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六章 体験! エルフの暮らし
時限門
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「登場の仕方が悪役なんだよなぁ」
「下野っち! さっきぶりー」
「無事帰還できた様で何より。次元門もしっかり定着できて向こうの研究所ともこの扉一つで行き来できる様になったからね。僕の帰省にも役立つよ」
何勝手なこと言ってんだ、こいつ。
人ん家から自由に行き来できるみたいに言いやがって。
おっとっと、赤子が泣き出しそうだ。
変顔しながら笑いを誘う。
「あばばばー」
「キャッキャッ」
「あっくんおもしろーい」
「磯貝君もすっかりお父さんね。男の人って子供ができてようやく自覚するっていうけど、磯貝君はまさにその典型ね」
一人子を抱きかかえる姫路さんが下野をジト目で見ながら不満を漏らす。
どうもこの夫婦間では自分の子供という認識よりホムンクルスの生みの親の認識が強く、俺の様に親の気持ちは抱かない様だ。
その太々しい顔立ちとか下野にそっくりなのにさ。
「しかし、ひとんちの廊下に許可なくそんなもん結ぶなよな」
「許可ならとってあるぞ?」
「あたしが許可したわ。あんた、連絡取れない時は本当に取れないから。それだと美玲ちゃんも困るでしょ? 同じ世界ならともかく、異世界じゃない? それに孫まで連れてきてもらって母さんが断ると思う? ほら、あーくんは預かってあげるからあんたはそっちでお話ししてなさい」
傍から出てきたかーちゃんに子供を強奪され、手持ち無沙汰になった俺は仕方なく下野に向き直る。
「で、お前何しにきたの? これから夫婦水入らずでしっぽり行こうと思ってたのによ」
「おっと、お邪魔だったかな? 実は僕達新婚旅行先を探していたんだよ。どうせならその仲介をここの会社に頼もうと思ってね」
その手土産に子供持ってきたのかよ。
かーちゃんが二つ返事で首を縦に振る光景が浮かんで見える。
「アトランザで暮らしてる限り私達って仕事に追われ続けてお互いをそこまで意識しないと思うのよ。だから行ったことのない世界が良いかなって」
「じゃあ異世界ストリーム行くか?」
「殺す気?」
秒で断られた。
目がマジだ。本気で殺意を持たれかねないので揶揄うのはこれくらいにして、それなりにスリルがあってゆったり暮らせる場所を見繕う。
っていうか会社での評価を見ればジャキンガルがそこそこ評価高いんだよな。
なんといっても人類の文明が滅んでるから貴族もいないし、胸糞要素が今のところ薄い。
その代わり文明がないから原始時代の暮らしを強要させられるが、そこで得られる能力が【固有魔法】というもので世界中に散らばってる妖精~精霊にお願いして願いを叶えてもらうタイプにファンタジー世界だ。
俺も話で聞くくらいであんまり詳しく知らないが、中途半端なファンタジ要素で俺TUEEEするより、スローライフを目的とした層からの評価が高いらしい。(※とーちゃん調べ)
「じゃあジャキンガルとかどうだ?」
「ジャキンガル? トモ君知ってる?」
「聞いたことはあるけど詳しくは知らないなあ」
「魔法文明が栄えてて、何故か人類が滅亡してる。サバイバルを強いられる事からチーレム無双を望む層には見向きもされないが、のんびりと自然を楽しむスローライフ希望者からの評価は高いよ。うちもリピーターが多くてさ。掘り出し物目当てでも一度じっくり見て回りたいと思ってたんだよ」
「磯貝君達も来てくれるの?」
「会社の責任者としては転移先に不備があってもいけないだろ?」
「それはそうなんだけど、付き合わせてしまってごめんなさいね?」
姫路さんが申し訳なさそうに頭を下げる。
俺は気にしないで良いよと手で制す。
「ママさん達も行き来できるように転移ドア設置しちゃう?」
「美玲さんがいない限り開かないし、設置しても問題なければ僕は吝かではないよ?」
下野は二つ返事で了承して、何やら設計図を広げ始める。
また家主に断りもなく扉の増設を思案してるらしい。
しかし美玲さんがいないと開かないとはどういう意味だ?
「この扉、移動するのに一定のマナを求められるんだ。目的の場所にまで移動するのに大体一回で100万は求められるかな? 美玲さんなら上限に関わらずMAXに出来ちゃうから、転移に求められるマナ問題をすぐ解決できる」
「逆に容量が足りないと?」
「ただの扉っぽい壁だよ。この扉の横にあるおおよそ100万のマナ結晶が点灯しない限り向こうへ飛べないから安心してくれて良い」
「それ、お前らも帰れないやつじゃね?」
「だから美玲さんの力が必要なのよ。最悪磯貝君に頼んでも良いけど、事務所を通してくれっていうじゃない?」
「そりゃ、な。でもうちの奥さんをこき使われてるのを目撃したらそれこそ俺に言えよともなるわけさ」
自分で言ってて面倒な対応だと思う。
でも一度甘い汁吸った奴らって際限ないから。
パパラッチもそうだが校長先生も政府までもが次々に要求だけ飛ばしてきたからな。本当に懲り懲りなんだよ、そういうのは。
「つーわけで、かーちゃん。あーくん返して」
「ちょ、お母さんから孫を奪う気?」
「まだ愛で足りないから後で返すよ。それに美玲さんも寂しそうだから」
「こっちはあんたに気を遣って預かってあげてたっていうのにね。しっぽりしてる間子持ちはどうするんだい?」
あっ、忘れてた。
いくらホムンクルスとはいえ、見て覚えるこの子が脳の若いうちにそっちの情報だらけになってしまったら親の監督不行届。
かーちゃんの言い分も尤もなので、後で引き取ることにして下野一家を連れて俺たちは異世界ジャキンガルへと転移した。
「下野っち! さっきぶりー」
「無事帰還できた様で何より。次元門もしっかり定着できて向こうの研究所ともこの扉一つで行き来できる様になったからね。僕の帰省にも役立つよ」
何勝手なこと言ってんだ、こいつ。
人ん家から自由に行き来できるみたいに言いやがって。
おっとっと、赤子が泣き出しそうだ。
変顔しながら笑いを誘う。
「あばばばー」
「キャッキャッ」
「あっくんおもしろーい」
「磯貝君もすっかりお父さんね。男の人って子供ができてようやく自覚するっていうけど、磯貝君はまさにその典型ね」
一人子を抱きかかえる姫路さんが下野をジト目で見ながら不満を漏らす。
どうもこの夫婦間では自分の子供という認識よりホムンクルスの生みの親の認識が強く、俺の様に親の気持ちは抱かない様だ。
その太々しい顔立ちとか下野にそっくりなのにさ。
「しかし、ひとんちの廊下に許可なくそんなもん結ぶなよな」
「許可ならとってあるぞ?」
「あたしが許可したわ。あんた、連絡取れない時は本当に取れないから。それだと美玲ちゃんも困るでしょ? 同じ世界ならともかく、異世界じゃない? それに孫まで連れてきてもらって母さんが断ると思う? ほら、あーくんは預かってあげるからあんたはそっちでお話ししてなさい」
傍から出てきたかーちゃんに子供を強奪され、手持ち無沙汰になった俺は仕方なく下野に向き直る。
「で、お前何しにきたの? これから夫婦水入らずでしっぽり行こうと思ってたのによ」
「おっと、お邪魔だったかな? 実は僕達新婚旅行先を探していたんだよ。どうせならその仲介をここの会社に頼もうと思ってね」
その手土産に子供持ってきたのかよ。
かーちゃんが二つ返事で首を縦に振る光景が浮かんで見える。
「アトランザで暮らしてる限り私達って仕事に追われ続けてお互いをそこまで意識しないと思うのよ。だから行ったことのない世界が良いかなって」
「じゃあ異世界ストリーム行くか?」
「殺す気?」
秒で断られた。
目がマジだ。本気で殺意を持たれかねないので揶揄うのはこれくらいにして、それなりにスリルがあってゆったり暮らせる場所を見繕う。
っていうか会社での評価を見ればジャキンガルがそこそこ評価高いんだよな。
なんといっても人類の文明が滅んでるから貴族もいないし、胸糞要素が今のところ薄い。
その代わり文明がないから原始時代の暮らしを強要させられるが、そこで得られる能力が【固有魔法】というもので世界中に散らばってる妖精~精霊にお願いして願いを叶えてもらうタイプにファンタジー世界だ。
俺も話で聞くくらいであんまり詳しく知らないが、中途半端なファンタジ要素で俺TUEEEするより、スローライフを目的とした層からの評価が高いらしい。(※とーちゃん調べ)
「じゃあジャキンガルとかどうだ?」
「ジャキンガル? トモ君知ってる?」
「聞いたことはあるけど詳しくは知らないなあ」
「魔法文明が栄えてて、何故か人類が滅亡してる。サバイバルを強いられる事からチーレム無双を望む層には見向きもされないが、のんびりと自然を楽しむスローライフ希望者からの評価は高いよ。うちもリピーターが多くてさ。掘り出し物目当てでも一度じっくり見て回りたいと思ってたんだよ」
「磯貝君達も来てくれるの?」
「会社の責任者としては転移先に不備があってもいけないだろ?」
「それはそうなんだけど、付き合わせてしまってごめんなさいね?」
姫路さんが申し訳なさそうに頭を下げる。
俺は気にしないで良いよと手で制す。
「ママさん達も行き来できるように転移ドア設置しちゃう?」
「美玲さんがいない限り開かないし、設置しても問題なければ僕は吝かではないよ?」
下野は二つ返事で了承して、何やら設計図を広げ始める。
また家主に断りもなく扉の増設を思案してるらしい。
しかし美玲さんがいないと開かないとはどういう意味だ?
「この扉、移動するのに一定のマナを求められるんだ。目的の場所にまで移動するのに大体一回で100万は求められるかな? 美玲さんなら上限に関わらずMAXに出来ちゃうから、転移に求められるマナ問題をすぐ解決できる」
「逆に容量が足りないと?」
「ただの扉っぽい壁だよ。この扉の横にあるおおよそ100万のマナ結晶が点灯しない限り向こうへ飛べないから安心してくれて良い」
「それ、お前らも帰れないやつじゃね?」
「だから美玲さんの力が必要なのよ。最悪磯貝君に頼んでも良いけど、事務所を通してくれっていうじゃない?」
「そりゃ、な。でもうちの奥さんをこき使われてるのを目撃したらそれこそ俺に言えよともなるわけさ」
自分で言ってて面倒な対応だと思う。
でも一度甘い汁吸った奴らって際限ないから。
パパラッチもそうだが校長先生も政府までもが次々に要求だけ飛ばしてきたからな。本当に懲り懲りなんだよ、そういうのは。
「つーわけで、かーちゃん。あーくん返して」
「ちょ、お母さんから孫を奪う気?」
「まだ愛で足りないから後で返すよ。それに美玲さんも寂しそうだから」
「こっちはあんたに気を遣って預かってあげてたっていうのにね。しっぽりしてる間子持ちはどうするんだい?」
あっ、忘れてた。
いくらホムンクルスとはいえ、見て覚えるこの子が脳の若いうちにそっちの情報だらけになってしまったら親の監督不行届。
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