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七章 探索! 並行世界
業務提携
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なんだかんだと難癖をつけつつ、やはりマナ不足に悩んでいたランキング下位のダンジョンマスターは、俺の提案に乗らざるを得なかった。
今回、なんでこんな真似をしたかと言えば。
ダンジョンマスター同士の連携はともかくとして、顔繋ぎしておくことでダンジョンを通じて平和な日本で新婚生活を満喫する腹積りだ。
え、ジャキンガルでの生活はなんだったのかって?
あんなのはエルフの暮らしを模倣しただけにすぎない。
現代人の俺たちがなんであんな暮らしをせにゃならんのだ。
なのでノーカウント!
是非もなし。
それ以前に穴蔵に閉じこもってダンジョン生活するのは気が滅入るんだってさ。
俺は楽しいけど、それにお付き合いしてくれる美玲さんとしてはご不満なのだそうだ。
で、最初に赴いたダンジョンは沖縄の那覇エリアにあるダンジョン。
ダンジョンの周りにはダンジョン協会の敷いたバリアが展開され、地上に一切の被害を与えずに一般人は普通の生活をしていた。
俺たちは人間モードになって観光しつつ、ついでにダンジョンマスター同士の交友を深めていく感じで色々融通する。
まさに一石二鳥!
美玲さんを連れ添って行くことによって、ダンジョン側にもメリットがあるしな。
「今日はお越しいただきありがとうございます、三嶋ダンジョンさん」
「ああ、那覇ダンジョンさんの噂はかねがね。なんでも画期的なマナ保有コンボを思いついたはいいけど、維持させるためのシーカーの確保ができずに頭打ちなんだって?」
「頭の痛いことに、どうも序盤のトラップで足踏みしているようでしてなかなか前進してくれないんです」
「ならばそのトラップを撤去させて丸々一つ俺に預からせてもらえないか?」
「うちのダンジョンの、ですか?」
「ああ、勿論フロアを借りるのでマナを支払うよ。どれくらい居る?」
「今はいくらでも欲しいですが、可能であるなら10,000程」
マナ一10,000。
初期費用が5,000なことを考えるに結構求めてる感じに聞こえるが、二ヶ月以上生き残ったダンジョンからすればそんなものでいいのか? と疑わしくなる。
もっと欲しいのが実情だろうが、掲示板の俺の飽きっぽい態度を察して少なめに見積もってくれたのだろう。
一番先にここにきた時点でそんなつもりはないのにな。
「いや、10万出す。月々だ」
「そんなに頂けるのですか!?」
目を剥いて驚かれた。
まぁ、それもそうか月々10万。
何もせずとも入ってくるならそれだけ運営が楽になるか考えるまでもない。
勿論この支払いには裏がある。
俺の仲間に引き込むための先行投資。
これがその10万の家賃だった。
「実は懇意にしてる研究者が、保有してるマナを結晶化して持ち運ぶ技術を開発してね。俺はマナが有り余ってるからこうやってダンジョンマスター側へ譲渡することができるが、他のマスターには話さないでおくれよ?」
こくこくと頷く那覇ダンジョンさん。
どの道業務提携するダンジョンには話すつもりだが、俺から言うのでお前はからは言うなという釘刺しだ。
言ったところで僻まれるのがオチだしな。
そしてこの結晶の用途方法は二つ。
そのまま自分が取り込むか、ダンジョンコアに取り込ませるか。
この選択は非常に悩ましい。
ダンジョンマスターにとってダンジョンのトラップにはいつも悩みの種。ポイント=保有マナなので、試したいことがあれもこれもある。
貰ったのをそのまま使いたいだろう状況に陥りながらも、那覇ダンジョンさんは俺の言葉通りにそれを自分で飲み込んでいた。
それと言うのも、これはダンジョンコアとダンジョンマスターが一蓮托生ではないことに付随する。
ダンジョンとは一つのハードであり、ソフトウェアのダンジョンマスターを取り替えることであらゆるパフォーマンスに適応するのだ。
要はマスターなんて誰でもいい。
しかしそれを解消する一つの解決策が、ダンジョンマスターそのものの強化。ダンジョンコアから本当の意味でマスターとして羨まれる存在へと至れば、コアの方から寄ってくるわけだ。俺のように。
那覇ダンジョンさんも自らを成長させることによって長い間中間管理職の立場を返上し、社長の意思へと着任することに成功した。
「一段階成長した気分はどうだ、那覇ダンジョンさん?」
「世界が変わったような感覚だ。これが真なるマスターの目覚めか?」
すっかり人間をやめたシルエットを取る那覇ダンジョンさん。
どこか小物っぽさがぬけて、すっかり強者のオーラを纏っていた。
保有マナ10万の貫禄だ。
とってつけたものでも、実際それを目の当たりにすればシーカーたちは怯むだろう。
俺? 俺はどうも威厳がないらしいぞ?
魔族とは縁遠いナリをしてるからかもな。
エルフの中でもチャラそうな風体をしてるんだそうだ。
ひどくない?
「さて、では交渉を始めよう」
「ああ」
那覇ダンジョンさんに先行投資の10万を払ったので、向こうもこちらの意見を飲まざるを得ない。
交渉はトントン拍子で終わった。
入り口のフロアは、俺のラウンジと化し、協会側に話を通して那覇でも転移チケットの販売を開始する。
武器の方は自動販売機と両替機を各階層に配置。
一度購入した武器や手に入れた資材をIsに変換する両替機だ。
勿論変換されたマナは那覇ダンジョンさんの持ちマナに付与される。
その代わり宝箱を配置し、資材やダンジョン内通貨の補填などは那覇ダンジョンさんに任せた。
こっちは月々“カウンター転移”に設定したマナ結晶を送るだけ。
設置そのものも那覇ダンジョンさんに任せて沖縄旅行を満喫した。
やはり透明度の高い海はいい。
異世界の海はモンスターが住みついててろくに遊泳できたもんじゃないし、久しぶりに羽が伸ばせたよ。
その日の夜は大層盛り上がった事をここに記しておく。
ホテルのフロントであったかい笑みを向けられたのは言うまでもない。だって美玲さん、声抑えないんだもん。
今回、なんでこんな真似をしたかと言えば。
ダンジョンマスター同士の連携はともかくとして、顔繋ぎしておくことでダンジョンを通じて平和な日本で新婚生活を満喫する腹積りだ。
え、ジャキンガルでの生活はなんだったのかって?
あんなのはエルフの暮らしを模倣しただけにすぎない。
現代人の俺たちがなんであんな暮らしをせにゃならんのだ。
なのでノーカウント!
是非もなし。
それ以前に穴蔵に閉じこもってダンジョン生活するのは気が滅入るんだってさ。
俺は楽しいけど、それにお付き合いしてくれる美玲さんとしてはご不満なのだそうだ。
で、最初に赴いたダンジョンは沖縄の那覇エリアにあるダンジョン。
ダンジョンの周りにはダンジョン協会の敷いたバリアが展開され、地上に一切の被害を与えずに一般人は普通の生活をしていた。
俺たちは人間モードになって観光しつつ、ついでにダンジョンマスター同士の交友を深めていく感じで色々融通する。
まさに一石二鳥!
美玲さんを連れ添って行くことによって、ダンジョン側にもメリットがあるしな。
「今日はお越しいただきありがとうございます、三嶋ダンジョンさん」
「ああ、那覇ダンジョンさんの噂はかねがね。なんでも画期的なマナ保有コンボを思いついたはいいけど、維持させるためのシーカーの確保ができずに頭打ちなんだって?」
「頭の痛いことに、どうも序盤のトラップで足踏みしているようでしてなかなか前進してくれないんです」
「ならばそのトラップを撤去させて丸々一つ俺に預からせてもらえないか?」
「うちのダンジョンの、ですか?」
「ああ、勿論フロアを借りるのでマナを支払うよ。どれくらい居る?」
「今はいくらでも欲しいですが、可能であるなら10,000程」
マナ一10,000。
初期費用が5,000なことを考えるに結構求めてる感じに聞こえるが、二ヶ月以上生き残ったダンジョンからすればそんなものでいいのか? と疑わしくなる。
もっと欲しいのが実情だろうが、掲示板の俺の飽きっぽい態度を察して少なめに見積もってくれたのだろう。
一番先にここにきた時点でそんなつもりはないのにな。
「いや、10万出す。月々だ」
「そんなに頂けるのですか!?」
目を剥いて驚かれた。
まぁ、それもそうか月々10万。
何もせずとも入ってくるならそれだけ運営が楽になるか考えるまでもない。
勿論この支払いには裏がある。
俺の仲間に引き込むための先行投資。
これがその10万の家賃だった。
「実は懇意にしてる研究者が、保有してるマナを結晶化して持ち運ぶ技術を開発してね。俺はマナが有り余ってるからこうやってダンジョンマスター側へ譲渡することができるが、他のマスターには話さないでおくれよ?」
こくこくと頷く那覇ダンジョンさん。
どの道業務提携するダンジョンには話すつもりだが、俺から言うのでお前はからは言うなという釘刺しだ。
言ったところで僻まれるのがオチだしな。
そしてこの結晶の用途方法は二つ。
そのまま自分が取り込むか、ダンジョンコアに取り込ませるか。
この選択は非常に悩ましい。
ダンジョンマスターにとってダンジョンのトラップにはいつも悩みの種。ポイント=保有マナなので、試したいことがあれもこれもある。
貰ったのをそのまま使いたいだろう状況に陥りながらも、那覇ダンジョンさんは俺の言葉通りにそれを自分で飲み込んでいた。
それと言うのも、これはダンジョンコアとダンジョンマスターが一蓮托生ではないことに付随する。
ダンジョンとは一つのハードであり、ソフトウェアのダンジョンマスターを取り替えることであらゆるパフォーマンスに適応するのだ。
要はマスターなんて誰でもいい。
しかしそれを解消する一つの解決策が、ダンジョンマスターそのものの強化。ダンジョンコアから本当の意味でマスターとして羨まれる存在へと至れば、コアの方から寄ってくるわけだ。俺のように。
那覇ダンジョンさんも自らを成長させることによって長い間中間管理職の立場を返上し、社長の意思へと着任することに成功した。
「一段階成長した気分はどうだ、那覇ダンジョンさん?」
「世界が変わったような感覚だ。これが真なるマスターの目覚めか?」
すっかり人間をやめたシルエットを取る那覇ダンジョンさん。
どこか小物っぽさがぬけて、すっかり強者のオーラを纏っていた。
保有マナ10万の貫禄だ。
とってつけたものでも、実際それを目の当たりにすればシーカーたちは怯むだろう。
俺? 俺はどうも威厳がないらしいぞ?
魔族とは縁遠いナリをしてるからかもな。
エルフの中でもチャラそうな風体をしてるんだそうだ。
ひどくない?
「さて、では交渉を始めよう」
「ああ」
那覇ダンジョンさんに先行投資の10万を払ったので、向こうもこちらの意見を飲まざるを得ない。
交渉はトントン拍子で終わった。
入り口のフロアは、俺のラウンジと化し、協会側に話を通して那覇でも転移チケットの販売を開始する。
武器の方は自動販売機と両替機を各階層に配置。
一度購入した武器や手に入れた資材をIsに変換する両替機だ。
勿論変換されたマナは那覇ダンジョンさんの持ちマナに付与される。
その代わり宝箱を配置し、資材やダンジョン内通貨の補填などは那覇ダンジョンさんに任せた。
こっちは月々“カウンター転移”に設定したマナ結晶を送るだけ。
設置そのものも那覇ダンジョンさんに任せて沖縄旅行を満喫した。
やはり透明度の高い海はいい。
異世界の海はモンスターが住みついててろくに遊泳できたもんじゃないし、久しぶりに羽が伸ばせたよ。
その日の夜は大層盛り上がった事をここに記しておく。
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