お持ち帰り召喚士磯貝〜なんでも持ち運び出来る【転移】スキルで異世界つまみ食い生活〜

双葉 鳴|◉〻◉)

文字の大きさ
上 下
6 / 95
序章 異世界転移

異世界ふたたび

しおりを挟む
「先生! なんかレベル上がりました!」

「何!? どんなだ?」


 先生より早く駆けつけたのは木村だった。またお前俺の情報を拡散する気だろう? そうは問屋が卸さないからな?


「落ち着けよ木村。早く日本に帰ってお前のチャンネルがどれだけバズったか確認したい気持ちもわかる。けど俺の新しいスキルはお前を選択肢から外すこともできるんだぜ? 口の聞き方には気をつけるんだな」

「磯貝、そうやってクラスメイトを脅すとは呆れたやつだな」

「先生だってあの規模のマスコミが自宅前に押しかければ俺の気持ちがわかりますよ。朝からカメラの音とインターホンの音がうるさくて近所迷惑も甚だしいし、かーちゃんなんてノイローゼになってましたよ。俺の情報をマスコミにリークしたのは情報拡散能力の高いこいつじゃないかって踏んでるんです」

「そんな事があったのか。お前の情報には幾度か助けられてるが、それをクラスメイトに向けちゃダメだろ。反省しなさい!」

「反省してまーす」

「ヨシ!」


 ヨシじゃねーよ。全然反省の色が見えねーんだけど、そいつ。


「それよりも磯貝君、君の転移スキルは画期的だな! 僕はお前はやるやつだって思ってたよ!」


 岡戸が調子の良いことを言っている。
 魔法が使えるのがそんなに嬉しいか。そうか。


「じゃあ俺たちは一旦学校に帰るから、残りたい連中は手を挙げて」


 クラスメイトの半分以上が手を挙げる。後先生も。
 って先生もそっち側かよ!
 さては岡戸と同じく魔法スキルとか手に入れてたクチだな?


「桂木先生ー、授業は?」

「これは仕方のないことなんだ」

「まぁ良いっすけど。じゃあまた来週来ますね。帰るかどうかはその時決めてください」


 なんだかんだで、帰れる手段があるのなら異世界に俄然興味を抱く連中が多かったってことだ。よもやクラスメイトの殆どが異世界に残りたいというとは思いもしなかったぜ。


「磯貝、俺はもちろん帰るぜ?」


 木村である。お前は帰ってもろくなことしないからダメ。

 俺はルームの選択肢に『木村翔吾以外の日本に帰りたい学校関係者』『学校』を指定して学校跡地へと帰還した。

 俺が即座に元の世界に帰るとは思ってもみなかったマスコミ達?

 さぁ、それは俺の預かり知らぬことだし。
 好き勝手やった連中なんだし、少しは異世界で反省すれば良いんじゃないか?

 なお、授業は担任の桂木が辞退したので自習となった。
 帰ってきたクラスメイト達は総じてハズレスキルを受け取った様で、俺の転移スキルをありがたがっていた。


「磯貝君って、やるときはやるんだね? 今まで同じクラスだったのに全然目立たなかったから意外」


 帰還者の1人、笹島美玲は俺の席の右斜め後ろ。
 普段ぼっちの俺に話しかけてくることなんてまずなかったのに、何度か転移スキルを使用したらこうして話しかけてくる様になった。


「あー、あんまり目立つの好きじゃないからね、俺」

「えー、そんなド派手なスキルもらっておいて?」

「それは俺の都合じゃないし」

「あはは、言えてるー」

「笹島さんは何もらったの?」

「え、それ聞いちゃうー?」

「俺にだけ聞いておいて隠すのはズルくない?」


 ほぼ半分以上のクラスが異世界に残った為、教室は閑散としていた。
 ここではマスコミ紛いの木村もいなければ、不良の鮫島、カースト上位の金谷も不在。目立つ様な存在は総じて異世界に置いてきた。

 居残りたいと挙手をしたので邪魔するやつはいなかった。

 まさかこのスキルが俺に春を告げてくれるなんて思いもしなかった。

 つって、距離が縮もうと恋人なんかになったわけでもなく、ただのクラスメイトからは脱却できてないんだけどさ。
 ほんのちょっと、学校に楽しさが見出せた気がした。
しおりを挟む
感想 27

あなたにおすすめの小説

元万能技術者の冒険者にして釣り人な日々

於田縫紀
ファンタジー
俺は神殿技術者だったが過労死して転生。そして冒険者となった日の夜に記憶や技能・魔法を取り戻した。しかしかつて持っていた能力や魔法の他に、釣りに必要だと神が判断した様々な技能や魔法がおまけされていた。 今世はこれらを利用してのんびり釣り、最小限に仕事をしようと思ったのだが…… (タイトルは異なりますが、カクヨム投稿中の『何でも作れる元神殿技術者の冒険者にして釣り人な日々』と同じお話です。更新が追いつくまでは毎日更新、追いついた後は隔日更新となります)

無尽蔵の魔力で世界を救います~現実世界からやって来た俺は神より魔力が多いらしい~

甲賀流
ファンタジー
なんの特徴もない高校生の高橋 春陽はある時、異世界への繋がるダンジョンに迷い込んだ。なんだ……空気中に星屑みたいなのがキラキラしてるけど?これが全て魔力だって? そしてダンジョンを突破した先には広大な異世界があり、この世界全ての魔力を行使して神や魔族に挑んでいく。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

ダンジョンブレイクお爺ちゃんズ★

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
人類がリアルから撤退して40年。 リアルを生きてきた第一世代は定年を迎えてVR世代との共存の道を歩んでいた。 笹井裕次郎(62)も、退職を皮切りに末娘の世話になりながら暮らすお爺ちゃん。 そんな裕次郎が、腐れ縁の寺井欽治(64)と共に向かったパターゴルフ場で、奇妙な縦穴──ダンジョンを発見する。 ダンジョンクリアと同時に世界に響き渡る天からの声。 そこで世界はダンジョンに適応するための肉体を与えられたことを知るのだった。 今までVR世界にこもっていた第二世代以降の若者達は、リアルに資源開拓に、新たに舵を取るのであった。 そんな若者の見えないところで暗躍する第一世代の姿があった。 【破壊? 開拓? 未知との遭遇。従えるは神獣、そして得物は鈍色に輝くゴルフクラブ!? お騒がせお爺ちゃん笹井裕次郎の冒険譚第二部、開幕!】

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

みうちゃんは今日も元気に配信中!〜ダンジョンで配信者ごっこをしてたら伝説になってた〜

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
過保護すぎる最強お兄ちゃんが、余命いくばくかの妹の夢を全力で応援! 妹に配信が『やらせ』だとバレないようにお兄ちゃんの暗躍が始まる! 【大丈夫、ただの幼女だよ!(APP20)】

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

処理中です...