻撃力が0なのでヘイトは来ません。
そしてバトルコックのスキルで倒すと確定でお肉になった上に一頭分がまるまるアイテムバッグに入ります。
そしてデメリット。
まずこのスキルで倒せる人は糸に精通してる人じゃなきゃ現状無理ですね。
一度ローズさんのスキルでMOB同士で相打ちさせて貰い、ラストアタックを頂きましたけど、残念ながらお肉にはなりませんでした。
お肉になる法則はまだまだ検証不足。
ですけど、大まかにファーストアタック且つ、塩コショウを使用して一定時間経過。そしてラストアタックを貰えば60%くらいの確率でお肉になりました。
10回やって6回ですね。
これを確定になるまでやるとなると結構時間がかかってしまうんですよ。
そして個体差によって漬け込み時間に幅があるのか、ホワイトラビットとブラックラビットの漬け込み時間は違うようでした。ドロップアイテムも、経験値も同じなのに〆たお肉は別物として扱われるようですね。これは少し興味深いです。
それと一番重要な事なのですが、お肉を入手すると種族経験値が入りません。
これはバトルコックに限った話じゃなく、パーティ全員、且つ参加プレイヤーに共通して言える事でした。
つまりバトルコックはレンゼルフィアに連なるフィールドボスに挑むことは許されないのです。
あ、でもお肉を入手しなければ経験値は平等に支払われます。
どっちを取るかなんですよね。
これはめんどくさいですよー。
塩コショウの漬け込み時間を把握しておきませんとあとあとトラブルの元になりかねません。
しかし問題はそこだけじゃ無く、ホールで手に入るお肉の重さなんですよね。
通常のアイテムバッグの最大積載量は5000まで。これは全プレイヤー共通です。しかしホワイトラビット肉は単品で1000。つまり最低でも4体。今着ている服を脱いでアイテムバッグの中身を軽くすれば5体入りますが、そんなことしませんからね? 逆にそんな恥ずかしいことを進んでやれるのはローズさんくらいです。お肉の為だけに、恥じらいを捨てる事なんて出来ませんからね。
なのでバトルコックとは、未知の素材を入手できる代わりに、それ以外の全ての可能性を失うわけです。
誰ですかこんなクソジョブ考えたの。
絶対底意地悪い人ですよ! くぬー。
ですので今の私にはレベル上げが急務です。なんといってもアイテムバッグの最大積載量に関わってくる体力。これを上げなければ、まともにオシャレもできないときてます。いえ、オシャレは普通にしますけど、ジョブLVを上げるのにもお肉を手に入れる必要があるんですよね。どうやらお肉にした回数が熟練度につながっているようでした。
その回転率の為にもまずはアイテムバッグの積載量が足りな過ぎると言うわけで……
「ローズさん、作戦はうまくいきそうですか?」
「んー、もう少し待って。まだ群れから離れないんだよねー。食事終わったら離れるかな? もうちょいなんだよ、もうちょい」
「では準備が整ったら合図下さいね」
「もちー」
場所はエリア3。
牧歌的な風景の広がってる大草原では大型トラック相当の巨大羊が平和そうな顔で草を食んでいます。
私達はというと、それを遠目で眺めており、ローズさんのジョブスキルでなんとかレベリングできないかという事で検討→実行している最中でした。
ローズさんのジョブは猛獣使い。
テイマーみたいにずっと一緒に冒険するのではなく、わかりやすく言えばその場しのぎの仲間を現地調達するのが猛獣使いというジョブです。
その方法は鞭で叩いて意識をぼんやりさせ、ご褒美と言う名の餌を与えて《ONEGAI》を一つ聞いてもらうという物。まさに飴と鞭。暴力とご褒美。
口八丁手八丁で生きてる彼女にふさわしいジョブかもしれませんね。
そして餌。
今まではドロップ肉で言うことを聞かせていましたが、これがヘイトを取るくせに買えばお高い。
猛獣使いは対象個体のサイズを選ばない代わりに非常にお金のかかるジョブとも言えます。
そのせいでジョブの格付けでバトルコックを抑えて堂々のビリッケツ。
そんなジョブについておきながらよく偉そうに私のジョブを貶せましたね。腹立たしいです。
そこで私の加工肉を使ってみてはどうだろうと提案が出た訳です。
もちろんダメ元ですけどね。ただでさえ死にジョブ同士、助け合おうと手を組んで作戦実行中です。
今群れから一匹だけ離れてきました。少し距離がありますね。
どうする とジェスチャーを入れるとローズさんは頷き、手をちょいちょいと招きました。どうやら待機場所を移動するようです。そして近くまで歩いて行くとローズさんの合図がかかりました。
「リアさんお肉ステンバーイ」
「いつでも!」
「よーし、作戦開始!」
「はーい」
距離は約6メートル。
ここでローズさんの鞭で意識をこちらへ向けます。
音がうるさいだけで攻撃力は0ですからね。なんだろう、と興味を引く訳です。
距離3メートル。
ここから見ても、もう大きい。見上げるほどの大きさのチャージシープがのっしのしと歩いてきます。こんな至近距離にプレイヤーがいるというのに、興奮している様子は見られません。
これが鞭打ちの効果だというのですから凄いですよね。実はこれヘイト外しに優秀じゃありませんか?
ここで更に鞭を地面に打ち付けて《餌やり》のスキルを発動させます。
ローズさん曰く《鞭打ち》と《餌やり》はセットで使わなきゃ意味がないのだそうです。
食べました。モリモリ食べてます。どうやら話を聞く準備ができたみたいですね。これで交渉の場が整いました。
ローズさんがまるで催眠術でも掛けているように語りかけます。意識をそらされないように、たまに鞭を地面に打ち付けて、思考誘導を行う訳です。
そして交渉の末に話を受けてくれることになりました。
代価はお肉がもう一つ。
そして仕事の後にもお肉が一つ。
もう、食いしん坊ですね。
お肉を一つだけ用意してローズさんに渡します。そしてチャージシープに近づいた私はと言うと、徐ろに《塩コショウ》を振りかけました。ええ、もちろん意味はあります。
そのおかげでMPが10→3に。
なんと一気に7も減ってしまいました。
やはりサイズが大きいとそれだけお肉も多いという訳ですね。
因みにこのスキルは対象を指定して行使すると勝手にMPを消費して適量降りかかる料理初心者にとってはありがいシステムです……ああ、MPが心許ない。これは成功したら知力にもいくらか振っておきたいですね。
ですがチャージシープにとって《塩コショウ》を掛けられるなんて初めてのこと。そこでローズさんは口八丁でうまくやる気を引き出させて突撃させました。
後で聞いた話では「キミには無敵になる加護を授けた。あとはキミの働き次第。OK?」と発破をかけたようでした。
無敵って(笑)
結果だけをいいますと、お肉にするのは失敗して、都度2回の玉突き事故で仲間に引き入れたチャージシープもろとも経験値になりました。
いやー美味しいです。物は考えようですね。不遇ジョブでも戦えるんだって事が証明された瞬間でした。
塩コショウの副次効果で突進した相手に『状態異常:くしゃみ』がついていたのが面白かったです。
確かにあれは相手の不意を突く意味では無敵になる効果かもしれませんね。
ただしこれらの方法で討伐すると、経験値は入るものの、素材は絶対に落ちないのだとか。
本当に寄生じゃないですか、このジョブ。私のバトルコックも猛獣使いのことを強く言えないぐらい特殊ですけど、ここまでじゃない。でも、まぁ持ちつ持たれつかな?
私はお肉を手に入れて、そのお肉が食べる以外で経験値に繋がるとなれば私としてはとても助かるものですので。
なんといっても当面の問題であったアイテムバッグの最大積載量が解消されるのですから。
逆に考えれば下手に素材を手に入れてヘイトをとるよりはマシ……そう考え直して上がった分のステータスを割り振りをしていきます。
私の種族LVも今回の仲間割れのおかげで1→6。
HPは10→60に。
ステータスポイントを100ポイント体力へぶん投げます。
それにより体力が0→100に。
ここへHP補正効果(体力1につきHP+3)がついて、
HPが60→360。
それよりもこっちがメイン。体力には他にもアイテムバッグの最大積載量の分母が体力1につき500増える効果があります。
最大積載量は5,000→55,000。
兎は一頭1,000ですので、これで一気に54、55匹入手できることが可能になりましたね。
残りを知力に振って、
知力が0→60。
そこへMP補正効果(知力1につきMP+3)がつき、
更にLVアップ補正でMP10→60
知力補正でMP60→240になりました。
これで当面は調理場以外で困ることはなくなりましたね。塩コショウの消費MPよりも純粋にタコ糸で消費する量が大きいのですよね。あれは所詮タコ糸なので、強靭にする事も切断させることもできません。一度チャージシープに仕掛けてみましたが、簡単に引きちぎられてしまいましたからね。大型トラックサイズのMOBには通用しないのでしょうね。やらなくても分かることでしたが。
もし仮にですが、お肉が手に入ってもチャージシープは少なく見積もっても25tはあります。つまり最大積載量が最低でも25,000,000は要るのです。
これはバッグ拡張機能とかないと無理な奴ですよ?
レベリング手段も定まって来ましたし、今日は酒場へお肉をお土産に持ち帰ってあげましょう。
エリア1へ戻り、抱っこからの安眠法でアイテムバッグの中身を補充させていきます。
54体目を入手して、気づけばいつの間にやらジョブLVも3になっていました。
特になにかが増えたと言う事もありません。LV5刻みでスキル取得が一般的ですからね。
もう少し頑張ればそのうち生えることでしょう。
街に帰ると酒場へ直行。
ゲンさんへ白と黒のウサギを5体づつおろし、お金を手に入れます。
1体5000Gで合計5万Gゲットです。
残りは個人的に使用するのとローズさんの《猛獣使い》の時に使いますからね。どの種族にどのお肉が効果的か調べる目的もあるので多ければ多いほどいいです。
それに昨日の今日で大量に卸すと怪しまれますからね。さっきも十分怪しい感じに見られましたからね。そんなにいっぱい取れるんならなんで昨日持ってこなかった……という目です。
偶然LVが上がったから体力に振ったんですよーって誤魔化してきましたが、あれは納得してませんね。
ですが現状入手は私からのみなので追求するのを取りやめたって感じでした。
それがきっかけで入手できなくなったらそれこそ痛手を負うのは料理人の皆さんです。どうしてもドロップ肉ではサイズが決まってしまいますから、私考案のご馳走ステーキクラスのサイズはドロップ肉では再現不可能なのです。
今はまだバトルコックの特権ですね。
手に入れたお金で解体用ナイフを購入しにいきます。どうやら包丁はいいお値段がするらしいので、いくらかお安いナイフにすることにしました。
後はついでにあれも欲しいですね。魔導ガスコンロ。魔導なのにガスとは如何に? と思わなくはないんですが、見た目がガスコンロなんですよね。そして火の調整もまんまでした。原理は魔法技術の結晶らしいので『魔導』と頭につけられています。
なんと重量が3000ある上に3万Gもかかると聞いて、買うかどうか迷ってしまいました。だってこれ着火装置付きなんですよ?
火の魔法が要らないんです。欲しいです、超欲しい。
ナイフは安物にしましょうかね。今度からは体力に全振りすれば……そうしましょう。買います!
お金はパッと散財するに限りますね。
残り2万Gで中品質の解体ナイフを購入。高品質の奴ですと単品で10万はしますからね。これでも割といい方です。
品質の差は耐久値ぐらいで、私にはこっちでも十分。
中品質ですと耐久度が300。
対して高品質だと耐久度1000。
主にこれの違いですね。
そして包丁だと金額の桁が1~2つ違うので全然手が出ませんでした。いくらなんでも高すぎませんか?
手に入れた装備で早速調理を開始……しようと思いましたがまな板がないことに気づきました。
そういう意味では酒場の調理室ってなんでも揃ってるなーって感心してしまいます。まさに痒い所に手が届く! て感じなんですよねー。
しかし先ほどの買い物で全財産を使い切ってしまいました……どうしましょう。
仕方がないので酒場に赴き、バッグの中をチラ見せしながら交渉開始。
追加で10体買ってもらい、無事鉄板とまな板を追加購入できました。
わーパチパチ。これでお外でランチが食べられますね。
私もローズさんもニコニコです。
という事で私達はあの後ココットと別れ、二人だけで草原フィールドに来ております。
えっとですね。バトルコックのメリットとデメリットがはっきりと判明しましたのでそれの報告も兼ねてです。
まずメリットの方。
攻撃力が0なのでヘイトは来ません。
そしてバトルコックのスキルで倒すと確定でお肉になった上に一頭分がまるまるアイテムバッグに入ります。
そしてデメリット。
まずこのスキルで倒せる人は糸に精通してる人じゃなきゃ現状無理ですね。
一度ローズさんのスキルでMOB同士で相打ちさせて貰い、ラストアタックを頂きましたけど、残念ながらお肉にはなりませんでした。
お肉になる法則はまだまだ検証不足。
ですけど、大まかにファーストアタック且つ、塩コショウを使用して一定時間経過。そしてラストアタックを貰えば60%くらいの確率でお肉になりました。
10回やって6回ですね。
これを確定になるまでやるとなると結構時間がかかってしまうんですよ。
そして個体差によって漬け込み時間に幅があるのか、ホワイトラビットとブラックラビットの漬け込み時間は違うようでした。ドロップアイテムも、経験値も同じなのに〆たお肉は別物として扱われるようですね。これは少し興味深いです。
それと一番重要な事なのですが、お肉を入手すると種族経験値が入りません。
これはバトルコックに限った話じゃなく、パーティ全員、且つ参加プレイヤーに共通して言える事でした。
つまりバトルコックはレンゼルフィアに連なるフィールドボスに挑むことは許されないのです。
あ、でもお肉を入手しなければ経験値は平等に支払われます。
どっちを取るかなんですよね。
これはめんどくさいですよー。
塩コショウの漬け込み時間を把握しておきませんとあとあとトラブルの元になりかねません。
しかし問題はそこだけじゃ無く、ホールで手に入るお肉の重さなんですよね。
通常のアイテムバッグの最大積載量は5000まで。これは全プレイヤー共通です。しかしホワイトラビット肉は単品で1000。つまり最低でも4体。今着ている服を脱いでアイテムバッグの中身を軽くすれば5体入りますが、そんなことしませんからね? 逆にそんな恥ずかしいことを進んでやれるのはローズさんくらいです。お肉の為だけに、恥じらいを捨てる事なんて出来ませんからね。
なのでバトルコックとは、未知の素材を入手できる代わりに、それ以外の全ての可能性を失うわけです。
誰ですかこんなクソジョブ考えたの。
絶対底意地悪い人ですよ! くぬー。
ですので今の私にはレベル上げが急務です。なんといってもアイテムバッグの最大積載量に関わってくる体力。これを上げなければ、まともにオシャレもできないときてます。いえ、オシャレは普通にしますけど、ジョブLVを上げるのにもお肉を手に入れる必要があるんですよね。どうやらお肉にした回数が熟練度につながっているようでした。
その回転率の為にもまずはアイテムバッグの積載量が足りな過ぎると言うわけで……
「ローズさん、作戦はうまくいきそうですか?」
「んー、もう少し待って。まだ群れから離れないんだよねー。食事終わったら離れるかな? もうちょいなんだよ、もうちょい」
「では準備が整ったら合図下さいね」
「もちー」
場所はエリア3。
牧歌的な風景の広がってる大草原では大型トラック相当の巨大羊が平和そうな顔で草を食んでいます。
私達はというと、それを遠目で眺めており、ローズさんのジョブスキルでなんとかレベリングできないかという事で検討→実行している最中でした。
ローズさんのジョブは猛獣使い。
テイマーみたいにずっと一緒に冒険するのではなく、わかりやすく言えばその場しのぎの仲間を現地調達するのが猛獣使いというジョブです。
その方法は鞭で叩いて意識をぼんやりさせ、ご褒美と言う名の餌を与えて《ONEGAI》を一つ聞いてもらうという物。まさに飴と鞭。暴力とご褒美。
口八丁手八丁で生きてる彼女にふさわしいジョブかもしれませんね。
そして餌。
今まではドロップ肉で言うことを聞かせていましたが、これがヘイトを取るくせに買えばお高い。
猛獣使いは対象個体のサイズを選ばない代わりに非常にお金のかかるジョブとも言えます。
そのせいでジョブの格付けでバトルコックを抑えて堂々のビリッケツ。
そんなジョブについておきながらよく偉そうに私のジョブを貶せましたね。腹立たしいです。
そこで私の加工肉を使ってみてはどうだろうと提案が出た訳です。
もちろんダメ元ですけどね。ただでさえ死にジョブ同士、助け合おうと手を組んで作戦実行中です。
今群れから一匹だけ離れてきました。少し距離がありますね。
どうする とジェスチャーを入れるとローズさんは頷き、手をちょいちょいと招きました。どうやら待機場所を移動するようです。そして近くまで歩いて行くとローズさんの合図がかかりました。
「リアさんお肉ステンバーイ」
「いつでも!」
「よーし、作戦開始!」
「はーい」
距離は約6メートル。
ここでローズさんの鞭で意識をこちらへ向けます。
音がうるさいだけで攻撃力は0ですからね。なんだろう、と興味を引く訳です。
距離3メートル。
ここから見ても、もう大きい。見上げるほどの大きさのチャージシープがのっしのしと歩いてきます。こんな至近距離にプレイヤーがいるというのに、興奮している様子は見られません。
これが鞭打ちの効果だというのですから凄いですよね。実はこれヘイト外しに優秀じゃありませんか?
ここで更に鞭を地面に打ち付けて《餌やり》のスキルを発動させます。
ローズさん曰く《鞭打ち》と《餌やり》はセットで使わなきゃ意味がないのだそうです。
食べました。モリモリ食べてます。どうやら話を聞く準備ができたみたいですね。これで交渉の場が整いました。
ローズさんがまるで催眠術でも掛けているように語りかけます。意識をそらされないように、たまに鞭を地面に打ち付けて、思考誘導を行う訳です。
そして交渉の末に話を受けてくれることになりました。
代価はお肉がもう一つ。
そして仕事の後にもお肉が一つ。
もう、食いしん坊ですね。
お肉を一つだけ用意してローズさんに渡します。そしてチャージシープに近づいた私はと言うと、徐ろに《塩コショウ》を振りかけました。ええ、もちろん意味はあります。
そのおかげでMPが10→3に。
なんと一気に7も減ってしまいました。
やはりサイズが大きいとそれだけお肉も多いという訳ですね。
因みにこのスキルは対象を指定して行使すると勝手にMPを消費して適量降りかかる料理初心者にとってはありがいシステムです……ああ、MPが心許ない。これは成功したら知力にもいくらか振っておきたいですね。
ですがチャージシープにとって《塩コショウ》を掛けられるなんて初めてのこと。そこでローズさんは口八丁でうまくやる気を引き出させて突撃させました。
後で聞いた話では「キミには無敵になる加護を授けた。あとはキミの働き次第。OK?」と発破をかけたようでした。
無敵って(笑)
結果だけをいいますと、お肉にするのは失敗して、都度2回の玉突き事故で仲間に引き入れたチャージシープもろとも経験値になりました。
いやー美味しいです。物は考えようですね。不遇ジョブでも戦えるんだって事が証明された瞬間でした。
塩コショウの副次効果で突進した相手に『状態異常:くしゃみ』がついていたのが面白かったです。
確かにあれは相手の不意を突く意味では無敵になる効果かもしれませんね。
ただしこれらの方法で討伐すると、経験値は入るものの、素材は絶対に落ちないのだとか。
本当に寄生じゃないですか、このジョブ。私のバトルコックも猛獣使いのことを強く言えないぐらい特殊ですけど、ここまでじゃない。でも、まぁ持ちつ持たれつかな?
私はお肉を手に入れて、そのお肉が食べる以外で経験値に繋がるとなれば私としてはとても助かるものですので。
なんといっても当面の問題であったアイテムバッグの最大積載量が解消されるのですから。
逆に考えれば下手に素材を手に入れてヘイトをとるよりはマシ……そう考え直して上がった分のステータスを割り振りをしていきます。
私の種族LVも今回の仲間割れのおかげで1→6。
HPは10→60に。
ステータスポイントを100ポイント体力へぶん投げます。
それにより体力が0→100に。
ここへHP補正効果(体力1につきHP+3)がついて、
HPが60→360。
それよりもこっちがメイン。体力には他にもアイテムバッグの最大積載量の分母が体力1につき500増える効果があります。
最大積載量は5,000→55,000。
兎は一頭1,000ですので、これで一気に54、55匹入手できることが可能になりましたね。
残りを知力に振って、
知力が0→60。
そこへMP補正効果(知力1につきMP+3)がつき、
更にLVアップ補正でMP10→60
知力補正でMP60→240になりました。
これで当面は調理場以外で困ることはなくなりましたね。塩コショウの消費MPよりも純粋にタコ糸で消費する量が大きいのですよね。あれは所詮タコ糸なので、強靭にする事も切断させることもできません。一度チャージシープに仕掛けてみましたが、簡単に引きちぎられてしまいましたからね。大型トラックサイズのMOBには通用しないのでしょうね。やらなくても分かることでしたが。
もし仮にですが、お肉が手に入ってもチャージシープは少なく見積もっても25tはあります。つまり最大積載量が最低でも25,000,000は要るのです。
これはバッグ拡張機能とかないと無理な奴ですよ?
レベリング手段も定まって来ましたし、今日は酒場へお肉をお土産に持ち帰ってあげましょう。
エリア1へ戻り、抱っこからの安眠法でアイテムバッグの中身を補充させていきます。
54体目を入手して、気づけばいつの間にやらジョブLVも3になっていました。
特になにかが増えたと言う事もありません。LV5刻みでスキル取得が一般的ですからね。
もう少し頑張ればそのうち生えることでしょう。
街に帰ると酒場へ直行。
ゲンさんへ白と黒のウサギを5体づつおろし、お金を手に入れます。
1体5000Gで合計5万Gゲットです。
残りは個人的に使用するのとローズさんの《猛獣使い》の時に使いますからね。どの種族にどのお肉が効果的か調べる目的もあるので多ければ多いほどいいです。
それに昨日の今日で大量に卸すと怪しまれますからね。さっきも十分怪しい感じに見られましたからね。そんなにいっぱい取れるんならなんで昨日持ってこなかった……という目です。
偶然LVが上がったから体力に振ったんですよーって誤魔化してきましたが、あれは納得してませんね。
ですが現状入手は私からのみなので追求するのを取りやめたって感じでした。
それがきっかけで入手できなくなったらそれこそ痛手を負うのは料理人の皆さんです。どうしてもドロップ肉ではサイズが決まってしまいますから、私考案のご馳走ステーキクラスのサイズはドロップ肉では再現不可能なのです。
今はまだバトルコックの特権ですね。
手に入れたお金で解体用ナイフを購入しにいきます。どうやら包丁はいいお値段がするらしいので、いくらかお安いナイフにすることにしました。
後はついでにあれも欲しいですね。魔導ガスコンロ。魔導なのにガスとは如何に? と思わなくはないんですが、見た目がガスコンロなんですよね。そして火の調整もまんまでした。原理は魔法技術の結晶らしいので『魔導』と頭につけられています。
なんと重量が3000ある上に3万Gもかかると聞いて、買うかどうか迷ってしまいました。だってこれ着火装置付きなんですよ?
火の魔法が要らないんです。欲しいです、超欲しい。
ナイフは安物にしましょうかね。今度からは体力に全振りすれば……そうしましょう。買います!
お金はパッと散財するに限りますね。
残り2万Gで中品質の解体ナイフを購入。高品質の奴ですと単品で10万はしますからね。これでも割といい方です。
品質の差は耐久値ぐらいで、私にはこっちでも十分。
中品質ですと耐久度が300。
対して高品質だと耐久度1000。
主にこれの違いですね。
そして包丁だと金額の桁が1~2つ違うので全然手が出ませんでした。いくらなんでも高すぎませんか?
手に入れた装備で早速調理を開始……しようと思いましたがまな板がないことに気づきました。
そういう意味では酒場の調理室ってなんでも揃ってるなーって感心してしまいます。まさに痒い所に手が届く! て感じなんですよねー。
しかし先ほどの買い物で全財産を使い切ってしまいました……どうしましょう。
仕方がないので酒場に赴き、バッグの中をチラ見せしながら交渉開始。
追加で10体買ってもらい、無事鉄板とまな板を追加購入できました。
わーパチパチ。これでお外でランチが食べられますね。
私もローズさんもニコニコです。
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皆様ありがとうございます😘
読んでくださる方や応援してくださる全てに
めっちゃ感謝を込めて💕
ありがとうございます💞
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
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