貴方達の武器の面倒はもうみません〜名門貴族に雇われているSランクパーティーリーダーを妹に取られて婚約破棄されパーティーからも追放されました〜

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3、sideノーマン、『炎光の鷹』崩壊の序曲1(ちょいざまぁ)

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「は?、ルフがパーティーを抜けた???」

「ああ、いきなりで俺もびっくりしたが……」

「大した挨拶も無しに、うちの姉がご迷惑をおかけします」

(……フフフ、これで私の逆ハーレムの完成っと………)

俺、重戦士、ノーマン・アラウンドは間抜けな声を晒す、それも仕方ないことだ、なぜなら俺達の『魔武機』の面倒を全てみているのはルフ・ノーム、彼女なのだから、さらに言えば武器の世話もそうだが、斥候や探索の役回りも彼女が担っていたはずだ、正確には彼女が開発したアイテムで自分達の潜っているダンジョンの正確な形を把握、正しい道を案内したり、魔物が近寄ってこないような匂いを俺たちに纏わせる事ができたり、本当にやばい時は転移水晶を使ってくれたり、転移水晶というのは基本的には貴重なので出回らないし、人工的に作る事はできなかったが、魔法と科学を組み合わせ、疑似的な転移水晶を作り出すことに成功、このお陰でかなり安全に探索ができるようになった…………はっきり言って彼女が抜ける穴はデカすぎて埋めようがない。

「理由は何なんだよ?」

「それ俺も気になった」

他のメンバー達もなぜ彼女が抜けたのか、理由が気になるようだ、俺だって気になる、そもそも彼女はこんな風に勝手にパーティーをやめるような性格ではない、何か重大な理由があるなら納得できるが……例えば親が危篤とかで急遽実家に帰らなければならないとか、まぁ妹のエミリアがいる時点でそれはないがな。

「え?、え、えーーと、その、そう、実は彼女、エミリアの美貌に嫉妬してて、これ以上一緒に居たら嫉妬に狂って何するか自分が自分で怖くなって、距離を置きたいらしいぞ!!、なぁエミリア?」

「……ええ、まさかそこまで思い詰めてるとは考えもしませんでした……」

「ああ……そういやルフ、肌がちょっと黒いのがコンプレックスだっけか?」

………なるほど、そういえば俺も聞いた事がある、彼女は『ドルフ』、ドワーフとエルフの血をちょうど半分ずつ受け継いでいると……ドワーフでもなければエルフでもない、どっちの一族からも忌み嫌われていると……まだエミリアの方は見た目は完全にエルフ寄りなのでそこまで嫌われる事はなかったらしいが、それでもバレるやつにはバレて虐められたらしい、ルフは少し焼けた肌に、エルフの長耳、何でも『長土耳』とかいう酷い渾名までつけられたとか、それならば確かにエミリアに対して嫉妬を抱くのも無理はない………だが、少し妙な話だ、今までずっと一緒にいて、嫉妬を我慢できてたのに今更になって我慢できなくなるというのは……まぁ、人の心はいつ限界が来るかわからないからな、遂にルフの限界がきたと言うことか。

「………別にそこまで悲観することもないと思うがな……」

「お、ノーマンもそう思う?」

「お前らもか……」

「どういう意味だ?」

俺は思わず呟く、その呟きにガンツ以外のメンバー達はうんうんと同意するように頷く、一人だけ意味をわかってないのか、疑問符を浮かべるガンツ……というかお前は彼女の婚約者なんだから、お前が一番フォローしてやるべきなんじゃないか?。

「その、今から婚約者のお前の前でちょっと下世話な話になるけど……良いか?」

「べ、別にいいぞ」

「………ルフって、スタイルいいじゃん?」

「ああ、ボンキュボンって感じだよな……」

「顔も綺麗だしな………」

「だからそんなに気にする必要ないんと思うけどな……」

「その、ぶっちゃけた話、確かにスレンダー好きならエミリアだが……俺達、適度に肉付いてる方が好きだからな……どっちかっていうとルフの方が好みだな………あ、いや勘違いして欲しくないのは別に俺たちはお前からルフを取ろうとしてる訳じゃなくて、純粋に女性として見た時どう思うかという感想を言ってるだけでな……」

「あ、ああ、わかってるわかってる………まぁそうだな………」

(……こいつらアホすぎでしょ………あんな無駄な脂肪の塊をありがたがる神経が理解できない………)

一応、ガンツに確認をとる俺達、了承するガンツ、了承を得た俺達は正直な感想を述べる、エミリアと比較しても負けず劣らず中々の美人であると。

自身のペチャパイに少なからずコンプレックスを抱いているエミリアは内心毒づく。


「で、でも、肌黒いじゃん?」

「まぁ~本人からしたら嫌なのかもしれないが、俺からすると逆にポイント高くね?、ってなるんだが……」

「わかるわかる!!、あの健康的な色の肌がたまんないよな!!」

「ガングロってほどでもなく、程よい色をしてる、確かに白い肌の方が好きって男の方が一般人基準だと大多数だとは思うが、冒険者の男は基本的に健康的な肌色の女の方が好きな奴多いしな」

「白く透き通った肌が好きならエミリアの方に行くが、いかせん肌が病的に白いのはあまり好みじゃないからな……エルフの白い肌とドワーフの黒い肌がうまい具合に混ざり合って、ちょうど良い色になってるんだよ……小麦色ってやつ?、しかも肩紐の服とかの時にチラリと見える焼けてない肌、露出してる肌とのコントラストはたまんないよな……あ、いや、俺の趣味がルフってだけで別にエミリアが可愛くないって言ってる訳じゃないから、勘違いしないでくーー」

「ーーーー全然気にしていませんよ」(……………私の真珠のように清く、白く、美しく輝く、至高の芸術と言って良い肌より、あんなう○こみたいな肌してる奴の方が上ですって?……いや、彼らは気づいてないだけ………これからゆっくりと私の美しさを教育していばいいだけだ………目の上のタンコブは処理したので時間はいくらでもあるのですから………)

「あ、ああそうだな………」

熱すぎる俺たちの熱量に呆気に取られるガンツ、一応、仲間がエミリアに謝る、食い気味に喋るエミリア……何だか目が笑ってないような気がするが、俺の気のせいだろう。

自分よりルフの方が好きだと暗に言い出すパーティーメンバー達に人知れず屈辱と敗北感を覚えるエミリア……『炎光の鷹』の崩壊は徐々に始まっていく。





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