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2、婚約破棄

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………外はもうすっかり暗くなっていた、ひんやりと冷たい空気、足元を照らす街灯を頼りに国の外へ出る門を目指し、歩く私………もう何も考えたくなかった、やっと見つけた自分の存在意義、国民の笑顔を守るのが私の仕事だと思っていた………しかし、それは義妹達に突如奪われてしまった………聖女をやめさせられ、またあの日々………誰にも必要とされず、誰にも見向きもされず、誰にも認められない………ただ人が落とした残飯に縋り付き、生きる為だけに生きる………まるでこの世界から必要とされない………あの真っ暗で孤独の世界にまた戻らなければならないと考えると………心が絶望に塗り潰される…………これなら最初から聖女になんてなりたくなかった、最初から最後まで一人でいれば悲しむ必要はない、だか知ってしまった………ノーザン家の使用人さん達、アビゲイルさん、国民達、彼らの感謝と笑顔、自然とこちらも笑みが溢れる、そして……私だって腐っても聖女の一族、貴族の婚約者だっていた、しかし、国外追放を言い渡された以上、彼ともお別れをしなければならない………親愛、友愛、恋愛、あらゆる愛の喪失は心を抉られる錯覚を覚えた……。

「……………うぅぅぅぅぅッッッーーーー」

体というのは正直なもので、これからどうすれば良いか、不安で涙が流れ始める………嗚咽を漏らしながら泣き続ける私。

「何をそんなに悲しんでいるのかな」

「ディ、ディラン!!、何でここに………」

「ミレイが聖女の一族を追放されたって聞いて、いてもたってもいられなくてね、一緒についていくよ」

「……い、一緒に来てくれるの?」

「ーーーなんて嘘!!、あっさり騙されちゃって……他国で魔力無しの無能女とまだ婚約してるとか言いふらされたらたまったもんじゃないからね、出ていく前にハッキリさせときたかったんだ、君との婚約破棄させてもらうよ」

「………え?」

なぜか婚約者のディランがここにいるのかと疑問に思ったが、彼の言葉を聞いて、もしかして一緒に来てくれるのかと期待する、一瞬、期待してしまった………即座に地獄に叩き落とされる。

「な~に、頬染めて勘違いしてんの?」

「マー……ガレット?」


さっき私に血判を押させた義妹の一人、マーガレットが何故かディランの近くにいた。

「僕の新しい婚約者さ」

「ーーーえッッッッ?」

「涙でぐっちゃぐっちゃで凄い汚い~」

「本当だね」

「ダメです、ディラン様♡、こんな所でッッッ♡、ブスも見ておられます♡」

「見せつけてやればいいじゃないか、君は気持ちよくなることだけを考えていればいいんだよ……」

「………………」

ディランとマーガレットの男女の愛し合いが目の前で始まる、ねっとりとした触れ合いを見せつけられ、私は何も喋れなかった、ただ無言でその場を走って離れた。
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