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11、飛べない鳥
しおりを挟む「いや、ここはこうした方がーーーーー」
「それだと機体の重量がーーー」
「………つまらん」
あの後、興味が湧いた私は彼の乗り物の改良を手伝う事を申し出る、数日間、彼の家に泊まり込みであーでもないこーでもないと言い合う…………久しぶりに自分と同じ物作りを高い熱量を持ってやっている人間と話すのは楽しかった………横の黒鉄はつまらなそうに見ているが、白熱する私達は止まらない。
「ーー邪魔するぜ」
話し合っているとドアがいきなり呼び鈴も鳴らさず入ってくる鳥人族の男達………。
「よう、コバルト、調子はどうだい?」
「……アイアン………ダマスカス………」
「まだあんなオモチャで大会に出るつもりなのか?」
「………うるさい、お前には関係ないだろ」
「見たところまだ完成してないでやんすねぇ……」
「気安くそれに触るなダマスカスッッッッ!!!」
「うるさいでやんす、あっしがどこをどう触ろうが飛べない鳥人に指図される謂れはないでやんすよ」
「ーーーッッッッッ」
「………飛べない?」
入ってきた鳥人族の男達改、アイアンとダマスカスは顔を合わせるなりコバルトをまるっきりバカにした調子で話しかけてくる、ベタベタと無遠慮にグレートイーグル号を触る狡賢そうな人相の男の方がダマスカスという名前らしい。
「全く、かの英雄イカロスの子孫も落ちたもんだよなぁ、今や飛べない鳥人と国一番の腰抜け一族と有名だ」
「…………」
「それで、何とか飛ぼうとこんなオモチャに頼る始末……哀れなもんだぜ」
「そもそもイカロスも存在したのかどうか眉唾物でやんすよ、蝋燭で固めた翼で飛んだなんて……」
「まぁそう言うなよ、ここに鉄の翼で飛ぼうとするアホもいるんだから、蝋燭で固めた翼で飛ぼうとするバカがいても不思議はないだろう?」
「ハハハハ、確かにでやんすね、こいつは一本取られたでやんす」
「………ッッッ」
「大体、こんなガラクタが飛べるはずがないんだっての、恥の上塗りをする前にさっさと諦めりゃ良いのに……」
「…………」
好き勝手言われて、好き勝手に機体を触られているが、『飛べない』と言われた瞬間に押し黙るコバルト、彼の様子に調子に乗る二人、うつむき、拳を握り、歯を噛み締めるコバルト………。
「お飾りの翼しか持ってないお前らが飛ぼうとする事自体がーーー」
「ーー飛べるよ」
「………あん?、何だお前?」
「旅人だ、彼の家を借りてる……飛べるよ、グレートイーグル号は貴方達より高く、遠く、飛べる……地平線の彼方まで……必ず飛ばしてみせる」
「お、おいエマーー」
「コバルトも何で言い返さないの!!!、見てるこっちがイライラする!!!」
「ーーーッッッッ」
「ほぅ?、なら賭けでもしてみるか?、王族を守る飛行騎士団、それを選抜するための何でもありのレース大会が近々行われる、元々、出場する気だったんだろ、その大会の順位で勝負だ、勝った方は負けた方に何でもいう事を聞かせるってのはどうだ?」
「良いよその賭け乗った」
「……逃げ出すなよ……」
小馬鹿にする二人に頭にくる私は言い返す、あれだけ必死に作ろうとしていた物を馬鹿にされているのに怒らないコバルトも理解できない、衝動の赴くまま、アイアンが持ちかけた賭けを二つ返事で了承する私。
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