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二章 ダンジョンアタック!

動き出す計画

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 取り敢えず、ダンジョンは危険という事で緊急措置として異世界に送ることにした。
 あの王国のすぐ近くだ。

 世界中のダンジョンとダンジョンから出てきたであろうモンスターと共に異世界送りだ。
 ヨッシ、一件落着だな!

 良いことした後は飯がうまいぜ!
 学食で焼きそばパンをカッ食らいながら、異世界に全部押し付けてやった事を校内放送で教えておく。

 政府からは余計な事をしてくれたと学校に直接文句が来たそうだが、市民の安全より優先することがあるのかね、と突っ返してやった。


 ◇◇◇

 <side魔族>

 暗闇の中で三つの影が浮かび上がった。


「斥候部隊はどうなっている?」

「概ね順調とのことです」

「だがおかしな事実が一つ」

「何だ? 不穏の芽が現れたか?」

「いえ、どうも現地にマナの反応があるとのことです。確かにここはマナが一切ない場所との情報でしたが……」

「星読みの巫女が情報を違えたと?」

「いいえ、何度もアクセスする際に検証しました。あの地にマナの流れはないと」

「だがあった? どう言うことだ。我らに見えぬように隠していたと言うのか? だとしたらより慎重に動く必要が出てくるな」

「ええ、非常に不思議なことにございますが」


 徘徊の影は萎縮しながら上司に答える。
 しかしマナがあるのなら好都合だと上司は告げた。


「ならばそのマナの木を我らの手土産とし、陛下に献上するのだ!」

「ハッ! 全ては我らが魔族のために!」


 ◇◇◇


 <sideエミリー>

 レグゼル王国内では不可解な事件が横行していた。
 それは旅傘なら時限震による一時的まな不足である。

 地震が起こると魔法が使えなくなる現象は、魔法優位のレグゼル王国において厄介事として最上位に置かれた。

 地球人と関わってから碌な目にあってないエミリー。
 癇癪の吐口であったマクベスも、異世界から送られてきた人間と共に牢に入れていたらいつの間にやらいなくなっていた。

 これではストレスの発散する相手がいないとヤキモキするばかりである。

「ちょっとオスカー、いくら何でもおかしくありませんか? あの異世界人と関わってから、わたくしには不都合なことばかり。ようやく戦争の指揮権が手に入ったと思ったら、全世界的にマナが不足して魔法が使えないとか、一体わたくしに何の恨みがあると言うのでしょう?」

「おいたわしや、エミリー様。ですが我々もわからぬ事態ゆえ、敵国からも一時戦争を中止にしては如何との証書が送られてきています。今回はそれを受け入れては如何でしょうか?」

「お黙り! そんな見せかけの詔書にいったい何の意味があると言うのです? こちらに休む口実を与えておいて、向こうは戦の準備をしているに違いありませんわ! その為の異世界人だと言うのに、揃いも揃ってあの男の支配下。わたくしが何度煮湯を飲まされたと思っていますの!?」


 エミリーはもはや我慢の限界だった。
 兄の失脚を機に一気に民衆の期待を掻っ攫う算段が全て裏目に出てしまっていた。
 ようやく手にした最強の切り札も、いつのまにか手元から幻のように書き消えてしまった。

 代わりの兵も、もぬけの殻。
 これでは戦力増強も何もあったものではない。
 財を無駄に消費しただけで回収すらできぬまま負けが見えている。
 もうエミリーには一刻の猶予もなかった。

 そもそも兄が負けるからエミリーがこうも追い詰められているのだが、国民は勇敢なる王女だと信じて疑わぬし、英雄的そのお力でお守りくださると盲信的に信じ切っている。

 如何に多くの属性をあやつれようと、MPは有限である。
 全ての戦争に出ずっぱりなど予定外。
 エミリーは役に立たなくても良いから代替えの魔法使いを用意してほしいと駄々をこねていた。

 しかし「これだ!」と言う魔法使いを見つけても数日したらどこぞへといなくなってしまう。
 まるで負のスパイラルだ。


「こうなったらあれを使いますわよ」

「正気ですか!? エミリー様」


 アレ……とは?
 王国民を生贄にして呼び出す召喚獣のことである。
 それを使役し、敵国を支配。
 そのまま国を乗っ取る算段だ。
 無能に人権はない。エミリーのような王国人は特にその思想が特に強く、一度決定したら決行までは割とあっさり決まった。

 だがその決行日、まさかあんな出来事が起こるだなんて、エミリーですら予想だにしていなかった。
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