6 / 7
第六話
しおりを挟む
1年後、オリエーンズ王国の女王となったティアーナは、王宮である女性とお茶を楽しんでいた。
前国王、偽王太子エドワード、その母である愛妾はすぐに大陸全ての国が参加する大陸連合裁判にかけられ、総括して平和への罪ということで有罪となった。
前国王は処刑、愛妾は強制労働15年ののち処刑となった。
強制労働先は10年前に発見された新大陸で、凶悪犯罪者が送られる場所となっている。最も重い刑を彼女は受けることとなった。
そして偽王太子であったエドワードは母親と前国王にのせられ、出自を知らなかったことを考慮され、幽閉となったが、その後、オリエーンズ王国で起こされた裁判で王太子と名乗っていたときの気に入らないものへの処罰が殺人と殺人教唆となり、処刑が決まった。
「何はともあれ王国が無事でよかったわ」
「いろいろありましたものね。……それにしてもさすが陛下ですね。以前より繁栄していますわ」
「ふふ、ありがとう。邪魔をするものがいなくなってわたくしの思うとおりに政治が動かせるようになったのですもの。でも、すべてはあなたのおかげだわ。改めてありがとうございます、アナスタシア様」
偽王太子エドワードを断罪し、大陸連合に連れ帰ったアナスタシアはその働きが認められて大陸連合裁判所捜査局長に就任した。史上最年少かつ初めての女性大陸連合役員となったのだ。
そんな彼女は1年前の断罪以来初めてオリエーンズ王国にやってきた。
「当然のことをしたまでです」
「謙虚ね、でも、あなたがこの国の救世主であることに変わりはないわ。いえ、あなたは聖女だったわね」
「聖女はもうこりごりです。実際には他人の婚約者なんてとりませんよ」
「冗談よ。それより、演劇を観ているような感じだったわ。平民で聖女で……そんな設定よく思いつきましたわね」
ノルディマン帝国の伯爵令嬢のままエドワードを落とすことはできないので、別の人物なる必要があったとはいえ、なぜ平民なのかしら……とティアーナは思いつつ尋ねる。
「貴族令嬢の名があったほうが動きやすいかったのでは?」
「ふふふ。陛下の先ほどのお言葉はある意味正しいですわ。私はあるお話になぞらえて任務に取り組んだのです」
「まぁ。どんなお話かしら?」
「平民でありながら聖女の力に目覚めた主人公が、貴族が通う王国最高峰の学園でこの国の王太子と出会い、恋をし、結ばれ王妃になり幸せに暮らす、というお話です」
「そのようなお話があったのね。でも、聖女とはいえ、平民が王太子と結ばれるなんて難しすぎるのでは?」
前国王、偽王太子エドワード、その母である愛妾はすぐに大陸全ての国が参加する大陸連合裁判にかけられ、総括して平和への罪ということで有罪となった。
前国王は処刑、愛妾は強制労働15年ののち処刑となった。
強制労働先は10年前に発見された新大陸で、凶悪犯罪者が送られる場所となっている。最も重い刑を彼女は受けることとなった。
そして偽王太子であったエドワードは母親と前国王にのせられ、出自を知らなかったことを考慮され、幽閉となったが、その後、オリエーンズ王国で起こされた裁判で王太子と名乗っていたときの気に入らないものへの処罰が殺人と殺人教唆となり、処刑が決まった。
「何はともあれ王国が無事でよかったわ」
「いろいろありましたものね。……それにしてもさすが陛下ですね。以前より繁栄していますわ」
「ふふ、ありがとう。邪魔をするものがいなくなってわたくしの思うとおりに政治が動かせるようになったのですもの。でも、すべてはあなたのおかげだわ。改めてありがとうございます、アナスタシア様」
偽王太子エドワードを断罪し、大陸連合に連れ帰ったアナスタシアはその働きが認められて大陸連合裁判所捜査局長に就任した。史上最年少かつ初めての女性大陸連合役員となったのだ。
そんな彼女は1年前の断罪以来初めてオリエーンズ王国にやってきた。
「当然のことをしたまでです」
「謙虚ね、でも、あなたがこの国の救世主であることに変わりはないわ。いえ、あなたは聖女だったわね」
「聖女はもうこりごりです。実際には他人の婚約者なんてとりませんよ」
「冗談よ。それより、演劇を観ているような感じだったわ。平民で聖女で……そんな設定よく思いつきましたわね」
ノルディマン帝国の伯爵令嬢のままエドワードを落とすことはできないので、別の人物なる必要があったとはいえ、なぜ平民なのかしら……とティアーナは思いつつ尋ねる。
「貴族令嬢の名があったほうが動きやすいかったのでは?」
「ふふふ。陛下の先ほどのお言葉はある意味正しいですわ。私はあるお話になぞらえて任務に取り組んだのです」
「まぁ。どんなお話かしら?」
「平民でありながら聖女の力に目覚めた主人公が、貴族が通う王国最高峰の学園でこの国の王太子と出会い、恋をし、結ばれ王妃になり幸せに暮らす、というお話です」
「そのようなお話があったのね。でも、聖女とはいえ、平民が王太子と結ばれるなんて難しすぎるのでは?」
18
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

婚約破棄された王太女は召喚勇者の生贄にされる。
克全
恋愛
ムーア王国のカミラ王女は、そのあまりに醜い容貌に怪物王女と陰で呼ばれていた。それでも前王妃から産まれた第一王女であったので、養子を迎えて女王となるはずだった。だがどうしても女王に成りたい第二王女と、外戚として権力を振るいたいミルズ王国のイザヤ王と、現王妃ゾーイの陰謀で勇者召喚の生贄にされてしまう。
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿させていただいています。

とりかえばや聖女は成功しない
猫乃真鶴
ファンタジー
キステナス王国のサレバントーレ侯爵家に生まれたエクレールは、ミルクティー色の髪を持つという以外には、特別これといった特徴を持たない平凡な少女だ。
ごく普通の貴族の娘として育ったが、五歳の時、女神から神託があった事でそれが一変してしまう。
『亜麻色の乙女が、聖なる力でこの国に繁栄をもたらすでしょう』
その色を持つのは、国内ではエクレールだけ。神託にある乙女とはエクレールの事だろうと、慣れ親しんだ家を離れ、神殿での生活を強制される。
エクレールは言われるがまま厳しい教育と修行を始めるが、十六歳の成人を迎えてもエクレールに聖なる力は発現しなかった。
それどころか成人の祝いの場でエクレールと同じ特徴を持つ少女が現れる。しかもエクレールと同じエクレール・サレバントーレと名乗った少女は、聖なる力を自在に操れると言うのだ。
それを知った周囲は、その少女こそを〝エクレール〟として扱うようになり——。
※小説家になろう様にも投稿しています
二人の男爵令嬢の成り上がり!でも、結末は──
naturalsoft
恋愛
オーラシア大陸の南に姉妹国と呼ばれる二つの国があった。
西側のアネーデス王国
東側のイモート王国
過去にはお互いの王族を嫁がせていた事もあり、お互いにそれぞれの王族の血が受け継がれている。
そして、アネーデス王国で周辺国を驚かすニュースが大陸を駆け抜けた。
その国のとある男爵令嬢が、王太子に見初められ【正しい正規の手続き】を踏んで、王太子妃になったのである。
その出来事から1年後、隣のイモート王国でも、その国の男爵令嬢が【第一王子】の【婚約者】になったと騒がれたのだった。
しかし、それには公衆の面前で元婚約者に婚約破棄を突き付けたりと、【正規の手続きを踏まず】に決行した悪質なやり方であった。
この二人の結末はいかに──
タイトルイラスト
素材提供
『背景素材屋さんみにくる』

婚約破棄されたので歴代最高の悪役令嬢になりました
Ryo-k
ファンタジー
『悪役令嬢』
それすなわち、最高の貴族令嬢の資格。
最高の貴族令嬢の資格であるがゆえに、取得難易度もはるかに高く、10年に1人取得できるかどうか。
そして王子から婚約破棄を宣言された公爵令嬢は、最高の『悪役令嬢』となりました。
さらに明らかになる王子の馬鹿っぷりとその末路――
追放された偽物聖女は、辺境の村でひっそり暮らしている
黎
ファンタジー
辺境の村で人々のために薬を作って暮らすリサは“聖女”と呼ばれている。その噂を聞きつけた騎士団の数人が現れ、あらゆる疾病を治療する万能の力を持つ聖女を連れて行くべく強引な手段に出ようとする中、騎士団長が割って入る──どうせ聖女のようだと称えられているに過ぎないと。ぶっきらぼうながらも親切な騎士団長に惹かれていくリサは、しかし実は数年前に“偽物聖女”と帝都を追われたクラリッサであった。

〜復讐〜 精霊に愛された王女は滅亡を望む
蘧饗礪
ファンタジー
人間が大陸を統一し1000年を迎える。この記念すべき日に起こる兇変。
生命の頂点に君臨する支配者は、何故自らが滅びていくのか理解をしない。

幼い頃から母に「お父さんはね、あの星からあなたを見守っているのよ」と言い聞かされてきた私。——なんか、お父さん、生きてたんですけど!?
青猫
ファンタジー
「お父さんはね、あの星からあなたを見守っているのよ」幼い頃に母から言われた言葉は子供ながらに、「あぁ、お父さんはもういないんだな」という事を実感させる何かがあった。それから十数年後。そんな子供だったベルファド―ラは、今や王子の婚約者候補として、王子を諫め、必死に母娘二人で頑張っていた。しかし、気が強い性格は王子には好かれることは無かった。
そんな彼女は卒業式の日に王子から婚約破棄を言い渡される——。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる