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序章 兄弟
アルフレッド、豊富な水源を得る
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アルフレッドはすぐさまアルに命令を出して別世界の水源を繋げる。
何もない場所なので周囲に気兼ねなく掘り進める。
するとどうだろう、グランドドラゴンの下敷きになってる真下から水が流れ出した。
「おぼっちゃま! 水が」
「僕の職能で水の通り道を作った。畑と同じ様な感覚だ」
「やはりおぼっちゃまの職能は素晴らしいものにございます。このサリィ、昨日から興奮を隠しきれません!」
「これで水源の大まかな目処はたった」
「明日には飲み水には困りませんね!」
「流石にそこまで上手くはいかないさ」
王の采配を使ってできるのは事業による開拓だ。
アルフレッドとて何でもかんでもやれるわけではない。
資金という名のコストを使って開拓してるに違いない。
<水路事業を開始しました>
<二つの事業を開始したことにより、覚醒の種を獲得しました>
思いもよらぬことで種を手に入れるアルフレッド。
よもや事業開拓の数に応じて報酬がもらえるとは思わなかった。
そして嬉しい誤算が一つ。
アルに命令させて溝を掘らせただけで水路Ⅰが手に入ったことである。
流石に基礎工事も碌にできぬが、指定した場所に水路を作る事が出来る様になったのが大きい。
そして種の入手。
人手を増やすには資金が足りないので先にアルをレベルアップさせることにした。
<覚醒の種をアルに使用しますか?>
頭の中で決定して、アルのレベルが2へと上昇した。
<アルが『トンネル工事』『下水工事』を取得した>
その世界では聞き慣れぬ言葉である。
工事の殆どは専門業者の生業であり、大規模工事は属性魔法使いの領域である。
ゆえにそれらは個人で扱えないものとされている。
だがアルはレベルを上げただけで個人で所有してしまったのである。
それを理解して、アルフレッドは先ほどの言葉を撤回した。
「いや、何とかなるみたいだ。今度からは井戸を通さず家に直接繋ぐよ」
「そんな事が可能なのですか?」
「それを可能とするのが僕の職能なんだ」
「すごいすごい!」
サリィは手放しでアルフレッドを褒め称えるが、身体のほとんどを預けていたアルフレッドは転びそうになってサリィをじっと睨みつける。
「ご、ごめんなさいおぼっちゃま!」
「次からは気をつけてくれよ?」
魔力のほとんどを手渡しているので、アルフレッドはサリィの采配一つでどうとでもされてしまうのだ。
水源の問題を解決したアルフレッドは、サリィと共に拠点へと帰ってきた。
「これで明日にはお水が飲めるんですね」
「お、果実が実ってる様だ」
「え、早すぎませんか?」
出かける前はまだ苗から目が出たばかり。
行って帰ってくるまでに二時間も経過していない。
「どうやら僕の職能はこの世の理が通用しないらしい」
もぎたての果実はジューシーで、ほんのり胡椒の味がした。
しかしほんのりと生の肉の味もする。
干し肉では無かったか。
「お肉の味がします。あれ? これ植物なんですよね」
「この事は内密にな?」
「誰にも話せませんよ! 言ったところで誰も信じてくれません」
「では僕たちで大切に扱おう。そう言えば調理器具は生きてるか?」
「火は起こせますが食器や調理器具は経年劣化が激しくて使い物になりません」
「そこもゆくゆくは考えないとな。と、そろそろか」
アルフレッドは王の采配を立ち上げてレベルアップしたアルがどこまで掘り進めたかを確認し、作業が確認してるのをみて水瓶を見た。
そこには並々と水が張られていた。
「ほら、水だ。サリィ、今度からここにある水を使うといい」
「えっ? いつの間に?」
「これが僕の職能なんだ」
「これを旦那様にご紹介したら廃嫡も取り消してもらえるのでは?」
サリィの言い分もわかる。
「だとしても兄さんが立ちはだかるだろう。僕は何かと恨まれてるからね」
「旦那様だって、おぼっちゃまに跡を継いで欲しそうでした」
「その期待に応えられなかった事実は拭えないんだ、サリィ。僕だってできる事ならこの手で侯爵領をより良くしてみたかった。でもそれは終わった事なんだよ。今の領主は兄さんだ。父様がそれを選び、決定を下した。領主の決定は絶対だ」
「本当に、残念です……」
「そうだね」
誰でもない、アルフレッドがその事実を重く受け止めていた。
だからと言って死ぬつもりもない。
そこで暮らせというのなら、いつまでも暮らしてやろうと思った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆アルフレッド
人間 男 10歳
才能 :王の采配<アナザーキングダム>
活動資金:9,000
記憶の鍵:0
昇格の種:0
<スキル>
『持ち込む』『取り出す』『指示出し』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<従者>
☆アルLV2
<アバター>
『高速開墾』『作物促進の手』『トンネル工事』『下水工事』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<事業>
★農業Ⅰ
・指定した土地を理想の農地に変える
★水路Ⅰ
・指定した場所に水路を通す
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
☆畜産Ⅰ_3000
☆林業Ⅰ_3000
☆街道Ⅰ_5000
☆建築Ⅰ_5000
☆調理Ⅰ_8000
☆調薬Ⅰ_8000
☆貿易Ⅰ_5000
☆製布Ⅰ_8000
☆鍛治Ⅰ_10000
☆炭鉱Ⅰ_30000
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何もない場所なので周囲に気兼ねなく掘り進める。
するとどうだろう、グランドドラゴンの下敷きになってる真下から水が流れ出した。
「おぼっちゃま! 水が」
「僕の職能で水の通り道を作った。畑と同じ様な感覚だ」
「やはりおぼっちゃまの職能は素晴らしいものにございます。このサリィ、昨日から興奮を隠しきれません!」
「これで水源の大まかな目処はたった」
「明日には飲み水には困りませんね!」
「流石にそこまで上手くはいかないさ」
王の采配を使ってできるのは事業による開拓だ。
アルフレッドとて何でもかんでもやれるわけではない。
資金という名のコストを使って開拓してるに違いない。
<水路事業を開始しました>
<二つの事業を開始したことにより、覚醒の種を獲得しました>
思いもよらぬことで種を手に入れるアルフレッド。
よもや事業開拓の数に応じて報酬がもらえるとは思わなかった。
そして嬉しい誤算が一つ。
アルに命令させて溝を掘らせただけで水路Ⅰが手に入ったことである。
流石に基礎工事も碌にできぬが、指定した場所に水路を作る事が出来る様になったのが大きい。
そして種の入手。
人手を増やすには資金が足りないので先にアルをレベルアップさせることにした。
<覚醒の種をアルに使用しますか?>
頭の中で決定して、アルのレベルが2へと上昇した。
<アルが『トンネル工事』『下水工事』を取得した>
その世界では聞き慣れぬ言葉である。
工事の殆どは専門業者の生業であり、大規模工事は属性魔法使いの領域である。
ゆえにそれらは個人で扱えないものとされている。
だがアルはレベルを上げただけで個人で所有してしまったのである。
それを理解して、アルフレッドは先ほどの言葉を撤回した。
「いや、何とかなるみたいだ。今度からは井戸を通さず家に直接繋ぐよ」
「そんな事が可能なのですか?」
「それを可能とするのが僕の職能なんだ」
「すごいすごい!」
サリィは手放しでアルフレッドを褒め称えるが、身体のほとんどを預けていたアルフレッドは転びそうになってサリィをじっと睨みつける。
「ご、ごめんなさいおぼっちゃま!」
「次からは気をつけてくれよ?」
魔力のほとんどを手渡しているので、アルフレッドはサリィの采配一つでどうとでもされてしまうのだ。
水源の問題を解決したアルフレッドは、サリィと共に拠点へと帰ってきた。
「これで明日にはお水が飲めるんですね」
「お、果実が実ってる様だ」
「え、早すぎませんか?」
出かける前はまだ苗から目が出たばかり。
行って帰ってくるまでに二時間も経過していない。
「どうやら僕の職能はこの世の理が通用しないらしい」
もぎたての果実はジューシーで、ほんのり胡椒の味がした。
しかしほんのりと生の肉の味もする。
干し肉では無かったか。
「お肉の味がします。あれ? これ植物なんですよね」
「この事は内密にな?」
「誰にも話せませんよ! 言ったところで誰も信じてくれません」
「では僕たちで大切に扱おう。そう言えば調理器具は生きてるか?」
「火は起こせますが食器や調理器具は経年劣化が激しくて使い物になりません」
「そこもゆくゆくは考えないとな。と、そろそろか」
アルフレッドは王の采配を立ち上げてレベルアップしたアルがどこまで掘り進めたかを確認し、作業が確認してるのをみて水瓶を見た。
そこには並々と水が張られていた。
「ほら、水だ。サリィ、今度からここにある水を使うといい」
「えっ? いつの間に?」
「これが僕の職能なんだ」
「これを旦那様にご紹介したら廃嫡も取り消してもらえるのでは?」
サリィの言い分もわかる。
「だとしても兄さんが立ちはだかるだろう。僕は何かと恨まれてるからね」
「旦那様だって、おぼっちゃまに跡を継いで欲しそうでした」
「その期待に応えられなかった事実は拭えないんだ、サリィ。僕だってできる事ならこの手で侯爵領をより良くしてみたかった。でもそれは終わった事なんだよ。今の領主は兄さんだ。父様がそれを選び、決定を下した。領主の決定は絶対だ」
「本当に、残念です……」
「そうだね」
誰でもない、アルフレッドがその事実を重く受け止めていた。
だからと言って死ぬつもりもない。
そこで暮らせというのなら、いつまでも暮らしてやろうと思った。
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◆アルフレッド
人間 男 10歳
才能 :王の采配<アナザーキングダム>
活動資金:9,000
記憶の鍵:0
昇格の種:0
<スキル>
『持ち込む』『取り出す』『指示出し』
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<従者>
☆アルLV2
<アバター>
『高速開墾』『作物促進の手』『トンネル工事』『下水工事』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<事業>
★農業Ⅰ
・指定した土地を理想の農地に変える
★水路Ⅰ
・指定した場所に水路を通す
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☆畜産Ⅰ_3000
☆林業Ⅰ_3000
☆街道Ⅰ_5000
☆建築Ⅰ_5000
☆調理Ⅰ_8000
☆調薬Ⅰ_8000
☆貿易Ⅰ_5000
☆製布Ⅰ_8000
☆鍛治Ⅰ_10000
☆炭鉱Ⅰ_30000
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