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第三部 そして動き始める
彼女白い子の世界を知る
しおりを挟む「具合悪いのに、これ以上悪くなったらどうするの?!」
彼女は、そう言ってプンスコ怒っている
でも、あれ?ええ…。
「…色々、質問して良いかな?」
「…なに?」
まずは最初に疑問からいこう
「"ここ"って俺の夢の中じゃないの?」
どうなの?と、聞くと
「私は自分の夢だと思ってたんだけど…。」
少し狼狽えた声で、返事をされる
「夢が繋がってる?」
「…そうみたいね、どうしてそうなっているのかは、解らないけど。」
そう言われたが、だがそうすると他にも
疑問が出てくる。
「でも君、最初に俺の歌とか、お茶とかお菓子知ってたし、現実で作ったものも
"こっちで"食べてたよね?」
だから、俺は"君が"俺を呼び寄せているんだと思ってた。
そういうと、少し考えを整理するように
彼女は話出す
「最初は、歌声が聞こえてきたのよ。」
それから、お茶や歌声が現れたらしい
「そして、貴方が目の前にいたの。」
その時に、歌を歌ったり、お茶やお菓子を作っていたのが俺だと解ったらしい。
それから、毎晩俺が自分の所に出てくる様になったんだと、説明された。
「それまでは、途切れ途切れに繋がっていたのが、ずっと繋がったままになったのよ。」
私は自分で、呼んだ覚えなんてないから
貴方がしたのかと…。
「ええ…。」
俺の方も、やった覚えないし、人の意識に自分の意思を繋げるなんて、出来ないし、しようと思った事無いよぉ
じゃあこの状況は、なんなんだ?
お互いそう思いながら、見つめ合う
って言うか、彼女からすれば何処からか、正体不明の歌声が聞こえて
見たことない食べ物が、出てきてたのか
それ只のホラーじゃん!
「最初に会った時に、よく普通に話かけられたね、俺だったら怖くて逃げるよ。」
豪胆にも程がある、そう言うと
「…ずっと暇だったし、もし貴方が危ない存在なら殺せばいいって思ってたから。」
物騒が過ぎねぇか?!何でも殺せばいいってもんじゃねぇぞ?!…でも、あれ?
「ずっと暇って、君起きた時とか何してんの?つか、現実世界でその思考回路はヤバすぎだと思います。」
新しく出てきた疑問を尋ねると
「私はずっとここにいるわ、現実も何もないわよ。」
「"ここ"が、"私の"世界だもの。」
つまり、この子はずっと寝たままって事?
「ずっと寝たままって君、どういう状況なんだ?解る?」
そう聞くと
「言いたくない。」
ぷいッとそっぽ向かれた、おいおい
「原因突き止めないと、ずっとこのままかもしれないんだけど、良いの?」
「私は困らない。」
俺から顔を背けたまま、不貞腐れたように言う、子供か
「気に入らなかったら、殺すつもり?」
もしも、肯定されたら総身の力で抵抗せねばと、決意を固めて質問すると
「…今はそんな事思ってない、自分でも不思議だし、正直戸惑ってるけど。」
ずっと戸惑ってて!殺されたく無いです!
「まぁ、君が嫌じゃないならこれからもお邪魔させてもらうわ。」
とりあえずは現状維持と、彼女にそう言うと「え?」と、驚いた様な声と共にこっちを向いた
「貴方はそれで良いの?…この間、あんなに怒ってたのに。」
したを向いて、ばつが悪そうに聞いてきた
「あれは、俺もムキになったというか、大人げなかったというか。次に同じ事されなきゃ怒らないよ。」
そう言うと、俯いたまま
「うん…解った。」
そう言って頷いてくれた、でもこのままって良い状態じゃないよな。
「君がどうすれば、ここから出られるかも考えた方がいいよな。」
全く方法が思いつかないけど!そう思って色々考えていると
「…別に、出たいとは思って無いわ。」
ええ…今は良いかもだけどさぁ
「こんな刺激がない世界にずっといたら、脳が活動止めちゃわない?」
大丈夫なん?そう言うと
「え?!何それ、何でそんな事になるのよ!怖い事言わないで。」
本気で怖いのか、ちょっと震えながら抗議してきた。
「脳ってどうやって動くか知ってる?」
抗議を流してそう聞くと、「しらないわ!」とキレ気味な返事が帰ってくる
「あのね、脳って五感への刺激で活動するのね、だから知らない音とか、味とか、手触りとか、要は未知の体験って生きて行く上で結構大事なんだよ。」
長時間、同じ状態だと鬱になったり幻覚みたりするんだよ。
知らない事を経験するって、生命活動の一つでもあるんだよ。
「俺の歌とか、作るものも限界があるし…あ!そっか!」
良い事思いついた!そう思って彼女に提案して見る。
「ねぇ、この世界って君と連動してるよね、前に怒ってた時に風とか凄かったし」
ある程度、自由が効くんじゃない?
勢いこんで、質問すると
「…まぁ、確かにそうみたいだけど。何が出来るかなんて解らないわ。」
「じゃあ、尚更確認も兼ねて実験しようぜ!大丈夫、まずは君の周りからすれば良い。」
「何を?!今、脳の話してたわよね?!」
急に俺の話が変わったので、ちょっと引かれてしまった、申し訳ない
「だから、脳への刺激も兼ねて、ここら辺に植物とか生やそうよ。連動してるなら君が面倒見れるでしょ?」
この灰色の世界も、悪くは無いけど他の色を入れるのも良さそうだよね。
「まずは君が頑張って、植物をこの世界に定着させる所からだろうけど。」
好きな花や木はある?そう聞くと彼女は真剣な顔で考え出した。
「好きな花…木…。」
ちょっとイメージ湧かないかな?
「それなら、起きたら俺も色々な植物を見るよ、まずはそこから始めよう。」
君も考えてついたら、試してみて
失敗しても大丈夫、まずは考える事が大事なんだから。
「気楽に行こうぜ。」
そういうと、彼女は呆れた様に
「さんざん脅して最後はそれなの?」
と笑った。
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