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婚約破棄?
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国王陛下のお部屋を退出し、マキアス殿下と一緒に王宮の廊下を歩いている。
無事に婚約破棄が成立した、と思ったら新たな婚約者ができてしまいました。
「久しぶりだね。昔みたいにアリアって呼んでも良いかな?」
「本当にお久しぶりですわ。もちろんです。それと、殿下との婚約本当によろしいのですか?」
「僕のほうこそ君にふさわしくないのではないのか」
「そんなことございません。殿下は優秀ですし、とても素敵ですわ。しばらく見ないうちにさらに気品がでてきたのではなくて」
マキアス殿下も前王妃様が美しい方であったので、とても整ったお顔立ちをしていらっしゃる。ただ、瞳はエメラルド色ではなく、前王妃様譲りのサファイア色ですけど。
「ありがとう。……今になってすまないが、弟が本当に申し訳なかった」
殿下に突然頭を下げられた。
「頭を上げてください。殿下は関係ありませんわ。わたくしの態度も悪かったのです」
「アリアは悪くない。弟がしたことはすべて聞いている。父と義母も君に無礼を働いたようだ。すまない。責任と言ってはあれだが、君が僕との婚約を破棄したくなったら僕は甘んじてそれを受け入れよう」
◇◇
冒頭へ戻ります
◇◇
と、わたくしは1ヶ月前のことを思い出していた。
「おい、聞いているのか。お前と俺は婚約破棄をするんだぞ。そうか、あまりにもショックで言葉が出ないのか、ぶははは」
「エディ様、笑うなんてさすがに、それはおかわいそうですわぁ。アリア様はショックを受けているんだもの。クフフ」
勘違いもはなはだしい。あまりにも予想通りすぎて言葉が出ないだけよ。
「殿下、お忘れでしょうか」
「何をだ? 俺はディアへの愛を忘れたことはないぞ」
「まぁ、エディ様ぁ」
「殿下はお忘れです。
わたくしとエディヤ・ウクリナ殿下は、すでに婚約破棄をしている、と言う事実を」
「………は? 何を言っているのだお前は?」
「やはりお忘れのようですね。ではこちらを」
予定通りに、従者に持って来てもらった婚約破棄の書類を、殿下に渡す。
「……? ……ああ、これはアリアから送られてきた外国語の手紙だな。これが何だ?」
古語の区別すらもつかないなんて。まぁ、予想通りですけど。
「外国語? おかしなことをおっしゃいますわ。ディアナさん、あなたこの書類が何で書かれているかわかります?」
「なに? わたし? ……えっと、これは古語ですけど何か問題でも?あっ」
愚かな女だと思っていたけど、さすがに古語は読めるみたいね。
「何だ古語って?」
ああ、言ってしまった。本当に脳みそないのかしら。
「どういうことだ」
「殿下は古語が読めないのか?」
「嘘でしょう」
こんな大勢の前で恥をさらしたら、国王陛下ももう手出しはできないわね。
まあ、最初からお父様が止めてくれていたけれど。
「ちょっと、エディ様どういうことなの。これは婚約破棄の書類よ。なんでサインなんかしてるのよ。婚約破棄はアリア様の恥をかかせるために卒業パーティでやるって言っていたじゃない」
ディアナさんが小声で殿下にささやくが、衝撃のあまり静まり返ったこの場では逆効果ですのよ。
「エディヤ殿下、これはどういうことなんでしょうか。婚約破棄をしておきながらこのような公の場で婚約破棄とは。」
「は?お、俺はこんなもんしらんぞ。そうだ、これはアリアが偽装したんだ」
「殿下は何を?」
「あれは明らかに殿下のサインでしょう」
「愚かなことを」
あらあら。何かをおっしゃればおっしゃるほど、立場が悪くなるのがわからないのかしら。
無事に婚約破棄が成立した、と思ったら新たな婚約者ができてしまいました。
「久しぶりだね。昔みたいにアリアって呼んでも良いかな?」
「本当にお久しぶりですわ。もちろんです。それと、殿下との婚約本当によろしいのですか?」
「僕のほうこそ君にふさわしくないのではないのか」
「そんなことございません。殿下は優秀ですし、とても素敵ですわ。しばらく見ないうちにさらに気品がでてきたのではなくて」
マキアス殿下も前王妃様が美しい方であったので、とても整ったお顔立ちをしていらっしゃる。ただ、瞳はエメラルド色ではなく、前王妃様譲りのサファイア色ですけど。
「ありがとう。……今になってすまないが、弟が本当に申し訳なかった」
殿下に突然頭を下げられた。
「頭を上げてください。殿下は関係ありませんわ。わたくしの態度も悪かったのです」
「アリアは悪くない。弟がしたことはすべて聞いている。父と義母も君に無礼を働いたようだ。すまない。責任と言ってはあれだが、君が僕との婚約を破棄したくなったら僕は甘んじてそれを受け入れよう」
◇◇
冒頭へ戻ります
◇◇
と、わたくしは1ヶ月前のことを思い出していた。
「おい、聞いているのか。お前と俺は婚約破棄をするんだぞ。そうか、あまりにもショックで言葉が出ないのか、ぶははは」
「エディ様、笑うなんてさすがに、それはおかわいそうですわぁ。アリア様はショックを受けているんだもの。クフフ」
勘違いもはなはだしい。あまりにも予想通りすぎて言葉が出ないだけよ。
「殿下、お忘れでしょうか」
「何をだ? 俺はディアへの愛を忘れたことはないぞ」
「まぁ、エディ様ぁ」
「殿下はお忘れです。
わたくしとエディヤ・ウクリナ殿下は、すでに婚約破棄をしている、と言う事実を」
「………は? 何を言っているのだお前は?」
「やはりお忘れのようですね。ではこちらを」
予定通りに、従者に持って来てもらった婚約破棄の書類を、殿下に渡す。
「……? ……ああ、これはアリアから送られてきた外国語の手紙だな。これが何だ?」
古語の区別すらもつかないなんて。まぁ、予想通りですけど。
「外国語? おかしなことをおっしゃいますわ。ディアナさん、あなたこの書類が何で書かれているかわかります?」
「なに? わたし? ……えっと、これは古語ですけど何か問題でも?あっ」
愚かな女だと思っていたけど、さすがに古語は読めるみたいね。
「何だ古語って?」
ああ、言ってしまった。本当に脳みそないのかしら。
「どういうことだ」
「殿下は古語が読めないのか?」
「嘘でしょう」
こんな大勢の前で恥をさらしたら、国王陛下ももう手出しはできないわね。
まあ、最初からお父様が止めてくれていたけれど。
「ちょっと、エディ様どういうことなの。これは婚約破棄の書類よ。なんでサインなんかしてるのよ。婚約破棄はアリア様の恥をかかせるために卒業パーティでやるって言っていたじゃない」
ディアナさんが小声で殿下にささやくが、衝撃のあまり静まり返ったこの場では逆効果ですのよ。
「エディヤ殿下、これはどういうことなんでしょうか。婚約破棄をしておきながらこのような公の場で婚約破棄とは。」
「は?お、俺はこんなもんしらんぞ。そうだ、これはアリアが偽装したんだ」
「殿下は何を?」
「あれは明らかに殿下のサインでしょう」
「愚かなことを」
あらあら。何かをおっしゃればおっしゃるほど、立場が悪くなるのがわからないのかしら。
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