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新たな婚約者
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「この書類は、いったいどういうことだ」
「エディが婚約破棄を認めるなんてありえないわ」
「ですが、このサインはエディヤ殿下のものでまちがいございません」
「た、確かにそうだが……。しかし、ラミーリア嬢、この婚約は国のためになる重要なものだぞ。それを破棄するとは……」
国のため?ラミーリア公爵家の財が欲しいだけではなくて?
「しかし、この書類にサインがある以上、婚約破棄はかなったものとなります。どんなに陛下がおっしゃっても覆るものではございません。王族のサインはそれほどの効力を持つのですもの」
「む……。分かった、婚約破棄を認めよう。しかし、公爵はそれで良いと言ってるのか?」
「はい、もちろんですわ」
お父様はもともと、この婚約は反対ですもの。それを忘れているのかしら。
「だが、王家と公爵家の縁組は必要だ。よって、そなたは第1王子と婚約せよ」
「そうね、それが良いわ。でも、エディが王太子にはなるのよね?」
「ああ、もちろんだ。王妃よ。あの女の息子に俺の跡は継がせん。俺の跡を継ぐのはエディヤだけだ」
ふざけているのかしら、この2人は。わたくしたち公爵家からしたら、縁組は不必要なものだわ。それに婚約破棄した直後に他の男性を、しかも兄をすすめるなんて人の気持ちをなんだと思っているの。
第1王子マキアス・ウクリナの母は前王妃であったが、マキアス殿下を産んだ際に亡くなられた。そのため、マキアス殿下とエディヤ殿下は母が異なる。
前王妃は隣国の王女で、国王陛下とは政略結婚であった。しかし、当時の陛下にはすでに愛する人がいた。それが現王妃である。伯爵令嬢であった現王妃は身分的に王妃になれず、側室となったが、国王陛下は前王妃には一切目もくれず、側室を愛した。
前王妃が亡くなられると、周囲の反対を抑えて側室であった伯爵令嬢を王妃にした。その後すぐにエディヤ殿下が生まれたので、マキアス殿下は冷遇され、不遇な少年時代を過ごすことになる。学力は十分であったが、学園に通うことを許されず、母親の祖国である隣国に留学した。
幼い頃、わたくしとマキアス殿下はよく王立図書館に通っていたので仲良くしていた。しかしそれも、エディヤ殿下との婚約が決まってからは会うことが許されなくなった。
「ラミーリア嬢はあの子と仲良くしてたわね。ちょうど良いじゃない。だから、わたくしのエディには二度と手を出さないでよね」
本当に勝手だわ。
「よし、そうと決まればマキアスを呼んでこい。先月、留学から帰ってきてただろう」
わたくし、まだ何も返事をしていませんのだけど……。マキアス殿下、留学からお帰りになっていたのね。
「失礼します、マキアスです」
「マキアス、お前と婚約することになったラミーリア嬢だ。幼い頃仲良くしていたからよく知っているだろう」
「アリア……。しかし、彼女はエディヤの婚約者ではなかったのではないですか?」
「婚約破棄した。だから、お前は何も気にしなくて良い。正式な婚約はエディヤの方が決まってからだ。それと、エディヤとラミーリア嬢の婚約破棄はまだ口外しないでくれ」
「かしこまりました。ただ、ラミーリア嬢はそれでよろしいのですか?」
「殿下の方こそわたくしなんかでよろしいのでしょうか?殿下がよろしければ、わたくしは全く問題ありませんわ。ありがたいぐらいですもの」
「問題があるわけないだろう」
「それなら、いいな。くれぐれも婚約破棄は口外するなよ」
エディヤ殿下の恥になることだけは避けたいのね。マキアス殿下も同じ陛下のお子なのに。
「エディが婚約破棄を認めるなんてありえないわ」
「ですが、このサインはエディヤ殿下のものでまちがいございません」
「た、確かにそうだが……。しかし、ラミーリア嬢、この婚約は国のためになる重要なものだぞ。それを破棄するとは……」
国のため?ラミーリア公爵家の財が欲しいだけではなくて?
「しかし、この書類にサインがある以上、婚約破棄はかなったものとなります。どんなに陛下がおっしゃっても覆るものではございません。王族のサインはそれほどの効力を持つのですもの」
「む……。分かった、婚約破棄を認めよう。しかし、公爵はそれで良いと言ってるのか?」
「はい、もちろんですわ」
お父様はもともと、この婚約は反対ですもの。それを忘れているのかしら。
「だが、王家と公爵家の縁組は必要だ。よって、そなたは第1王子と婚約せよ」
「そうね、それが良いわ。でも、エディが王太子にはなるのよね?」
「ああ、もちろんだ。王妃よ。あの女の息子に俺の跡は継がせん。俺の跡を継ぐのはエディヤだけだ」
ふざけているのかしら、この2人は。わたくしたち公爵家からしたら、縁組は不必要なものだわ。それに婚約破棄した直後に他の男性を、しかも兄をすすめるなんて人の気持ちをなんだと思っているの。
第1王子マキアス・ウクリナの母は前王妃であったが、マキアス殿下を産んだ際に亡くなられた。そのため、マキアス殿下とエディヤ殿下は母が異なる。
前王妃は隣国の王女で、国王陛下とは政略結婚であった。しかし、当時の陛下にはすでに愛する人がいた。それが現王妃である。伯爵令嬢であった現王妃は身分的に王妃になれず、側室となったが、国王陛下は前王妃には一切目もくれず、側室を愛した。
前王妃が亡くなられると、周囲の反対を抑えて側室であった伯爵令嬢を王妃にした。その後すぐにエディヤ殿下が生まれたので、マキアス殿下は冷遇され、不遇な少年時代を過ごすことになる。学力は十分であったが、学園に通うことを許されず、母親の祖国である隣国に留学した。
幼い頃、わたくしとマキアス殿下はよく王立図書館に通っていたので仲良くしていた。しかしそれも、エディヤ殿下との婚約が決まってからは会うことが許されなくなった。
「ラミーリア嬢はあの子と仲良くしてたわね。ちょうど良いじゃない。だから、わたくしのエディには二度と手を出さないでよね」
本当に勝手だわ。
「よし、そうと決まればマキアスを呼んでこい。先月、留学から帰ってきてただろう」
わたくし、まだ何も返事をしていませんのだけど……。マキアス殿下、留学からお帰りになっていたのね。
「失礼します、マキアスです」
「マキアス、お前と婚約することになったラミーリア嬢だ。幼い頃仲良くしていたからよく知っているだろう」
「アリア……。しかし、彼女はエディヤの婚約者ではなかったのではないですか?」
「婚約破棄した。だから、お前は何も気にしなくて良い。正式な婚約はエディヤの方が決まってからだ。それと、エディヤとラミーリア嬢の婚約破棄はまだ口外しないでくれ」
「かしこまりました。ただ、ラミーリア嬢はそれでよろしいのですか?」
「殿下の方こそわたくしなんかでよろしいのでしょうか?殿下がよろしければ、わたくしは全く問題ありませんわ。ありがたいぐらいですもの」
「問題があるわけないだろう」
「それなら、いいな。くれぐれも婚約破棄は口外するなよ」
エディヤ殿下の恥になることだけは避けたいのね。マキアス殿下も同じ陛下のお子なのに。
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