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13、デジャヴな出会い
しおりを挟む「ったく、何かにつけて揶揄って………\\\」
近場の住民達が依頼を持ち込んでくるので、思ったよりは盛況な何でも屋『ブレーメンズ』………だが、暇を持て余しているのか、事あるごとに私とハルバートを恋仲だと邪推される。
「~~~」
「ん?」
今、ハルバートと一緒にいるのは気まずいので夜の街を散歩する私、前方から争い事の気配を感じ、近づく。
「汚い手を離せ!!!、俺を誰だと心得る!!!」
「おぉ、おぉ、元気だねぇ僕~」
「ダメじゃないか、子供がこんな所に一人できちゃ……金出せやぁ……」
「……絵に描いたようなチンピラだなぁ……」
小綺麗な服を着た子供がチンピラに絡まれている…………結構治安が悪いんだなぁこの国。
「そんな小さい子相手に何してるのアンタら…………」
「あん?何だテメェ?、あっち行け殺すぞ?」
「おい、待て、結構、上玉の女じゃねぇか」
「おお、ちょっとこっち来いよ」
これまた何の捻りもない反応をするチンピラ達。
「ほら、俺達と遊ぼーーー痛ッッッッ??!!」
「…………今すぐ消えれば、これ以上痛い思いをしなくて済むよ」
このまま平和的な交渉をしても進展はなさそうだ、チンピラが私に手を伸ばしてきたので、その腕を捻ってそのまま背後に回り込み拘束、チンピラ達に最後の忠告をする。
「「「舐めてんじゃねぇぞクソアマ!!」」」
「…………ハァ……」
…………まぁ、そんな忠告を聞くような人種ではない、異口同音で殴りかかってくるチンピラ二人、私は嘆息をしつつ、拘束していた男をチンピラ達に蹴り飛ばす。
「オワッッッッ」
「隙あり」
「しまッッッッーー痛ッッッッ?!!」
「まず一人目」
正面から殴りかかってくる男達はいきなり飛んできた仲間に驚愕、一人は咄嗟に横に避けたが、もう一人はモロにぶつかってしまう、その隙を逃さず、脳天に踵落としをいれ、男を気絶させる。
「や、やりやがったな!!!」
「いや、刃物はダメだろ」
興奮した男は腰から剣を抜き放つ。
「ウルセェ!!、死に晒せ!!!」
「そっちがそのつもりなら、ーーーよっと」
「ナッッッ??!!」
「ありゃ?」
相手が剣を抜くのならこっちも聖剣を抜刀、相手の剣をガードしようとしたら、そのまま刀身を切り裂いてしまう。
「な、な、な……俺の愛剣が………」
「ま、まぁ、正当防衛ってことで……」
「ガッッッッッ??!!」
自分の愛剣をバターでも切るかのように、斬り裂かれ、呆然とする男、少し可哀想な気もしたが、その隙に私は懐に潜り込み、ベルトから外した鞘で頭を叩いて昏倒させる。
「ヒィィィ!!?」
最後の一人も自分以外やられたとわかった瞬間、どこかへ逃げてしまう。
「仲間置いてくなよ………大丈夫、君?」
「な、ななな、何をしてるんだお前!!!」
「?」
「別に助けてなんて頼んでない!!、俺一人でも大丈夫だったんだ!!!」
「…………ーーープッッッ、ククククク…………」
「ーーーーな、なっッッッッッ???!!、何が可笑しい!!!、本当に平気だったんだぞ!!」
「いや、ごめんごめん、別に疑ってるわけじゃなくて、昔に同じようなこと言われたからさ、デジャヴって………」
助けた子供に逆ギレされる、数年前にも同じような経験をしたことがあり、その記憶の子供とダブったので吹き出してしまう私。
「な、何だと………」
「坊っちゃま~」
「あ、爺……」
「ん?、ああ保護者か……んじゃね、あ、そうだ………」
「な、何だ?」
「ほい」
「何だこれは?」
「実は私何でも屋なんだ、裏に地図書いてあるでしょ?、さっきみたいに困ったら来な、力になるよ」
不意に後ろから子供の知り合いらしき人間が来たので、帰ろうとするが………そういえば手元に何でも屋のチラシが何枚かあったのを思い出し、一枚、子供に渡す。
「ま、待て!!」
「?」
「な、なら紛いなりにも助けてくれたからな、褒美をやろう、何でも屋なんだろ?」
「フフッッ………ほんとに似てるなぁ……大丈夫、初回無料サービスってことで」
「なッッッッ、おい!!!」
なんかお礼に金を払うと言い出す子供、ここまで似たような事を言われるとは思わなかったので、また笑ってしまう私、適当な事を言ってその場を後にする。
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